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#20 時の隔壁
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厚手のマントを翻しながら、ダンテは黒鹿毛の馬の手綱をきつく握った。冷たい冬の風が頬を刺す。
「どこだ……エイドリアン……!」
心臓が激しく打つたび、怒りと不安が胸を締めつけた。蹄が石畳を叩く音が、焦燥をさらにかき立てる。
アルノ川沿いの路地を、ひとつひとつ目を皿のようにして駆け抜けた。石畳は凍てつき、狭い路地は迷路のように曲がりくねる。行く先を誤れば、ただ時間を浪費するだけ――それでもダンテは馬を止めず、必死に足跡と残り香を追った。
そのとき、遠くから冬空を切り裂くように鐘の音が響いた。
澄んだ音が胸の奥まで突き刺さり、ダンテは思わず息を呑む。顔を上げると、白と緑の大理石が光を反射するサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラが目に飛び込んだ。
鐘の音は、まるで道しるべのように彼を導いていた。迷路の中で彷徨っていた心に、かすかな希望の光が差し込む。
――もし、本当に彼の言葉が真実なら。
未来から来たという話が偽りでないのなら、彼はまだこの街にいるはずだ。
藁にも縋る思いで、馬の腹を蹴った。
街はすでに目覚めていた。聖夜の余韻を残す通りを、礼拝へ向かう人々が蝋燭の灯を手に進んでいく。
馬を境内の柱陰に繋ぎ、息を整えて大聖堂の扉を押し開く。
「すみません」「通してください」――幾度も声をかけながら、人波をかき分けて石段を駆け上がった。
内部は人で溢れていた。
香の煙が天井近くでゆらめき、聖歌がこだまする。祭壇の前では白衣の神父が祈りを捧げ、光がステンドグラスを透かして信徒の肩を染めていた。
その神聖な空間の中で、ただ一人、ダンテの視線だけが神ではなく――エイドリアンを探していた。
人々の頭上を越え、祈りのざわめきを裂くように。
彼の胸にあったのは信仰ではなく、焦がれるような想いと、取り返しのつかない罪の痛みだった。
高い天蓋の下、香煙と光が溶け合い、床に祈りの色を落としている。
その中に、見覚えのある顔を見つけた。
「……司祭様!」
振り向いたフランチェスコ司祭は、驚いたように目を瞬かせたのち、柔らかく微笑んだ。
「これは……ダンテ様。お久しぶりですね」
「お忙しいところ、申し訳ありません。司祭様――うちの使用人、エイドリアンを見かけませんでしたか?」
切羽詰まった声音に、司祭の表情がわずかに曇る。
「エイドリアンさんなら、今朝早く施療院を立たれましたが……」
「……! 行き先は!」
「いえ、私も祖国に帰る、としか伺っておりません」
その一言が、胸の奥に冷たい穴を開けた。だが、司祭はふと視線を落とし、静かに続けた。
「――ただ、気になることがひとつございます」
ダンテが顔を上げると、司祭は祈祷台に置かれた木箱へと目をやった。
「彼はここを去る前に、多額の献金をなさいました」
「献金を……?」
「ええ。『自分には必要のないものです。せめて、この街の誰かのために使ってください』とだけ」
司祭の言葉は穏やかだったが、その意味は痛烈だった。
――エイドリアンは、金を“清め”、この街に別れを告げたのだ。
「司祭様……一つ、伺ってもよろしいでしょうか」
ダンテの声はかすれていた。
「彼が、最後にどちらの方角へ向かったか……何か、ご存じありませんか」
司祭はしばし目を閉じ、思い出すように首を傾げた。
「そういえば……北東のほうへ歩いて行かれたようでした。『もう少しだけ、この街の外を見ておきたい』と」
北東――アルノ川の向こう、マイアーノの丘陵地帯。
そこは農園と古い修道院が点在する静かな土地。
十二月の寒空の下、あの人影がそこへ向かったというのなら……。
「ありがとうございます、司祭様」
そう言って頭を下げると、ダンテは踵を返した。
迷いはもうない。
エイドリアンがどんな真実を抱えていようと――彼の行動のひとつひとつが、真実を示している。
馬上に身を戻し、手綱を強く握る。
「エイドリアン……たとえ、君が何者だったとしても――」
その声は、礼拝の終わりを告げる鐘の音とともに、フィレンツェの空へと溶けていった。
***
「おーい、エイドリアーン!」
澄み渡る青空の下、クロノス機関の同僚――サトルが、遠くから大きく手を振っていた。
マイアーノ農園の外れで合流した二人は、繁みの奥に隠されたコントレイルへと向かう。
サトルが起動スイッチを押すと、それは長い眠りから覚めた獣のように低く唸りを上げた。
操縦桿を握るサトルが「早くしろ」と顎をしゃくる。
エイドリアンは無言で頷き、視線を遠くの田園へと向けた。
刈り入れを終えた畑、風に揺れるオリーブの木立。
この時代で過ごしたすべてが、ダンテの描いた風景画のように、目に焼き付くほど鮮やかだった。
――全部、ここに置いていくんだ。
それでも、戻らなければならない。
深く息を吸い、エイドリアンはサトルの背に跨る。
「……よし、帰るぞ」
エンジンが甲高く唸りを上げ、地面が遠ざかる。
空気が震え、機体が宙へと浮かび上がったその瞬間――
「――エイドリアン!!」
風を切り裂くように、その名が響いた。
驚いて視線を落とす。
丘の下から、黒い馬に跨った男が駆けてくる。
緩やかな丘陵を登りながら、必死に何かを叫んでいた。
――ダンテ。
胸の奥が、張り裂けそうに痛む。
陽光の中で、彼の姿が滲むように揺らいだ。
青白いシールドがコックピットを覆い、声はもう届かない。
「……いやだ、行きたくない……!」
唇が震える。
手を伸ばせば、届く気がした。
けれど指先は、ただ光の壁に阻まれるだけ。
「ダンテ……!」
喉が裂けるほど叫んでも、音は真空に吸い込まれていく。
彼の名を呼ぶたびに、離れていく。
次の瞬間、眩い閃光が走った。
コントレイルは光の軌跡を描いて、空の彼方へと消えていく。
やがて、風だけが残った。
丘の上で、ダンテは膝から崩れ落ち、天を仰ぐ。
見上げた空には――
飛行機雲のような、一筋の光だけが、静かに残っていた。
涙が頬を伝い、エイドリアンの膝を濡らしていた。
時空を裂く光と風の中でも、その涙は止まらない。
サトルの背にしがみつき、嗚咽をこらえることもできずに肩を震わせる。
胸の奥に浮かぶのは、追いかけてきたダンテの姿――風に乱れる黒髪と、必死に自分を呼ぶ声。
その光景がまぶたの裏に焼きつき、離れなかった。
愛しているという想い、届かぬ時間への切なさ、そして――背中越しに感じるサトルの体温が、かろうじて彼の心を支えていた。
「……だから言ったろ、“深入りするな”って」
前方に座るサトルの背から、低く呟かれた声が響く。
叱責でも慰めでもなく、ただ静かに、けれど確かに温かかった。
「……このことは、本部には黙っておいてやるよ」
短くそう言い残し、サトルは加速した。
コントレイルが光の尾を描き、未来へと帰還していく。
エイドリアンは、胸に残る余韻を噛み締めながら目を閉じた。
背後に残るのは、ダンテへの想いと――
時空を越えてもなお消えぬ、確かな愛の記憶だけだった。
「どこだ……エイドリアン……!」
心臓が激しく打つたび、怒りと不安が胸を締めつけた。蹄が石畳を叩く音が、焦燥をさらにかき立てる。
アルノ川沿いの路地を、ひとつひとつ目を皿のようにして駆け抜けた。石畳は凍てつき、狭い路地は迷路のように曲がりくねる。行く先を誤れば、ただ時間を浪費するだけ――それでもダンテは馬を止めず、必死に足跡と残り香を追った。
そのとき、遠くから冬空を切り裂くように鐘の音が響いた。
澄んだ音が胸の奥まで突き刺さり、ダンテは思わず息を呑む。顔を上げると、白と緑の大理石が光を反射するサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラが目に飛び込んだ。
鐘の音は、まるで道しるべのように彼を導いていた。迷路の中で彷徨っていた心に、かすかな希望の光が差し込む。
――もし、本当に彼の言葉が真実なら。
未来から来たという話が偽りでないのなら、彼はまだこの街にいるはずだ。
藁にも縋る思いで、馬の腹を蹴った。
街はすでに目覚めていた。聖夜の余韻を残す通りを、礼拝へ向かう人々が蝋燭の灯を手に進んでいく。
馬を境内の柱陰に繋ぎ、息を整えて大聖堂の扉を押し開く。
「すみません」「通してください」――幾度も声をかけながら、人波をかき分けて石段を駆け上がった。
内部は人で溢れていた。
香の煙が天井近くでゆらめき、聖歌がこだまする。祭壇の前では白衣の神父が祈りを捧げ、光がステンドグラスを透かして信徒の肩を染めていた。
その神聖な空間の中で、ただ一人、ダンテの視線だけが神ではなく――エイドリアンを探していた。
人々の頭上を越え、祈りのざわめきを裂くように。
彼の胸にあったのは信仰ではなく、焦がれるような想いと、取り返しのつかない罪の痛みだった。
高い天蓋の下、香煙と光が溶け合い、床に祈りの色を落としている。
その中に、見覚えのある顔を見つけた。
「……司祭様!」
振り向いたフランチェスコ司祭は、驚いたように目を瞬かせたのち、柔らかく微笑んだ。
「これは……ダンテ様。お久しぶりですね」
「お忙しいところ、申し訳ありません。司祭様――うちの使用人、エイドリアンを見かけませんでしたか?」
切羽詰まった声音に、司祭の表情がわずかに曇る。
「エイドリアンさんなら、今朝早く施療院を立たれましたが……」
「……! 行き先は!」
「いえ、私も祖国に帰る、としか伺っておりません」
その一言が、胸の奥に冷たい穴を開けた。だが、司祭はふと視線を落とし、静かに続けた。
「――ただ、気になることがひとつございます」
ダンテが顔を上げると、司祭は祈祷台に置かれた木箱へと目をやった。
「彼はここを去る前に、多額の献金をなさいました」
「献金を……?」
「ええ。『自分には必要のないものです。せめて、この街の誰かのために使ってください』とだけ」
司祭の言葉は穏やかだったが、その意味は痛烈だった。
――エイドリアンは、金を“清め”、この街に別れを告げたのだ。
「司祭様……一つ、伺ってもよろしいでしょうか」
ダンテの声はかすれていた。
「彼が、最後にどちらの方角へ向かったか……何か、ご存じありませんか」
司祭はしばし目を閉じ、思い出すように首を傾げた。
「そういえば……北東のほうへ歩いて行かれたようでした。『もう少しだけ、この街の外を見ておきたい』と」
北東――アルノ川の向こう、マイアーノの丘陵地帯。
そこは農園と古い修道院が点在する静かな土地。
十二月の寒空の下、あの人影がそこへ向かったというのなら……。
「ありがとうございます、司祭様」
そう言って頭を下げると、ダンテは踵を返した。
迷いはもうない。
エイドリアンがどんな真実を抱えていようと――彼の行動のひとつひとつが、真実を示している。
馬上に身を戻し、手綱を強く握る。
「エイドリアン……たとえ、君が何者だったとしても――」
その声は、礼拝の終わりを告げる鐘の音とともに、フィレンツェの空へと溶けていった。
***
「おーい、エイドリアーン!」
澄み渡る青空の下、クロノス機関の同僚――サトルが、遠くから大きく手を振っていた。
マイアーノ農園の外れで合流した二人は、繁みの奥に隠されたコントレイルへと向かう。
サトルが起動スイッチを押すと、それは長い眠りから覚めた獣のように低く唸りを上げた。
操縦桿を握るサトルが「早くしろ」と顎をしゃくる。
エイドリアンは無言で頷き、視線を遠くの田園へと向けた。
刈り入れを終えた畑、風に揺れるオリーブの木立。
この時代で過ごしたすべてが、ダンテの描いた風景画のように、目に焼き付くほど鮮やかだった。
――全部、ここに置いていくんだ。
それでも、戻らなければならない。
深く息を吸い、エイドリアンはサトルの背に跨る。
「……よし、帰るぞ」
エンジンが甲高く唸りを上げ、地面が遠ざかる。
空気が震え、機体が宙へと浮かび上がったその瞬間――
「――エイドリアン!!」
風を切り裂くように、その名が響いた。
驚いて視線を落とす。
丘の下から、黒い馬に跨った男が駆けてくる。
緩やかな丘陵を登りながら、必死に何かを叫んでいた。
――ダンテ。
胸の奥が、張り裂けそうに痛む。
陽光の中で、彼の姿が滲むように揺らいだ。
青白いシールドがコックピットを覆い、声はもう届かない。
「……いやだ、行きたくない……!」
唇が震える。
手を伸ばせば、届く気がした。
けれど指先は、ただ光の壁に阻まれるだけ。
「ダンテ……!」
喉が裂けるほど叫んでも、音は真空に吸い込まれていく。
彼の名を呼ぶたびに、離れていく。
次の瞬間、眩い閃光が走った。
コントレイルは光の軌跡を描いて、空の彼方へと消えていく。
やがて、風だけが残った。
丘の上で、ダンテは膝から崩れ落ち、天を仰ぐ。
見上げた空には――
飛行機雲のような、一筋の光だけが、静かに残っていた。
涙が頬を伝い、エイドリアンの膝を濡らしていた。
時空を裂く光と風の中でも、その涙は止まらない。
サトルの背にしがみつき、嗚咽をこらえることもできずに肩を震わせる。
胸の奥に浮かぶのは、追いかけてきたダンテの姿――風に乱れる黒髪と、必死に自分を呼ぶ声。
その光景がまぶたの裏に焼きつき、離れなかった。
愛しているという想い、届かぬ時間への切なさ、そして――背中越しに感じるサトルの体温が、かろうじて彼の心を支えていた。
「……だから言ったろ、“深入りするな”って」
前方に座るサトルの背から、低く呟かれた声が響く。
叱責でも慰めでもなく、ただ静かに、けれど確かに温かかった。
「……このことは、本部には黙っておいてやるよ」
短くそう言い残し、サトルは加速した。
コントレイルが光の尾を描き、未来へと帰還していく。
エイドリアンは、胸に残る余韻を噛み締めながら目を閉じた。
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