【完結】転生悪役令嬢は婚約破棄を合図にヤンデレの嵐に見舞われる

syarin

文字の大きさ
10 / 11

幕を降ろす日、片眼鏡は舞台裏を思い出す。

しおりを挟む
それからの私の行動は迅速だった。

『私、前世であなた達の事知ってるんだ。
貴方は絶対私の事を好きにならないから、あなたの隣が一番好き。
安心する。』

あの残酷な、胸の奥深くに刺さったままの言葉を反芻する。
あんなに心を粉々にした言葉さえも、今は煌めいていて。

絶対にマリアと添い遂げよう。幸せにしよう。その為には……。

思えばマリアは初心だった。

前世の記憶、とやらのせいだろうか。
早ければ15、6には男女共に子を成す事もままあるこの時世、親世代にはそれでも遅いと考える輩も少なくない時世、子供も8、9歳頃には大抵閨や伴侶の事に興味を示し色恋に目覚めるというのにマリアは何処か鈍い。
恋物語は好むようだが、それと自分が結び付いていない。

それなのに一方的に無遠慮に情欲を突き付けられるから、戸惑い、恐怖するのだろう。

マリアからしたら、まだ理解出来ないそれは怖くて見たくない物。だから、見ないようにして殻に閉じ籠り、そしてまた鈍くなっていく、……自分の感情にさえ。

ああ、せめて、マリアの容姿が男爵令嬢の様な素朴、可憐、といった言葉が似合う凡庸な容姿であったなら。
周囲も彼女の初心さ加減に気付けただろうに。

彼女の端正な顔立ちと白金髪紅眼、白くすらりとした肢体、何処もかしこも触ればふっくら柔らかいと確信させる肌感の、儚くも妖艶ささえ感じさせる容姿は年齢を忘れさせる。

それなのに、振り撒かれる笑顔はあどけなく、紡がれる優しい言葉と共に人の心を蕩けさせて。

麻薬の様にその快楽を貪り、病みつきになり、欲する心を抑えられなくなった頃、そんなつもりはなかったとばかりに怯え、絶望出来る程拒絶するでもなく、中途半端に距離を取られる。
翻弄し、弄ばれていると感じ、それでも憎みきれなくて、復讐するかのように攻撃的な求愛手段を取る。

自分もそうなる所だったと、愚か者どもに少し同情する。

男爵令嬢とマリアは魂を入れ換えるべきだ。

神とは意地悪なものだな。

そう思い、フッと笑みが零れる。




まぁ、彼女の事は私だけが理解していれば良い。

私は、彼女の安心の為に男爵令嬢に入れ込む素振りを見せ、その裏で彼女に執着する不届き者をつぶさに調べあげた。

潰せるものは潰し、潰せないものはその周囲の情勢を調べあげ、王位と引き換えに野心家の第1王子に協力を要請した。

諸手を挙げて歓迎してくれた第1王子と共に、各国の燻ってる奴等に支援を申し出た。
属国となるなら王位はくれてやろう、と。

そうやって、彼女の言っていた断罪イベントに向けて舞台を整えて行った。

途中、ラインハルトがマリアに恋心を抱きかけていたので、私がどんなことをしているか見せてやったら、あっさり諦めてくれた。
今世は金を恋人として生きるそうだ。
そんな君に素敵な出逢いがありますように。

タイソンもマリアと同じく初心だったが、念の為、父親に対するコンプレックスや戦場を駈る第1王子への憧れ、敬愛なんかを第1王子への恋心だとそそのかしておいた。

第1王子もタイソンを気に入ってるので、今後マリアを好くことはないだろう。



また、マリアに対しては、心苦しかったが少しずつ冷たく、何なら敵意すら装って接した。

私との友情というぬるま湯に浸かったままでは、いつまで経っても恋心など湧かないだろう。

頑張って大人になって貰わなければ。



全て整え、
卒業パーティーでマリアは婚約破棄されるというエサをばら蒔いて、愚か者どもをご招待する。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!

naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。 そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。 シオンの受難は続く。 ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。 あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

処理中です...