悪役令嬢は断罪されたい

よしゆき

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その後 4







 最近、シオンがファウストと一緒にいるところをよく見る。
 自分から王太子であるファウストに声をかけるなんて無礼なことはできない、なんて思っていたようでシオンからファウストに近づくことなど今までなかったのに。ファウストに声をかけられても緊張しまくっていたのに。
 今はシオンの方からファウストに声をかけ、なにやら親密そうに話しているのだ。
 そんな二人を何度も見かけ、オリヴィアは不安を抱きはじめた。最初は特に気にしていなかった。けれど徐々に心配になってきた。嫌な予感に胸がざわざわする。
 もし、ゲームの強制力というものが働いたとしたら。ゲームとは大幅に流れが変わってしまった状態で、急に正規のルートに強制的に戻そうとする力が働いたとしたら。
 オリヴィアはそれに抗えるのだろうか。
 元々オリヴィアもシオンとファウストをくっつけようと躍起になってあれこれしてきた。けれどそのときには既にシオンはオリヴィアのことが好きだった。だから作戦は全て失敗に終わった。
 けれど、ゲームの強制力で気持ちまでねじ曲げられてしまったら。シオンの気持ちが、オリヴィアではなくファウストへと向けられてしまったら。
 そんな不安が頭を擡げた。
 もしそうなったら、シオンはファウストと結ばれて、オリヴィアは断罪される。そして、高級娼館に落とされるのだ。
 あんなに高級娼館に行く為に努力してきたけれど、今は絶対にそんなところには行きたくないと思っている。シオン以外に触られたくない。
 ファウストと話すシオンを見て、堪らなく不安になった。シオンは今も自分のことを好きでいてくれるのか。いきなりオリヴィアへの気持ちが消えてしまうのではないか。正規ルートへと軌道修正され、オリヴィアはシオンとファウストが結ばれるのを見ていることしかできなくなるのではないか。ゲームと同じように断罪され、シオンに軽蔑の眼差しを向けられたら。
 想像しただけで、胸が張り裂けそうになる。
 ある日突然シオンに嫌われてしまうのではないかと、そう考えると怖くて仕方がない。
 ただのオリヴィアの妄想だ。毎日シオンと顔は合わせているし、オリヴィアに対するシオンの態度はなにも変わっていない。朝は笑顔で挨拶を交わし、昼休みには一緒に食事もした。
 オリヴィアとシオンの関係はなにも変わらない。ただ、シオンがファウストとよく話をしているというだけだ。
 ゲームの強制力で、シオンは少しずつファウストに惹かれはじめているのではないか。
 明日にはオリヴィアへの気持ちなどすっかり冷めて、シオンはファウストに恋をしてしまっているのではないか。
 そんな嫌な妄想が纏わりついて消えない。
 オリヴィアは親しげに会話をするシオンとファウストに背を向け、中庭を離れた。放課後、シオンがオリヴィアと会う約束をしなかったのは、ファウストと会う約束をしていたからなのだ。
 その事実を知って、思考はどんどん悪い方へと引きずられていく。
 もし、ゲームと同じようにシオンに嫌われてしまったらどうしよう。
 もちろん、彼の気持ちをもう一度こちらへ向けるために頑張る。諦めるつもりはない。死に物狂いで強制力に抗うけれど。
 大好きなシオンに嫌われたらと思うと、想像だけでじわりと涙が込み上げてきた。

「おっ、オリヴィア! そこでなにやってんだ?」

 一人落ち込むオリヴィアの背中に、場違いに元気な声がかけられた。振り返らなくても誰かはすぐにわかった。
 無視することもできず、仕方なく振り返る。

「ごきげんよう、バルド様……」
「おう!」

 ニカッと能天気に笑うバルドが羨ましく思えた。
 オリヴィアの顔を見て、バルドは驚く。

「って、なんだよ、泣いてんのか!?」
「いえ……別に……」
「悩みがあるなら俺に相談してくれていいぞ!」
「いえ、大丈夫です……」
「遠慮するなよ! 俺とお前の仲だろ!」
「いえ、私達、別に親しくないですよね……?」

 顔を合わせれば挨拶は交わすが、ただそれだけの関係だ。悩み相談をするほどの仲では決してない。

「なに言ってんだ。お前の秘密を共有する仲だろ!」
「私の、秘密……?」
「ああ! お前が縛られて喜ぶ性癖の持ち主だって」
「ちがああぁう!!」

 爽やかな笑顔でとんでもないことを言われ、オリヴィアは思わず大声を上げて否定した。

「あれは私の趣味ではありません! 呪いのアイテムだって言ったじゃないですか!」

 呪われたロープに襲われ亀甲縛りの状態で床に転がっているところを彼に見られたのは最上級の失態だ。変態変態と指を差された腹立たしい記憶が蘇る。

「そうだったか? ああいうのが好きで、わざと呪いにかかったんじゃなかったのか?」
「違いますよ! 変な誤解はやめてください! 断じて、私にそんな趣味はありませんから!!」

 怒鳴るように捲し立て断固否定する。

「そーかそーか。ま、趣味は人それぞれだからな。共感はしてやれないが、俺はそれを否定しないぞ!」
「だから違うって言ってるじゃないですか!」

 はははっと軽快に笑うバルドに言い返して、ふと気づく。もしかして、彼なりに励まそうとしてくれたのだろうか。オリヴィアを元気づける為に、わざと突拍子もない話題を出してきたのかもしれない。バルドのことだから、なにも考えていない可能性もあるけれど。
 彼のお陰で、少しだけ気持ちは浮上した。

「いいですね、バルド様は一切悩みがなさそうで」
「そんなことないぞ。俺だって悩むときはきっとある!」
「ないじゃないですか……。悩みがあったとしても、バルド様はすぐに忘れてしまうんじゃないですか?」
「それはあるな!」

 バルトとの気兼ねない会話に、オリヴィアは自然と笑みを浮かべていた。

「やっぱり、オリヴィアは笑っていた方がいいな」
「バルド様……」
「また泣きたくなったら俺に言え! 泣いてもいいが、そのあとで俺が笑わせてやるから!」

 なんて、攻略対象者らしいことを言って、バルドは去っていった。口説き文句ではないから、オリヴィアを置いてさっさとこの場を離れたのだろう。それがわかったから、オリヴィアは純粋に彼に元気づけられた。
 デリカシーはないが、さすが攻略対象者だ。
 そんなことを考え小さくなるバルドの背中を見送っていると、急に後ろから肩を掴まれた。

「ひゃっ……!?」

 びっくりして飛び上がり、振り返るとシオンがいた。

「し、シオン……?」

 彼は一人で、ファウストの姿はない。もう話は終わったのだろうか。
 シオンは無表情で、なにも言わずオリヴィアの手を取った。そのまま、校舎の中へ入っていく。

「シオン? どこへ行くの?」

 無言のまま連れてこられたのは談話室だった。シオンは後ろ手にドアを閉め鍵をかける。

「シオン……?」

 一体どうしたというのか。なんでなにも言ってくれないのか。
 不安になるオリヴィアの肩をシオンが掴む。
 そのまま後ろに押され、オリヴィアはソファに座らされた。

「ねぇ、シオン、どうしたの……?」

 問いかけるが答えはなく、正面に立つシオンに覆い被さるように唇を重ねられる。

「んんっ……!?」

 貪るような激しいキスに戸惑うが、オリヴィアは抵抗はしなかった。
 口の中を舌で掻き回され、流れ込んでくる唾液を必死に飲み下す。音を立てて強く舌を吸い上げられ、呼吸さえ奪うような口づけに頭がくらくらした。

「んっ、はっ、あ……シオン……?」

 唇が離れ、潤んだ瞳で見上げれば、シオンは切なげに顔を曇らせていた。

「なにを話していたのですか……?」

 シオンが漸く話してくれたけれど、内容が理解できず応えられない。するとシオンが更に言葉を重ねる。

「バルド様と、なにを話していたのですか?」
「え……?」
「とても楽しそうに……バルド様と……」

 どうやら内容は聞かれてはいないが会話をしているところは見られていたようだ。
 別に楽しんで話していたつもりはなかった。それに、特に意味のある会話でもなかった。
 オリヴィアとバルドよりも、シオンとファウストの方が余程親密な雰囲気で話をしていた。
 その光景を思い出し、自然と声が漏れていた。

「シオンだって、ファウスト殿下と親しげに話していたじゃない……」
「え……?」
「最近、ファウスト殿下と仲がいいのね……」
「そ、そういうわけでは……」
「ファウスト殿下となんの話をしているの?」
「それは……」

 シオンは気まずそうに視線を逸らして言葉を濁した。
 彼のその表情を見て、ハッと我に返る。いつの間にか浮気を問い詰める感じになってしまっていた。
 シオンの態度を見るに、ファウストとのことは言いたくないのだろう。彼が言いたくないことを、無理に聞き出したいわけではない。

「ごめんなさい、シオン。今のは聞かなかったことにして」
「え……?」
「変なこと言ってごめんね。気にしないで」

 にっこり微笑んで見せる。
 するとシオンはくしゃりと顔を歪め、オリヴィアを抱き締める。

「すみません、オリヴィア様! そんな顔で笑わないで下さい……っ」

 精一杯笑顔を浮かべていたつもりだったが、ちゃんと笑えていなかったようだ。

「私自身が人一倍嫉妬深いくせに、自分のことを棚に上げて、オリヴィア様を悲しませて……私は最低です!」

 言われて、彼がバルドに嫉妬していたのだと気づいた。オリヴィアにとって彼は全くの対象外だし、バルドも全くオリヴィアを意識してはいないので考えが至らなかった。

「本当にすみません……。きちんとお話しするので、聞いてもらえますか……?」

 体を離し、シオンは辛そうな表情でオリヴィアをまっすぐに見つめてくる。
 彼が深く自分を責めているのが伝わってきて、オリヴィアは慌ててかぶりを振った。

「ま、待って! 本当に気にしないで、無理に話してほしいわけじゃないの!」
「いえ、もっと早くに、ちゃんとお話ししておくべきでした。オリヴィア様に無関係なことではないのに……」
「えっ……」

 無関係なことではないと聞いて、まさか本当にファウストを好きになったからオリヴィアと別れたいとか言われるのかと一瞬頭が真っ白になった。

「実は、オリヴィア様とのことをファウスト殿下に相談していたんです」
「私との、こと……」

 どうすれば穏便に別れられるか……なんて言葉が飛び出してくるではないかと想像して心臓が止まりそうになった。

「どうすれば、オリヴィア様と結婚できるのか……」
「…………………………えっ?」

 ぽかんとするオリヴィアに、シオンはもじもじとはにかむ。

「私は平民で、今のままではオリヴィア様と結婚できません。だから、貴族になるにはどのような方法があるのか、私に適しているのはどんな方法か、エリア先生に相談しているのを偶然ファウスト殿下に聞かれて……そうしたらファウスト殿下が色々とアドバイスを下さって……」
「…………」
「それから、貴族としての振る舞いとか、ルールなどもファウスト殿下に教えてもらうようになって……」
「…………」
「求婚したあとで、私はオリヴィア様の結婚相手としてあまりに至らなすぎていることに気づいて……。オリヴィア様に高級娼館に行きたいと言われて、私はなにも考えず焦って結婚を申し込んでしまいました……。今さらこんなに必死にオリヴィア様と結婚する方法を探していると知られたら、愛想を尽かされてしまうのではないかと思って……」

 別れを切り出されるのかと思ったらその逆で、シオンはオリヴィアと結婚する為に色々と頑張っていたのだと知り、申し訳ないやら嬉しいやら感情がぐちゃぐちゃだ。
 ゲームでシオンは学校卒業後貴族の養子に迎えられる。オリヴィアはそのことを知っているが、シオンは知らないのだから彼の行動は当然だ。それに、正規ルートからかなり外れてしまっているから、ゲームと同じ結果になるとも限らない。
 黙り込むオリヴィアを、シオンは不安に揺れる瞳で見つめる。

「オリヴィア様……呆れてしまいましたか……?」
「まさか! そんなことないわ。私との将来の為に頑張ってくれていたのに、全然気づかなくて……変な詮索してしまってごめんなさい……」

 シオンの両手をぎゅっと握って、素直に謝る。

「私、シオンがファウスト殿下に心変わりしてしまうんじゃないかって思って、怖くて……」
「そんな! そんなこと、絶対あり得ません!」

 シオンは声を荒げ、強く否定する。

「私はオリヴィア様一筋です! 私が好きなのはこの先一生、オリヴィア様だけです!」

 興奮した様子で断言され、オリヴィアの胸は熱くなる。今度こそ、心からの笑顔を浮かべることができた。

「ふふ。ありがとう、シオン」

 シオンは頬を染め、うっとりとオリヴィアを見つめる。

「オリヴィア様のその笑顔に、私は心を奪われたんです……」

 出会ったときのことを思い出すようにシオンは目を細めた。

「オリヴィア様に友達になりたいと言われて、すごく嬉しくて……でも、きっと平民の私が珍しくて、それで声をかけてくれただけなんだろうって思っていました。きっとすぐに飽きて、私のことなんて簡単に忘れられてしまうんだろうって、そんな風に思っていたんです」

 はじめて当時のシオンの心情を聞かされて、まあそれも仕方ないと納得できた。かなり強引に曖昧な理由で友達になりたいなんて言ってしまったのだ。貴族の令嬢の気紛れだと思うのも無理はない。

「でも、オリヴィア様はいつも優しくて、気さくに私に話しかけて下さって……平民だからと見下すことなんて決してしなくて、私と対等に接してくれました。本当に、普通の友達のように。最初はすごく戸惑っていたんですけど、でも、オリヴィア様が屈託なく私に微笑みかけて下さるのが嬉しくて、どんどんオリヴィア様のことを好きになっていったんです」

 愛おしむような視線を向けられ、まっすぐな彼の気持ちが伝わってきてオリヴィアの胸はきゅんと締め付けられた。
 シオンがそんな風に思ってくれていたなんて想像もしていなかった。エロイベントを発生させようと躍起になっていた自分が恥ずかしい。

「好きになっていくにつれて、オリヴィア様が他の男性と話をしているのを見るだけで胸が苦しくなって、オリヴィア様を独占したい、なんてそんな烏滸がましい感情を抱くようになりました……。私にオリヴィア様を独占する権利なんてないのに……」

 オリヴィアはそんなことに気づきもしないで、どうにかシオンと親密な関係に発展させようとファウストやエリアやバルドに積極的に声をかけてしまった。シオンの気持ちを思うと、知らなかったとはいえなんて最低なことをしていたのかと自己嫌悪に陥る。

「本当は、自分の気持ちを伝えるつもりなんてなかったんです。私とオリヴィア様では身分が違いますし、私はオリヴィア様には相応しくない。だからこの気持ちは伝えないまま、オリヴィア様の友達として学校生活を送れればそれでいいって思っていたんです。でも、そんなときにオリヴィア様に高級娼館に行きたいと……働きたいなんて言われて、頭が真っ白になって……オリヴィア様が色んな男に……なんて、そんなの想像しただけで耐えられなくて、絶対に許せなくて……それで、あんなことを……」
「ごめんなさい、シオン。私、シオンの気持ちも知らずに無神経に高級娼館で働きたいなんて……そのために協力してほしいなんて言ってしまって……」
「謝らないで下さい! オリヴィア様はあんなことをしてしまった私の気持ちに応えて下さいました……。平民で、なんの身分も持たない私と結婚を約束して下さいました。だから私は、オリヴィア様に相応しい相手になりたくて……」
「ありがとう、シオン。シオンの気持ちがすごく嬉しい。でも、私にも協力させて? 私とシオンがこれからもずっと一緒にいる為の努力なんだもの。私も力になりたいわ。私達、二人の問題なんだから」
「はい……。すみません……」
「これからはなんでも相談してね。呆れたりなんてしないから。一緒に悩んで、一緒に解決していきましょう?」
「はい」

 オリヴィアの微笑みにつられるように、シオンも唇に笑みを乗せた。

「あと、私も一人で不安を抱えないで、心配なことがあったらシオンにきちんと伝えることにするわ」

 ゲームとか強制力とかそんなことは言えないが、今回のことは一人で勝手に考えていないで、もっと早くにシオンに気持ちを打ち明けていればよかったのだ。そうしたら、あんな妄想に怯えることもなかった。

「私の方こそ、ごめんね」
「いいえっ、そんな……っ」
「あと、バルド様とは本当に大したことは話していないの。ちょっと声をかけられて、本当にくだらないことを話してただけで、本当に全然全くなんでもないから」
「……はい。なんだか、バルド様と話しているオリヴィア様がとても楽しそうに見えて……。遠慮なく言い合っているお二人を見ると、どうしても嫉妬してしまって……。すみません……」
「シオンが謝ることはないのよ。嫌な気持ちにさせてごめんなさい」
「それは私の方こそ……」
「それはもういいのよ、今回は私が……」
「いえ、私が……」

 じっと見つめ合い、どちらからともなく笑い声が零れた。

「じゃあ、お互い様ってことにしましょうか」
「そうですね」

 微笑みを交わし、二人は自然と唇を重ねた。啄むような口づけは、徐々に深くなっていく。ぴちゃりと音を立て舌を絡めた。
 ゆっくりと唇を離す頃には、互いに瞳に熱を宿していた。

「オリヴィア様に、触れたい、です……」
「うん……。触って……」

 艶を孕んだ囁きに、恥じらいつつもこくりと頷く。
 再び唇を重ねながら、シオンはオリヴィアの制服のボタンを外していった。
 乳房を剥き出しにされ、ふるりと揺れるそれにシオンの手が触れる。

「ふぁっ……」

 やんわりと揉まれただけで、甘い声が口から漏れた。
 ちゅっと鳴らして離れたシオンの唇は、胸元へ下りた。桃色の先端を舐め上げ、はむりとしゃぶりつく。
 敏感な突起をぬめった粘膜に包まれ、オリヴィアは快感に震えた。

「あっ、あんっ、あぁっ」

 ちゅるっちゅぶっと舐めて吸われて、もう片方も指でくにくにと捏ねて回される。甘く蕩けるような愛撫に、オリヴィアは身をくねらせてよがった。

「ひぁんっ」

 ぷっくり膨らんだ乳首を甘噛みされ、軽く達してしまう。脚の間からとぷりと蜜が溢れて下着を汚した。

「んぁっ、あっ、シオン……っ」

 内腿を擦り合わせねだるように名前を呼べば、それを察したシオンが下肢へと手を伸ばす。スカートに差し込まれた手がするりと脚を撫で上げ、ぞくぞくするその感触にまた蜜が滲み出す。早く、と催促するように腰が揺れてしまい、シオンは嬉しそうに目を細めた。
 シオンの手がショーツにかかり、オリヴィアは腰を浮かせた。そのままゆっくりと脚から引き抜かれる。

「オリヴィア様、スカートを捲って下さい」
「ん……」

 恥ずかしいけれど、熱を帯びたシオンの甘い声に逆らえず陰部を晒すようにスカートを捲り上げる。
 シオンはオリヴィアの膝を折り、足をソファに上げた。ソファの上でM字に脚を開く体勢になり、そのはしたないポーズにオリヴィアは羞恥に頬を染めた。

「シオンっ……これ、恥ずかしい……っ」

 恥ずかしい姿などシオンにはもう散々見られてはいるけれど。恥ずかしいものは恥ずかしい。
 涙目で訴えるオリヴィアを、シオンは恍惚とした表情で見つめる。

「はい。恥ずかしがっているオリヴィア様の可愛らしい姿が見たいです。誰にも見せないオリヴィア様を、私だけに見せて下さい」
「っ……」

 そう言われて嫌だなんて拒むことはできず、オリヴィアは己の痴態を隠さずシオンの前に晒す。
 シオンは普段とても初心でちょっとしたことで顔を真っ赤にして照れまくるくせに、たまに急にスイッチが入ったように強引で積極的になる。恥ずかしがり屋なシオンも可愛いけれど、こういうときの欲望を剥き出しにしたような色っぽいシオンも好きで、胸が苦しいくらいドキドキする。
 情欲の滲む視線を感じ、それだけで秘所から新たな蜜が滴り落ちた。

「あっ……シオン……」

 花弁が刺激を求めてひくりと収縮するのがわかって、羞恥と期待に体が火照る。

「可愛い、オリヴィア様……」

 うっとりと囁いて、シオンは床に膝をつきオリヴィアの下肢へ顔を近づけた。

「やっ、シオン、あっ、ひあぁっ」

 ぴちゃぴちゃと、溢れる蜜を舐めとるようにシオンの舌が花弁の上を上下する。

「んゃあっ、あっ、だめっ、舐めるのは、あっ、あぁっ」

 制止の言葉は無視され、秘所を舐め回される。じゅるっと蜜を啜られ、それから花芽にも舌が絡み付いた。

「ひあぁんっ、あっ、あぁっ、んはぁあっ」

 小さな突起を舌でくりくりと転がされ、オリヴィアは鋭い快感に嬌声を上げて身悶えた。また蜜が溢れ出して止まらなくなる。

「あっ、ひゃぅんっ、んんっ、きもちいっ、あっ、あっ、あぁんっ」

 どんどん絶頂へと上り詰めていくのを感じる。

「やっ、まっ、シオンっ、シオンっ」

 オリヴィアの切羽詰まったような声に、シオンはそこから顔を上げた。
 股の間から見上げられる光景に堪らない羞恥を感じる。

「オリヴィア様?」
「一緒がいい……」
「え……?」
「シオンと一緒に気持ちよくなりたい……」
「オリヴィア様……っ」

 涙混じりに訴えれば、シオンは頬を紅潮させ、荒い息を吐いた。
 立ち上がりスカートを持ち上げ、シオンは下着から欲望を取り出す。
 シオンはオリヴィアに覆い被さり、陰茎をオリヴィアの秘部に擦り付けた。

「んぁあっ」

 オリヴィアは脚を閉じ、内腿に彼のそれを挟み込む。ぎゅっと力を込めれば、シオンは感じ入ったように熱い吐息を漏らした。
 シオンが腰を揺すり、にゅるっと蜜で滑るように男根が動く。

「ひっ、あっ、あああぁっ」

 陰核を雁で引っ掻くように刺激され、オリヴィアはそれだけで呆気なく絶頂に達する。

「あっ、あっ、ごめ、なさ、先に、いっちゃったのぉっ、あっ、いった、いったのにっ、くちゅくちゅしちゃ、ひあぁっ、あぁんっ」
「はあっ、オリヴィア様の、気持ちよさそうな顔、可愛い……っ」

 いったばかりで敏感になっているところを休みなく擦り上げられ、オリヴィアは強烈な快楽に翻弄される。
 涙を流して乱れるオリヴィアを見つめ、シオンは興奮した様子で腰を前後に動かした。

「んひぁあっ、あっ、きもちぃっ、んんっ、しおんっ、あっ、ひあぁっ」
「はっ、あっ……私も、気持ちいいです……オリヴィア様っ、好きです、大好きです……っ」
「あっ、あっ、すきっ、私もすきぃっ、しおんっ、あっ、あっ、いくっ、また、いっちゃうっ」
「んっ、はあっ、私も、もうっ……」

 ぐりゅっと亀頭で花芽を押し潰され、オリヴィアは再び絶頂を迎える。その刺激にぎゅうぅっと太股を締め、シオンも促されるように精を吐き出した。
 互いの荒い呼吸音だけが部屋を満たしていた。
 ふと目が合い、引き寄せられるようにキスをする。
 角度を変えて唇を重ね、それからぎゅと抱き締め合う。

「愛してます、オリヴィア様」
「うん。私も、愛してるわ、シオン……」

 きっとなにが起きても、シオンとなら乗り越えられる。
 愛する人の胸に顔を埋め、オリヴィアはそっと微笑んだ。


 

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 読んで下さってありがとうございます。


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