恋するうさぎ

よしゆき

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環の場合

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 放課後。環は部活がはじまる時間まで教室で時間を潰した。サッカー部の部員やマネージャーと顔を合わせるのが気まずいからだ。部活が始まってしまえば、廊下で鉢合わせになることもないだろう。
 環は窓からグラウンドでサッカー部の練習がはじまったのを確認し、教室を出た。後ろめたい今の状況に自然と早足になりながら、廊下を歩く。

「環先輩!!」

 背後から聞こえてきた声に、ビクッと肩が跳ねた。
 今、一番聞きたくない声だった。一気に血の気が引いていく。冷や汗がどっと吹き出した。
 環は振り返ることなく、そのまま走りだした。全力疾走だ。

「ちょ、環先輩、待ってください!!」

 村上が追いかけてくる。
 環は必死だ。捕まれば死ぬ、という気持ちで廊下を走り抜ける。
 だかしかし、相手は男子。しかもサッカー部で脚力はしっかりと鍛えられている。環も足は速いほうだが、どうしたって敵わない。
 やがて追いつかれ、腕を掴まれる。

「やだ、放してよ……っ」
「駄目です、放したら逃げるでしょ」
「やだぁ……!!」

 環は泣きそうだ。
 嫌だ。村上の顔を見たくない。なにを言われるのか、想像しただけで足が竦む。怖い。
 村上は逃がすまいと、すぐ傍の空き教室に入った。腕を捕まれているので、環も中に引き入れられる。
 退路を塞ぐように、村上が閉じたドアの前に立つ。

「なんでここにいるの!? 部活はどうしたのよ!!」

 なんのために、部活がはじまるまで時間を潰したと思っているのだ。
 顔を背けたまま、環は怒りをぶつけるように声を荒げた。怖くて顔も見れないくせに、精一杯虚勢を張る。

「先輩を捜してたんですよ。マネージャー辞めるってどういうことですか!?」
「村上には関係ない!」
「関係あります! もしかして、昨日のことが原因ですか? 昨日はすみませんでした、俺……」
「なんで村上が謝るの! 謝るのはあたしの方でしょ……」
「先輩を、泣かせてしまいました……」
「あれは、村上のせいじゃないし……」
「……先輩、俺の顔を見てください」
「っ……やだ」
「お願いします、ちゃんと教えてください! 昨日の先輩、いつもと様子が違いました。しかもいきなりマネージャー辞めるなんて……。お願いですから、なにも言わずに逃げないでください……」

 村上は懇願するように言った。
 罪悪感に胸が痛む。
 確かに、逆の立場であれば環だって理由を話してもらわなければ納得できない。彼もきっと、環が話すまで諦めないだろう。
 ならば、全て打ち明けるしかない。彼にどう思われようと、もうマネージャーも辞めるのだ。この先、二度と彼に近づくつもりはないのだから。
 環は覚悟を決め、顔を上げた。

「マネージャーを辞めるのは、もう村上の傍にいられないから……」
「……俺のことが、嫌いだからですか?」
「違う。好きだから、傍にいちゃダメなの……」
「……好き? 先輩が? 俺を?」

 信じられない、という顔で村上は環を見つめる。
 それはそうだろう。彼の告白を今まで適当にあしらってきたのだから。

「あたし、兎の血が流れてるの……」
「は……?」

 村上はぽかんと口を開ける。
 こんな突拍子もない話を信じてもらうには、証拠を見せるしかない。
 環は村上を意識するようになってから、学校では常につけていたヘアバンドを外す。
 軽く深呼吸をし、環は村上の手に触れた。

「先輩……?」

 拒まれなかったことに安堵しつつ、きゅっと手を握る。
 男らしい、彼の手の感触。自分よりも大きな彼の手。彼の温もりが伝わってくる。
 たったそれだけのことで、環はいとも容易く発情する。同時に、頭からぴょこんと兎耳が生えた。

「え……!?」

 驚愕に、村上は目を見開く。
 環は素早く手を離し、彼から距離を置いた。昨日のように理性を失くし、襲いかかってしまうわけにはいかない。

「兎の血が流れてるせいで、今みたいに……す、好きな人に少し触っただけで、すぐに……は、発情……しちゃうの……。この耳は、発情すると生えるから、普段はヘアバンドで押さえてて……」
「…………」

 村上はなにも言わず、環の兎耳を凝視している。
 彼がなにを考えているのか、想像すると怖くて今すぐにでも逃げ出しそうになる。

「き、昨日も……その、発情、して……あんなことになっちゃって……。ご、ごめんなさい……。このままマネージャーをつづけてたら、また同じようなことしちゃうかもしれないの。だから、マネージャーを辞めるのは、全然、村上のせいじゃないから……」
「…………」

 村上はなにも言わないが、きっと心の中では環のことを淫乱な女だと軽蔑しているに違いない。

「ご、ごめんね、村上が好きって言ってくれたのに……こんな女でがっかりしたでしょ……。もう、村上には近づかないから……ほ、ほんとに、ごめ……っ」
「環先輩!!」
「ひっ……!?」

 叫ぶように名前を呼び、村上が両手で肩を掴んでくる。
 彼の表情は怖いくらいに真剣で、環は泣きそうになった。
 怒っているのだろう。どんな言葉で罵倒されるのか、考えると体が震えた。

「つまり昨日のアレは、環先輩が俺のことを好きで、俺のTシャツの匂いを嗅いで発情して、発情しているときに俺が現れたから、あんな風にキスしようとしてきたんですね?」

 そんな恥ずかしいことを、事細かに確認しないでほしい。
 Tシャツの匂いを嗅いでいたという変態行為がバレているのも辛い。
 環は顔を真っ赤に染め、涙目になりながら頷いた。

「う、うん……」
「環先輩!!」
「きゃあ……!?」

 突然押し倒され、悲鳴を上げる。

「な、なに……!?」
「嬉しいです、先輩も俺のこと好きだったんですね!!」
「え、いや、そうだけど……」
「それなら、もっと早く言ってくれればよかったのに!! 何回告白しても全然相手にしてくれないから、俺、悲しかったんですよ」
「そ、それは……ごめん……?」
「いえ、もういいんです。こうしてちゃんと先輩の気持ちを聞けましたし、これで俺と先輩は恋人同士になれたわけですから!!」
「…………」

 村上は頬を紅潮させ、満面の笑顔を浮かべていた。
 なんだか、思っていた反応と違う。突拍子もない話だったから、きちんと伝わらなかったのだろうか。

「村上、あたしの話、聞いてた?」
「もちろんです!! まさか先輩も俺のことが好きで、しかも俺相手に発情してたなんて……!!」
 
 なぜ彼が嬉しそうなのかがわからない。
 あと、発情発情繰り返すのはやめてほしい。
 とりあえず今は、環の体質について彼にきちんと理解してもらうことが先決だ。

「あ、あのね……あたし、村上の恋人にはなれないよ……」
「どうしてですか!?」
「だからね、すぐに……は、発情しちゃうから……」
「俺か好きだから?」
「う、うん……」
「嬉しいです、先輩!」

 感極まったように抱きついてくる。環は慌ててそれを引き剥がした。
 こんなに近づかれたら、理性を失くしてしまう。正直、体はもう反応しているのだ。彼の声を聞き、触れられ、視線を感じるだけで子宮が疼いてトロリと蜜が溢れだす。すでに下着まで濡れてしまっている状態だ。そんなことは、彼には絶対知られたくない。
 だから早く離れてほしいのに、どうしてうまく伝えられないのだろう。

「は、発情しちゃうから! だから、村上とは付き合えないんだってば! 発情して、理性失くしちゃうの! 昨日みたいに! 村上だって嫌でしょ、すぐ発情する女なんて!」

 自分でも発情発情言っちゃってるな……と頭の片隅で恥ずかしく思いながら、その恥ずかしさを誤魔化すように環は声を荒げた。
 村上はきょとんとした顔で環を見下ろす。

「え、嫌じゃないですよ?」
「嘘つかなくていいよ。昨日だって、嫌だったんでしょ」
「違いますよ! 嫌だったわけじゃなくて、理由がわからなかったから……先輩は俺のこと好きじゃないって思ってたし。やっぱりああいうことは、両思いになってからしたいですし」

 嫌だったからキスを拒絶したわけではない、と彼は懸命に主張する。
 拒まれてショックだった環は、それを聞いて安堵する。

「先輩が俺のことが好きで発情してくれるなら、嫌だなんて思いませんよ! 寧ろめちゃくちゃ嬉しいです! すげえ興奮します!!」
「ちょ、ま、ま、お、落ち着いて……っ」

 言葉通り興奮した様子で、村上は抱き締めてこようとする。
 この体質を知って嫌わないでいてくれるのは嬉しいが、これ以上の接触は本当にまずい。なにせここは学校なのだ。とりあえず一旦離れて気持ちを落ち着けたいのに、村上は逆に接近したくて仕方がないようだ。
 抱き締められそうになり、焦った環は思わず足が出てしまう。

「ダメだってば!!」

 右足で村上の胸元を押し、渾身の力で引き剥がす。
 環は今、床に押し倒されている状態だ。そんな体勢で足を上げれば、当然スカートが捲れる。そしてパンツが丸見えになる。丸見えになったパンツは、しっかりと村上の視界に捉えられる。
 村上の目がカッと見開いた。

「濡れてる……」

 呆然としたような呟きが耳に届き、環は慌てて足を下ろそうとする。

「み、見ちゃダメ!!」

 村上は環の願いを聞き入れず、足首を掴んで露になったそこを凝視する。
 恥ずかしい箇所に彼の熱っぽい視線を注がれ、環の体は更に煽られる。見られているだけで、止めどなく蜜が溢れた。

「や……、見ないで……」
 
 羞恥で顔を真っ赤に染め、逆効果だとも知らずに環は哀願する。
 瞳を潤ませ、完全に発情している火照った顔で見つめられ、当然村上は止まれなくなった。

「環先輩……っ」
「んんぅ……!?」

 いきなり覆い被さってきた村上が、激しく唇を合わせてきた。
 突然のことに、なにをされているのかすぐに理解できなかった。
 角度を変えて何度も唇を押しつけられ、食べ物のように唇を食まれ、舐められ、漸くキスをされているのだと気づいた。気づいた瞬間、ゾワゾワっと快感が背筋を走り抜けた。
 徐々に理性が崩れ、村上のことしか考えられなくなる。
 彼が欲しくて、きゅうぅっと子宮が疼いた。
 離れたくない。もっと触れてほしくて、両手で彼にしがみつく。

「はっ……先輩、可愛い……」

 キスの合間に囁かれ、その甘い声音に更に欲情する。
 無意識に、環は自分の体を彼に擦り付けた。

「村上、村上……っ」
「ああ、たまんねぇ……」

 蕩けた表情で見上げれば、興奮したように口内に舌を捩じ込まれた。環はそれを喜んで受け入れる。
 舌が絡み、吸われ、口元が唾液でべとべとになるほど蹂躙された。一切の抵抗もせず、環はされるがままだ。それどころか、体はもっともっとと彼を求めている。
 
「ねぇ、環先輩」
「んん……?」
「この耳って……」

 顔を離したとき、ふと気づいたように村上が環の頭に手を伸ばしてくる。正確には、環の頭に生えた兎耳に。
 彼の指が兎耳を撫でた瞬間、環の体はびくりと反応した。

「ひんっ」
「ああ、ちゃんと感覚あるんですね」
「あっあっ、あぁんっ」
「先輩、可愛い……気持ちいいんですか?」

 兎耳の内側を撫でたり外側を摩ったりされ、環は甘い声を上げた。ピクピクする兎耳を両方撫で摩られ、陶酔したような表情で腰をくねらせる。

「やぁっ、きもちい、気持ちいいの、あんっ、村上ぃ……っ」
「先輩、可愛い、すげえ可愛い……。ごめん、先輩、もう止まんない」

 兎耳から手を離した村上は、ブレザーを脱ぎ、それを持ち上げた環の背中の下に敷く。

「先輩、環先輩……っ」

 切羽詰まった手つきで制服を捲り上げられ、ブラジャーをずらされる。ぷるっと二つの膨らみが村上の眼前に晒された。触られてもいないのに、乳首は既にぷっくりと尖っていた。

「先輩……先輩のおっぱい……っ」
「ひゃん……!!」

 欲情した村上が、そこにむしゃぶりついてくる。
 なけなしの理性が、環に口を塞がせた。両手で口を塞ぎ、はしたない喘ぎ声を必死に抑える。

「ふぅん……っ、んん、んぁあ……っ」

 ぺちゃぺちゃと乳首を舐めしゃぶられ、もう片方は指で摘ままれ押し潰される。
 強い快感に、環は背を反らせて身悶えた。
 形が変わるほど乳房を揉みしだき、彼は夢中になってそこへの愛撫を繰り返す。他でもない村上に触れられているのだという事実に、環の体は歓喜した。
 思う様乳房を嬲り、漸く彼はそこから顔を離した。
 村上の手が、スカートが捲れたままの下半身に伸ばされる。
 胸への刺激で漏れつづけた愛液はショーツからも溢れ、下肢はぐっしょりと濡れそぼっていた。
 恥ずかしくて堪らないのに、早くそこに触れてほしくて、期待に腰が震えた。
 彼の大きな手が、太股を撫でる。

「ふぁっ……」

 無意識に、誘うように脚を開いてしまう。くちゃりと濡れた音が耳に届き、羞恥に襲われた。自分のはしたなさに泣きそうになるが、それでも脚を閉じようとはしなかった。羞恥心を上回り、体が村上を求めている。
 差し出すように曝け出されたそこに、情欲の滲む彼の視線が注がれる。
 
「すげえ濡れてる……ぐちょぐちょ……先輩のまんこ……」

 村上の息が荒い。頬も赤く、彼の興奮が伝わってくる。そうすると、環もまた高ぶってしまい、見られるだけでは我慢できなくなった。
 もじもじと腰を揺すり、彼にねだる。

「村上……お願い……」
「っ……先輩、エロすぎ……。エロくて可愛くて、俺も我慢できない……っ」

 村上の手でショーツが脱がされる。
 びしょ濡れになった秘所が露になり、村上は迷わずそこへ手を伸ばした。

「すげ……熱くて、ぬるぬる……」
「ひぅ……っ」

 割れ目を辿り、愛液を纏った指がクリトリスに触れる。軽く撫でられただけで、快感が全身を走り抜けた。

「んひっ……、め、だめ、そこ、だめぇ……っ」
「だめ? でも、すごい気持ちよさそうに腰振ってるよ。ここもコリコリして、中からもいっぱいトロトロが溢れてきてる」
「らめ、なの……気持ち、よすぎて……あぁっ……いっちゃ……いっちゃうの……!」
「イッていいよ、環先輩のイクときの顔見せて」
「やらぁ……、あっ、だめ、いく、もういくからぁ……っ」

 涙と涎でべとべとの顔に、村上の強い視線を感じる。みっともない顔を見られたくない。恥ずかしいが、今の環にとっては
羞恥心さえ快楽に掏り替わる。
 クリトリスを押し潰すように擦られれば、容易く絶頂を迎えた。
 
「んんっ、んーっ……!!」

 ガクガクと腰を揺らしながら、上がりそうになる悲鳴を辛うじて堪えた。
 陶然とした表情を浮かべる環を見下ろし、村上はゴクリと喉を鳴らす。

「先輩……環先輩、可愛い……」

 譫言のように呟いて、彼は環の太股を撫で回す。

「もっと、先輩を気持ちよくしたいです」

 言って、ペロリと秘所を舐め上げる。

「ひぁッ…」

 溢れすぎた蜜を舐めとるように、村上は何度も何度も舌を這わせる。舐めても舐めても蜜は絶えず零れつづけた。
 
「あんっ、だめ、だめ、汚いの……やぁッ……汚いから、だめぇ……!」
「大丈夫です、汚くないです、すごく美味しいです」
「やあぁ……っ」

 じゅるじゅると愛液を舐め啜られ、環は髪を振り乱して悶えた。
 花弁を往復していた舌が、やがて蜜口に差し込まれる。

「あうぅっ……」

 村上は環の秘所に顔を埋め、舌を出し入れする。体の内側まで舐め回される感覚に、ゾクゾクと肌が粟立った。
 舌が抜かれれば、今度は指を挿入される。蕩けきった入り口は、抵抗もなくそれを受け入れた。

「アンッ……」
「先輩、痛くないですか?」
「ん、大丈夫……」

 頷けば、指が慎重に動きだす。
 村上の、太くて長くて男らしい指が自分の膣内を動き回っているのだと思うと、どうしようもなく興奮した。

「あッ……指、村上の指が、あたしの中、ぐちゅぐちゅしてる……っ」
「っ……先輩、あんまりイヤらしいこと言わないでください。すぐにでも突っ込みたくなります……」
「だって、だってぇ……村上の指、気持ちいい……!」
「くっ……、先輩、痛かったら言ってくださいよっ」

 僅かに声を荒げ、村上は二本目の指を差し入れる。圧迫感は増したが、痛みはない。
 二本の指が解すように中を掻き回す。三本目が挿入され、多少の痛みは感じたが、それもすぐに快感に変わった。
 指が内部を広げ、襞を擦り上げる。その感覚に膣内は悦び、吸い付くように指を締め付ける。指は根本まで入り、何度も出し入れを繰り返している。
 気持ちよさに戦慄きながら、環は物足りなさを感じていた。
 指では足りない。指では届かない。体はずっと疼いたまま、ただ一つを求めていた。それがなにかはわかっている。それが与えられなければ、この疼きは治まらない。
 環はそれを求め、村上に手を伸ばした。

「村上……もう、お願い……」
「先輩……」
「村上が、ほしいの……お腹の奥、ずっとむずむずして……お願い、ちょうだい……」
「先輩、煽るようなこと言わないでくださいってば……。優しくしたいんです……」

 言いながら、村上は乱暴にベルトを外す。ズボンのジッパーを下ろし、下着の中からぺニスを取り出した。
 それは既に、熱を持って反り返っていた。大きく、太い肉棒がビクビクと脈打っている。
 はじめて目にする男性器は限界まで張り詰め、まるで凶器のようだ。
 しかし環は怯えることなくそれを見つめた。恐怖はなく、それどころか蜜口からは早くとねだるように体液がまた零れた。

「先輩は……また、そんな……っ、物欲しそうな顔で見ないでくださいよ……」
「だって……」
「わかりました、入れますよ、入れますからっ」
「早く、入れてぇ……っ」
「ったく、もう……!」

 ピタリと先端を押しつけられる。それだけで、蜜壺が期待に蠢いた。

「ふあぁ……」
「ゆっくり……入れますから……っ」

 息を荒げながら、村上は腰を進める。
 花弁を広げ、言葉通りゆっくりと中に入ってくる。膣襞がジリジリと陰茎に擦られる感触に、環は声を上げて悦んだ。

「あぁっ、入ってる、村上のが、入ってくるぅ……っ」
「せんぱ、ちょ、う、動かないで……」
「ほしいの、奥まで、村上でいっぱいにしてほしいの……」
「ぅあっ……くっ……環先輩……っ」

 奥に迎え入れたくて腰を動かせば、耐え切れなかったように村上が楔を打ち付けてきた。
 
「んあぁ……!」

 思わず悲鳴が上がる。
 一番奥まで彼を受け入れ、中がじんじんと痛んだ。
 確かに痛みはあるし、体の内側を圧迫されて苦しい。それでも受け入れたものを抜いてほしいとは微塵も思わなかった。それどころか、膣内いっぱいに彼を感じられることが嬉しかった。
 喜びを表すように、襞が陰茎に絡みつく。
 村上は荒い呼吸を繰り返し、必死に自分の欲望を堪えようとしている様子だ。

「はあっ……、優しく、したいのに……っ」
「村上、大丈夫、だから……」
「先輩……」

 顔を近づけた村上に頬擦りされ、胸がきゅんと締め付けられた。彼への思いが溢れて零れだす。それはそのまま性欲に直結した。

「村上、好き、好きなの、大好き、ずっとこうしたかったの、お願い、いっぱいして、あたしの中、村上でいっぱいにしてぇ……っ」
「先輩……!」

 ずんっと子宮口を突き上げられる。

「ひッ……!」

 あられもなく矯声を上げそうになり、寸でのところで口を押さえた。

「環、環……っ」

 余裕のない様子で、村上は何度も膣穴を穿った。
 額に汗を浮かべ、情欲を孕んだ双眸で乱れる環の痴態を目に焼き付けるかのように見つめている。
 その姿に凄絶な色気を感じ、ゾクゾクと環の背筋が震えた。同時に、きゅうきゅうと内壁が肉棒を絞り上げる。
 途端に、村上の動きが止まった。彼はぐっと歯を食い縛り、辛そうに眉根を寄せる。
 その表情も色っぽくて、ドキドキした。環の感情につられて、また蜜壺がきゅっと締まる。

「はあっ……はあ……、お願い、先輩、そんなにされるともうホントにヤバいんです、ガツガツしてすぐにでも出ちゃいそうなんです」
「いいよ、して、あたしの体、村上の好きなようにして」
 
 彼の余裕のなさを感じると、それだけ強く求められている気がして嬉しいのだ。
 村上は、深く長く息を吐く。

「もう……なんでそんな可愛いことばっかり言うんですか」
「ごめん、嫌だった……?」

 理性の箍が外れているせいで、思ったことをそのまま口に出してしまう。
 今更だが、もしかして自分は物凄くはしたないことを言っているのだろうか。
 不安になる環に、村上はゾクリとするような淫靡な笑みを浮かべる。

「ううん、すごく嬉しいです。すごく興奮します。ほんとはもっとエロいこと言ってほしいし、言わせたいって思ってます」

 指で唇を撫でられながらそんなことを言われると、環の体はすぐに反応してしまう。
 肉襞の締め付けに、村上は息を詰めた。快感の波をやり過ごし、彼はつづける。

「っ……俺は、自分だけじゃなくて、環先輩にも気持ちよくなってほしいんです……。でも、興奮し過ぎちゃうと自分本意に動いてしまうわけで……これは俺の経験不足が原因で、環先輩は悪くないんです、ごめんなさい……」
「ううん……あたしも、嬉しくてなにも考えずに勝手なこと言っちゃって……。村上は、あたしの為に優しくしてくれようとしてるのに、ごめんね……」

 両手を彼に伸ばし、環は微笑む。

「あのね、また変なこと言っちゃうかもしれないから、あの……キスしてくれる……?」

 はにかみながら伝えると、村上は嬉しそうに微笑んだ。

「もちろん」

 上体を倒し、口づけてくれる。環は彼の首に腕を回してしがみついた。
 キスをしたまま、村上はゆっくりと腰を動かした。

「んんぅ……んはっ……ぁんん……」
「はぁっ……ん……先輩……好きです……」

 舌を絡めながら、村上が囁いた。
 彼の陰茎は、緩やかな動きで膣内全体を擦り上げる。
 自分の中が彼で埋め尽くされているような感覚は、これ以上ないほどに環を喜ばせた。

「んッ……んんぁ……!」

 中の刺激に酔い痴れていたが、いつの間にか下肢に伸ばされていた村上の指でクリトリスを擦られ、ビクビクッと両足が跳ねた。
 膣内を突かれるのとはまた別の快楽に、環はよがった。
 快感に身を震わせれば、重なりあった上半身も刺激される。剥き出しの乳房が村上のワイシャツに擦れ、尖りっぱなしの乳首が胸板で押し潰される。
 全身を愛撫されているような感覚に、環は酩酊した。
 脈打つ肉棒を包み込んだ蜜壺が、催促するかのように蠕動する。
 僅かに、村上は腰の動きが速めた。

「っく……は、先輩、俺、もう出そう……っ」
「あんっ、出して、このまま出してぇ……」

 環は足を村上の腰に絡めた。ぐっと二人の下肢が密着する。

「ちょ、先輩、足、離して……はっ、くぅ……もぉ、もたないって……っ」
「出して、村上のせーえき、あたしの中に出してぇ……っ」

 発情した体は、子種を求めていた。
 腕と足の両方の力で、離すまいと村上の体にしがみつく。

「うぁっ、出る、せんぱ……く、うう……!」
「ああっ……」

 呻き声を上げ、村上は達した。
 子宮口に熱い体液を浴び、環もまた絶頂を迎える。

「ひはぁ……出てるぅ、村上のせーえき……」

 与えられた体液を味わうように、膣内が蠢いていた。求めていたもので満たされ、身も心も幸せに包まれる。

「嬉しい……むらかみ、大好き……」

 とろんとした顔で微笑むと、村上は真っ赤になる。そして「俺も好きです」と言ってくれた。
 体から力が抜け、しがみついていた腕と足がほどける。村上は慎重に動き、ぺニスを引き抜いた。
 開いた膣口から精液が零れてしまうのをもったいなく思いながら、環はぼんやりと余韻に浸る。
 村上は環の衣服を整えてから、真剣な面持ちで言った。

「環先輩、俺、責任取りますから」
「……え?」
「絶対、先輩のこと幸せにしますね!」

 上体を起こした環に、ぎゅうっと抱きついてくる。
 そういえば、発情はするが結婚するまで妊娠することはないのだと説明していなかった。なぜかと訊かれると体質だと答えるしかないのだが、発情するくせに、未婚のままでは子供ができない。少なくとも、今まで兎の血を引く親族一同誰一人未婚で妊娠した者はいない。だから、そういう体質なのだろう、ということになっている。
 ちゃんと説明しなくては……と思いつつ、まだ頭の中がほわほわしている環はなにも言わず村上の首筋に顔を埋めた。
 彼に抱き締められる感触が心地よくて、うっとりと目を閉じる。
 まあ別に、今すぐ説明しなくてもいいだろう。
 だって、恋人になった二人には、いくらでも時間があるのだから。
 
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