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豊穣祝祭期間

269: ヤンキーと護衛の暫しの平穏と2人の房飾り。

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「おや。」

「ん。」

フェローを校舎の屋上に待たせて、人気の出店を片っ端から
買い漁っていると、同じく色々買い漁ってるデクスターと鉢合わせた。
どうやら、彼もこの虹色の飲み物の列に並ぶ様だ。
何となく親近感を感じるヤツなので、適当に雑談しながら並ぶ。

それにしても、房飾りはやっぱり目を惹くもんだな。

綺羅綺羅と光の粒を撒く房飾りを眺める。

「矢張、人の房飾りって、つい眺めてしまいますね…。」

デクスターの声に我に返る。

「あ、すまない。綺羅綺羅してるせいか、つい目が行ってしまって…。」

見詰めすぎたか、と思ったが、デクスターはいやいや、と手を振って笑った。

「今のは俺が君のを眺めてしまってて言ったんです。
 でも、お互い様でしたね。
 ……後、煌めき度は君の方が上ですよ。」

サンストーンのがセンス良いとか思っていそうだな……。
だが、サンストーンは職人が作ったヤツとデザインを対にしたからな。フェローは1から自分デザインだし。

「確かに。俺のが派手ですね。コレ、彼女の派手好きな面が
 良く出てて、気に入ってるんですよ。
 作り手の性格出ますよね……。」

何て話ながら周りを見ると、結構房飾りを着けた令息と房飾りの耳飾りや髪飾りを着けた令嬢が多く、
やっぱり作り手の性格が出てる、とか、
令嬢も房飾りを着けるのが流行になりつつあるみたいですね、
なんて話ながら並んでいた。

「おっと、後方に……。」

デクスターの言葉にチラリと後ろを見れば、何組か後ろにパライヴァとヒロイン嬢御一行様がいた。

「あいつらは房飾り着けてないな……。」

俺の一言に、デクスターがクククッと笑ったので、
俺もつられて笑う。気がつけば、2人とも房飾りを弄っていた。
何だかな、妙に親近感を感じるヤツだ。

虹色の飲み物を買って、マジックボックスに入れ、ついでだからと、デクスターのも入れる。氷も溶けると味わい変わってくるしな。

と、スマートブレスレットに通信が着ていた。

くそ、何時送ったんだろう?パライヴァの纏う結界のせいで、通信が妨げられてたかもしれない。
何か追加で欲しいものだろうか?と思って開き、俺は固まった。



『たすけ』



「………は?」


「…どうかしましたk…うおっ!??」

「うわっ!!?」

メッセージの意味を考える間も無く、俺とデクスターの房飾りがグイーー!と全く同じ方向に引っ張られ、赤く明滅した。

パサリ、と房飾りがいつものように垂れた瞬間、俺達は走り出していた。

頭の中で警鐘が鳴り響く。


フェロー!無事でいてくれ!!


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