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森の中の出会い
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城を抜け出したブランシュは、重たいマントのすそを持ちあげながら、森の中を進んでいました。
はじめは城下町に向かおうかとも考えましたが、人が多ければ多いほど、見つかってしまうかもしれない――そう思い、誰もこないような森を選んだのです。
「だいじょうぶ……わたしなら歩けるわ。だって、森には興味のある植物がたくさんあるもの」
小さなつぶやきとともに、ブランシュはかばんをぎゅっと抱きしめました。
その中には、お気に入りの植物図鑑が入っています。城の庭に咲く花や、温室に育つ薬草たち。ブランシュは植物を観察するのが大好きだったのです。
昼間なのに少し薄暗い森の中。
落ち葉を踏むたびに、ちいさな音が足もとに広がります。
ふと、奥のほうからにぎやかな声が聞こえてきました。
「う~ん、これは毒だったか、そうじゃなかったか……?」
「さっきの赤いの、たぶんおいしいやつだと思うんだけどなぁ」
「いやいや、それはおなかいたくなるヤツじゃなかったっけ?」
ブランシュがそっと草むらをのぞくと、小人たちが、きのこを囲んで集まっていました。1,2,3……7人の小人は、困ったかおをしています。
「こんにちは。どうしたのですか?」
おそるおそるブランシュが声をかけると、小人たちはビクリと肩をふるわせ、ふり返りました。
「おおっ……びっくりした! 人間の子!?」
「どうしたの? 何か困りごとかしら?」
「そうなんだよ。ごはんの材料を集めてたんだけど……気づいたら、毒きのこと混ざっちゃってて」
「どれが毒か分からなくて、怖くて食べられないんだよ」
ブランシュは、しゃがんできのこを見つめました。
植物図鑑をカバンから取り出し、ページをめくっていきます。
「えっとね、これは大丈夫、こっちは毒……この子たちは、見た目が似てるけど、ほら、かさの裏側が少しちがうの」
図鑑で確認しながら、ブランシュはきのこを分けていきます。
小人たちは、ブランシュの手さばきに感心して、目を丸くしました。
「すっごい! 本当に見分けられるの!?」
「お姫さまみたいに可愛いのに、毒きのこに詳しいなんて!」
(うふふ……さっきまで本当にお姫さまだったのよ)
ブランシュはこころの中でつぶやきました。
お城から逃げてきたことは秘密なのです。
「ありがとう、可愛い人間の子」
「お礼がしたいけど、どうしよう。今、あげられる物を持ってないな」
「お礼なんて良いわ。あ、でも、この毒きのこはどうするのかしら。もし捨てるのなら、欲しいのだけど」
「ど、毒きのこなんてどうするの!?」
小人は驚いた顔で尋ねます。
まさか毒きのこが欲しいなんて言われるとは思っていなかったのです。
「調べてみたいと思っていたの」
図鑑で見たことはありましたが、実物を見るのははじめてなので、毒きのこを貰えるのなら嬉しいです。
「へぇ、変わった子だねぇ!」
にこりと笑ったブランシュの表情に、小人たちは目を見合わせました。
「でもお礼が毒きのこなんて、僕たちのプライドがゆるさないというか……」
「そうだよね」
「じゃあさ、うちに招待する?」
「いいね。そうしよう」
なにやら、小人たちが円になって話合っているので、ブランシュは近くで待っていました。
「ねえ、僕たちの家に来ない? お礼に招待するよ」
「いいの? ありがとう。行ってみたいわ」
小人たちの招待に、ブランシュは目を輝かせました。
はじめは城下町に向かおうかとも考えましたが、人が多ければ多いほど、見つかってしまうかもしれない――そう思い、誰もこないような森を選んだのです。
「だいじょうぶ……わたしなら歩けるわ。だって、森には興味のある植物がたくさんあるもの」
小さなつぶやきとともに、ブランシュはかばんをぎゅっと抱きしめました。
その中には、お気に入りの植物図鑑が入っています。城の庭に咲く花や、温室に育つ薬草たち。ブランシュは植物を観察するのが大好きだったのです。
昼間なのに少し薄暗い森の中。
落ち葉を踏むたびに、ちいさな音が足もとに広がります。
ふと、奥のほうからにぎやかな声が聞こえてきました。
「う~ん、これは毒だったか、そうじゃなかったか……?」
「さっきの赤いの、たぶんおいしいやつだと思うんだけどなぁ」
「いやいや、それはおなかいたくなるヤツじゃなかったっけ?」
ブランシュがそっと草むらをのぞくと、小人たちが、きのこを囲んで集まっていました。1,2,3……7人の小人は、困ったかおをしています。
「こんにちは。どうしたのですか?」
おそるおそるブランシュが声をかけると、小人たちはビクリと肩をふるわせ、ふり返りました。
「おおっ……びっくりした! 人間の子!?」
「どうしたの? 何か困りごとかしら?」
「そうなんだよ。ごはんの材料を集めてたんだけど……気づいたら、毒きのこと混ざっちゃってて」
「どれが毒か分からなくて、怖くて食べられないんだよ」
ブランシュは、しゃがんできのこを見つめました。
植物図鑑をカバンから取り出し、ページをめくっていきます。
「えっとね、これは大丈夫、こっちは毒……この子たちは、見た目が似てるけど、ほら、かさの裏側が少しちがうの」
図鑑で確認しながら、ブランシュはきのこを分けていきます。
小人たちは、ブランシュの手さばきに感心して、目を丸くしました。
「すっごい! 本当に見分けられるの!?」
「お姫さまみたいに可愛いのに、毒きのこに詳しいなんて!」
(うふふ……さっきまで本当にお姫さまだったのよ)
ブランシュはこころの中でつぶやきました。
お城から逃げてきたことは秘密なのです。
「ありがとう、可愛い人間の子」
「お礼がしたいけど、どうしよう。今、あげられる物を持ってないな」
「お礼なんて良いわ。あ、でも、この毒きのこはどうするのかしら。もし捨てるのなら、欲しいのだけど」
「ど、毒きのこなんてどうするの!?」
小人は驚いた顔で尋ねます。
まさか毒きのこが欲しいなんて言われるとは思っていなかったのです。
「調べてみたいと思っていたの」
図鑑で見たことはありましたが、実物を見るのははじめてなので、毒きのこを貰えるのなら嬉しいです。
「へぇ、変わった子だねぇ!」
にこりと笑ったブランシュの表情に、小人たちは目を見合わせました。
「でもお礼が毒きのこなんて、僕たちのプライドがゆるさないというか……」
「そうだよね」
「じゃあさ、うちに招待する?」
「いいね。そうしよう」
なにやら、小人たちが円になって話合っているので、ブランシュは近くで待っていました。
「ねえ、僕たちの家に来ない? お礼に招待するよ」
「いいの? ありがとう。行ってみたいわ」
小人たちの招待に、ブランシュは目を輝かせました。
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