3 / 3
帰還への道
episode 3 ーfinalー
しおりを挟む
王室に戻ったが、時間は全く経過していなかった。国王は引き続き現状を説明している。
その後、国から、ここにいる全員分の物資の支給があった。銀貨100枚と短刀、カンパン、水、栄養食品、マップなどを支給してくれた。ただ、改めて、僕たちが兵力でしかないことに気付かされる。最低限の物資、最低限のお金、衣食住は王宮を利用していいと言っていたが、果たして、どれくらい優遇されるのかはわからない。
レベル上げなどはゲームと共通らしい。レベルとユニークスキルという概念があるらしく「ステータスオープン」という訳のわからない合言葉を唱えると自分のスキルとステータスが表示された。ユニークスキルの項目には「千里眼」と表示されていた。
これが、見える所以か。なるほど。
国王の話だと、レベル1でもスライムくらいは倒せるらしいが、全くもって気は抜けない。集められた一部には胸を弾ませているものもいるが、彼らはわかっているのだろうか。ゲームと違ってこの世界でも命が一つしかないかもしれないということを。
浮かれた奴らをみている場合ではない。
今のうちに僕は、ここを抜け出さなければならない。警備が王宮に集まっている今、王宮の警備を潜り抜けて旅に出るにはちょうどいいのだ。もしかしたら、外にも警備がいるかもしれないが、そこはいいように誤魔化そう。
僕は支給された物資を、同じく支給された、リュックにつめた。そして、ごった返している王室を後にした。
「くそ。もっと早く出るべきだったか………」
王室に護衛が集まっていると思ったが、さすが王宮というだけある。出る途中に多くの護衛とすれ違った。
すれ違ったものからは「どこへ行くのか」と質問されたが、「ただ、外の空気を吸いに行くだけだ。許可はもらった」と聞かれるごとに同じ言葉を繰り返した。
今更だが、転送されてきた人々だけではなく、この世界の人が話す言語も聞き取れるし、自身の話した言葉も相手が理解できることへの利便さを改めて実感した。さすがである異世界。
僕は裏口から出ようと、人が少なそうな道を千里眼で推測しながら、移動した。
このスキルは、見ようと思えば、壁や植物を貫通させて見通すことができて大変便利である。これが、スキルか。スキルさま様である。にわかに受け入れがたい仕組みだ。慣れるとかなり使い勝手が良さそうだ。すでにこれほど役に立っている。
悪用すれば大変だなあ。
自分を律しなければならない。まあ、それは後ほど考えよう。今はここを出ることに集中っと。
裏口に向かう途中、一つの古屋があった。王宮の煌びやかな雰囲気と打って変わり、簡素で古い倉である。鍵はかかっておらず今にも壊れそうなドアが半開きになっており、警備もいない。もしかしたら、旅に必要な物資を少し拝借できるかもしれない。
僕は倉に忍び込んだ。誰もいないし、ほとんど何もない。
蔵に置いてあるものは空の木箱が多く、木材や、何かわからない破片が無造作に置いてあり、大したものはなさそうだった。
「とりあえず、これだけ拝借させてもらうか。」
ボロボロの2メートルほどの布がいくつかあったので、一枚、もらおう。外套として使えるかもしれない。
すいません、戻ってきた時に戻しますので。
倉を出て、後ろを振り返る。外から見たらやっぱでっかいな、この城。
見たことない城の大きさし圧倒されつつ、王宮の裏口へと向かう。
最後の王宮の関係者だと思われる門番にも使いまわした言葉を述べて、城を出た。薫に会うためには絶対元の世界、地球に戻ろう。
「まずは、レベルを上げるか。」
荷物を背負い直した。
踏みしめた一歩には僕の決意の重さが込められていた気がする。
………「気がする」だけだが。
これは地球で死んだ俺が、大切な人にもう一度会うために、この世界で還る方法を探す物語。
その後、国から、ここにいる全員分の物資の支給があった。銀貨100枚と短刀、カンパン、水、栄養食品、マップなどを支給してくれた。ただ、改めて、僕たちが兵力でしかないことに気付かされる。最低限の物資、最低限のお金、衣食住は王宮を利用していいと言っていたが、果たして、どれくらい優遇されるのかはわからない。
レベル上げなどはゲームと共通らしい。レベルとユニークスキルという概念があるらしく「ステータスオープン」という訳のわからない合言葉を唱えると自分のスキルとステータスが表示された。ユニークスキルの項目には「千里眼」と表示されていた。
これが、見える所以か。なるほど。
国王の話だと、レベル1でもスライムくらいは倒せるらしいが、全くもって気は抜けない。集められた一部には胸を弾ませているものもいるが、彼らはわかっているのだろうか。ゲームと違ってこの世界でも命が一つしかないかもしれないということを。
浮かれた奴らをみている場合ではない。
今のうちに僕は、ここを抜け出さなければならない。警備が王宮に集まっている今、王宮の警備を潜り抜けて旅に出るにはちょうどいいのだ。もしかしたら、外にも警備がいるかもしれないが、そこはいいように誤魔化そう。
僕は支給された物資を、同じく支給された、リュックにつめた。そして、ごった返している王室を後にした。
「くそ。もっと早く出るべきだったか………」
王室に護衛が集まっていると思ったが、さすが王宮というだけある。出る途中に多くの護衛とすれ違った。
すれ違ったものからは「どこへ行くのか」と質問されたが、「ただ、外の空気を吸いに行くだけだ。許可はもらった」と聞かれるごとに同じ言葉を繰り返した。
今更だが、転送されてきた人々だけではなく、この世界の人が話す言語も聞き取れるし、自身の話した言葉も相手が理解できることへの利便さを改めて実感した。さすがである異世界。
僕は裏口から出ようと、人が少なそうな道を千里眼で推測しながら、移動した。
このスキルは、見ようと思えば、壁や植物を貫通させて見通すことができて大変便利である。これが、スキルか。スキルさま様である。にわかに受け入れがたい仕組みだ。慣れるとかなり使い勝手が良さそうだ。すでにこれほど役に立っている。
悪用すれば大変だなあ。
自分を律しなければならない。まあ、それは後ほど考えよう。今はここを出ることに集中っと。
裏口に向かう途中、一つの古屋があった。王宮の煌びやかな雰囲気と打って変わり、簡素で古い倉である。鍵はかかっておらず今にも壊れそうなドアが半開きになっており、警備もいない。もしかしたら、旅に必要な物資を少し拝借できるかもしれない。
僕は倉に忍び込んだ。誰もいないし、ほとんど何もない。
蔵に置いてあるものは空の木箱が多く、木材や、何かわからない破片が無造作に置いてあり、大したものはなさそうだった。
「とりあえず、これだけ拝借させてもらうか。」
ボロボロの2メートルほどの布がいくつかあったので、一枚、もらおう。外套として使えるかもしれない。
すいません、戻ってきた時に戻しますので。
倉を出て、後ろを振り返る。外から見たらやっぱでっかいな、この城。
見たことない城の大きさし圧倒されつつ、王宮の裏口へと向かう。
最後の王宮の関係者だと思われる門番にも使いまわした言葉を述べて、城を出た。薫に会うためには絶対元の世界、地球に戻ろう。
「まずは、レベルを上げるか。」
荷物を背負い直した。
踏みしめた一歩には僕の決意の重さが込められていた気がする。
………「気がする」だけだが。
これは地球で死んだ俺が、大切な人にもう一度会うために、この世界で還る方法を探す物語。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
醜悪令息レオンの婚約
オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。
ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、
しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。
このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。
怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件
やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる