【完結】ヒールで救った獣人ショタがマッチョに進化!? 癒しが招く筋肉のカタチ

たもゆ

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番外編

おい、番外編とか始めるな!①

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 ……ああ、うん。
 俺、たぶん――すっごく悪い夢を見てたんだ。
 そうだ、夢だ。夢に決まってる。

 だっておかしいだろ!?
 家に帰ったら、癒しのチビーズが全員マッチョになってるとか!!
 なにその筋肉祭り!? どこのギャグ世界!? それ食べられるの!? てか俺死ぬの!?
 いや、死ぬ! 物理的にも精神的にも肉体的にも死ぬッッ!!

 カムバーーーック!!
 俺のショタハーレムうううぅぅぅッ!!!

 「……ゔゔ……」
 「……なんかユーマ、すっごいうなされてない?」
 「すごい汗だな……」
 「ご主人様!? 大丈夫ですかっ!?」

 誰かに肩を揺さぶられた。
 ハッとして目を開けると、アヴィの整った顔がすぐ目の前にあった。真剣な眼差しが、まっすぐ俺を覗き込んでいる。

 「……アヴィ?」
 「はい。大丈夫ですか? ひどくうなされていましたよ」

 低い声に意識が引き戻される。
 ふと横を見ると、ベッドの縁に腰かけたガウルが腕を組み、視線だけこちらに向けていた。

 「変な夢でも見たのか?」
 「……夢……?」

 ――もしかして、あれ全部、夢だったのか……?

 「ユーマ、可哀想……。オレがぎゅ~ってして慰めてあげるね♡」

 にっこり笑ったクーが、鋼鉄の勢いで覆いかぶさってきた。
 そのまま有無を言わせず、抱きしめという名の締め上げ。

 「ぐえッ! クー! ギブ! ギブ!! 中身が出るって!!」

 必死に暴れる俺を、クーは全く離す気がない。
 その腕力、どこから湧いてんだよ……!

 「うん♡ 元気になったね♡」
 「なってねぇわ……ッ!!」

 その時だった。
 
 ――ドンッ!!
 
 寝室のドアが爆音とともに弾け飛ぶ。

 「ユーマの兄貴ぃ!! 朝メシの支度ができやしたぜぃ!!」

 仁王立ちで現れたのは――ついこの前まで、もふもふ可愛い系だった獣人ちびショタ。
 だが今や、見事な筋肉を備えたガチムチマッチョに進化していた。しかも、なぜか裸エプロン。

 ……誰だお前。いや、誰だお前ぇぇぇぇ!?!?
 ここはガチムチメイドカフェか!?

 脳裏に悪夢がフラッシュバックする。
 もしかしなくても――

 (やっぱり夢じゃなかったーーーーーーッ!!!)

 俺の悲鳴が脳内にこだました。

 「おいチビ! なんで裸にエプロンなんだよ!?」
 「着れる服がねぇんでさぁ!」

 その一言に、俺は愕然とした。
 ――そうだ。リィノ、リーヤ、ライト、そして元チビたち……。
 進化した奴ら、全員サイズが変わってるんだった。

 服も、食費も、五倍増。
 想像した瞬間、軽く目眩がした。
 (……グローデン国王のお古でいいから、譲ってもらえないかな? たぶん、いや、きっとサイズぴったりだろ……?)
 もはや冷や汗と乾いた笑いしか出ない俺の横で、アヴィが小さく舌打ちする。
 その琥珀の瞳が、元チビを鋭く見据えた。

 「……僕たちの寝室は、立ち入り禁止だと言いましたよね?」

 低く冷えた声が、静まり返った空気に落ちた。

 「……ああ、こりゃ気が利かなくてすみませんねぇ、アヴィの旦那」
 しかし、元チビも負けじと応戦する。
 「――でも、部屋には入ってやせんぜ? 扉を開けただけっすわ」
 肩をすくめ、挑発めいた笑みを浮かべるその姿に、アヴィの眉がぴくりと動いた。

 ――ヤバい、このままだと世紀末のゴングが鳴る!
 魔改造ベッドが、そのまま筋肉バトル選手権のリングになる……!!
 下手したら家ごと核融合で吹き飛ぶ!!

 「……おい。やるなら外でやれ」
 眉間に皺を寄せたガウルが低く唸り、割って入る。
 「へいへい。じゃ、旦那、食堂で待ってやすぜ」
 元チビはフッと笑い、肩をすくめて踵を返した。
 
 「ユーマ、お腹空いたでしょ? 一緒にごはん食べに行こ♡」
 クーが両手でぐいっと俺の腕を掴むと、ヒョイッと赤子のように軽々抱きかかえた。
 「いや、待っ、頭ボサボサだし、顔も洗ってないし、パジャマだし、トイレだって行きたいんですけどーーー!?」
 「わかった。じゃあオレが髪を梳かして、顔も洗って、お着替えも手伝って、トイレまで付き添ってあげるね♡」
 
 「いや、介護だろ、それーーー!?」

 「……クーさん。ご主人様独占禁止法違反です」
 アヴィの真顔ツッコミに、クーはニヤリと笑う。

 「じゃあ、みんなで行こ♡」
 
 (待て、待て待て待て。筋肉でぎゅうぎゅうに押しつぶされながら洗面所で身支度とか、どんな罰ゲームだよ!?)

 だが、俺の抵抗など――押し寄せる筋肉の津波の前では無力だった。
 気づけば洗面所に押し込まれ、ガウルには髪を梳かされ、アヴィにはタオルで顔を拭かれ、クーには身ぐるみを剥がされる始末。

 いや、それで済むならまだマシだ。
 十中八九、あいつらは「それだけで済ませる」つもりなどない。
 どさくさに紛れ、ガウルは髪に鼻を埋めて執拗に匂いを嗅ぎ、クーは脱がせながら「味見♡」と称して首筋を舐め、アヴィに至っては顔だけでなく「汗かいてますね」と言いながら、しれっと体まで丁寧にタオルで拭き始めた。
 しかも、指先がやたらと肌を熱く掠める。

 ……朝から逆ハー18禁乙女ゲーのヒロインフルコースを味わわされ、もはや魂の半分が抜けかけている俺であった。
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