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しおりを挟むだがしかし、それからユリウスは毎晩マリナの部屋で過ごすようになった。同じベッドで横になり、ユリウスに見守られながら眠りに就き、目を覚ますとユリウスが隣にいる。
もうすっかり回復したというのに、ユリウスの過保護が酷い。風呂も食事も着替えも、全部彼に世話をされる。大丈夫だと言っているのに聞いてくれない。過保護を通り越して介護のようだ。
いくらシスコンだからってやり過ぎである。
そもそも、サシャがいるのだ。心配ならば彼女にマリナの世話を任せればいいのに、ユリウスは決してそうしようとしない。もうサシャがマリナの部屋に現れることなど殆どなかった。
気になるのはそれだけではない。しっかり療養して肌艶もよくなり元気を取り戻したマリナとは反対に、ユリウスは日に日に憔悴していくのだ。目の下には隈が浮かび、眠れていないだろうことが窺える。
マリナの寝相が悪いのではないか。寝言や歯軋りがうるさいのではないか。そのせいで熟睡できないのではないか。そう思った。
しかしユリウスに尋ねても、そんなことはないと否定される。自分の部屋で寝てくださいと頼んでも、マリナが心配だからと言って聞かない。もう心配することなどないというのに。寧ろユリウスの方が心配だ。食欲も落ちているようなのだ。
そこでマリナはユリウスの為にクッキーを焼くことにした。
また食べたいと言っていたし、マリナが一人でクッキーを作れば、もう心配する必要などないほど回復していると伝わるのではないかと考えた。
ユリウスを喜ばせたかった。元気付けたかった。
デニスに頼んでまた厨房を使わせてもらう。今回も、デニスに見守られながらクッキーを作った。
「上手に焼けましたね」
「はい。デニス、よかったら少し食べてみてもらえる?」
今度こそデニスに味見をしてもらおうと手を伸ばしたとき、マリナは誤って鉄板に触れてしまった。
「あっ……」
「お嬢様……!」
咄嗟に手を引くが、鉄板に触れた指先はじんじんと痛んだ。
デニスに腕を取られ、水道の前に連れていかれる。
背後に立つデニスが水を出し、マリナの指を冷やしてくれた。
「ありがとう、デニス。ごめんなさい……気を付けてって言われたのに、私……」
後ろに顔を向け、マリナは謝った。
しょんぼり肩を落とすマリナに、デニスは緩く首を振る。
「いいえ。少し赤くなってはいますが、大丈夫そうですね」
「ええ、ほんのちょっと触れてしまっただけだから」
掠めたくらいなので、火傷には至らなかったようだ。
そのまま指を冷やしていると、
「なにしてるの?」
突然後ろから冷ややかな声が聞こえ、マリナとデニスは同時に飛び上がった。
まるで浮気現場を目撃されたかのように動揺し、マリナとデニスは慌てて離れる。
振り返るとユリウスが立っていて、前もこんなことがあったなと思い出す。昔を懐かしむ余裕もなく、ユリウスが笑顔を浮かべて近づいてくる。穏やかな笑みを浮かべているのに、目は全然笑っているように見えなかった。
「おお、お義兄さま、どうしてここに……!?」
「それより、ねえ、今、なにしてたの?」
「そ、それは、その……」
おろおろしてなにも言えないマリナに代わり、デニスが答えた。
「お嬢様が鉄板に触れてしまったので、指を冷やしておりました」
ユリウスがハッと目を瞠り、マリナの手を取る。
「マリナ、火傷したの!?」
「い、いいえ、すぐにデニスが冷やしてくれたので、大丈夫です」
「申し訳ございません、私がついていながら……」
デニスがユリウスに向かって頭を深く下げる。
そんな言い方をしたら、デニスが咎められてしまう。マリナは慌てて口を挟んだ。
「違うの! デニスはなにも悪くありません、私の不注意です!」
マリナは必死に、デニスはなにも悪くないのだと訴える。
ユリウスは宥めるようにマリナの頭を撫でた。
「わかったよ、マリナ。だから落ち着いて」
「はい、すみません……」
「それで、どうしてマリナはここにいるの?」
「あの……クッキーを……お義兄さまに差し上げようと思って……」
「また僕の為に焼いてくれたの?」
ユリウスの顔に嬉しそうな笑顔が浮かび、マリナはほっと肩の力を抜く。
「は、はいっ。お義兄さまが、食べたいとおっしゃってくださったので」
「嬉しいよ、ありがとう」
「あの、デニスも少しもらってくれる? お礼にならないかもしれないけど、あなたにも食べてほしくて……」
そう言ってデニスに顔を向けると、彼は怯えるように肩を震わせた。
「え、わ、私に、ですか? でも、ユリウス様の為に作ったものを、私がいただくわけには……」
「遠慮しなくていいんだよ、デニス。マリナが折角こう言ってるわけだし」
ユリウスがにっこり爽やかに微笑みデニスに言う。
デニスはまるで圧をかけられているかのようにじりじりと後退する。
「いい、いいえ! とんでもございません! マリナお嬢様がユリウス様の為に作ったものですから! どうか、全部ユリウス様が召し上がってください!」
デニスは何故か脅迫されているかのように蒼白になっている。これ以上無理にすすめるのは可哀想なくらい震えている。
「そうですか……」
残念だが、マリナはデニスに食べてもらうのを諦めた。
クッキーを皿に盛り付け、ユリウスと共にマリナの部屋へ移動する。ユリウスはソファに座り、マリナは彼の膝の上に座らされる。
「食べさせて、マリナ」
幼い頃は、膝に座って食べさせ合うのも今だけの特権だと思ってめいいっぱい甘えていた。予想では、もうとっくにこんな風に甘えることはできなくなっていたはずなのに。まさかこの歳になっても続けられるとは想像もしていなかった。
マリナはクッキーを手に取り、ユリウスの口へ運んだ。
「うん、すごく美味しいよ。ありがとう、マリナ」
蕩けるような笑顔で見つめられ、作ってよかったと思った。
「お義兄さまの為なら、私いつでも何度でも作りますから!」
「ふふ、嬉しいよ、ありがとう」
こんなことで喜んでもらえるのなら、何枚だってクッキーを焼き続ける。
だから早く元気になってと、マリナは心から願った。
その夜。マリナはふと眠りから覚めた。
身動ぎ、ぼんやり瞼を開くと、こちらを見つめるユリウスと目が合った。
「お義兄、さま……?」
彼はマリナが眠りに就く前と全く同じ体勢でじっとこちらを見ていた。
まさか、と思う。
「お義兄さま、寝ていないのですか……?」
マリナの寝相のせいで眠れないとかではなく、そもそも彼は眠ろうとしていないのではないか。その可能性に思い至る。
マリナは見開いた瞳でユリウスを見つめ返し、呆然と呟く。
「どうして……」
ユリウスの手が、マリナの頬に触れた。優しく慈しむような手つきで撫でながら、ユリウスはおもむろに口を開く。
「眠るのが怖いんだ」
「怖い……?」
「うん。眠ると、夢を見る。マリナが毒で苦しんで、熱にうなされてる夢」
「っ…………」
「マリナが助けてって僕に手を伸ばすのに、僕はなにもできなくて、ただマリナを見ていることしかできなくて……」
部屋の中は暗くて、ユリウスの顔がよく見えない。けれど彼の声は、悲痛に震えていた。
「自分が見ているのが夢なのか現実なのかわからなくなって……こうしてマリナの元気な姿を見ても、もしかしてこっちが夢で、現実のマリナはまだ毒に侵されて苦しんでるんじゃないかって思うようになって……眠って、目を覚ましたら、マリナが熱にうなされてるかもしれないって思うと、怖くて眠れない……眠りたくないんだ」
「お義兄さま……」
まさか、ユリウスがこんな辛い思いをしていたなんて知らなかった。気づけなかった。
もうマリナにとっては過ぎたことで、いつまでも引き摺るユリウスを大袈裟に心配し過ぎだと感じていた。ユリウスの気持ちも考えずに。
彼が、こんなに苦しんでいたなんて。
なにも知らず、元気付けたいだなんて、浅はかなことを考えていた。
ユリウスの苦しみも知らないくせに。
胸が痛んで、涙が込み上げる。泣いてもどうしようもないのに、こらえようとしてもぽろりと零れてしまう。
「泣かないで、マリナ」
頬を撫でるユリウスの指が涙を拭う。
マリナは彼の手に自分の手を重ねた。
「ごめんなさい、お義兄さま……」
「マリナが謝ることなんてなにもないよ」
ユリウスの優しい声音に、また涙が溢れる。
どうすればいいのだろう。彼の為になにができるのだろう。
「お義兄さま、私、どうしたらいいですか……?」
ぎゅっと、ユリウスの指を握る。
「お義兄さまが安心して眠れるようになるなら、私、なんでもします……。私にできることがあるのなら、お義兄さまが望むこと、なんでもします……。お義兄さまの気の済むまで、なんでも、お義兄さまの好きにしていただいて構いません……」
ユリウスがそれで安心できるのなら、着替えも食事も風呂も、いくらでも世話をしてもらう。
「私は、どうしたらいいですか?」
「……ほんとに、なんでもしてくれるの?」
「っはい、お義兄さまが望むなら、なんでもします……!」
「そう……。嬉しいよ、マリナ」
ぐっと顔が近づき、ユリウスの表情がしっかりと見えた。
恍惚とした笑みを浮かべるユリウスの唇が、マリナのそれに重なる。
ちゅっと唇を啄まれ、キスをされているのだと理解した。
マリナは慌てて顔を背ける。
「お義兄さまっ? どうして、こんな……」
「どうしたの、マリナ。なんでもしてくれるんじゃなかったの?」
ユリウスの指がマリナの唇をなぞる。
彼の暗い瞳に見つめられ、マリナは動けなくなった。
なんでもすると、自分で言ったのだ。
それなのに拒むのかと、ユリウスの双眸が言っている。
なんでもするなんて言わなければ、こんなことにはならなかった。
でも、マリナは言ってしまったのだ。
今さらそれを覆すことなどできない。
事実、マリナは彼の為にならなんだってできる。
「お、義兄さまが、望むなら……」
「望むよ、マリナ。だからマリナを僕にちょうだい」
「んっ……」
再び重ねられた唇を、今度は拒まなかった。
ユリウスの唇に、柔らかく唇を食まれる。彼の柔らかい唇の感触を感じ、心臓が痛いほどにバクバクと脈打つ。
こんなこと、駄目なのに。ユリウスは義兄で、マリナは義妹で、二人は家族なのだ。家族がこんなことをしてはいけないのに。
「んっ……ふぁっ……」
込み上げる背徳感に目を瞑り、マリナはキスを受け入れる。舌を差し込まれても、おとなしく身を委ねた。
くちゅくちゅと、舌が動くたびに濡れた音が聞こえる。彼に口の中を舐められているのだと思うと堪らなく恥ずかしくて、そしてぞくぞくするような感覚が背筋を這い上がってくる。
「マリナ、舌を出してごらん」
「ん……」
ユリウスの言葉に従って、マリナはそろそろと舌を伸ばした。
口を開けて舌を差し出すマリナのはしたない顔をうっとりと見つめながら、ユリウスがぬるぬると舌を擦り合わせる。
見つめ合ったまま舌と舌を絡ませる、その淫靡な行為にくらくらと目眩を感じるほどの羞恥を覚えた。
ユリウスの唾液が舌を伝って流れてくる。自分のものと混ざり合ったそれを、マリナは音を立てて飲み込んだ。
ユリウスは優しく目を細め、褒めるようにマリナの頭を撫でた。
恥ずかしくて身を縮めるマリナの体から、ユリウスは夜着を脱がせていく。
もう恥ずかしくていっぱいいっぱいなのに、もっと恥ずかしいことをされてしまう。
けれど抵抗はできず、マリナはすっかり裸にされてしまった。
「お義兄さま……」
「うん、大丈夫だよ」
震える声で名前を呼べば、すぐに抱き締めてくれる。マリナに触れる彼の手は優しくて、それはいつもと変わらなくて、少しだけ安心できた。
ちゅっちゅっと頬に口づけながら、ユリウスの手がマリナの胸元に触れる。
「あっ……」
反射的に身を捩ってしまう。
ぴたりとユリウスの手が止まった。
「嫌?」
間近からじっと見下ろされ、マリナは首を横に振る。
「っ、嫌じゃない、です……」
「ほんと? 嫌ならそう言ってね。マリナの嫌がることはしたくないから」
ユリウスにされて嫌なことなどない。ただ、してはいけないことをしてしまっているという意識がどうしても消えないのだ。
けれど、ユリウスが望むことは全て受け入れたかった。自分でなんでもすると言ったくせに、嫌がっていると思われたくない。
「嫌じゃないです……でも、はじめてだから、恥ずかしくて……」
「可愛いね、マリナ。マリナのはじめて、僕に全部ちょうだい」
「は、はい……」
ユリウスの唇が、肌の上を這う。ぞくぞくして、体が震えた。どんどん息が上がり、体温も上昇していく。
「はっ、ぁんっ」
ぬるりとした感触が胸に触れた。ユリウスに胸を舐められている。意識すると恥ずかしくて泣きたくなった。
恥ずかしいけれど、ぬるぬるとした感触が触れると気持ちよくて、甘い吐息が口から漏れる。
「はぅんっ」
ぱくりと柔らかく胸の先端を食まれ、背中が仰け反った。口に含まれた突起をころころと舌で転がされ、びくびくと体が反応してしまう。
「ふぁっ、あっ、あぁんっ」
蕩けるような甘い快感に、マリナの思考も溶けていく。それでも、懸命に声は抑えた。大きな声を上げれば、部屋の外まで聞こえてしまう。なにをしているのか、絶対に隠さなくてはいけないのだ。
それなのに、ユリウスはマリナに声を上げさせようとするかのように執拗に愛撫を施す。確実にマリナの性感を煽り、追い詰めていった。
「あっ、んんっ、お義兄さまぁっ……」
散々吸われ、指で弄り回された乳首は腫れたように膨らんで、じんじんと熱を持っている。
「ごめん、少し可愛がり過ぎちゃったね」
「ひゃんっ」
すっかり敏感になった乳首は、少し撫でられただけで過敏に快感を拾う。
「でも、気持ちよかったよね? 胸を弄られてるとき、マリナの腰がずっともじもじ揺れてたね」
「あっ……」
ユリウスの手が、するりと下肢に下りていく。
秘裂を指が辿ると、くちゅりと水音が響いた。
「ひんっ」
「やっぱり、もうとろとろだ……。こんなに濡らしちゃうくらい気持ちよかった?」
「ひぁんっ」
つんっと優しく乳首を弾かれ、新たな蜜がとぷりと溢れる。
「ふっ、んんっ、きもちぃっ、のぉ……っ」
「でも、マリナはこっちの方が気持ちよくなれるよね?」
「あっ、んんんっ」
蜜に濡れた花芽を指で擦られ、痺れるような快感が走り抜ける。そこから生まれる快楽を、マリナは既に彼に教え込まれていた。毎日、お風呂で体を洗われるたびに弄られていたから。
愛おしむようにマリナを見つめるユリウスに、震える手で縋る。
「んっ、んっ、おに、さまぁっ」
「マリナはここを弄られるとすぐにイッちゃうもんね」
「あっ、んっ、んっんんっ」
焦れったくなるような手つきで陰核を撫で回され、はしたなく腰が揺れてしまう。もっと強く触ってほしいと催促するような動きに、ユリウスは笑みを深める。
「今日はいつもより気持ちよくしてあげるね」
「っえ……」
ユリウスの体が離れていき、マリナは戸惑った。
安心させるように微笑んでから、ユリウスはマリナの下肢に顔を近づける。
「あっ、だめ、お義兄さま……っ」
制止の声は聞き入れられず、ユリウスの唇が秘所に触れる。
「ひっ、ぅんんっ」
じゅるりと肉粒を吸われて、強烈な快感に悲鳴を上げそうになる。マリナは咄嗟に手で口を塞いだ。
「ふぅっ、んっはっ、あっ、んっんーっ」
敏感な突起を舐め回され、びくんびくんと腰が浮く。花弁からはとめどなく蜜が溢れ出た。
「んっんっんっ、はっぁんっ、も、いっちゃ、あっ、おに、さまぁっ」
「いいよ、マリナ。我慢しないで、イッて」
「んっ、っ、~~~~~~っ」
花芽を舌で押し潰すように擦られ、マリナはその強い刺激に絶頂へと導かれた。びくびくと脚を痙攣させ、脳天を突き抜けるような快感に浸る。くたりと体から力が抜けた。
「今日はまだ終わりじゃないよ」
「はぁっんっ、ふあぁっ」
脱力するマリナに、ユリウスは更なる刺激を与え続ける。
蜜口にぬぷりと指を差し込まれ、内壁を擦られた。
中に触れられるのははじめてで、慣れない感覚にマリナは懸命に耐えた。
「マリナの中、熱くてぬるぬるで、柔らかいのにきつい……こうしてマリナの中まで触れられるのは僕だけだよね」
「はひっ、んっんっ、おに、さま、だけっ」
「嬉しい」
ユリウスが本当に嬉しそうに微笑むから、マリナの心も嬉しくなってきゅんきゅんする。もう他のことなどどうでもよくなって、なにも考えず彼に抱かれたくなる。
そんなの駄目なのに、心も体もユリウスを求めてしまっていた。
「んぁっ、はっ、んっ、お義兄、さまぁっ」
「中がきゅうきゅうって締まったね。僕のこと、早くほしいって言ってくれてるみたい」
マリナの心を見透かしたかのようにユリウスは笑う。
駄目だとわかっているのに、体は言うことを聞かず、増やされる彼の指に媚びるように絡み付く。
時間をかけて慎重に解された膣孔は、彼の熱を待ちわびて蠢いていた。指を引き抜かれ、くぱくぱと物欲しげに収縮する。
自身も衣服を脱ぎ捨て、全裸になったユリウスが覆い被さってくる。
脚を抱えられ、ひくつく花弁に熱塊を押し当てられた。
兄妹で、越えてはならない一線を越えようとしている。
いけないとわかっていても、マリナは止めることはできなかった。
「お義兄さま……」
不安に揺れる瞳で見つめれば、ユリウスは優しく抱き締めてくれた。
「愛してるよ、マリナ」
「……っえ? あっ、はっ、んっ──────っ!」
ゆっくりと雄蘂を埋め込まれ、その大きさに息を呑む。
熱くて固くて太い楔に貫かれ、痛くて苦しくて、でも苦痛が吹き飛ぶくらい心が満たされた。
好きな人に抱かれて、どうしようもなく喜んでしまう。
「んっ、あっ、あっ、おにぃ、さまぁっ」
「っは……ああ……っ、ありがとう、マリナ、僕を受け入れてくれて」
顔中にキスを落とされて、ユリウスの熱い吐息を感じ、身も心も喜びで満たされていく。
「ひぁっ、んんっ、お義兄さま、ぁんんっ」
「んっ……ふふ、マリナも喜んでくれてるの? 中が嬉しそうにうねって……はあっ……すごく気持ちいいよ」
「あっ、うれしっ、お義兄さまに、気持ちよくなってもらえて、んっ、うれしぃっ」
「可愛い、マリナ。マリナも一緒に気持ちよくなろうね」
「ひぁんっ」
ユリウスはゆっくり腰を揺すりながら、花芽を指で刺激する。
「んっんっ、ひっ、あっ、んんっ」
中を擦られる感覚と、花芽を弄られる快感にマリナは翻弄された。
縋るようにユリウスの体に腕を伸ばす。ぴったりと肌が重なり、彼の体温を直に感じると、堪らなく幸せな気持ちになった。
「あっ、んっ、おに、さま、おにぃさまぁっ」
「っは、マリナ、マリナ……っ」
マリナの声に応えるように、ユリウスは何度も名前を呼んでくれた。
必死に彼にしがみつき、彼と一緒に絶頂へと駆け上がっていく。
やがて、二人はほぼ同時に達した。
絶頂にぶるぶる震えるマリナの体を強く抱き締め、ユリウスは胎内へと熱を吐き出した。
取り返しのつかないことをしてしまった。
色んなことが頭を過る。
義父母のこと、ユリウスのこれからのこと、自分のこれからのこと。
でもそれら全てを頭から振り払う。
今はなにも考えず、ユリウスの腕に抱かれていたかった。
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読んでくださってありがとうございます。
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