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78.オレは怒っているんだ。
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司令官の代行を引き受けはしたものの、優秀な3人へ引継ぎは済んでいたから、ちょっとした確認作業だけをやればいい。
2人の文官さんはベテランで有能らしいから、昨日よりももっと教えるのが簡単なはず。
そんな程度で日当貰っていいんだろうか……と思っていたんだけど。
マリーに3人の追加指導というか見守りを任せて、オレはベテランらしいふたりへ引継ぎを始めた。
一通り説明したら、
「君は……どういう教育を受けて来たのかね?」
いかにも生真面目な文官という感じの先輩方は、オレを睨みつける。
ヒゲが濃い人と、分厚い眼鏡をかけている人だ。キャラが判りやすい。
「教育? 王立学園でごく普通の教育でした」
ヒゲの人が、
「その教育ではない! 施設の運営に関しての教育だ! 前任者から引き継いだのを無視しているだろう! 我流が多すぎる! こんなでは引継ぎに支障をきたすじゃないか! 全く、若殿が褒めていたからどんなものかと思っていたら……」
「いません」
メガネの人が
「そんなはずはないだろう」
「オレがここへ赴任してきた時、前任者は離れた後でした。顔も見たことがありません」
ベテラン二人は唖然とした顔でオレを見る。
そりゃそうだよね。常識的に考えて、引継ぎもなしなんてどうかしてる。
唖然が終わると、今度は疑念に満ちた視線がオレに突き刺さる。
メガネの人が、神経質にメガネを直しながら
「……にわかには信じられませんね。では、この仕事をどうやって」
「北部の要塞地帯から手引書を借りたり、古参の兵隊さんに教えてもらったりして、なんとか形に。書類の形式などは、中央のものに準拠できたんですが……」
自己流でやるしかなかったのだけど、いろいろと問題があったらしい。
ヒゲの人が、オレを犯罪者を見るような目で見る。
「ふん。言い訳にもなっておらん! そもそもここに膨大な手引書があるのだから、他の所から借りる必要がなかろう。経験の浅い若殿は騙せても、我々は騙されん」
うう……オレ、本当のことしか言っていないのに。
「ダリオン殿の言葉に賛成ですね。あなたの言葉が本当だとすれば、ここには手引書がなかったことになる。しかしちゃんとあります。つまりあなたは底の浅い嘘をついているということですね」
「その手引書。全部オレが作ったんですが……なかったので」
「「は?」」
あ。全然信じてくれない。
ないから作っただけなのに。
「手引書が何もなかったので、作りました。施設ごとに手引書は置いておかなければならない、と規則にあるので、作らざるを得ませんでした。我流であることは認めますし、不備だらけなのでしょうが。これを作ったのと同時に、写しを作って中央へも送ったので、ウソと決めつける前に、確認していただけませんか」
ヒゲがわめいた。
「はっ。ウソでたらめを! こんな量を一人で作れるわけがなかろう!」
作ったんだけどな……。
まぁベテランの人から見れば、話にならない出来なのだろう。
平凡なオレが、一から作ったんだから、そりゃオレより良いものになるわきゃない。
「判りました。オレのは自己流で、役に立たない。箸にも棒にもかからない。その通りなんでしょう。ただ、オレが作ったことは確かなので、その確認だけはお願いします。役立たず、と言われるのは構いませんが、仕事をしていないと言われるのは心外なので。オレがここへ赴任して以降に、提出されたことが証明できるはずです」
別にね。いいんだよ。出来が悪いと言われるのは。
若輩者のオレが作ったんだから、完ぺきとは程遠いだろうさ。というかダメダメなんだろう。
だけど、仕事してなかったって言われるのは、いやだ。
「そちらもそこまで決めつけるんですから、もし、オレがウソをついてなかったら、どうなさるおつもりで?」
彼らは沈黙した。
そしてヒゲが、ようやく、
「……はっ。判ったぞ。時間稼ぎでもするつもりだな。小賢しい」
「ああ、そう解釈するんですか。ならばオライオン伯爵に頼んで、あなたがたがお調べになっている間、オレを留置すればいい。そして気のすむまで調査なさればいい。そのあと本当にオレの言ったことがウソだったら打ち首にでもすればいい。オレはしょせん平民ですから。ですが、オレが正しかったらどうするんですか? オレは打ち首で、あなたがたはなんですか? 笑って謝罪でもして済ませるんですか?」
「ならば――」
ヒゲが言いかけたのを、メガネが遮った。
「ダリオン殿。それ以上は言わない方がよいかと。私はこの青年がウソを言っているとは思えない。信じがたいことではありますが……」
「いいですよ。言っても。オレがウソついて打ち首で、オレがウソをついていないと証明されても、その人は、笑って済ませるんでしょう? いいですね流石は練達の行政官殿は言葉に責任がなくて。これなら朝令暮改も涼しい顔でやってのけるでしょうよ」
ああ、オレは本当に怒っているんだな。と妙に冷静に思う。
「なっ生意気な! ではわしも首を賭けよう、まぁどうせはったり――」
「では、誓約書を交わしましょう。オレが嘘をついていたら打ち首。オレがウソをついていなければあなたが打ち首。ああもちろんお貴族様だから逃がされたりしていないか確認のためにオレの前でね。ここ数日で、人の死体には慣れたので」
オレはさらさらと誓約書を書いた。4枚描いた。
全部にサインをして、ヒゲの前に滑らせる。
「バカな! 貴様正気か! 貴様は死ぬんだぞ!」
「ええ。貴方がね。オレが送った写しは王都に3部。あと、送り状も受取状もありますから、ちゃんと調べてくださいね。ここだけの話になると記憶違いだの偽造だのと言われるかもしれませんから、一通は前オライオン伯爵様に、もう一通はオライオン伯爵様に、あとはオレとあなたで一枚ずつ保管しておきましょう」
オレはまた書類を2通書いて、サインをしてから、メガネの人の前に滑らせた。
「サインしてください。あと隣の貴方にも、この場に立ち会ったことを示す書類にサインしていただきます」
徐々にふたりが青ざめていくのが面白かった。
相手はゲール伯爵にとっては大事な存在なんだろうが構うものか。
オレをバカにするのはいい。確かに若輩ものだし、未熟だし、平凡で凡庸だ。つまらない男だ。
戦闘の時も、オレはほとんど何もしていない。
だけど仕事をしたことまでなかったことにされるのは認めたくない。
非才なオレには、仕事を精一杯やることくらいしか出来ないからだ。
メガネの人がとりなすように
「君のいう事が本当なのはよくわかったから」
「そんな風にとりなさなくても結構です。その人の言葉が紙よりも軽いことは、サインをしないことからもよくわかります。自分の吐き出した言葉に全く責任がないってわけだ」
オレは、ヒゲの向かって口調だけは慇懃に。
「そういう人の言葉に重みをもたせる唯一の方法は契約です。契約を結んだらお互い従う。実に判りやすい。さぁサインを。オレがウソをついていると確信していらっしゃるんでしょ? ならサインしても何の問題もないじゃありませんか。飛ぶのはオレの首なんですから。さぁ」
ヒゲは真っ青になって、ぷるぷる震えている。実に面白い。
まぁオレみたいなどうでもいい小者に謝るなんて、大ベテランとしては出来ないよね。
メガネの人が、
「君への無礼の数々心から謝罪する。これ以上は疑義を挟まないから引継ぎを――」
「あなたがとりなしたって、その人は納得してないんでしょう。その証拠に口を開かない。信用できませんね。それにそこまでおっしゃるんですから、詐欺師でうそつきのオレがいなくても、いや、いないほうが、さぞや、立派なお仕事ができるんでしょう。ああ、ちなみに――」
オレは手を伸ばすと、ふたりから手引書をとりあげて、立ち上がる。
「オレが書いたものなんていりませんよね。一から全部作ったほうがやりやすいでしょう。では」
2人の文官さんはベテランで有能らしいから、昨日よりももっと教えるのが簡単なはず。
そんな程度で日当貰っていいんだろうか……と思っていたんだけど。
マリーに3人の追加指導というか見守りを任せて、オレはベテランらしいふたりへ引継ぎを始めた。
一通り説明したら、
「君は……どういう教育を受けて来たのかね?」
いかにも生真面目な文官という感じの先輩方は、オレを睨みつける。
ヒゲが濃い人と、分厚い眼鏡をかけている人だ。キャラが判りやすい。
「教育? 王立学園でごく普通の教育でした」
ヒゲの人が、
「その教育ではない! 施設の運営に関しての教育だ! 前任者から引き継いだのを無視しているだろう! 我流が多すぎる! こんなでは引継ぎに支障をきたすじゃないか! 全く、若殿が褒めていたからどんなものかと思っていたら……」
「いません」
メガネの人が
「そんなはずはないだろう」
「オレがここへ赴任してきた時、前任者は離れた後でした。顔も見たことがありません」
ベテラン二人は唖然とした顔でオレを見る。
そりゃそうだよね。常識的に考えて、引継ぎもなしなんてどうかしてる。
唖然が終わると、今度は疑念に満ちた視線がオレに突き刺さる。
メガネの人が、神経質にメガネを直しながら
「……にわかには信じられませんね。では、この仕事をどうやって」
「北部の要塞地帯から手引書を借りたり、古参の兵隊さんに教えてもらったりして、なんとか形に。書類の形式などは、中央のものに準拠できたんですが……」
自己流でやるしかなかったのだけど、いろいろと問題があったらしい。
ヒゲの人が、オレを犯罪者を見るような目で見る。
「ふん。言い訳にもなっておらん! そもそもここに膨大な手引書があるのだから、他の所から借りる必要がなかろう。経験の浅い若殿は騙せても、我々は騙されん」
うう……オレ、本当のことしか言っていないのに。
「ダリオン殿の言葉に賛成ですね。あなたの言葉が本当だとすれば、ここには手引書がなかったことになる。しかしちゃんとあります。つまりあなたは底の浅い嘘をついているということですね」
「その手引書。全部オレが作ったんですが……なかったので」
「「は?」」
あ。全然信じてくれない。
ないから作っただけなのに。
「手引書が何もなかったので、作りました。施設ごとに手引書は置いておかなければならない、と規則にあるので、作らざるを得ませんでした。我流であることは認めますし、不備だらけなのでしょうが。これを作ったのと同時に、写しを作って中央へも送ったので、ウソと決めつける前に、確認していただけませんか」
ヒゲがわめいた。
「はっ。ウソでたらめを! こんな量を一人で作れるわけがなかろう!」
作ったんだけどな……。
まぁベテランの人から見れば、話にならない出来なのだろう。
平凡なオレが、一から作ったんだから、そりゃオレより良いものになるわきゃない。
「判りました。オレのは自己流で、役に立たない。箸にも棒にもかからない。その通りなんでしょう。ただ、オレが作ったことは確かなので、その確認だけはお願いします。役立たず、と言われるのは構いませんが、仕事をしていないと言われるのは心外なので。オレがここへ赴任して以降に、提出されたことが証明できるはずです」
別にね。いいんだよ。出来が悪いと言われるのは。
若輩者のオレが作ったんだから、完ぺきとは程遠いだろうさ。というかダメダメなんだろう。
だけど、仕事してなかったって言われるのは、いやだ。
「そちらもそこまで決めつけるんですから、もし、オレがウソをついてなかったら、どうなさるおつもりで?」
彼らは沈黙した。
そしてヒゲが、ようやく、
「……はっ。判ったぞ。時間稼ぎでもするつもりだな。小賢しい」
「ああ、そう解釈するんですか。ならばオライオン伯爵に頼んで、あなたがたがお調べになっている間、オレを留置すればいい。そして気のすむまで調査なさればいい。そのあと本当にオレの言ったことがウソだったら打ち首にでもすればいい。オレはしょせん平民ですから。ですが、オレが正しかったらどうするんですか? オレは打ち首で、あなたがたはなんですか? 笑って謝罪でもして済ませるんですか?」
「ならば――」
ヒゲが言いかけたのを、メガネが遮った。
「ダリオン殿。それ以上は言わない方がよいかと。私はこの青年がウソを言っているとは思えない。信じがたいことではありますが……」
「いいですよ。言っても。オレがウソついて打ち首で、オレがウソをついていないと証明されても、その人は、笑って済ませるんでしょう? いいですね流石は練達の行政官殿は言葉に責任がなくて。これなら朝令暮改も涼しい顔でやってのけるでしょうよ」
ああ、オレは本当に怒っているんだな。と妙に冷静に思う。
「なっ生意気な! ではわしも首を賭けよう、まぁどうせはったり――」
「では、誓約書を交わしましょう。オレが嘘をついていたら打ち首。オレがウソをついていなければあなたが打ち首。ああもちろんお貴族様だから逃がされたりしていないか確認のためにオレの前でね。ここ数日で、人の死体には慣れたので」
オレはさらさらと誓約書を書いた。4枚描いた。
全部にサインをして、ヒゲの前に滑らせる。
「バカな! 貴様正気か! 貴様は死ぬんだぞ!」
「ええ。貴方がね。オレが送った写しは王都に3部。あと、送り状も受取状もありますから、ちゃんと調べてくださいね。ここだけの話になると記憶違いだの偽造だのと言われるかもしれませんから、一通は前オライオン伯爵様に、もう一通はオライオン伯爵様に、あとはオレとあなたで一枚ずつ保管しておきましょう」
オレはまた書類を2通書いて、サインをしてから、メガネの人の前に滑らせた。
「サインしてください。あと隣の貴方にも、この場に立ち会ったことを示す書類にサインしていただきます」
徐々にふたりが青ざめていくのが面白かった。
相手はゲール伯爵にとっては大事な存在なんだろうが構うものか。
オレをバカにするのはいい。確かに若輩ものだし、未熟だし、平凡で凡庸だ。つまらない男だ。
戦闘の時も、オレはほとんど何もしていない。
だけど仕事をしたことまでなかったことにされるのは認めたくない。
非才なオレには、仕事を精一杯やることくらいしか出来ないからだ。
メガネの人がとりなすように
「君のいう事が本当なのはよくわかったから」
「そんな風にとりなさなくても結構です。その人の言葉が紙よりも軽いことは、サインをしないことからもよくわかります。自分の吐き出した言葉に全く責任がないってわけだ」
オレは、ヒゲの向かって口調だけは慇懃に。
「そういう人の言葉に重みをもたせる唯一の方法は契約です。契約を結んだらお互い従う。実に判りやすい。さぁサインを。オレがウソをついていると確信していらっしゃるんでしょ? ならサインしても何の問題もないじゃありませんか。飛ぶのはオレの首なんですから。さぁ」
ヒゲは真っ青になって、ぷるぷる震えている。実に面白い。
まぁオレみたいなどうでもいい小者に謝るなんて、大ベテランとしては出来ないよね。
メガネの人が、
「君への無礼の数々心から謝罪する。これ以上は疑義を挟まないから引継ぎを――」
「あなたがとりなしたって、その人は納得してないんでしょう。その証拠に口を開かない。信用できませんね。それにそこまでおっしゃるんですから、詐欺師でうそつきのオレがいなくても、いや、いないほうが、さぞや、立派なお仕事ができるんでしょう。ああ、ちなみに――」
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