とにかく、カラダでなんとかする!

suima

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なんでだよぉ

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「ねぇお兄さん、遊んでいかない?」

 そう声をかけながらショウの腕にからみついてきたのは、露出度の高い服を着た男だった。少年のように見えるが、しなだれかかるその様子は妙に艶めかしい。

「お兄さんなら、優しそうだからサービスしちゃうよ」

 本当なら今すぐその手を振り払って逃げ出したい気分だったが、そういうわけにはいかないのだ。ショウは勇気を振り絞って口を開いた。


 
◇   ◇   ◇



 ショウは大学生だ。
 まだ入学したばかりで、これから学業もバイトもがんばるぞ!と意気込んでいた矢先……
 異世界に召喚された。

 でも、ショウはその世界での「主人公」ではなかったようだ。召喚されたのは複数人。世界を救う勇者一行だそうだが、ショウはそれには含まれないようだった。
 黒髪は不吉だと罵られ、小柄で細身の体型はとても勇者とは言えないと嘲りの声を投げつけられた。

「異世界召喚なんて日本のラノベの定番なのに、黒髪がだめなんて、なんでだよぉ」

 勇者と認められた人達を見てみれば、ブルーやピンクの髪だしめちゃくちゃスタイルも良い。いかにも物語の主人公っていう見た目をしている。
 完全に違う作品に来てしまったとしか言いようがなかった。

 召喚の儀式をした神官達は対応に困っているようだったが、一応はこの世界の状況や召喚に至るまでのあらましは説明してくれた。あまりにもベタな話すぎてまったく面白くなかったし、元の世界に戻る方法が無いと言われたのは最悪だった。
 とりあえず教会みたいな所で食事や部屋を用意してくれたので少し安心していたのに、数日経った時、ショウは世話係に暴行したという濡れ衣を着せられて追い出されてしまった。

 ラノベにあるようなチート能力は持ち合わせていないみたいだし、何を頼りにして生きていけばいいのかもわからない。

「くそっ、勝手に召喚したくせにっ……!」

 途方に暮れて街を彷徨っているうちにだんだんと腹が立ってきた。ここでショウが野垂れ死にしても誰も気にしない。
 呼び出した奴らにとっては逆にお荷物がなくなって清々するだけだろう。そんなの悔しすぎる。

 とにかく、何がなんでも生きのびてやる事を決意した。

 まずは食事と寝床を確保するために住み込みで働けそうな飲食店や宿屋を探してみたが、黒髪は相当不吉だと思われているようで話しかけるだけで嫌がられた。
 親切な店主とか、そういうのは都合よくは現れてくれなかった。
 迷える者を助けてくれそうな教会は勇者召喚の関係者だから頼りにならない。

 細身で小柄、インドア派のショウは体力に自信が無いのでガテン系の仕事や、ましてや冒険者なんて出来そうもない。

 以前バイト探しをしていた時に時給が高い職種のことを思い出した。きっとこの世界にもそういう店はあるはずだ。男だから、実際にどんな仕事があるのかよくわからないけど。

 (何もかも無くして、もうヤケクソだ!とにかく、カラダだけで、なんとかしてやる!)

 こうして、意を決して歓楽街を訪れたのだった。


 
◇   ◇   ◇


 
「えっと、いくらするの?その、一晩付き合ってもらうの」

 そうショウが尋ねると、少年のような華奢な身体をぐいっと押し付けながら男が答えた。

「え?一晩相手してくれるの?やった!それならね……」

 娼婦よりも男娼の方が少ないため少し高く、だいたいは1~2時間。一晩相手をする場合は倍近い代金になるらしい。

「結構稼ぐんだな。そりゃそうか、身体はってるんだもんな」
「儲けがまるまる自分に入るわけないじゃん。ボスに納めないと部屋も縄張りも使えないもん。っていうか、なに、アンタ冷やかし?」

 怪訝な顔をしてショウに押し付けていた身体を離す。

「いや、ごめん、そうじゃないんだ。いや、遊びに来たわけではないのは本当なんだけど……。その、俺もその仕事したくて。どうしたらいいか教えてもらえないかな?」
「はぁ?同業者かよ。チッ」

 商売敵と知り、あからさまに嫌そうな顔をされたが、そこをなんとかとしつこく頼み込むと渋々とボスの所に連れて行ってくれることになった。

「黒髪って珍しいし、身体つきや顔が幼いのもウケそうだし。しかも未経験ならそういうの好きな客いるし。上手いこと行けたら紹介料も貰えるから、まあいいよ」

 そう言った彼の予想通り、ボスは早速初物好きの得意客に連絡を取り、ショウは初めての夜の仕事をすることになったのだった。
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