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草食系の優男だと思っていた幼馴染みが恋人になってから全然違うことに気づいた 2
しおりを挟む美咲が静と付き合いはじめて数ヵ月が過ぎた。デートも重ね、最初は彼と手を繋いで歩くのも恥ずかしくて落ち着かなかったが、最近は漸く慣れてきた。静は人前でもイチャイチャしたがったが、美咲は手を繋ぐだけで精一杯だ。
だから、学校の中でも今までと変わらない距離を保っていた。二人の関係をなにがなんでも隠したいわけではないが、恋人だと知られるのがとにかく照れ臭いのだ。静が人目も憚らず校内で抱きついてこようとしたり、お弁当のおかずを「あーん」してこうよとするのを徹底的に阻止している。
一応表面上は今までと変わらないので、美咲と静が恋人になったことはまだ知れ渡ってはいなかった。恋人になるなんて思われていないというのもあるだろう。仲は良かったが、少なくとも美咲はただの幼馴染みとして接し続けていたから。
静と恋人になるなんて、美咲だって思っていなかったのだ。
静があんな、色気を帯びた男の顔をするなんて知らなかった。
今までは、全く意識することなく彼を見ることができたのに。
部活中。美咲は静が部員を相手に練習しているのを見ていた。
こんな光景、もう何度も見てきた。普通に、見ることができていたのだ。
それなのに、真剣な瞳や、流れる汗、火照った頬、呼吸を荒げ、相手を倒そうとする静の男の顔を見て、急に、彼に抱かれているときのことが脳裏に蘇ってしまった。
一気に体温が上がる。背筋がぞくぞくして、下腹部がきゅうっとなって、落ち着かなくて、正座したままもぞもぞと身を捩った。こうなってしまうと、もう自分ではどうすることもできない。
必死に意識を逸らそうとするが、体の奥が強く疼いて、それを無視することなどもうできなくなっていた。
最低だ、と美咲は自己嫌悪に陥る。
今は部活中で、周りには部員もたくさんいて、それなのに、静を見ていただけではしたなく体が反応してしまうなんて。
今までこんなことはなかった。
静に変えられてしまった。
「おい」
「ひゃいっ」
突然横から声をかけられ、美咲は飛び上がった。
見ると、顧問が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「お前大丈夫か? 顔真っ赤だぞ」
「へっ、は、あっ……」
「熱があるのか? 体調は?」
「あっ、その、ちょっと、熱っぽいかもしれません……」
「だったら無理せず今日はもう帰れ」
顧問に促され、美咲はそそくさとその場から離れた。体調は全く問題ないのだが、このまま続けても集中できそうになかった。心配してくれる顧問には申し訳ないが、体調が悪いことにして帰らせてもらおう。
更衣室に入り、美咲は深く溜め息を吐き出した。
一人になっても、体の熱は引かない。
静に触られたわけでもないのに、こんな風になってしまうなんて。
美咲は下腹部を撫でる。
むずむずとしたこの疼きを抱えたまま家に帰らないといけないのだ。
時間が経てば、きっとその内治まるだろう。
とにかく、こんな状態で誰とも顔を合わせたくない。さっさと帰ってしまおうと着替えようとしたとき、更衣室のドアが開いた。
入ってきたのは静だった。
「ちょっ、な、なに入ってきてんだ、ここ、女子更衣室だぞ!?」
動揺する美咲とは反対に、静は狼狽えることもなく平然と室内に足を踏み入れ美咲に近づいてくる。
「先生からみさちゃんが具合悪くて帰るって聞いたから、家まで送ろうと思って」
静は美咲の正面で立ち止まり、じっとこちらを見つめてくる。
美咲はまともに顔を見られず、俯いた。
「あ、あたしなら、一人で大丈夫だから、静は部活に戻っても……」
「ねえ、みさちゃん」
静の指に顎を取られ、顔を上げさせられる。
屈んだ静の顔がすぐそこにあり、慌てて目を逸らした。
「な、な、なんだよ、もう着替えるから、早く出てけって……っ」
「なんでそんな顔してるの?」
「へっ? そ、そんな顔って、なんのこと……」
「今すぐエッチなことしたいっていう、いやらしい顔」
「はああ!? なっ、へ、変なこと言うな!」
思わず視線を向ければ、静は無表情だった。探るような目で、美咲を見下ろしている。
「ねえ、どうして?」
「し、してない、そんな顔!」
「してるよ。部活中にそんな顔するなんて、おかしいよね? もしかして、柔道部の誰かに欲情したの?」
「なっ、ばっ、そんっ……」
「みさちゃん、強い男が好きだもんね? ねえ、誰を見てそんな顔になったの? 部長?」
「ち、違っ……」
「まさか一人じゃないの? 男子部員全員とか言わないよね? それとも先生? このエッチで可愛い顔、先生に見せたんだよね? 先生に抱かれたかったの?」
静は低い声音で問い詰めてくる。その視線は本気だ。
とんでもない誤解を受けている。正直に話すのは恥ずかしいが、誤解されたままにはしておけない。
「ば、ば、ばかっ! そんなわけないだろ!」
「だって、じゃなきゃおかしいもん。こんなエッチな顔してるってことは、誰かに欲情したってことでしょ?」
自分でも認めたくないことを、どうして言葉にして言わなければならないのか。けれど言わなければ、静の誤解は解けそうにない。
美咲はこれ以上ないほど顔を赤くしながら、恥ずかしさを堪えて口を開いた。
「だ、だ、だからっ! 静っ、を、見てたんだよ……!」
「え……?」
静は僅かに目を見開く。
「静、が、乱取りしてるの、見てて、そ、それで……な、なんか、へ、変な感じに、なって……」
「僕を見て発情したの?」
「っも、だから、そういう恥ずかしいこと、言うなよ!」
わかりやすく静の機嫌が浮上する。顔には歓喜が滲んでいた。
喜びのままに、静が抱きついてくる。
「嬉しい、みさちゃん!!」
「ちょ、離れろって……っ」
「だって嬉しいんだもん! ずっと男として意識されてなかったのに、みさちゃんが僕を見て発情してくれるなんて……!」
ぐりぐりぐりぐり頬擦りされる。美咲は懸命に押し返そうとするが、全然離れない。それどころか、さわさわと体をまさぐってくる。
「ひっ、やっ、ばか! どこ触ってんだよ……っ」
「このままじゃ辛いよね? 一回スッキリした方がいいでしょ?」
「そ、そんな、なに言って……っ」
「こんなエッチな顔で外出歩くの? 嫌だよ。みさちゃんのエッチで可愛い顔、他の誰にも見せたくない」
すりすりと頬を指で擦られ、たったそれだけの行為にぞくぞくと背筋が震えてしまう。
体は勝手に期待してしまっているが、ここは学校なのだ。静に身を委ねることはできない。
「し、してないからっ……は、は、発情、とか……」
「ほんと?」
耳に熱い吐息をかけられ、びくんっと肩が跳ねた。
静の掌が、優しく下腹を摩る。
「んっ、やっ、やめっ……」
「こんなに顔真っ赤にして、発情してないの?」
「して、ない……っ」
「じゃあ、ここも濡れてない?」
「ひぁっ……」
布越しに秘所を撫でられる。
「発情してないなら、濡れてないよね?」
「っ、て、ない……っ」
掠れる声で主張すれば、うっそりと笑った静の指が帯をほどいた。続けて、下穿きを下ろされる。足元に帯と下穿きが落ちた。
「っあ……」
静の手が、するりとショーツの中に差し込まれる。止める間もなく、指が秘裂に辿り着く。くちゅりと、濡れた音がしっかりと耳に届いた。
「あっあっあんっ」
「こんなにくちゅくちゅにして、発情してないって言ってたの?」
「んあぁっ、だめ、だめっ、そこ触っちゃだめぇっ」
指の腹でぬるりと陰核を撫でられ、美咲は甘い声を上げてしまう。それでも、懸命に行為を止めようとした。
「だめっ、あっひぁっあっんんんっ、は、離して、んんっあっ」
「ここ、こんなぬるぬるにして外に出るの?」
「ひっうぅっ、だって、だめっ、んんっ、ここ、がっこ、だ、誰か、あっあっ、入ってきたら、あっあっんっんんっ」
「大丈夫だよ、部活が終わるまでまだ時間あるから」
美咲は見つかってしまうのではないかと気が気ではないのに、静はそんなこと気にする素振りもなく触れてくる。慣れた手付きで上衣をはだけ、インナーを捲り上げた。スポーツブラを上にずらし、乳房を露出する。
小さな膨らみに吸い付かれ、新たな蜜が秘所から漏れた。
「んゃっあっあっ、だめ、って、静っ」
「でも、中途半端なままほっとけないよ。みさちゃんを気持ちよくするだけだから。大丈夫だから、体から力抜いて、僕に任せて」
静は乳首を舌で転がしながら、クリトリスを指で挟んで扱く。
絶頂へと追い上げるために、的確に性感帯を責めてくる。
「んんんぁっ、だめっ、しずっ、あっだめ、静に触られたら、あっあっ、い、入れて、ほしくなる、我慢、できなくなるぅっ」
美咲は静にしがみつき、だからもうやめてと懇願したつもりだった。それが逆効果だと気づかずに。
「みさちゃんっ」
「んんっ、あっ、ふ、んんぅっ」
噛みつくようなキスをされ、差し込まれた舌に口の中をぐちゃぐちゃに掻き回される。
「んっ……はあっ、好き、大好き、みさちゃん、可愛い、なんでそんなに可愛いの……っ」
「やっ、あっ、かわいく、ない、からぁっ」
「可愛いよ。みさちゃんが可愛すぎるから、僕も、我慢できなくなっちゃう」
「んやぁっ」
ごりっと、固く膨らんだ股間を太股に押し付けられ、いやいやと首を振りながらも、美咲の膣孔からは涎を垂らすように蜜が溢れた。体が彼の欲望を欲しがって、きゅんと子宮が疼く。
静に体を反転させられ、美咲はロッカーに手をついた。ショーツをずり下ろされ、剥き出しにされた臀部に陰茎を擦り付けられる。彼の熱を直接感じ、美咲はびくりと震えて後ろへ顔を向けた。
「あっ、しずっ、静、だめ、がっこ、学校、だから……っ」
胎内は彼を求めているが、それを必死にこらえる。
「うん、入れない、入れないから、一緒に気持ちよくさせて……」
「あっ……」
脚の間に、静の欲望が捩じ込まれる。固く反り返ったそれに秘部を擦られ、痺れるような快感が全身を駆け抜けた。
後ろから抱き締められ、うなじに静の熱い吐息がかかる。
「はあっ……みさちゃんの太股、柔らかくて、気持ちいい……っ」
「ふぁっあっんっんっんっ」
「僕のおちんちん、みさちゃんのでもうぬるぬるだよ、ほら、ぐちゅぐちゅって」
「やぁっあっ、だめっ、んんっんんぁっ」
視線を落とせば、脚の間から覗く蜜に濡れた静のそれが目に入り、慌ててぎゅっと瞼を閉じた。
太股に挟まれた陰茎が、秘裂を擦り上げながら抜き差しを繰り返す。雁の部分でクリトリスを刺激され、美咲は口を塞いで嬌声を抑える。
前に回された静の両手が、ふにふにと胸を揉んだ。乳輪をむにっと摘まみ、飛び出した乳頭を爪の先でカリカリと優しく引っ掛かれる。
「んひぃんんっ、んっあっ、だめ、そんなに、気持ちよくしないでぇっ、んっんんっ、声、我慢、できないぃっ」
「はっ……可愛い、みさちゃん、僕も気持ちいいよ、あったかくて、ぬるぬるで、柔らかくて、でも、ここはコリコリしてて……」
「んっ、っ~~~~~~!」
硬い亀頭にクリトリスを押し潰すように刺激され、美咲は軽い絶頂に体を震わせる。
胎内が強く疼き、中を満たしてほしくて腰が動いてしまう。無意識に欲望を咥え込もうとすれば、静がそれを窘めた。
「ダメだよ、みさちゃん。いい子だから我慢して」
「やっ、んんっんっ、あっふぁんっ」
「いっぱい擦ってあげるから、一緒に気持ちよくなろうね」
「んふぅっんっ、はっんんっんっんーっ」
熱い楔にクリトリスと蜜口を強く擦られ、同時に乳首をくりくりと弄り回され、美咲は快感に背中を仰け反らせる。
漏れそうになる嬌声を必死に抑え、絶頂へと駆け上がっていった。
「ふ、んっんっんっ、ん~~~~~~っ」
ぶるぶると全身を震わせ、快楽に浸る。
ぬるんっと太股から陰茎が引き抜かれ、熱い体液が臀部に飛散した。尻臀の上を、粘液がぬるりと伝い落ちていくのを感じる。
「はあっ……みさちゃんの可愛いお尻に、僕の精液がかかってる……すっごくエロい、みさちゃんのお尻めちゃくちゃにしたいっ」
「アホなこと言ってないで早く拭けよっ」
背後で興奮に息を荒げる静に、ロッカーから取り出した未使用のタオルを押し付ける。
快感にぼやけていた正気を取り戻し、美咲は強い羞恥に襲われた。学校でなんてことをしてしまったのだ。
落ち込む美咲の臀部を、静がタオルで拭う。精液を拭き取り、それから脚の間にもタオルを滑らせた。
「ひゃっ、なっ、なにして……っ」
「だってみさちゃんのお股も拭かなきゃ。こんなぬるぬるにして帰るの?」
「あぁっあっあっあんっ」
「拭いてるだけなのに、そんなに可愛い声出しちゃうんだ?」
「んんっ、あっひぁっんっ」
「エッチで可愛いね、みさちゃん」
耳元で囁かれ、カッと頬に血が上る。
美咲がこんな風になったのは、静と付き合いはじめてからだ。静があんなことやそんなことを美咲にしたからだ。つまり、全部静が悪いのだ。美咲がこんな恥ずかしい思いをしているのは、全部全部静のせいなのだ。
そう考えると、静に対して沸々と怒りが込み上げてきた。
「全部静のせいだろ! もう静と、え、え、え、えっちなことしないから!」
「えええっ!?」
愕然として青ざめる静を更衣室から追い出した。
しかし結局、なんだかんだ静に甘い美咲はごめん許して嫌わないでと泣き縋る彼を一日も経たず許してしまうのだった。
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