時を超えた異邦人、伯爵令息の愛に囚われて

たもゆ

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#04 忠誠と服従

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 エイドリアンが司祭に深々と頭を下げて礼を述べると、司祭は祈るように両手を組み、静かな微笑みを浮かべて言った。
 「――神のご加護があらんことを」

 ​身支度を整え、施療院を後にする。
 ダンテと共に馬車へ乗り込むと、外から「ガチャン」と重い扉が閉まる音が響いた。車輪が石畳をきしませて動き出す。
 窓際に落ち着いたエイドリアンの瞳はすぐに外へと吸い寄せられた。石畳を踏む蹄の響き、行き交う人々のざわめき、陽光を受けて輝く家々の屋根――どれもが新鮮で、胸を高鳴らせる。初めて体験する馬車の揺れに身体はそわそわと落ち着かず、思わず手すりに触れたり、座席の上で小さく姿勢を変えたりするのだった。

 ――まさか、自分が十六世紀の車輪に揺られる日が来るなんて。
 
 昨日までは、未来に帰れぬ焦りに追い立てられ、迷子の子供のように景色を味わう余裕などなかった。だが今は、同じ街並みがまるで別物のように目に映り、胸を高鳴らせている。未来へ戻れぬ焦燥、失われた日常への渇望――あれほど胸を締めつけていた思いは、馬車の揺れと窓の外の光景に溶かされていく。木製の車輪の律動、そして時折、生乾きの革や香辛料の強いにおいが馬車の窓を通り過ぎる。見慣れぬ街の息づかいに包まれ、エイドリアンの心は知らず弾み、代わりに小さな期待と安堵が、静かに芽吹いていた。

 その様子を横目で見ていたダンテは、瞳にかすかな笑みを宿した。エイドリアンの胸の高鳴りや、まだ慣れないそわそわとした仕草が手に取るように伝わり、視線を離すことができない。

 「……楽しんでいるな」
 低く柔らかな声が耳に届く。
 「……はい、少し……」
 エイドリアンは顔を窓に向けたまま答える。
 「人々の営みも含めて、この街は、美しいですね」
 「……華やかに見えるだろうが、まだ清掃が行き届かぬ場所もある。異国の目には不思議に映るかもしれん」
 「……いえ」
 ダンテの穏やかな眼差しに包まれながら、エイドリアンは抑えきれない興奮を胸の奥で跳ね返らせていた。なぜだろう――この男の前では、焦りも恐れも薄らいでいく。寄る辺のない異郷にあって、彼の庇護が不思議と心に落ち着きをもたらすのかもしれない。

 それでも完全に不安が消えたわけではない。未来へ戻れないという現実は確かにある。だが、今は――この揺れ、この風景、この瞬間だけ――過去の苛立ちや絶望はほんの少し後ろに退き、未知の世界の魅力がそれを押しのけていた。

 ​ダンテは、エイドリアンの手から静かに視線を上げると、少しだけ身を乗り出した。馬車の振動が二人の身体を微かに揺らす。
 ​「慣れぬ異国での暮らしには、細かな作法や儀礼が必要だ。特に、我が家で君が私に仕えるならば」
 ダンテはそう前置きすると、他の誰にも聞かれないように、声をわずかに潜めた。
 「我が家では、新たな使用人は主、すなわち父上と母上の手に口づけを捧げる。それは、忠誠と服従の証だ」
​ エイドリアンの視線が、ダンテの指先に吸い寄せられた。母がイタリア人だった彼にとって、頬を寄せる挨拶のキスは馴染みのある所作だった。
 だが、“手の甲に唇を落とす”それは、敬意と親愛の狭間にある――あまりに親密な格式ばった行為だった。
  
 ​「……キス、ですか」
 ​戸惑いを隠せないエイドリアンに、ダンテはふっと柔らかく笑った。その微笑みには、儀礼を理解できない異国の青年に対する、優しさと、わずかな優越感が潜んでいた。
 ​「そうだ。君は異国人だから知らなくて当然だが、これはこの国では一般的な儀礼だ。心配するな。公の場での挨拶のようなものだ」
 ダンテは自分の右手を、手の甲を上にして静かに差し出した。
 「だが、初めての者はぎこちなくなるものだ。私の手で、練習しておくといい」
 ​エイドリアンの胸が、激しく跳ねた。練習という名目ではあっても、それは彼が貴族の手に口づけをするということを意味する。それは同時に、彼がこれからこの貴族の家に、正式に仕えるということを決定づける行為でもあった。
 
 「……わ、わかりました」
 エイドリアンは緊張で喉を鳴らし、そっと指先を伸ばす。触れれば壊れてしまいそうなガラス細工のような繊細な輝きを宿した、男らしい骨ばったダンテの手。
 ​彼は深呼吸をし、その手の甲に、極力熱を伝えないように、軽く唇を触れた。

 ​その触れ合いは、わずかな一瞬だった。しかし、エイドリアンにとっては、自身の運命が変わるほどの重みを伴っていた。
​ 「……それでいい」
 ダンテは満足そうに微笑み、手を引くと、そっとエイドリアンの顔を覗き込んだ。
 その瞳の奥に宿るのは、まだ形にならない熱――言葉にはならぬまま、静かに燃え始めたものだった。

 
​ ​馬車がアルノ川南岸の石畳を音もなく滑り抜け、丘陵の貴族邸前で静かに停まった。
 ダンテは慣れた手つきで扉を開き、軽く顎を動かしてエイドリアンを先に促す。
 御者台から跳び降りた従者は、主自ら新しい使用人のために扉を開けるという異例の光景に目を見張り、思わずその場で動きを止めた。
 エイドリアンは、その沈黙と従者の様子に僅かな困惑を覚えながらも、初めて足を踏み入れる貴族の邸宅への緊張と期待で、胸の奥を熱く躍らせた。

​ この伯爵家は、フィレンツェ共和国の時代から続く由緒を誇る旧家であり、街を見下ろす高台にその豪華な別邸ヴィラを構えていた。しかし、今や実権はフェデリコ公爵の支配下にあり、華やかな外観の奥に潜むのは、どこか息を潜めるような沈黙だった。
 
 重厚な木扉、磨き抜かれた大理石の床、壁を飾る油彩の肖像画――すべてが初めて見る光景でありながら、目に映すたびに威圧的で、同時に魅了される。
 その静寂と荘厳さに包まれ、エイドリアンは小さな鼓動の速さを自覚せずにはいられなかった。

 「では、案内しよう」
 ダンテの落ち着いた声に促され、エイドリアンは一歩ずつ廊下を進む。隅々まで清められた邸内に、緊張と好奇心が入り混じった視線を走らせながら。

 廊下の突き当たりで、長身の執事が静かに立っていた。
 「ダンテ様、到着のご報告を承ります」
 執事の視線に、エイドリアンは軽く頭を下げる。ダンテが小さく頷き、短く紹介する。
 「エイドリアン・ミズノだ。今日から私の手伝いをしてもらう」
 「初めまして、エイドリアン様」
 執事も礼儀正しく返す声に、エイドリアンは自然に背筋を伸ばした。

 邸宅の奥へ進むと、広間の向こうからゆったりとした足音が響いてきた。重厚な扉が開き、堂々たる体躯の男が姿を現す。
 白髪混じりの髪を後ろで束ね、鋭い眼差しを携えながらも、口元には余裕ある笑みが浮かんでいた。
 「……ダンテ。お前がアトリエ以外に顔を出すとは、珍しいことだな」
 低い声に、ダンテはわずかに眉を動かす。
 「父上。新しい使用人を連れてきただけです」
 「使用人?」
 その鋭い視線がすぐさまエイドリアンに向けられる。ぎこちない礼を受け止めると、男は喉の奥で小さく笑った。
 「ああ、君か。……なるほど。まさかもう連れて帰ってくるとは思わなかった」
 茶化すような口ぶりに、エイドリアンは返答に迷って目を瞬かせる。
 一方でダンテが短く問う。
 「……顔を合わせたことが?」
 「いや。昨日、司祭と話をした時に、施療院で掃除をしていた彼を、少し遠目に見ただけだ」
 
 エイドリアンはここで、馬車の中でダンテに教えられた“家の儀礼”を思い出した。それは、忠誠の誓いを示す行為。彼は背筋を伸ばし、一歩前に進み出た。 
 ​「エイドリアン・ミズノと申します。今日からお仕えさせていただきます」
 ​彼は言葉を添えると、緊張でわずかに震える手をカルロ伯爵の右手に伸ばした。伯爵は、その大胆な動作にわずかに目を見開く。エイドリアンは手の甲をそっと上に向けるよう促し、極めて形式的だが、真摯な決意を込めて、その手の甲に軽く唇を触れた。
​ 動作はわずか一瞬。しかし、それはエイドリアンにとって、未来への帰還という望みを一旦胸の奥に封じ込め、この時代、この家に忠誠を誓うことを意味していた。

 ​儀礼を終え、エイドリアンが顔を上げると、カルロ伯爵は満足げに頷いた。
 「ああ、よろしく頼む。私はカルロ・ディ・サントロだ。存分に学ぶといい。我が家は新参を拒まぬ」
 短い言葉ながらも、それは確かな歓迎の証だった。エイドリアンの胸に、ふっと安堵が広がる。
 
 「……それにしても、珍しいもの好きは誰に似たんだかな」
 「……父上では?」
 即座に返すダンテに、カルロは肩を揺らして鼻で笑った。
 「減らず口を」
 そんな父子のやり取りを目の当たりにして、張り詰めていた空気がわずかに緩む。エイドリアンの心にも、静かな温もりが灯った。

 
 静まり返った廊下の一角を、女中長のルチアーナが歩きながらエイドリアンを案内する。
 年の頃は四十半ばほどだろうか。落ち着いた立ち居振る舞いからは、長年の勤めで培われた威厳と気配りが自然とにじみ出ている。ひと目見ただけで、この邸宅を取り仕切る人物だと分かるほどだった。

 本来なら、大貴族の屋敷では新入りの使用人は大部屋で雑魚寝するのが常だ。だが、この伯爵邸は少数精鋭を旨とし、通いの使用人も多いため、部屋には余裕があるようだった。

 やがてルチアーナは、廊下の突き当たり近くの一室の前で足を止める。
 「こちらが、あなたのお部屋です」
 扉を開けると、簡素ながらも整えられた室内が目に映る。木製の机と椅子、寝台には新しい寝具がきちんと整えられ、窓の外には中庭の緑がさやかに揺れていた。
 エイドリアンは思わず小さく息を呑む。
 「……こんなに立派な部屋を僕に?」
 新入りの、それも異国人に与えられるとは思わなかった空間に、戸惑いが混じる。
 「伯爵様も坊ちゃまも、あなたを歓迎していらっしゃいます。どうぞ気を張らず、本日はゆっくりお過ごしください」
 ルチアーナの穏やかな声に、張り詰めていた心がふっと緩む。
 その時、背後から落ち着いた声が響いた。
 「ルチアーナ、彼のことを頼む。何か困ったことがあれば、私に知らせてくれ」
 振り返ると、ダンテが静かな眼差しで立っていた。
 「かしこまりました、坊ちゃま。責任をもってお世話いたします」
 ルチアーナが恭しく答えると、ダンテはエイドリアンへ視線を移し、わずかに口元を和らげた。
 「明日から働いてもらうつもりだ。それまでに、この屋敷に慣れておけばいい」
 それだけを告げると、彼は踵を返し、廊下の奥へと静かに歩み去っていった。

 残されたルチアーナは一通り説明を終えると、柔らかく微笑む。
 「他にわからないことがあれば、遠慮なく私にお尋ねくださいませ。今日のところは、まずこのお部屋でゆっくりなさるとよいでしょう」
 「ありがとうございます、ルチアーナさん」
 エイドリアンは深く頭を下げ、部屋の中へと足を踏み入れた。
 窓の外からは、遠くに馬車の音や人々のざわめきが届いてくる。
 まだ仕事を始めたわけではない。だが、この静かな時間の中で――ここが自分にとって新しい居場所になるのではないかという予感が、ゆっくりと胸に広がっていった。



 ***
 
 夜の帳が落ち、豪華なシャンデリアの灯りが、家族の食卓に柔らかな光を投げかけていた。給仕たちは控えめに背後で控える。会話に干渉する者はいない。カルロ伯爵とその妻ジュリア夫人、そしてダンテの弟のアンドレアが揃っている。テーブルにはナイフとフォークが整然と並び、静かな緊張と温かみが室内に同居していた。

 ​カルロ伯爵は食卓の向こうに座るジュリア夫人に、軽く微笑みかけた。
​ 「明日から、異国の若者が勤めに入ることになった」
​ ジュリア夫人はフォークで皿の料理を整えながら、興味深げに問いかけるように眉を上げた。
​ 「まあ、遠い国から? ……慣れるまでは不安でしょうね。皆で温かく迎えてあげませんと」
 ​「言葉に少し訛りがあるが、温かく接してやってほしい」
​ 「ええ、もちろん」
 ​ジュリア夫人が頷き、アンドレアもニッコリと微笑む。
 ​「お父様、異国ってどこですか? 僕もお話してみたいです」
​ カルロ伯爵はダンテに視線を向け、軽く茶化すように言った。
​ 「ダンテなら、知っているのではないか? お前が気に入って連れてきたのだろう」
 ​ダンテは少し顔を赤らめ、短く答える。
 ​「……いえ、私もまだ東洋としか聞いておりません」
 ​カルロ伯爵は鼻で笑い、椅子に座ったまま少し身を乗り出した。
​ 「……令嬢にもそれくらい熱心ならよかったのにな」
 ​ダンテはフォークを置き、軽く眉をひそめる。
 ​「……父上!」
 ​その間、アンドレアは興味深げに二人のやり取りを見つめ、ジュリア夫人は柔らかく微笑む。
 
 ​ダンテとカルロ伯爵は、まだ邸内の部屋にいるであろうエイドリアンのことを、ふと思い浮かべた。初めての屋敷、慣れぬ環境、そして明日から始まる新しい生活――家族の温かい視線が、遠く彼を見守っているように感じられた。
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