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弟は悪趣味だ!
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テレーズはいきなりメガネ、いやマリアンヌの前に跪くと、
「わたしはそれでも構いません! どんな罰でも受け入れます。
ですが、殿下はわたしにそそのかされただけで罪はありません!
それに家族は何も知らないんです!」
「テレーズ! 何を言うんだ! ボクが悪いんだ!
ボクがテレーズとグスタフの言うことを聞いていればこんなことには!」
「殿下は悪くないんですわたしが!」
「ボクが!」
ううっ。涙で前が見えない。
なんていい子を巻き込んでしまったんだっ。
ボクが王妃にしたいなんて言い張らなければ!
こうなったら王子の誇りにかけても、彼女だけは助けなければ。
だが、マリアンヌは冷たく光るメガネでボクらを見下ろすばかり、
「大法典に定めるところですから、如何ともしがたいですね。
殿下は廃嫡ののち反逆罪で公開斬首の確率が高いです。
ただし、ローゼンクランツ殿下はサディストなので、北の鉱山で最下層の抗夫として働き、我が家への違約金を払わせるという選択もありうるでしょう。
ただ、その場合、早晩、事故で命をおとすというところでしょうか」
「ボクの、ボクの友らは……」
「謀議の一味であるギルデンスターンとその仲間は、ローゼンクランツ殿下の側近にしてもらえるでしょう。
ただし、殿下は限定条件つきながら賢いので、重要な腹心にはしてもらえないでしょうね」
もしかしたらボクはバカなのか。
信じてはいけない相手を信じ。
ボクに嫌われるのを覚悟で忠告してくれた男を裏切り者扱いして追放。
しかも、テレーズみたいなまっとうな人まで破滅させて。
どうしたらいいんだっ!?
「そして私は、王太子となったローゼンクランツ殿下に求婚され、
そのまま王太子妃になる予定らしいです。
少なくともローゼンクランツ殿下にとっては確定事項かと」
「なぜだ! なぜそんなことが確信できる!」
こんな灰色幽霊メガネなのに!? ボクが弟ならこんなの願い下げだぞ!
こういう趣味なのかっ。
「家柄能力からして、王太子妃にふさわしいのは私しかおりません」
「弟にだって真実の愛の相手がいるかもしれないじゃないか」
「それが私らしいですから。少なくともそういうフリをしていらっしゃいます」
「「え」」
びっくり。
「私は婚約前からローゼンクランツ殿下に言い寄られてましたから」
「なぬぅっっ!?」
「婚約が決まったあとも、たまに気色悪いねばつく視線で私の姿を見ていたこともありましたっけ」
あいつ、あんな美形なのに、趣味は悪いのか……。
なぜだ弟よ!
「愛情でもなんでもなく、目当ては私の家柄だけでしょうけどね。
あと、兄の不品行で傷を負った私を娶れば、評判もあがりますし。
仮に真実の愛とやらのお相手がいても、側室にすればいいだけですから」
いやそれ多分ちがうから!
あいつ、本当にお前のこと好きだから!
兄弟だから判るぞ! あいつがそんな目で見る相手いないから!
「わたしはそれでも構いません! どんな罰でも受け入れます。
ですが、殿下はわたしにそそのかされただけで罪はありません!
それに家族は何も知らないんです!」
「テレーズ! 何を言うんだ! ボクが悪いんだ!
ボクがテレーズとグスタフの言うことを聞いていればこんなことには!」
「殿下は悪くないんですわたしが!」
「ボクが!」
ううっ。涙で前が見えない。
なんていい子を巻き込んでしまったんだっ。
ボクが王妃にしたいなんて言い張らなければ!
こうなったら王子の誇りにかけても、彼女だけは助けなければ。
だが、マリアンヌは冷たく光るメガネでボクらを見下ろすばかり、
「大法典に定めるところですから、如何ともしがたいですね。
殿下は廃嫡ののち反逆罪で公開斬首の確率が高いです。
ただし、ローゼンクランツ殿下はサディストなので、北の鉱山で最下層の抗夫として働き、我が家への違約金を払わせるという選択もありうるでしょう。
ただ、その場合、早晩、事故で命をおとすというところでしょうか」
「ボクの、ボクの友らは……」
「謀議の一味であるギルデンスターンとその仲間は、ローゼンクランツ殿下の側近にしてもらえるでしょう。
ただし、殿下は限定条件つきながら賢いので、重要な腹心にはしてもらえないでしょうね」
もしかしたらボクはバカなのか。
信じてはいけない相手を信じ。
ボクに嫌われるのを覚悟で忠告してくれた男を裏切り者扱いして追放。
しかも、テレーズみたいなまっとうな人まで破滅させて。
どうしたらいいんだっ!?
「そして私は、王太子となったローゼンクランツ殿下に求婚され、
そのまま王太子妃になる予定らしいです。
少なくともローゼンクランツ殿下にとっては確定事項かと」
「なぜだ! なぜそんなことが確信できる!」
こんな灰色幽霊メガネなのに!? ボクが弟ならこんなの願い下げだぞ!
こういう趣味なのかっ。
「家柄能力からして、王太子妃にふさわしいのは私しかおりません」
「弟にだって真実の愛の相手がいるかもしれないじゃないか」
「それが私らしいですから。少なくともそういうフリをしていらっしゃいます」
「「え」」
びっくり。
「私は婚約前からローゼンクランツ殿下に言い寄られてましたから」
「なぬぅっっ!?」
「婚約が決まったあとも、たまに気色悪いねばつく視線で私の姿を見ていたこともありましたっけ」
あいつ、あんな美形なのに、趣味は悪いのか……。
なぜだ弟よ!
「愛情でもなんでもなく、目当ては私の家柄だけでしょうけどね。
あと、兄の不品行で傷を負った私を娶れば、評判もあがりますし。
仮に真実の愛とやらのお相手がいても、側室にすればいいだけですから」
いやそれ多分ちがうから!
あいつ、本当にお前のこと好きだから!
兄弟だから判るぞ! あいつがそんな目で見る相手いないから!
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