勘違い白豚令息、婚約者に振られ出奔。~一人じゃ生きられないから奴隷買ったら溺愛してくる。~

syarin

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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)

01: 異変

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キャイキャイと海鳥が騒ぐ声を聞きながら、俺の可愛い伴侶、ミューはぐったりとした顔で船窓の向こうの空を眺めていた。

「サミュ、大丈夫ですか?可哀想に…。いつも元気な貴方が風邪だなんて…。」

本当に、ずっと一緒にいて、病気らしきものなんて、初めてのダンジョンで急激にレベルアップした時に倒れた位だったのに……。

俺がそっと艶やかな白髪を撫でれば、熱っぽい顔でミューがへらりと笑う。

「スーロン、ごめんね…。今日、いっぱい遊ぶ予定だったのに……。」

結婚式も終わり、今度は新婚旅行だと諸国を廻り始めて数ヶ月、カジノもあると人気のリゾート島にもうすぐ着くというのに、体調を崩してしまったミューに俺は優しく微笑んで首を振った。

「別に、俺達は自由なんだから…元気になってから遊べば良いさ。」

まぁ、政務に関する報告やら何やら、自由と言える程自由では無いかもしれないが、だが、王とは思えない程自由なのは確かだ。うん。

そんな俺の心情を悟ったのか、ミューが少し苦笑交じりに、そうだね、と囁いた。

「サミュ、もう少しで島に着きますから、少し寝ましょう。」

キュルフェがそう言って、ミューの目蓋にキスをすれば、ミューは頷いて、数分も経たない内に寝入ってしまった。

「……何だか、ちょっと心配ですね…。」

キュルフェの言葉に、俺も静かに頷いた。

ーーーーー
ーーー



「なぁ、そりゃぁあんた、奥方は妊娠してんじゃないのけぇ??」

「「はっ!??妊娠???」」

甲板で海を眺めながらミューを心配していた俺達の話を聞いてたらしき武骨な船乗りの一言に、俺もキュルフェも驚きの声をあげた。

「だって、病気一つしたことねーよーな人が、特に無理もしてないのに風邪みたいな症状だろ??そんで、あんたら新婚なんだろ??たんまり、魔力を奥方の腹に注いでんだろ??………そりゃどーー考えたってオメデタだわなぁ、なぁ、オメーラ??」

船乗りの明け透けな物言いに面食らうが、周囲の船乗り達も同意を求められてウンウンと頷いている。

「……た、確かに……。そう言われれば…風邪をひく様な事もしてませんし、妊娠してもおかしくない程には注いでますよね…。」

キュルフェまで、うーーん…と考え込んでこんなことを呟く。

妊娠……。
俺はその言葉に愕然とした。喜びと興奮と、それを遥かに上回る責任感が体中を駆け回る。

妊娠と言っても、メスの様に腹から自然に産まれる訳じゃない俺達は、腹の中で混ざった魔力が核になった物を神殿で取り出して孕みの木の実に植え付けて肉体を得る。
そして、この世界に孕みの木というものが大まかに六種類あり、その六種類を挿し木なんかで増やして各地に神殿を作ってるのがそれぞれの宗教者だったり神官だったりなんだが……。

話すと色々ごちゃごちゃと長ーーくなるが、兎に角、ミューが宿した核はこの辺の神殿に……って訳にはいかない。

王族や高位貴族の為の神殿てのがハレムナィトにもヒルトゥームにもあって、出来るだけ早く其処で取り出して貰うのが望ましい。

「くそ……!こんな遠くまで来るなら、せめて妊娠しないように調整するべきだったのに……!」

自分の迂闊さを呪う俺に、キュルフェ肩を叩いて兄さん落ち着いて、と言う。

「家族計画を疎かにしてたのは私も同罪です。過ぎた事より、これからを考えねば、ですよ?」

「……確かに、そうだよな……。すまん、キュルフェ……。」

俺達はもう親になるんだから……。

俺はキュルフェに礼を言うと、大きく深呼吸して気合いを入れ直した。












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