【完結】ヒールで救った獣人ショタがマッチョに進化!? 癒しが招く筋肉のカタチ

たもゆ

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番外編

赤髪の聖女⑩ ※R描写あり

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(※性的描写あり。苦手な方はご注意ください)




 ***

 俺の思考が追いつくより早く、アヴィの体が覆いかぶさってきた。
 柔らかなソファに仰向けになった俺の腰へ、容赦のない熱が落ちる。
 逃げ場なんて、最初から与える気がない。

 「……ご主人様」

 低く湿った声が耳元に落ちた瞬間、
 首筋の産毛が総立ちになる。
 コルセットを引き裂いたことで、アヴィの理性はすでに限界まで摩耗している。
 焦がれるような熱気と匂いが、呼吸するたび胸に満ちていく。

 「……ッ、アヴィ……!」

 混乱が頭を掻き乱すが、アヴィの手は止まらない。
 はだけた聖女服の襟元に指を滑り込ませ、
 残った布地を繊細に――けれど焦りを隠せない手つきで払い除けていく。

 「ちょ……待てって!」

 必死の抵抗も、アヴィの瞳には一滴も届かない。
 開ききった瞳孔の奥、琥珀の光はただ俺だけを捉え、
 逃げようとする仕草すら、独占欲を煽る燃料にしてしまう。

 緩んだ衣の隙間から覗いた鎖骨に、温かい舌が触れた。湿った感触に、思わず身体がびくりと跳ねる。

 「……っ、あ……!」

 その反応を逃さず、アヴィは深く息を吸い込んだ。
 喉の奥で、抑えきれない熱が低く唸る。

 さらに、アヴィの膝が俺の両脚の間に力強く割り込んでくる。
 鍛え抜かれた脚の重みと体格で押さえ込まれると、
 正直――ビクともしない。

 無意識に逃げようと腰を捻った瞬間、
 アヴィの腕が俺のウエストを捕らえ、剥き出しの肌を抱き寄せた。
 熱を帯びた呼吸が胸の上に落ちる。
 その強さは、まるで「もう離す気はありません」と告げているようだった。

 「……逃げないでください」

 その囁きは、祈りのように静かで――獣の熱を孕んでいた。次の瞬間、アヴィの唇が俺の口を強く塞ぐ。

 「んっ……!」

 声を上げる隙すら与えられず、熱い唇が深く沈み込んでくる。
 触れ合っただけのはずの口づけは、すぐに形を変えて、舌の奥まで奪い尽くす“支配”へと変貌した。

 甘いとか優しいとか、そんなものじゃない。
 息をするだけで、胸が苦しくなるほどの熱と力がぶつかってくる。

 舌が絡むたび、俺の頭の中に残っていた理性の欠片が、ひとつ、またひとつと白く溶け落ちていった。

 「……っ、アヴィ……っ」

 かろうじて漏れた声は、すぐにキスの中へ飲み込まれる。
 そして、腰に引っかかっていた聖女服の布地を、まるで邪魔な包装紙でも扱うかのように、器用に、だが容赦なく俺の体から剥ぎ取っていく。

 冷たい空気が、露わになった肌をなぞっていき、ゾクリと震えが走った。

 柔らかなソファの上で――
 偽りの聖女の衣装だけが次々と失われ、残された俺の“男の身体”が、アヴィの視線と熱にさらされる。

 その瞬間、
 アヴィの呼吸が明らかに深く、低く変わった。

 呼吸すら奪われるようなキスの狭間で、アヴィの指先が鎖骨を滑り、胸へと降りていく。その長い指が乳首に触れると、反射的に腰が跳ねた。

 「んぅ……ッ!」

 喘ぎを封じるように、アヴィの唇が深く押し当てられた。その口づけは、唾液を奪い合う湿った音を立てながら、嵐のように激しく俺を呑み込んでいく。

 「……っ、は……!」

 酸素が追いつかない。
 肺が悲鳴を上げても、アヴィは一切離れようとしない。
 呼吸が苦しくて、自然と身体が逃げようとする。けれど、心は嘘をつかない。
 俺も“愛している”を伝えるように。
 彼の気持ちに、必死に応えようとしていた。

 アヴィの騎士服のボタンに指先をかけ、ひとつずつ外していく。唇に絡む彼の舌を感じながら、裾から指を滑り込ませる。熱い素肌に触れ、体温を確かめるように撫でる指先の感触に、アヴィは一瞬くぐもった吐息を漏らした。

 「……ご主人様……っ」
 その囁きだけで、全身の血が沸き立つ。俺の体は、彼を求める感覚に震え、アヴィの舌の動きひとつで腰が浮きそうになった。
 互いの体が逃げ場なく絡み合い、触れられてもいないところまで熱くなっていくのが、自分でもわかってしまう。

 アヴィの左手が下腹へと滑り落ち、下衣を一気に引きずり下ろした。すでに硬くなった愚息が冷気に晒され、羞恥で顔が火照る。
 アヴィの長い垂れ耳が俺の太腿にひらりと触れた。
 ふわふわの柔らかい毛先が、太腿の内側をすり抜けるたび、くすぐったくて思わず身体がビクッと反応してしまう。
 アヴィは恍惚に満ちた瞳を離さず、焦らすように太腿にゆっくりと唇を這わせた。

 「……んっ……」 
 思わず小さな声を漏らすと、アヴィは微かに笑い、さらに熱を籠めて指先を滑らせてくる。

 「……待って、ソファ……汚れる、から」
 「大丈夫です」

 そう言って彼は俺の膝を抱え込み、ソファに固定した。抵抗の術を失った俺の下半身へ、アヴィの唇が滑り込む。

 「ひぁっ……!」
 彼の唇が俺の最も弱い部分を咥えた瞬間、全身に痺れるような快感が走る。喉の奥から洩れた声が情けなく響き渡った。

 喘ぎ声にすらなっていない吐息が唇の隙間から零れ落ちる。アヴィはその反応を見逃さず、さらに攻め立てるように舌で先端を執拗に愛撫し続けた。
 溢れる先走りすら、愛おしむように、舌で舐め取られ、俺は最早耐えられなくなっていた。

 熱い粘膜に包まれる感覚に、理性が崩壊していく。アヴィの唇が上下するたび、背筋を走る電流が思考を白く灼いた。

 「あ……んっ……アヴィ……」
 喉の奥が勝手に震えて、自分のとは思えないほどの甘い声が洩れる。アヴィの指先は根元を優しく握り、親指の腹で裏筋をなぞり上げた。舌先は鈴口を抉るように動き、湿った水音が耳孔を犯していく。

 「……っふ……あっ……!」
 腰が浮き上がるほどの愉悦に悶える。だが、ソファに縫い止められた両脚は微動だにせず、身体中の神経が一点に集中していた。高まる熱を、もはや抑えることはできなかった。

 「も……ヤバい……イクから……やめて……」
 涙混じりの声で訴えるも、アヴィの動きは止まらない。熱い舌と粘膜で全てを搾り取るように吸い付かれ、まるで食べられてるようだと、錯覚さえ起こしかけた――その瞬間、閃光が弾けた。

 「ひっ……あああッ!!」

 白濁が迸る。アヴィは俺の愚息を深く咥えたまま、それを喉奥で受け止め、飲み干していく。脈動が鎮まるまで舌で清められ、どうしようもない羞恥とほんの少しの安堵が押し寄せる。俺はただ肩で息を繰り返すしかなかった。

 「……んなもん飲むなよ……きたねぇだろ」
 辛うじてそんな悪態を、掠れた声で吐き出す。
 反射的に顔を覆おうとした腕は、アヴィの手にあっさり掴まれた。

 「汚くないです」
 アヴィの瞳は、まだ満たしきれない飢えを孕んだまま、俺の一挙一動を舐め尽くすように追ってくる。
 その奥で渦巻いているのは、理性じゃなくて――俺だけを求める欲だった。
 「どんなところも……。ここだって」

 囁きながら、アヴィの指が後孔をゆっくりとなぞる。
 触れられた途端、腰が震え、情けないほど大きく息が漏れた。

 「……ベッド、行きましょうか」

 耳元に落ちた熱い吐息が、背筋の奥までゾクリと震わせる。俺は抗えず、小さく頷いた。

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