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幕を降ろす日、片眼鏡は舞台裏を思い出す。
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それからの私の行動は迅速だった。
『私、前世であなた達の事知ってるんだ。
貴方は絶対私の事を好きにならないから、あなたの隣が一番好き。
安心する。』
あの残酷な、胸の奥深くに刺さったままの言葉を反芻する。
あんなに心を粉々にした言葉さえも、今は煌めいていて。
絶対にマリアと添い遂げよう。幸せにしよう。その為には……。
思えばマリアは初心だった。
前世の記憶、とやらのせいだろうか。
早ければ15、6には男女共に子を成す事もままあるこの時世、親世代にはそれでも遅いと考える輩も少なくない時世、子供も8、9歳頃には大抵閨や伴侶の事に興味を示し色恋に目覚めるというのにマリアは何処か鈍い。
恋物語は好むようだが、それと自分が結び付いていない。
それなのに一方的に無遠慮に情欲を突き付けられるから、戸惑い、恐怖するのだろう。
マリアからしたら、まだ理解出来ないそれは怖くて見たくない物。だから、見ないようにして殻に閉じ籠り、そしてまた鈍くなっていく、……自分の感情にさえ。
ああ、せめて、マリアの容姿が男爵令嬢の様な素朴、可憐、といった言葉が似合う凡庸な容姿であったなら。
周囲も彼女の初心さ加減に気付けただろうに。
彼女の端正な顔立ちと白金髪紅眼、白くすらりとした肢体、何処もかしこも触ればふっくら柔らかいと確信させる肌感の、儚くも妖艶ささえ感じさせる容姿は年齢を忘れさせる。
それなのに、振り撒かれる笑顔はあどけなく、紡がれる優しい言葉と共に人の心を蕩けさせて。
麻薬の様にその快楽を貪り、病みつきになり、欲する心を抑えられなくなった頃、そんなつもりはなかったとばかりに怯え、絶望出来る程拒絶するでもなく、中途半端に距離を取られる。
翻弄し、弄ばれていると感じ、それでも憎みきれなくて、復讐するかのように攻撃的な求愛手段を取る。
自分もそうなる所だったと、愚か者どもに少し同情する。
男爵令嬢とマリアは魂を入れ換えるべきだ。
神とは意地悪なものだな。
そう思い、フッと笑みが零れる。
まぁ、彼女の事は私だけが理解していれば良い。
私は、彼女の安心の為に男爵令嬢に入れ込む素振りを見せ、その裏で彼女に執着する不届き者をつぶさに調べあげた。
潰せるものは潰し、潰せないものはその周囲の情勢を調べあげ、王位と引き換えに野心家の第1王子に協力を要請した。
諸手を挙げて歓迎してくれた第1王子と共に、各国の燻ってる奴等に支援を申し出た。
属国となるなら王位はくれてやろう、と。
そうやって、彼女の言っていた断罪イベントに向けて舞台を整えて行った。
途中、ラインハルトがマリアに恋心を抱きかけていたので、私がどんなことをしているか見せてやったら、あっさり諦めてくれた。
今世は金を恋人として生きるそうだ。
そんな君に素敵な出逢いがありますように。
タイソンもマリアと同じく初心だったが、念の為、父親に対するコンプレックスや戦場を駈る第1王子への憧れ、敬愛なんかを第1王子への恋心だとそそのかしておいた。
第1王子もタイソンを気に入ってるので、今後マリアを好くことはないだろう。
また、マリアに対しては、心苦しかったが少しずつ冷たく、何なら敵意すら装って接した。
私との友情というぬるま湯に浸かったままでは、いつまで経っても恋心など湧かないだろう。
頑張って大人になって貰わなければ。
全て整え、
卒業パーティーでマリアは婚約破棄されるというエサをばら蒔いて、愚か者どもをご招待する。
『私、前世であなた達の事知ってるんだ。
貴方は絶対私の事を好きにならないから、あなたの隣が一番好き。
安心する。』
あの残酷な、胸の奥深くに刺さったままの言葉を反芻する。
あんなに心を粉々にした言葉さえも、今は煌めいていて。
絶対にマリアと添い遂げよう。幸せにしよう。その為には……。
思えばマリアは初心だった。
前世の記憶、とやらのせいだろうか。
早ければ15、6には男女共に子を成す事もままあるこの時世、親世代にはそれでも遅いと考える輩も少なくない時世、子供も8、9歳頃には大抵閨や伴侶の事に興味を示し色恋に目覚めるというのにマリアは何処か鈍い。
恋物語は好むようだが、それと自分が結び付いていない。
それなのに一方的に無遠慮に情欲を突き付けられるから、戸惑い、恐怖するのだろう。
マリアからしたら、まだ理解出来ないそれは怖くて見たくない物。だから、見ないようにして殻に閉じ籠り、そしてまた鈍くなっていく、……自分の感情にさえ。
ああ、せめて、マリアの容姿が男爵令嬢の様な素朴、可憐、といった言葉が似合う凡庸な容姿であったなら。
周囲も彼女の初心さ加減に気付けただろうに。
彼女の端正な顔立ちと白金髪紅眼、白くすらりとした肢体、何処もかしこも触ればふっくら柔らかいと確信させる肌感の、儚くも妖艶ささえ感じさせる容姿は年齢を忘れさせる。
それなのに、振り撒かれる笑顔はあどけなく、紡がれる優しい言葉と共に人の心を蕩けさせて。
麻薬の様にその快楽を貪り、病みつきになり、欲する心を抑えられなくなった頃、そんなつもりはなかったとばかりに怯え、絶望出来る程拒絶するでもなく、中途半端に距離を取られる。
翻弄し、弄ばれていると感じ、それでも憎みきれなくて、復讐するかのように攻撃的な求愛手段を取る。
自分もそうなる所だったと、愚か者どもに少し同情する。
男爵令嬢とマリアは魂を入れ換えるべきだ。
神とは意地悪なものだな。
そう思い、フッと笑みが零れる。
まぁ、彼女の事は私だけが理解していれば良い。
私は、彼女の安心の為に男爵令嬢に入れ込む素振りを見せ、その裏で彼女に執着する不届き者をつぶさに調べあげた。
潰せるものは潰し、潰せないものはその周囲の情勢を調べあげ、王位と引き換えに野心家の第1王子に協力を要請した。
諸手を挙げて歓迎してくれた第1王子と共に、各国の燻ってる奴等に支援を申し出た。
属国となるなら王位はくれてやろう、と。
そうやって、彼女の言っていた断罪イベントに向けて舞台を整えて行った。
途中、ラインハルトがマリアに恋心を抱きかけていたので、私がどんなことをしているか見せてやったら、あっさり諦めてくれた。
今世は金を恋人として生きるそうだ。
そんな君に素敵な出逢いがありますように。
タイソンもマリアと同じく初心だったが、念の為、父親に対するコンプレックスや戦場を駈る第1王子への憧れ、敬愛なんかを第1王子への恋心だとそそのかしておいた。
第1王子もタイソンを気に入ってるので、今後マリアを好くことはないだろう。
また、マリアに対しては、心苦しかったが少しずつ冷たく、何なら敵意すら装って接した。
私との友情というぬるま湯に浸かったままでは、いつまで経っても恋心など湧かないだろう。
頑張って大人になって貰わなければ。
全て整え、
卒業パーティーでマリアは婚約破棄されるというエサをばら蒔いて、愚か者どもをご招待する。
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