脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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帰還不可……!?

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 洞窟に踏み入れて、即――察知するは異変。

「……何これ」

 いち早く動いたオスカー殿、彼は両手をかざしたのです。
 彼の血がなせる技、加護の力でしょう。私たちは白い光によって、守られることになったのです。

「感謝いたします、オスカー殿」
「ううん……それと、言っとく。これ、出しっぱにしておくから」
「ええ、それは有難きこと――」

 私は感謝の意を示したところで、気づいたのです。常時、護りの力を発現させる必要があるのだと。

「……なんてこと」

 白い光の先に見えるのは、淀んだ気。瘴気が漂っているではありませんか。そんな……これまでの洞窟タイプでこのようなことなど……。

「なんて……」

 私が選んだルート。そのことによって、このような事態になっていたのは確かなことで……。

「アリアンヌ様、責任を感じないでください」
「……イヴ?」 

 重く受け止めていた私に対し、イヴはそう話しかけてきたのです。

「異常事態なんだ、きっと。僕にだって予想できなかったし」

 イヴだけでなく、お三方も頷いていました。ええ、確かにいつもと勝手が違ってはいますが……。

「それといざって時の為に、帰還スキルの準備をしていたのだけど」

 それだけでないと、イヴも訝しんでいました。ええ、異様な事態ではありますわね。

「なんか……使えないみたい。それに――」

 イヴに促されるように、私たちは後ろを振り返ったのです。

「なっ!」

 な、なんということでしょう。洞窟の入口も崩れた石によって塞がれているではありませんか! 

「ななっ!?」 

 そ、それだけではなく。怪しき気配、目の前を浮遊するのは……魔物? 

「……なんだよ、あれ」
「……ねえ?」 

 ダンジョンに通い慣れているシルヴァン殿、それにオスカー殿も。私とてそうです。見慣れない存在が浮遊しているのですから――外套をまとった奇妙な存在が。

「……」

 魔物……いえ、ダンジョンの住人? 私は――記憶にありました。
 ええ、そうです。廃墟のダンジョンの秘められた部屋に訪れたことがありました。その時の人形によく似ていたのです。イヴも顎に手をあててますわ。彼も書にて覚えがあるのでしょう。

 とにかく、戦う意思があるのか。こちらに危害を――。

「!」

 彼らが噴出するのは――紫色の毒々しいガス。オスカー殿は護りの力を強めていて。それだけではない。一体だったのが、仲間でも呼んだのか。集った彼らがこちらに襲いかかってくる。

「……野放しにはしておけませんわね」

 イヴたちはああ言ってはくれていても。責任……感じますもの。私は率先として武器を構えます。

「はい。僕もお傍にいますから」
「私もさすがに空気を読みます。採取は落ち着いた時にこそ」
「こいつらをどうにかしないと、だな」

 イヴにヒューゴ殿、シルヴァン殿も。

「ごめん、俺、こっちに専念しなきゃだけど……無理だけしないで!」

 オスカー殿もそうです。皆様……。

 退路は塞がれたのです。ならば今は進んでいきましょう……! 


 私たちは得体の知れない相手を斬り伏せていき、どんどん奥へ。
 無限とも感じられる道。尽きることのない敵たち。
 気力も体力も消耗しているけれど、逃げ道もない。

 ひたすら、奥へ奥へと――。
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