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第三章

皇子来襲

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一時限目の途中、学園長に連れられて皇子がクラスにやって来た。
この国でも最高の教育機関で最高のクラスの中には、
頭に羊を載せた女子と子ぎつねを乗せた女子が目に入ったので少し驚いていた。
目立つつもりは、全く無かったので正直失敗したけど、
ピンク頭に白のシープちゃんを乗せているほうが目立つはず。

「このクラスに聖女がいると聞いたのだが」
「はい、はい私です、私がこの国の聖女です」

皇子の呼びかけに、ピンクちゃんが答えた。

ナイス、ピンクちゃん、チョットだけ好きになれた。
だけど皇子はピンクちゃんのアピールを無視して、
後ろに立っているお供の女性と何やら話をして私の方に近付いて来た。

「このクラスには、二人聖女がいると聞いているのだけど、
もう一人は君で間違いないか」

射抜くような瞳でそう聞かれた。
今まで王族といえば、ネタキャラしか会ったことがないので油断していたけど、
至極まともな皇子らしい。

「はい、この国には留学で来ておりますが、ウィンザー王国の聖女クラウド公爵家の長女リーナです」
「そうか、聞いていると思うが私は、帝国の第二皇子シュタイナーだ」
「はい、お噂はかねがね聞いております」

「聞いているのであれば細かい説明は省くが、
通例であれば、この国の問題はこの国の人間で対応するべきである。
だが今回は大陸中の教会にこの世界の危機が迫っていると言う神託が降りた。
特例で帝国の勇者の私が選ばれた。
大陸条約に基づく勇者権限として、勇者パーティは勇者が選べる。
勿論、この国の聖女を蔑ろにするつもりはないが、
この世界の危機となれば、私も最高のパーティで望みたいし、その権限もある」

「一回彼女とパーティを組んで見るが、
結果次第では君に声をかけるかもしれない」
「......はい」

「しかし、噂は当てにならないな、我が帝国の諜報部も根底から見直さなければいけないかもな」
「?」
「君は美しい、私があって来たどの女性よりも」
「ありがとうございます、ハインデルク公爵家の嫡男ジーク様の嫁入りは決まっておりますが、
お褒め頂いた事は、この上もない幸せと思います」

グイグイ来る、グイグイ来るよ。

「シュタイナー様、私爵位は低いですけど、
そんな女より聖女の実力はうえです」

皇子と公爵家の話しに割って入れるピンクちゃん。
不味い、今日一日で私の中のピンクちゃんの株が爆上がり。
そんな女呼ばわりも許せるわ。

「そうか時間も惜しい、これから迷宮攻略にいくので、
宜しく頼む」
「ハイ!」
そう言うなり、皇子達一行はピンクちゃんを伴って教室から出ていった。

かりにも聖女、かりにもヒロイン。
きっと大丈夫、大丈夫だといいな......
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