6 / 25
決意の郡山
軋む日常⑤
しおりを挟む
「あ…生きてる…?」
目を動かして辺りを見るが暗い。
自分の身に何がおきたのかわからない。ただただ、身体がきしむように痛い。ゆっくりと手を伸ばすと、柔らかい布に触れた。ソファだった。
なんとなく覚えがある。支社長席の横にあった応接の為のソファ。
恐竜はフロアを薙ぎ払った際に、ビルの構造材に合わせてフロアに置かれていたソファも弾き飛ばしていた。そのソファと壁の間に挟まれる形で奇跡的に無傷だった。
一刻も早くここから逃げ出したいが、ソファが重いのか押しても動かない。隙間から外を見ると、瓦礫が転がっている。ソファに瓦礫でも乗っているのだろうか。
身体をうつ伏せにして隙間からはいずって出ると、フロアは完全に破壊されていた。建物の支柱はやられなかったのか倒壊やビルが傾くなんて事態には及んでいない。外を見ると恐竜?の姿はなかった。
支社長と臨次の姿が見えなくなったことで興味を失ったのだろうか。
ふらふらしながらゆっくりと階段へ向けて歩いているときに思い出した。
「パソコン…」
機械室のほうを見ると、そこもめちゃめちゃに破壊されていた。サーバーラックもひしゃげて中の機械も基盤がむき出しになってフレームも完全にやられていた。肝心のパソコンと携帯は…目視では見つけられなかった。瓦礫が折り重なっていたのでその下に埋もれてしまったのかもしれない。
ぷい、と顔を背けると、ゆっくりと歩いて階段に腰かけた。
リュックを下ろして身体の力を抜く。すると、項垂れてしまい頭が上がらなくなってしまった。身体に力を入れようとしても入らない。
…どうしてこんなことになってしまったのか。
一昨日は冷静にならない頭で出張の準備をして郡山入りし。昨日は客先にサーバー運用開始立ち合いに来て。問題なく終わって美味しいものでも食べてそのまま新幹線に乗って帰るだけのはずだったのに。
いつの間にか、非日常の世界に巻き込まれてしまった。
それは自分だけに限ったことではないが。
そして、何人もの人が…死んだ。あの若者たちも普段の日常を過ごしていただけだろう。それが突然あんなものが目の前に出てきて、なんの想いを告げることもなく突然死に迎えられてしまった。しかも、本人の身体は欠片も残っていない。骨すらも無い。残されたのは衣服と所持品だけ。まるで生きていた証拠を消されたかのように。
それだけじゃない、きっと臨次が知らないだけでもっと多くの人があの恐竜?の犠牲になったのだろう。
泊まったホテルの支配人の話が本当なら、民間人を守ってくれると思っていた自衛隊は郡山から撤退している。それも、恐竜に歯が立たないという理由が付属して。ならば、警察ではもっとどうにもならないだろう。
日本は以前の大震災でも、非人道的な行動を伴う大きな混乱は起きなかった。だがそれは、俺たち私たちだけじゃないという考えと、ここを乗り越えて必ず生き延びる。生活を再建してみせるという強い想いがあったからだろう。
だが、今回は今までのような自然災害ではない。
決してない。
あんなものが自然災害であるはずがない。
これでは、今までのような日本が保てるかわからない。
人の集団心理がどの方向に暴走するか全く予想がつかない。
あの恐竜に向かっていって、いわば自殺のような真似をする人が大勢出る可能性すらある。
臨次はもともと、人が死ぬときはなんの理由もなくあっけなくあっさりとドラマもなくただ死ぬものと思っていた。それはどんな人格者でも政治家でも犯罪者でも区別ないと思っていた。
だがそれはあくまで平時のときの考えであって、こんなよくわからないことで死ぬのはまっぴらごめんだ。あの恐竜もどきがどこからきて何の目的があって人を襲うのか。それすら知らない。
生きることにしがみ付いているわけではなかったが、ふつふつと心に、生きる、の三文字が強く形作られていく。
気付くと、手が力強く握られていた。
足も強く地面を踏みしめることが出来る。
項垂れていた頭も上がり、いつの間にか正面をまっすぐと見ていた。
「…自分で納得して死んでやる」
この事態の中で生き延びられると思うほど臨次は楽観的ではない。むしろ死ぬ、と思う。だが、死ぬなら死ぬなりに自分が納得して死にたい。それは、普段行動するときから心がけていた、臨次の根底にあるもの。
自分に利益があろうとも不利益があろうとも、納得して行動に移せなければ良いパフォーマンスは出せないからだ。
臨次は立ち上がってリュックを背負い、階段を降りて行った。まだ体のあちこちが痛むため足取りはゆっくりだが、力強く踏みしめて。
階段を降りた先、エントランスにはもう支社長はいなかった。状況的に臨次は殺されたと思っても仕方ないし、避難してもらっていたほうが、連れて歩く可能性もあったことを考えれば気が楽だ。足にコツンと何かがあたる。見るとひん曲がった鉄パイプだった。
入口の向こう、歩道にはたくさんの瓦礫が落ちている。落ちた時にばらばらになってここまで転がってきたのか。これは丁度良いとそのまま持っていくことにする。しかしこのまま入口から出て、タイミング良く瓦礫が落ちてきて直撃でもしたらそこで終わってしまう。そこで、裏手の駐車場側に回ってビルから出る。
あたりに恐竜もどきはいない。
臨次のこれからの行動目標は、ひとまず家族…両親の無事を確認することにした。昨晩に連絡したのだが、結局繋がらなかった。実家は栃木県の足利市。現在地は福島県郡山市。
ルート検索をすると途端に新幹線で郡山から小山、小山から足利まで両毛線のルートが出てくるが、もう電車は使えない。
徒歩で行くしかない。
徒歩ルートだと…途中山越えになる国道293号線ルートか少し遠回りになる国道4号線ルートの二つ。民家が多く休む場所に困らなさそうなのは293号線ルートだが、人が多い可能性のある場所を通ること自体がリスクにもなりかねなかったので、実質4号線ルート一択だった。
だが臨次は郡山市内の地理には明るくない。市内の国道4号線がどこにあるのか調べると、今いる場所から駅を挟んで反対側。どうやら自衛隊の郡山駐屯地の方らしい。
さっそく雲行きが怪しくなってきたが、かといってよく知らない道を南に歩いていけば4号に乗れるものでもない。諦めて西に向かう。
今までは気付かなかったことだが、路上のあちこちに衣類やバックが落ちている。それだけたくさんの人が襲われたということ…見ても今更何も出来やしない。臨次は気持ちを強く持って気にしないことにした。
しばらく歩くと郡山駅が見えてきた。人が多く集まっている。恐竜もどきの姿は見えないが、臨次はそこから少し南下して駅から離れた場所で線路を渡り、新幹線の高架橋をくぐる。いやでも衣服やバックが目に付く。
そのまましばらく歩くと、右側に大きな公園が見えてきた。地図を確認する。開成山公園というらしい。普段ならばのどかな公園で家族連れがのんびりしているのだろうが、今は人が大勢集まっている。見ると、自衛隊らしき人が大きな声を出して何か話していた。
手配したバスで順次被害の少ない地域まで送りますので待て。バスには自衛隊が護衛につく。
人々は安心した表情を見せているが、バスはまだこないのかと自衛隊員に詰め寄る。順次到着するのでとなだめるが大声を張り上げる人もいた。
しかし、何処に送るかまでは言わない。被害の少ない地域、とだけ。安全な場所、ではないのだ。
臨次は公園には近寄らずに更に南下して離れたところを西へ曲がった。
途中、鉄パイプを持ちながら歩く臨次を奇異の目で見る人こそあれど、声をかけてくる人はいなかった。
少し離れた場所に少し広めの道路が見えた。
確認すると国道4号線だ。
十字路をあと三つといったところか。
逸る気持ちを抑えつつも少し駆け足で向かい、視界がやや狭くなったときだった。目の前の十字路の左から、ラプトルもどきが現れたのだ。
目を動かして辺りを見るが暗い。
自分の身に何がおきたのかわからない。ただただ、身体がきしむように痛い。ゆっくりと手を伸ばすと、柔らかい布に触れた。ソファだった。
なんとなく覚えがある。支社長席の横にあった応接の為のソファ。
恐竜はフロアを薙ぎ払った際に、ビルの構造材に合わせてフロアに置かれていたソファも弾き飛ばしていた。そのソファと壁の間に挟まれる形で奇跡的に無傷だった。
一刻も早くここから逃げ出したいが、ソファが重いのか押しても動かない。隙間から外を見ると、瓦礫が転がっている。ソファに瓦礫でも乗っているのだろうか。
身体をうつ伏せにして隙間からはいずって出ると、フロアは完全に破壊されていた。建物の支柱はやられなかったのか倒壊やビルが傾くなんて事態には及んでいない。外を見ると恐竜?の姿はなかった。
支社長と臨次の姿が見えなくなったことで興味を失ったのだろうか。
ふらふらしながらゆっくりと階段へ向けて歩いているときに思い出した。
「パソコン…」
機械室のほうを見ると、そこもめちゃめちゃに破壊されていた。サーバーラックもひしゃげて中の機械も基盤がむき出しになってフレームも完全にやられていた。肝心のパソコンと携帯は…目視では見つけられなかった。瓦礫が折り重なっていたのでその下に埋もれてしまったのかもしれない。
ぷい、と顔を背けると、ゆっくりと歩いて階段に腰かけた。
リュックを下ろして身体の力を抜く。すると、項垂れてしまい頭が上がらなくなってしまった。身体に力を入れようとしても入らない。
…どうしてこんなことになってしまったのか。
一昨日は冷静にならない頭で出張の準備をして郡山入りし。昨日は客先にサーバー運用開始立ち合いに来て。問題なく終わって美味しいものでも食べてそのまま新幹線に乗って帰るだけのはずだったのに。
いつの間にか、非日常の世界に巻き込まれてしまった。
それは自分だけに限ったことではないが。
そして、何人もの人が…死んだ。あの若者たちも普段の日常を過ごしていただけだろう。それが突然あんなものが目の前に出てきて、なんの想いを告げることもなく突然死に迎えられてしまった。しかも、本人の身体は欠片も残っていない。骨すらも無い。残されたのは衣服と所持品だけ。まるで生きていた証拠を消されたかのように。
それだけじゃない、きっと臨次が知らないだけでもっと多くの人があの恐竜?の犠牲になったのだろう。
泊まったホテルの支配人の話が本当なら、民間人を守ってくれると思っていた自衛隊は郡山から撤退している。それも、恐竜に歯が立たないという理由が付属して。ならば、警察ではもっとどうにもならないだろう。
日本は以前の大震災でも、非人道的な行動を伴う大きな混乱は起きなかった。だがそれは、俺たち私たちだけじゃないという考えと、ここを乗り越えて必ず生き延びる。生活を再建してみせるという強い想いがあったからだろう。
だが、今回は今までのような自然災害ではない。
決してない。
あんなものが自然災害であるはずがない。
これでは、今までのような日本が保てるかわからない。
人の集団心理がどの方向に暴走するか全く予想がつかない。
あの恐竜に向かっていって、いわば自殺のような真似をする人が大勢出る可能性すらある。
臨次はもともと、人が死ぬときはなんの理由もなくあっけなくあっさりとドラマもなくただ死ぬものと思っていた。それはどんな人格者でも政治家でも犯罪者でも区別ないと思っていた。
だがそれはあくまで平時のときの考えであって、こんなよくわからないことで死ぬのはまっぴらごめんだ。あの恐竜もどきがどこからきて何の目的があって人を襲うのか。それすら知らない。
生きることにしがみ付いているわけではなかったが、ふつふつと心に、生きる、の三文字が強く形作られていく。
気付くと、手が力強く握られていた。
足も強く地面を踏みしめることが出来る。
項垂れていた頭も上がり、いつの間にか正面をまっすぐと見ていた。
「…自分で納得して死んでやる」
この事態の中で生き延びられると思うほど臨次は楽観的ではない。むしろ死ぬ、と思う。だが、死ぬなら死ぬなりに自分が納得して死にたい。それは、普段行動するときから心がけていた、臨次の根底にあるもの。
自分に利益があろうとも不利益があろうとも、納得して行動に移せなければ良いパフォーマンスは出せないからだ。
臨次は立ち上がってリュックを背負い、階段を降りて行った。まだ体のあちこちが痛むため足取りはゆっくりだが、力強く踏みしめて。
階段を降りた先、エントランスにはもう支社長はいなかった。状況的に臨次は殺されたと思っても仕方ないし、避難してもらっていたほうが、連れて歩く可能性もあったことを考えれば気が楽だ。足にコツンと何かがあたる。見るとひん曲がった鉄パイプだった。
入口の向こう、歩道にはたくさんの瓦礫が落ちている。落ちた時にばらばらになってここまで転がってきたのか。これは丁度良いとそのまま持っていくことにする。しかしこのまま入口から出て、タイミング良く瓦礫が落ちてきて直撃でもしたらそこで終わってしまう。そこで、裏手の駐車場側に回ってビルから出る。
あたりに恐竜もどきはいない。
臨次のこれからの行動目標は、ひとまず家族…両親の無事を確認することにした。昨晩に連絡したのだが、結局繋がらなかった。実家は栃木県の足利市。現在地は福島県郡山市。
ルート検索をすると途端に新幹線で郡山から小山、小山から足利まで両毛線のルートが出てくるが、もう電車は使えない。
徒歩で行くしかない。
徒歩ルートだと…途中山越えになる国道293号線ルートか少し遠回りになる国道4号線ルートの二つ。民家が多く休む場所に困らなさそうなのは293号線ルートだが、人が多い可能性のある場所を通ること自体がリスクにもなりかねなかったので、実質4号線ルート一択だった。
だが臨次は郡山市内の地理には明るくない。市内の国道4号線がどこにあるのか調べると、今いる場所から駅を挟んで反対側。どうやら自衛隊の郡山駐屯地の方らしい。
さっそく雲行きが怪しくなってきたが、かといってよく知らない道を南に歩いていけば4号に乗れるものでもない。諦めて西に向かう。
今までは気付かなかったことだが、路上のあちこちに衣類やバックが落ちている。それだけたくさんの人が襲われたということ…見ても今更何も出来やしない。臨次は気持ちを強く持って気にしないことにした。
しばらく歩くと郡山駅が見えてきた。人が多く集まっている。恐竜もどきの姿は見えないが、臨次はそこから少し南下して駅から離れた場所で線路を渡り、新幹線の高架橋をくぐる。いやでも衣服やバックが目に付く。
そのまましばらく歩くと、右側に大きな公園が見えてきた。地図を確認する。開成山公園というらしい。普段ならばのどかな公園で家族連れがのんびりしているのだろうが、今は人が大勢集まっている。見ると、自衛隊らしき人が大きな声を出して何か話していた。
手配したバスで順次被害の少ない地域まで送りますので待て。バスには自衛隊が護衛につく。
人々は安心した表情を見せているが、バスはまだこないのかと自衛隊員に詰め寄る。順次到着するのでとなだめるが大声を張り上げる人もいた。
しかし、何処に送るかまでは言わない。被害の少ない地域、とだけ。安全な場所、ではないのだ。
臨次は公園には近寄らずに更に南下して離れたところを西へ曲がった。
途中、鉄パイプを持ちながら歩く臨次を奇異の目で見る人こそあれど、声をかけてくる人はいなかった。
少し離れた場所に少し広めの道路が見えた。
確認すると国道4号線だ。
十字路をあと三つといったところか。
逸る気持ちを抑えつつも少し駆け足で向かい、視界がやや狭くなったときだった。目の前の十字路の左から、ラプトルもどきが現れたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる