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最終話 未来の扉
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大きな姿見に映った、あたしたち三人はとても仲が良さそうに見える。
「私、髪切ったのね」
柚月ちゃんが、首の後ろで結んでる髪の毛を触りながら言う。ショートカットの柚月ちゃんは、キリッとしててカッコいい。
「短いのも良いじゃん。オレも髪の色変わってるし」
玲央くんは金髪じゃなくなってた。
黒髪の玲央くんは、なんだか別人みたい。すごく真面目に見える。
「あたしは……あんまり変わんないね」
身長は伸びてて、今よりお姉さんっぽくは見えるけど、二人ほど変わってなくて、ちょっと複雑。
「少しは大人っぽくなってるじゃん」
「そうかな?」
「中学生だから、あとニ・三年後の姿だもの、そんなに大きく変わってないわよ」
三人で鏡の中の自分たちについて話してると、ほのぼのとした空気になった。
――その時だった。
ミシ……ミシ……と、床下から不気味な音が響いてきたの。
「……何の音?」
ミシ……ミシ……ミシ……。
「ここって、来週取り壊されるんだよな」
「古いし、危ないからって……先生言ってたよね」
「……ちょっとまって、今壊れたりしないわよね!?」
柚月ちゃんの言葉に、サーッて血の気が引いた。
ミシミシミシ……!
軋む音は大きくなって、天井の木材がかすかに揺れている気がする。
「やばいっ! 逃げよう!」
あたしたち三人は顔を見合わせ、一斉に駆け出した。
廊下を走って、必死に出口へ向かった。
「もう少し……!」
外につながる扉に手をかけて、勢いよく開いた瞬間――。
目の前に広がっていたのは、旧校舎の外ではなかった。
そこにいたのは、自分の笑顔。
玲央くんと柚月ちゃんだけじゃなくて、クラスメイトたちと楽しそうに過ごしている“灯子”の姿だった。
「え……これ……」
温かな笑い声が響く。
そのとき、不思議な声が耳に届いた。
『七つ目の七ふしぎへようこそ。これは君が望んだ景色。そして必ず叶う未来だよ……おめでとう』
どこかで聞いたことがあるような、懐かしいような声。
次の瞬間、目の前の景色が光に包まれていった。
あたしは、まぶしくって思わず目を閉じた。
そして、次に目を開けたときには、あたしたちは旧校舎の外に立っていた。
さっきまでの軋む音も、まるで幻だったかのように旧校舎は静まり返っている。
「……ねえ、聞こえた?」
あたしはおそるおそる玲央くんと柚月ちゃんに尋ねた。
「うん。『叶う未来』って……」
「ええ、私も聞こえたわ」
玲央くんと柚月ちゃんも同じ声を聞いたらしい。
「あたし、他のクラスメイトの子たちとも楽しくおしゃべりしてた」
言葉にすると、じんわりと心が温かくなった。
「オレは違う景色だった」
「私も」
みんな別々の景色を見たみたい。
それからあたしたちは、互いに見た景色を語り合う。
「オレは、クラブ活動の時に年下の子たちに色々教えてあげてる景色だったーーオレ、ちゃんと教えれてて良かったって思った」
玲央くんって、明るくてムードメーカーなキャラだけど、他の子に教えるのって苦手なんだって。少し照れくさそうに鼻の下をこすってる。
「私は弟と一緒に遊んでた……仲良くなれるってわかって嬉しかったわ」
柚月ちゃんは、最近お母さんが再婚して弟が出来たけど、どう接したらいいのかわからなくって、よそよそしい感じなんだって。
『望んだ景色で、必ず叶う未来』。
たぶん、他の人からみたら他愛のない景色かもしれない。だけど、自分にしてみたら心の中で望んでたこと。それが叶うって嬉しいよね。
夢見たいな体験だったけど、三人同時に体験したことだし、絶対夢じゃない。
今のはきっと……
きずな小学校七ふしぎーーその七。
どこかにある「未来の扉」を開くと……。
謎に包まれてた七番目の七ふしぎを、あたしたちは体験したんだと思う。
七ふしぎの謎を全部調べると願いが叶うっていうのは、本当だった。
だって、あたしは玲央くんや柚月ちゃんっていう仲の良い友だちが出来たし、他のクラスメイトとも仲良くなれる未来が待っているんだもん。
こうして――七ふしぎ探偵団の活動は終了したの。
ちょっと怖くて、だけど心温まる。
きずな小学校の七ふしぎは、そんな物語だった。
「私、髪切ったのね」
柚月ちゃんが、首の後ろで結んでる髪の毛を触りながら言う。ショートカットの柚月ちゃんは、キリッとしててカッコいい。
「短いのも良いじゃん。オレも髪の色変わってるし」
玲央くんは金髪じゃなくなってた。
黒髪の玲央くんは、なんだか別人みたい。すごく真面目に見える。
「あたしは……あんまり変わんないね」
身長は伸びてて、今よりお姉さんっぽくは見えるけど、二人ほど変わってなくて、ちょっと複雑。
「少しは大人っぽくなってるじゃん」
「そうかな?」
「中学生だから、あとニ・三年後の姿だもの、そんなに大きく変わってないわよ」
三人で鏡の中の自分たちについて話してると、ほのぼのとした空気になった。
――その時だった。
ミシ……ミシ……と、床下から不気味な音が響いてきたの。
「……何の音?」
ミシ……ミシ……ミシ……。
「ここって、来週取り壊されるんだよな」
「古いし、危ないからって……先生言ってたよね」
「……ちょっとまって、今壊れたりしないわよね!?」
柚月ちゃんの言葉に、サーッて血の気が引いた。
ミシミシミシ……!
軋む音は大きくなって、天井の木材がかすかに揺れている気がする。
「やばいっ! 逃げよう!」
あたしたち三人は顔を見合わせ、一斉に駆け出した。
廊下を走って、必死に出口へ向かった。
「もう少し……!」
外につながる扉に手をかけて、勢いよく開いた瞬間――。
目の前に広がっていたのは、旧校舎の外ではなかった。
そこにいたのは、自分の笑顔。
玲央くんと柚月ちゃんだけじゃなくて、クラスメイトたちと楽しそうに過ごしている“灯子”の姿だった。
「え……これ……」
温かな笑い声が響く。
そのとき、不思議な声が耳に届いた。
『七つ目の七ふしぎへようこそ。これは君が望んだ景色。そして必ず叶う未来だよ……おめでとう』
どこかで聞いたことがあるような、懐かしいような声。
次の瞬間、目の前の景色が光に包まれていった。
あたしは、まぶしくって思わず目を閉じた。
そして、次に目を開けたときには、あたしたちは旧校舎の外に立っていた。
さっきまでの軋む音も、まるで幻だったかのように旧校舎は静まり返っている。
「……ねえ、聞こえた?」
あたしはおそるおそる玲央くんと柚月ちゃんに尋ねた。
「うん。『叶う未来』って……」
「ええ、私も聞こえたわ」
玲央くんと柚月ちゃんも同じ声を聞いたらしい。
「あたし、他のクラスメイトの子たちとも楽しくおしゃべりしてた」
言葉にすると、じんわりと心が温かくなった。
「オレは違う景色だった」
「私も」
みんな別々の景色を見たみたい。
それからあたしたちは、互いに見た景色を語り合う。
「オレは、クラブ活動の時に年下の子たちに色々教えてあげてる景色だったーーオレ、ちゃんと教えれてて良かったって思った」
玲央くんって、明るくてムードメーカーなキャラだけど、他の子に教えるのって苦手なんだって。少し照れくさそうに鼻の下をこすってる。
「私は弟と一緒に遊んでた……仲良くなれるってわかって嬉しかったわ」
柚月ちゃんは、最近お母さんが再婚して弟が出来たけど、どう接したらいいのかわからなくって、よそよそしい感じなんだって。
『望んだ景色で、必ず叶う未来』。
たぶん、他の人からみたら他愛のない景色かもしれない。だけど、自分にしてみたら心の中で望んでたこと。それが叶うって嬉しいよね。
夢見たいな体験だったけど、三人同時に体験したことだし、絶対夢じゃない。
今のはきっと……
きずな小学校七ふしぎーーその七。
どこかにある「未来の扉」を開くと……。
謎に包まれてた七番目の七ふしぎを、あたしたちは体験したんだと思う。
七ふしぎの謎を全部調べると願いが叶うっていうのは、本当だった。
だって、あたしは玲央くんや柚月ちゃんっていう仲の良い友だちが出来たし、他のクラスメイトとも仲良くなれる未来が待っているんだもん。
こうして――七ふしぎ探偵団の活動は終了したの。
ちょっと怖くて、だけど心温まる。
きずな小学校の七ふしぎは、そんな物語だった。
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