【本編完結済】白豚令嬢ですが隣国で幸せに暮らしたいと思います

忠野雪仁

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第三章

サクラの木の下で

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濃厚な食事会も終わり精神的に疲れた私は
ジーク様と一緒に帰る事にして園舎を出て馬車が待っている門へと向かった。

『リーナ、来たわよ』

リアルちゃんのその声に思い当たる事が無い。
これ以上、何が来るというのだろう。

空から淡く発光している様な羽根が舞い降りてきた。
これは、兄エル登場確定演出だ。

「お兄様!?」
「リーナ、入園おめでとう」
「ありがとうございます、お忙しいのでは?」
「王女の相手を含めて、シドに頼んで来たから平気さ」

あまりシドさんが忙しいとサクラさんがお怒りになるパターンね

「ちなみに、シドには振替の休日と海が見える別荘を予約しておいたから、
サクラ嬢もニコニコだったよ」
「流石お兄様です」

「お久しぶりですアーク卿、今日はリーナ令嬢のお祝いに?」
「久しぶりだねジーク卿、本当はゆっくりリーナを祝ってあげたいんだが時間が取れなくてね。
せめて記念にと魔道写真機を持って来たんだ」
「魔道写真機ですか?」
「簡単に説明すると、風景や人物を瞬間的に絵に残す、君も一枚どうだい?」
「三枚は欲しいです」
「まだ実験段階でね、五枚が限度なんだ、私が二枚、君が二枚、全体で一枚でどうかな?
絵自体の複写はできるから全体写真は後で皆に送るよ」
「ありがとうございます、それでお願いします」

お兄様とツーショット、ジーク様とツーショット、
全体写真は、学園を背景にするか、サクラの木を背景にするかで少しばかりもめたけど
サクラの木の下で撮ることに決まった。

写真の撮影が終わると後で送るよと言って、お兄様は早々に帰ってしまった。
いい思い出をありがとう、お兄様。
私は本当に家族に恵まれている。

のだけど、振り返ると園舎の窓から多くの女生徒がお兄様に見とれていた。
ピンクちゃんは、いなさそうなのがせめてもの救いだった。

あれね明日学園に来たら、妬みで机に悪口が書いてあるか、
とうしゅーずに画鋲が入っているパターンね。

私は、馬車から街並みをボーッと見ながら、ハインデルク邸に帰っていった。
「リーナ疲れたかい?」
「少しだけ疲れましたが平気です」
「帰ってからお祝いもあるだろうから、少し休むといい」

ジーク様はそう言うと、私をもたれさせてくれた。
すぐにウトウトしてしまった、思ったより疲れてたのだと思う。

「少しゆっくりで」
ジーク様の言葉に従い、馬車はユックリと少しばかり遠回りをして公爵邸に向かった。

「ついたよリーナ起きられるかい?」
「はい平気です、ありがとうございます」

ジーク様の優しい声で私は目を覚ました、いつの間にか寝ていたらしい。
ヨダレとかたれてないかしら、平気そうね。
揺られながら寝るとスッキリするのよね、
でも不眠はお肌の大敵だからほどほどにしよう。

公爵邸につくとお母様が出迎えてくれた。
写真機の事は黙っておこう、お母様とお兄様が喧嘩したら国が滅ぶわ。
そんな心配をよそに、お兄様は魔道写真機をお母様にも渡していたらしい。
お母様とも制服で写真を撮った。

その夜の夕食は物凄い豪華だった、手もつけて無いで食べきれないお料理は、
ジーク様に内緒でスノー様にお願いして貰ったので格納スキルに入れておいた。
公の場では控えるけど家族同士なら平気でしょ。
食べ物は大事に食べないとね。


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