【完結】転生悪役令嬢は婚約破棄を合図にヤンデレの嵐に見舞われる

syarin

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疲労困憊魔力枯渇、そして悪役令嬢はボロボロになる

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「マリア!大丈夫か!?此方だ!!早く来なさい!!」

「お父様!!お父様!!!」

私は転がるように走った。

嗚呼、パパ、パパ、パパ!パパ!!

金属のヒールが片方折れたピンヒールを一生懸命動かし、疲労が溜まってあちこちミシミシ言う体を必死に動かして、もう、止まる余力など残ってないので、飛び付いて抱き留めて貰おうと思った瞬間、言い様のない違和感に気付く。

なんだか肌が若々しい様な、

シワがコンシーラーで描いたみたいな、

頬の弛みとか顎のラインの皮膚がまるで作り物みたいな……。


「ぎひぃぃぃぃいぃぃぃぃぃ!!」

い、ぃぃぃ従兄弟のヘンリーだぁぁぁぁ!!

火事場の何とやらとなけなしの身体強化で何とかスピードを殺し、
キキキィ……ッ!とヘンリーギリギリの所で止まり、わたわたと踵を返す。

ちょっと、逃げ惑う白雪姫みたいな可愛い仕草になってしまった。

私を抱き締めようとしていた腕が空をきり、舌打ちしたのが聞こえるが、楽しそうに追ってくる。
映画シャ◯ニングみたいに狂気じみた笑みで追ってくるヘンリーに知らず涙がこみ上げてくる。

五歳年上の従兄弟ヘンリー、領地に帰る度遊んでくれて、優しくて楽しい事沢山教えてくれたヘンリー。

大好きだったのに、10歳のとき鬼ごっこしてたら屋敷の図書室から出れなくされ襲ってきたヘンリー。

必死に書架から書架へ逃げ込む私を楽しそうに追い詰めて、捕まえたらどうやって私にふしだらなことをするか、自分がどれ程私を愛しているか歌うように語っていたヘンリー。

不審に思った執事に助けられて以来、顔を合わせたことはなかったけれど、あの頃と何一つ変わってない。

愛を叫び、楽しそうに私を追い掛けてくる。
私は風刃を数発ヘンリーに放って走り続ける。
あの頃と違って、今の私には反撃する力がある。

でも、どのくらい逃げ続けているだろうか。
度重なる身体強化と風刃で魔力も枯渇してきたし、身体強化の副作用で身体中の筋肉が悲鳴をあげている。

皆、私を愛しているという。
愛していると言いながら、私を傷付けようとする。
私の自由や意思を奪って、閉じ込めて、手足をもいで、自分を見つめる以外出来ないようにしたいと。

そして今私は、大好きだった、私を愛していると言う人たちを攻撃し、逃げ回っている。

皆、大好きな人達だった。
趣味を語り、一緒にお茶を飲んで、笑いあった、楽しい思い出を共有した人達。

私の大好きな人達が、私に向かって攻撃命令を出し、ナイフを投げ、魔力弾を撃ち、斬りつけてくる。

私の大好きな人達が、互いに傷付けあっている。

私の大好きな人達が、誰かから私を助けてくれるのに、もう私は礼も言わず、眼も合わさず、なんなら攻撃して、その人からも逃げる。

武器を取り、大好きな人達を自分から叩き伏せていく。

本当にどうしてこうなったんだろう?

何が悪かったのかな?


こんなことになるなんて、やっぱり私がいけないんだ。



気がつけば、私は顔をぐしゃぐしゃにして泣きじゃくっていた。

泣きながら、
迫る人達をかわし、
吹っ飛ばし、
走っていた。


思い出が、バキバキと音を立てて壊れていく。
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