脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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聖水効果。

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 深夜にも集うは冒険者たち。彼らも攻略に勤しんでいるのです。

「――で。今回の目的は宝箱の回収か? 回収なのか?」

 開始地点での話し合いです。シルヴァン殿は前のめりですわね。

「ええ、そちらも目的ではあります」
「それな……でもな。俺は他にも気になることもある」

――このダンジョン自体だ、とシルヴァン殿はそう仰ったのです。

「……ええ」

 これもまた同感ですわ。体調不良続出ときてますもの。体調が芳しくなかったヒューゴ殿やシルヴァン殿もですが、殿下にいたっては精神にまで影響を及ぼしていましたわ。

 それにアンデッドタイプの魔物たち。彼らに対しては復活するものだと、そういうものだと思うしかないのでしょうか――。

 突如、真夜中に響き渡るは鈴の音。聞き覚えがある音ですわ? 

「あ!」

 私は一人手を叩きました。いえ、イヴもですわね。失礼、時間差はあれど私たちは共に手をたたきました。

「いらんかねー?」
「『聖水』いらんかねー?」

 合点! ビンゴでしてよ! 双子のユニゾンする声、彼らは以前『アミュレット』を売ってくださった方々ですわね。またお会いできるとは。

「お、双子じゃんか」

 シルヴァン殿は御存知だったようです。『あいつら時々便利アイテム売ってくれる』と。ぼったくられるとも顔を顰めてますわね。そこは……ええ。

「……うん、買いましょう! すみませーん!」

 イヴは有用だと思ったようで、彼らを呼び止めていました。シルヴァン殿も仕方ない、と続いていきます。そうですわね、私も。
 私たちは思い至ったのです。だって、聖水ですわよ? 従姉の早口で聞きかじった程度ですけれど、効きそうですもの。大枚もはたいてみせましょう! 

「まいどありー」
「まいどありー、お気をつけて―」

 後腐れがないようにと、私たちは各々で料金を払いました。それから各自の武器にふりかけていきます。不思議なこと、武器が煌々と輝いていましてよ。

「――そう、ですか。アミュレットは売ってないと」
「?」

 私が武器に見惚れている間に、イヴは何やら尋ねていたようです。私の視線に気がついた彼は何事もなかったかのように笑っていました。




 ダンジョンを進む中、魔物の襲撃も受けます。それでも聖水の効果があってか、一度絶った彼らが復活することはなくなりました。

「……」

 彼らは魔物。人に近しい見た目だから、だからなのでしょうか。こうもやりきれない思いになるのは。

「……いけませんわね」

 今は感傷に浸っている場合ではありません。するとしても、もっと後です。

「お、茶色発見!」

 目ざといシルヴァン殿が積極的に宝箱を回収し。

「……ようやくですわね」

 奥深くまでいってようやく目にした虹色のもの、相変わらず取りづらいところにありますこと。

「はっ」

 高所にあるそれを勢いつけてジャンプしてゲット、ですわよっ。っと、私は華麗に着地。私の手元で輝いているは――レア宝箱。これもまたようやくですわね。

「……なんだかなぁ、見覚えある配置なんだよな」
「僕もそう思った」

 シルヴァン殿は罠を張りつつも、周りを観察していました。イヴもそうであると。見覚えのある配置ですか……。

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