恋愛短編まとめ

よしゆき

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うさぎを召喚したらとんでもないことになった

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前置きが長いですが、ヒロインが発情して恋人とエロいことをするだけの話です。
ヒロインにうさぎの耳と尻尾が生えます。



───────────────


 ミアは召喚室に入り、召喚術の準備をはじめた。
 彼女は魔術師だ。魔術師は火や水を出したりする一般的な魔法と、召喚術を使う。
 召喚術は異世界から魔物を召喚する。そして契約を持ちかけ、契約を結ぶことができたら、いつでもその魔物を召喚することが可能になる。
 契約した魔物には、戦闘や重傷者の治癒、人間や魔法の力だけではどうにもならない場合に協力してもらうのだ。
 その代わり、人間は魔物に魔力を与える。魔物にとって人間の魔力はご馳走なのだ。そのご馳走のために魔物は人間と契約し、力を貸してくれる。
 召喚に必要なのは異世界とこちらの世界を繋ぐ魔法陣。魔力を込めた水晶。魔術師の血。契約を結べばそれらは必要なくなり、名前を呼ぶだけで召喚することが可能となる。
 ミアは魔術師として、中央に勤めている。今日は新しい魔物と契約を結ぶため、この召喚室へとやって来た。数多くの魔物と契約を結び、国のために働く。それがミアの仕事である。
 薄暗い召喚室の中にはなにもない。ただ部屋の床の中心に、魔法陣が描かれているだけだ。
 その魔法陣の真ん中に魔力が込められた水晶を置く。ミアはポケットからナイフを取り出し、自身の手を切った。溢れ出る血を、水晶の上に落とす。
 これで召喚術は完了だ。ミアは後ろに下がって魔法陣から離れ、治癒魔法で手の傷を治す。軽い切り傷はすぐに跡形もなく消えた。
 魔法陣が光る。室内はまばゆい光に包まれた。
 数秒の後、光は徐々におさまっていく。
 ミアはしばしばと目を瞬き、首を傾げた。

「あれ?」

 いつもならそこに魔物の姿が現れているのに、目の前の魔法陣の上にはなにもいない。
 召喚術が失敗したのだろうか。手応えは確かに感じたのに。しかし、上を見ても下を見ても横を見ても、後ろにもどこにも魔物の姿は見当たらない。
 置いてあったはずの水晶が消えている以外、室内になにも変化はなかった。召喚はされたけれど、魔力が込められた水晶だけ持ってさっさと帰ってしまったのだろうか。
 まあ、こういうこともあるだろうと、ミアはあまり気にしなかった。
 そのとき、召喚室のドアがノックされた。返事をすると、すぐにドアが開かれる。現れたのは同期で同僚のユーリだ。

「ミア? もう終わりましたか? 次は私がこの部屋を使いたいのですが」

 黒髪に黒い瞳。女性らしくはないけれどとても綺麗に整った顔は、けれど他人を寄せ付けない冷たい印象を与える。体つきは細身だが、でもしっかりと鍛えられていることをミアは知っている。
 すらりと高い長身を、ミアは見上げた。

「ごめん、ユーリ。もう出ていくから」

 ユーリは眼鏡の奥の瞳を僅かに見開いてこちらを凝視していた。彼の驚いた表情は珍しい。
 ミアはきょとんと彼を見返す。

「どうかした?」
「ミア…………一体、その耳はどうしたんですか?」
「耳?」

 ミアは両手で左右の耳に触れる。特に異常は感じられない。

「違いますよ。その、頭の上の耳のことです」
「頭の上?」

 さっぱり意味がわからない。困惑しながら頭上へと手を伸ばすと、フワッとしたなにかが手に触れた。

「ひゃっ……!?」

 びっくりして手を引いて、もう一度そろそろと手を近づける。思い切ってそれを握ってみた。ふわふわして長いなにかが、頭から二本生えている。

「え、なにこれ?」

 ミアはぽかんとユーリを見つめ、ユーリは深い溜め息を零した。
 ユーリが言うには、どうやら頭に真っ白いウサギの耳が生えているらしい。
 今、ミアは魔物が憑依している状態のようだ。
 魔物には憑依系のものが存在し、彼らは人間に憑依することでその力を発揮する。主に憑依した人間の体力を上げるというタイプが多い。
 憑依されていても、体を乗っ取られるわけではない。憑依することで人間をサポートしてくれるのだ。
 ミアの召喚術は成功していた。しかし召喚した魔物は勝手にミアに憑依してしまったようだ。
 契約済みの魔物であれば、人間の意思で憑依を解除できる。しかしまだ契約していない魔物に憑依された場合、それはできない。魔物の意思で離れてくれるのを待つしかない。

「ミア、なにか体に変化は?」
「んー? 別になにもないような……」

 ユーリの質問に、曖昧に答える。頭にウサギの耳が生えている以外、特に変化は感じられなかった。

「まあ、そのうち出ていってくれるだろうし、放っておいても大丈夫でしょ」

 明るく言い放てば、ユーリは深い深い溜め息を吐いた。

「馬鹿なことを言ってないで、さっさと医務室に行ってきてください。大丈夫かどうかは、きちんと先生に診てもらって、先生に判断してもらいなさい」
「ええー」
「そんなに私に連れていってほしいんですか?」

 ユーリに冷ややかな笑みを向けられ、ミアは頬を引きつらせた。

「わかりましたー、行ってきまーす」

 普段冷静な彼は怒らせると怖い。それを嫌というほど知っているミアは、素直に彼の言葉に従った。
 召喚室を出て、医務室へと向かう。

「あらあらまあまあ、可愛いウサギちゃんね」

 医務室に入ると、フィナ先生が笑顔で迎えてくれた。
 椅子に座り、フィナと向かい合って状況を説明する。
 フィナはまじまじと頭に生えているウサギの耳を見つめた。

「ふぅん。見たことのないタイプの魔物ね」
「はい。どんな力を持ってるのかもわからなくて」
「体調に変化はないのよね?」
「今のところ、なにも」
「外見的にも、耳と尻尾が生えているだけね」
「尻尾!?」
「気づいてなかったの?」

 フィナに指摘され、腰を捩って確認する。制服のスカートで見えないが、尻尾の部分が膨らんでいた。スカートの中を覗けば、確かに白いまん丸の尻尾が生えている。
 全く気づかなかった。というか、なぜフィナは気づいたのか。尋ねれば、「だって先生だもの」とにっこり返された。

「憑依されてる本人に変化がわからないんじゃ、どんな魔物か判断するのは難しいわね」
「ただウサギの耳と尻尾が生えるとかじゃないですよね?」
「さすがにそれはないと思うけど……。ちょっと触らせてもらえる?」

 手を伸ばしたフィナが、ミアのウサギの耳に触れた。

「ひゃあっ……!?」

 ほんの少し触られただけなのに、ミアは大袈裟に反応してしまう。
 フィナはすぐに手を引っ込めた。

「ごめんなさい、痛かった?」
「い、いえ、すみません、ちょっと擽ったくて……」
「そう。感覚はあるのね」

 フィナは顎に手を当ててミアを見据えた。

「今のところ害はないようだし、ひとまず様子を見ましょう。もしかしたら、時間が経てばなんらかの変化が現れるかもしれないし。召喚に応じるのは友好的な魔物だけだから、危害を加えられるようなことにはならないと思うわ。一日経過して、それでも変化がなければまた来てちょうだい。もちろん、体調が悪くなったりしたらすぐに来ること」
「わかりました」

 診察を終え、ミアは礼を言って医務室を出た。
 廊下を歩いていると、前方から同僚のロッテがやって来た。こちらに気付き、笑顔で手を振る。

「お! やっほー、ミア!」
「やっほ……」
「って、ええええ!?」

 手を振り返そうとして、ロッテの大声にピタリと止まる。
 ロッテは目をまん丸にしてミアを見ている。正確には、ミアの頭上に生えている耳を。

「な、なにその耳!」
「これは……」
「触らせて!!」
「え……」

 ロッテは両手をわきわきしながら、じりじりとこちらに近づいてくる。変質者のように息を荒げ、明らかに興奮していた。
 彼女のただならぬ様子に、ミアは後退った。
 ロッテはもこもこふわふわの可愛いものが大好きなのだ。小動物をこよなく愛し、可愛がることを生きがいにしている。
 どうやらミアの頭上に生えるウサギの耳は彼女から見て可愛いもので、それを可愛がりたいという強い欲求に突き動かされているようだ。
 爛々と輝く彼女の双眸が、ミアのウサギの耳を狙っている。
 捕まったら、きっと満足するまで弄り回され撫で回され舐め回されもみくちゃにされるに違いない。その上尻尾の存在にまで気づかれれば、凌辱の限りを尽くされる。
 ミアはロッテに背を向け走り出した。全速力で廊下を駆け抜けた。

「あっ、待って、待ってよミア~!」

 ものすごいスピードで追いかけてくるロッテから、死に物狂いで逃げ回る。
 逃げて逃げて逃げつづけ、どうにか彼女を撒き、ミアは助けを求めて辿り着いた部屋の中へ入った。
 ぶつかるように背中でドアを閉め、後ろ手に鍵をかける。
 部屋の中にいた人物が、突然入ってきたミアに驚いて声を上げた。

「ミア!?」
「はあっ、はあ……ユーリ……」
「なんですか、いきなり。ノックもしないで入ってくるなんて……」

 眼鏡のブリッジを上げながら、呆れた顔のユーリが近づいてくる。
 ここは寮の彼の部屋だ。
 ミアはへたり込み、乱れた呼吸を整える。

「医務室にはちゃんと行ったんですか?」
「う、うん……。とりあえず、様子見で……一日経っても変化なければまた来てって……」
「それで、一体なにがあったんです?」
「ロッテに追いかけられて……。お願いだから、匿ってっ」
「ああ、確かに、その耳は彼女が好みそうですね」
「怖かったよぅ……。すごい形相で追いかけてくるんだもん……」
「少し触らせれば、満足したんじゃないですか?」

 他人事のようなユーリの言葉に、ぶんぶんと首を横に振る。

「あれは少しで満足するような感じじゃなかったよ……。それに、触られたらなんかぞわぞわするし……」
「ぞわぞわ? その耳、感覚があるんですか?」
「うん。先生に触られたらすごいビクッてしちゃったよ。感覚が鋭いのかなー?」
「因みに、耳がよく聞こえる、とかではないですよね?」
「うん。こっちの耳では別になにも聞こえないよ」

 こっち、と示したとき、特に意識したわけではないがウサギの耳がぴこぴこ動いた。

「動かすこともできるんですか?」
「そう? みたい?」

 腕や足と同じように動かそうと思えば耳も動かすことができた。

「完全にミアの体の一部になっているようですね」

 感心したように呟いて、ユーリはウサギの耳に触れた。
 途端に、鋭い感覚が背筋を走る。

「ひぅっ」

 びくんっと肩を竦めるミアを、ユーリは冷静に見下ろす。

「本当に敏感なようですね」

 言いながら、くにくにとウサギの耳を優しく指で弄ぶ。
 ミアはびくびくと体を震わせた。痛みではない強烈な感覚が全身を駆け巡る。

「そ、だから、あんまり、触らないで……っ」

 触らないでと言いながら、ミアはユーリの手を避けようともしない。振り払うこともせず、触られるがままおとなしく身を任せている。
 自分は触れることを許されている。
 その事実に、ユーリは眼鏡の奥の瞳を細めた。

「可愛いですね、ミアは」
「え、な、なに……?」

 ユーリの呟きを聞き取れず顔を上げるが、彼はうっすらと笑みを浮かべるだけだった。
 気にはなったが、正直今はそれどころではない。
 ユーリの触れている部分から、全身へと熱が広がる。体が火照る。背筋がぞくぞくびくびくする。
 体がおかしい。触られたら落ち着かないのに、もっと触ってほしくなる。耳だけじゃ足りない。もっと、全部触ってほしい。刺激を求めて体が疼いている。
 少し触られただけでこんな風になるなんておかしいのに、そんなことどうでもよくなっていた。
 ユーリに触ってほしい。
 潤んだ瞳で彼を見上げる。

「ゆーりぃ……」
「ミア……?」

 明らかに欲情した様子のミアに、ユーリは怪訝な表情を浮かべる。

「どうしたんです、急に……」

 ユーリは少し耳を触っただけだ。それだけで、どうしてこんな反応を見せるのか。
 すぐに理由が思い当たった。
 
「まさか、そういう効果を発生させる魔物ということですか……」
 
 魔物の力が働いているのならば納得できる。というかそれ以外に考えられない。
 ユーリは嘆息した。

「なんとも厄介な魔物を召喚しましたね」
「ユーリ?」

 難しい顔を見せるユーリのズボンをぎゅっと握る。
 ミアはもう体の疼きを我慢できない。

「ユーリ、私……」
「わかってますよ」
「ひゃっ……!?」

 ユーリに抱き上げられ、ミアは咄嗟に彼の首に腕を回す。
 そのままベッドまで運ばれ、ゆっくりと下ろされた。

「ゆ、ユーリ、どうして、ベッド……」
「体が辛いんでしょう?」
「で、でも、まだ、仕事残ってるんじゃ……」
「発情した恋人を放って、仕事なんてできませんよ」
「は、は、はつじょ、って……!」

 真っ赤になって狼狽するミアを見て、ユーリは綺麗で意地悪な笑みを浮かべる。

「してるでしょう? そんな物欲しそうな顔で私を見て。もう、ここに欲しくて堪らないんでしょう?」

 つう……っと制服の上から下腹を指でなぞられ、ミアの瞳が蕩けた。
 腹の奥がきゅんとなり、脚の間から蜜が溢れる。
 理性も思考もどろりと溶けて、欲望が頭を擡げた。

「欲し……ユーリの……ユーリが、欲しいの……」

 素直にねだれば、ユーリは甘く微笑んだ。

「好きなだけ、差し上げますよ」
「ぁ……ん……」

 覆い被さってきたユーリに口付けられる。
 迎え入れるように唇を開けば、すぐに舌が差し込まれた。流し込まれる唾液と共に、彼の舌をちゅうちゅうと吸う。

「その魔物とは、契約はしない方がいいですね」

 キスの合間に、ユーリが言う。

「もし契約しても、召喚するのは私の前でだけですよ。他の人がいる場所では、決して召喚してはいけません」
「んん、は……え……?」

 頭がぼうっとして、キスだけでいっぱいいっぱいのミアにはなにを言われているのかわからない。
 それなのに、ユーリは念を押してくるのだ。

「わかりましたね? 約束してください」
「んむっ……は、はぃ……ん、んんぅ」

 なにがなんだかわからなかったけれど、ユーリの圧に押されるように頷いた。
 キスをしながら、衣服が乱される。ミアはされるがまま、抵抗しない。
 制服を脱がしていたユーリの手が、ふと止まった。

「おや、これは……」
「ひゃんっ」

 尻尾を掴まれ、ミアは悲鳴を上げる。

「尻尾まで生えていたんですか」
「あっ、や、やぁんっ」

 丸い尻尾を柔らかく揉み込まれ、ミアの体はびくんびくんと跳ねる。
 ユーリは楽しそうに目を細めた。

「どうやら尻尾も耳と同じように敏感みたいですね」
「あっ、びんかん、なのっ、だから、そんなに触っちゃ、やあぁっ」

 身を捩れば、すっかり裸に剥かれたミアはベッドに転がされた。

「さて、その魔物はいつになったらミアの体から出ていくのでしょうね?」
「ふぇ……?」
「ミアの体が持つといいですけどね」

 極上の微笑みを見せるユーリになんだか嫌な予感がしたけれど、ミアはもう逃げることもできなかった。





「あっ、あっ、や、やだぁ……っ」
「ミア? なにが嫌なんです?」
「んあぁっ」

 クリトリスを反り返った陰茎に擦られ、ミアは嬌声を上げる。
 全身を愛撫され、とろとろに蕩けた蜜口はユーリの熱を求めてひくひくと口を開けて催促している。それなのに、彼はぺニスを擦り付けるだけでなかなか入れてくれない。
 もどかしくて、切なくて、ミアは涙を流す。

「やだ、もぅ、焦らさないでぇ……っ」
「どうしてほしいんですか?」
「い、入れて、よぉ…っ」
「どこに? なにを?」

 意地悪く言わせようとしてくるユーリに、しかしミアは意地を張っている余裕もない。
 頬を紅潮させながら、素直にねだった。

「ユーリの、おちん、ち……私の中に、入れてっ」

 ミアの哀願に、ユーリは微笑んだ。
 いつもは全然笑わないくせに、こういうときユーリはよく笑う。彼の笑顔にドキドキして、心も体も更に彼を求めて熱を帯びた。

「ゆーりぃ……」
「ええ、今すぐ、入れてあげますよ」

 柔らかく解された膣穴に、ゆっくりと陰茎を挿入される。

「んやぁっ、ゆっくり、やだぁっ」
「わがままですね、ほら、入れてあげているでしょう」

 わかっているくせに、意地悪なユーリはじりじりとしたペースで腰を進める。

「やぁっ、早く、奥まで入れてよぉっ……奥、じんじんして、早く、奥、奥までほしいのっ」

 ぽろぽろと涙を零して縋りつけば、ユーリはぐっと腰を掴んだ。

「本当に、ミアはわがままです、ねっ」
「んひぃっ」

 ごちゅんっと一気に捩じ込まれた陰茎に、最奥を突き上げられた。

「あっ、あっ、っ〰️〰️〰️〰️!」

 全身を痙攣させながらミアは絶頂を迎えた。強い快感に、目の前がチカチカする。

「はっ、ひっ、あっ……ゆーり、ゆーりぃっ」
「大丈夫、ここにいますよ」

 強すぎる快楽に怯え、両手を伸ばす。するとユーリは上体を倒してくれた。体の距離が近づき、ミアは彼にしがみついた。
 ユーリも衣服を脱いでいるので、彼の体温が直接伝わる。その温かさにほっとした。

「ひぅっ、ゆーりぃっ」
「泣かせてしまいましたね」
「んん……っ」
「でも、ミアにこうして縋ってもらえるのが嬉しくて、つい意地悪してしまうんですよね」
「んっ、あっ、あっ」

 ユーリがなにかを話しているのはわかるが、胎内をぐちゅぐちゅと掻き混ぜられながらでは、それを理解することはできなかった。

「ん、あっ、ゆーり……?」
「なんでもありませんよ」

 浅く腰を打ち付けながら、ユーリはミアにキスをした。
 重なった唇に、ミアはすぐに舌を伸ばす。

「んふぅ、んんっ、んんぁっ」

 口元が汚れるのも構わず、ミアは必死に舌を絡める。開いた唇から唾液が溢れ、顎を伝って流れ落ちた。
 口元をべとべとに汚すミアを見て、ユーリは笑う。

「こんなに汚して……全く、ミアは本当に手がかかりますね」

 呆れたように言いながら、ユーリは溢れた唾液を丁寧に舐め取っていく。
 顎から首へ、鎖骨を辿り、更に下へと移動する。そして胸の膨らみを舐め、先ほど散々弄られて膨らんだ乳首を口に含んだ。

「ひぁっ、だめ、そこ、もうだめぇっ」
「どうして? 気持ちいいでしょう?」

 言って、じゅるっと突起を吸い上げる。

「あぁんっ」
「ほら、こうするとミアの中がうねって、悦んでいるのが伝わってきますよ」
「んあっ、あっ、あっ、あんっ」
「噛まれるのも好きですよね?」
「ひあぁっ」
「ああ、すごい中が締まりましたね。感じてくれて嬉しいですよ」
「あっ、やぁっ、だめ、気持ちいいの、怖いよぉっ」

 もう何度も絶頂に達し、何度達しても終わりのない快楽にミアはただ翻弄される。
 繰り返し繰り返し絶頂へと導かれ、怖いと言いながらユーリにしがみつく。そうすることによって彼の行動を助長させているのだが、ミアはそのことに気づかない。

「あんっ、ゆーり、ゆーりぃっ」
「そろそろ、出しますよ」
「ふあぁっ」

 ぐちゅんぐちゅんと激しく奥を突かれ、そのたびに快感が走り抜ける。膣内が陰茎を締め付け、射精を促すように蠕動した。
 ユーリの欲望が膨張し、次の瞬間熱を吐き出す。
 体の奥に彼の精液を浴び、ミアもまた絶頂に達した。

「はあっ、あっ、ユーリ……っ」
「一度済ませれば出てくるかとも思ったんですが、まだ出てこないようですね」

 独り言ちて、ユーリはミアの頭に生えたままのウサギの耳を撫でた。
 その感触に、ミアはぷるぷると震える。

「んんっ……」
「では、もう一度ですね」
「はえ……?」

 状況の理解できていないミアは、キラリと光るユーリの眼鏡を呆然と見つめた。





「はっ、ひっ、ひんっ」

 うつぶせになったミアは、後ろからユーリに貫かれていた。
 あれからどれだけ時間が経ったのかわからないが、ほぼずっとこうして彼の欲望を胎内に受け入れている。
 緩く腰を動かしながら、ユーリは臀部に生えた尻尾に触れる。

「ひあぁっ、や、しっぽ、やだぁっ」
「嫌じゃないでしょう、そんなに感じて」
「感じ、すぎるのぉ、もぅ、やぁんっ」

 いやいやと首を振るけれど、ユーリは尻尾から手を離してくれない。掌にすっぽりと包み込み、やわやわと揉みしだく。

「ふやぁっ、あっ、あっ、それ、だめぇっ」
「では、これは?」

 今度は、扱くように擦り上げられる。

「ひぃんっ、だめ、それもだめぇっ」

 背中を弓なりに反らせ、快感に悶える。
 ユーリはくにくにと尻尾を弄りながら、小刻みに内奥を穿つ。
 受け止めきれない快楽に溺れ、ミアは泣きじゃくった。

「ひっ、や、もぅやだぁっ、ふぇっ」
「ああ、いじめすぎてしまいましたね」

 漸く尻尾から手を離してくれた。
 ミアの背中に覆い被さり、慰めるように優しく抱き締める。

「んあっ、あっ、ユーリっ」

 甘えた声で名前を呼び、背後から回された腕にしがみつく。

「可愛いですね、ミア」
「あっ、ゆーりぃ、好き、好き……っ」

 あれだけ意地悪をされたというのに、こうして甘やかされればすぐに彼を好きだという気持ちでいっぱいになってしまう。
 そしてそんなミアのチョロさが、ユーリは愛しくて仕方がないのだ。

「私も好きですよ、ミア」
「んあぁっ、はっ、あんんっ」

 きゅうっと両方の乳首を摘まみながら、ユーリは腰を揺する。
 乳首をこりこりされて快感に蠢く膣壁を硬い肉棒で擦られ快感を上乗せされ、ミアは何度も絶頂を迎えた。
 
「はひっ、ま、待って、もう、ずっといって……いってるからぁ、待ってぇ……っ」

 必死に訴えるけれど聞き入れてはもらえない。
 ユーリはぴくぴく震えるウサギの耳を食みながら、乳首をかりかりと爪で優しく引っ掻き、蠢動する膣内を激しく穿つ。

「ひぅっ、や、いじ、わるぅっ、だめなのに、もっ、いって、いくの、怖いのぉっ」
「大丈夫ですよ、ミア。怖がらずに、何度でもいってください」
「ひぁんっ、ん、あっ、やあぁっ」
「私も、もういきますよ。また中に出しますからね」
「やっ、も、入らないぃっ」

 涙を流すミアの胎内に、何度目かの精液が注がれた。





「もう、やら……もう、疲れたのに……体、熱いの、ずっと……気持ちいいの、やめられないよぉ……っ」

 えぐえぐと泣きながら、ミアはユーリの体に跨がり腰を振っていた。
 あれから更に数時間が過ぎていた。もう体力は限界なのに、体の熱は冷めないのだ。

「頑張ってください、ミア」

 疲労困憊のミアとは反対に、ユーリは涼しい顔でこちらを見上げている。汗は浮かんでいるが、疲れている様子はない。

「なん、で……ユーリは、疲れてないの……っ」
「そりゃあ、鍛えてますからね」
「ううぅー……」

 しなやかに鍛えられたユーリの体を恨めしげに見下ろす。
 しかし彼を恨んでも仕方がない。別に彼に無体を働かれているわけではないのだ。
 ミアの体が快楽を求めて止まらないだけだ。
 疲れているのに、勝手に腰が動く。腰を動かして埋め込まれた陰茎で膣内を掻き混ぜ、その快感に体は歓喜する。

「はっ、ひんっ、あっ、あっ、はあっ、ゆーりぃっ」

 声は掠れ、顔はぐちゃぐちゃだ。
 もう何時間こうしているのか、考えるだけで恐ろしい。
 動くたびに、結合部からぷちゅぷちゅと二人の混ざり合った体液が溢れた。ユーリは全てミアの中で射精した。お腹が膨れるほどに注がれて、入りきらずに溢れ出てしまう。
 こんなにいっぱい中で出されて、避妊薬を飲んでも妊娠してしまうのではないかと思った。
 自分の下腹を見下ろすミアに、考えを読んだようにユーリは言った。

「いいじゃないですか」

 ユーリの手が、膨らんだそこを撫でる。

「可愛いですよ、私達の子供」
「ひっ、にゃ、なに、言って……っ」
「もう結婚の約束はしているんですから、できてもいいでしょう」
「そ、だけど……っていうか、今、そういうの、だめっ、ちゃんと聞けないし、話せないから、あっ、あっ」
「そうでしたね。今はこちらに集中しましょう」
「ひにゃっ……」

 ユーリはミアの腰を掴み、下から突き上げた。
 腰を掴みながら、さりげなく尻尾を揉む。

「やっ、あっ、あっ、ひっ、あぁっ」

 ずんずんと最奥を穿たれ、ミアの全身に快楽が走り抜ける。
 ぼろぼろでみっともない顔をしているのに、そんなミアをユーリは愛しげに見つめる。眼鏡越しに彼と目が合って、ミアはふにゃりと顔を緩めた。

「あっ、ゆーり、ゆーり、好きぃ、あっ、ひっ」
「愛してます、ミア」
「あっ、あっ、あああぁっ」

 強く中を貫かれ、また最奥で熱が弾けた。じわっと熱が広がるのを感じ、ミアは快感に体を震わせた。

「はっ、あっ……」

 ミアはそのままユーリの上に倒れた。ユーリがそれをしっかりと受け止めてくれる。

「ああ、ミア。漸く出てきましたよ」
「はえ……?」

 ほら、とユーリに促されて顔を向けると、ベッドの横にウサギがいた。正確には、ウサギっぽい外見の魔物だ。
 ほわほわふわふわの真っ白い毛に覆われた、まんまるい体。ぴこぴこと動く長い耳。赤くつぶらな瞳。ロッテが見たら間違いなく発狂するだろう。
 控えめに言っても大変可愛らしい魔物だった。
 そしてこの魔物のせいでミアは今、指一本動かせないほど疲れきっているのだ。この魔物の力がどんなものなのかユーリに教えられ、ミアはそのことを知る。

「どうやら生まれたばかりの若い魔物のようですね。だから召喚に応じたものの手順もわからず、いきなり召喚主であるミアに憑依したんですね」

 きゅるんと潤む瞳で魔物に見つめられ、怒ることはできなかった。わからなかったのだから、仕方がない。今回は大目に見よう。
 魔物は小さな手を合わせ、小首を傾げあざといポーズでミアをじっと見つめてくる。

「契約、してほしそうですね」
「………………ごめんなさい」

 ミアは丁重に断り、お帰りいただいた。
 契約となると可愛さでは絆されない。
 もうこんなのは二度とごめんだ。
 ユーリはミアの頭を撫でながらぽつりと呟く。

「うーん……ウサギの耳の生えたミアがもう見られないと思うと残念ですね」

 だったら自分で契約したら、と言いそうになり、慌てて口を噤んだ。
 そんなことになったら、やはり大変な目に遭うのはミアの方だ。

「お疲れ様です、ミア。ゆっくり休んでいいですよ」

 労るように優しく背中を撫でられ、ミアは目を閉じる。
 もう二度とあの魔物を召喚することがありませんように、と祈りながら眠りに就いた。





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