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鍛えてた筋肉が役にたった
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本業:殺し屋。
副業:Vtuber。
それに加えて、最近は推し絵師のイベント手伝いなんかもしていて、自分でも何やってるんだろ?と思う。
しかも、その推し絵師というのは殺し屋の同業者だ。
以前は、仕事を取り合い、お互いにギスギスした関係だった。見掛けたら、取り敢えず嫌がらせしておこうと考えるくらいだ。
まあ、その嫌がらせをしようとした結果、有馬が、俺の推し絵師だったことが発覚し、それから割と良好な関係を築いていると思う。
数日前「最近、更新されてないんだよね」と、俺の過去動画を見ながら、残念そうに有馬が話していた。
俺がVtuberをしている事はまだ内緒にしているが、推しだと言っていた。内心嬉しくてにやけそうだったが、表情筋を引き締めて「へー、そうなんだ」となに食わぬ顔で返事をしておいた。
そろそろカミングアウトしても良い頃合いか……しかし、今さら「それ俺が配信してるんだ」と言うのも気恥ずかしい気もする。
それに、有馬が言うように、最近動画の更新が出来ていない。
ネタ切れ状態なのだ。
どうせなら新しい動画を配信する目処が立ってからカミングアウトしたい。
そんな事を考えているが、なかなか撮りたいネタがないから動画を更新出来ない。
今日は有馬のイベントの手伝いをしている。
日中はまだまだ日射しが暑い。重い段ボールを運んでいると汗ばむ陽気だ。
すると、何だか視線を感じた。
有馬がじっと俺を見ている。何だ?
「何?」
「意外と筋肉あるよね。いや、あの身のこなしなら筋肉あって当然か……」
最後の方は独り言のように小声でブツブツ言ってる。
「まあ、それなりに鍛えてるからな」
「ほう……」
有馬は考える仕草をしている。本当に一体何だ??
「あの、もし良かったらさ、イラストの練習に付き合ってくれない?なかなか上手く筋肉が描けないんだよね。ムキムキじゃなくて、均整の取れた美しい筋肉が描きたいんだけど……」
それは、「俺が均整の取れた美しい筋肉」と誉めているのか?
「別にいいけど……」
ふと、そこで思い付く。
「俺も少し手伝って欲しい事があるんだけど」
「何?」
少し警戒するように有馬が尋ねる。
「同人誌がどんな風に出来上がっていくのか動画に撮りたい。それで、その動画を配信したい」
前から「こういう個人的に作る本って、どうやって出来るんだ?」と疑問だったんだ。
有馬の手伝いをしなければ知らなかった。
きっと、他にも知りたいと思う人は居るはずだ。
「え、そんな事で良いの?じゃあ、筋肉描く練習に付き合って貰う代わりに、作業風景を撮って良いわよ」
有馬は、あっさり快諾した。
鍛えてた筋肉のおかげで、配信ネタを見付ける事が出来るとは。
「今までの動画とか観れる?アカウント名は?」
と聞かれたが、今はまだ内緒にしておく。
無事に動画編集が済んだら、俺が有馬の推している配信者だとカミングアウトする予定だ。
その日が来るのを楽しみに、動画を作ろうと思う。
副業:Vtuber。
それに加えて、最近は推し絵師のイベント手伝いなんかもしていて、自分でも何やってるんだろ?と思う。
しかも、その推し絵師というのは殺し屋の同業者だ。
以前は、仕事を取り合い、お互いにギスギスした関係だった。見掛けたら、取り敢えず嫌がらせしておこうと考えるくらいだ。
まあ、その嫌がらせをしようとした結果、有馬が、俺の推し絵師だったことが発覚し、それから割と良好な関係を築いていると思う。
数日前「最近、更新されてないんだよね」と、俺の過去動画を見ながら、残念そうに有馬が話していた。
俺がVtuberをしている事はまだ内緒にしているが、推しだと言っていた。内心嬉しくてにやけそうだったが、表情筋を引き締めて「へー、そうなんだ」となに食わぬ顔で返事をしておいた。
そろそろカミングアウトしても良い頃合いか……しかし、今さら「それ俺が配信してるんだ」と言うのも気恥ずかしい気もする。
それに、有馬が言うように、最近動画の更新が出来ていない。
ネタ切れ状態なのだ。
どうせなら新しい動画を配信する目処が立ってからカミングアウトしたい。
そんな事を考えているが、なかなか撮りたいネタがないから動画を更新出来ない。
今日は有馬のイベントの手伝いをしている。
日中はまだまだ日射しが暑い。重い段ボールを運んでいると汗ばむ陽気だ。
すると、何だか視線を感じた。
有馬がじっと俺を見ている。何だ?
「何?」
「意外と筋肉あるよね。いや、あの身のこなしなら筋肉あって当然か……」
最後の方は独り言のように小声でブツブツ言ってる。
「まあ、それなりに鍛えてるからな」
「ほう……」
有馬は考える仕草をしている。本当に一体何だ??
「あの、もし良かったらさ、イラストの練習に付き合ってくれない?なかなか上手く筋肉が描けないんだよね。ムキムキじゃなくて、均整の取れた美しい筋肉が描きたいんだけど……」
それは、「俺が均整の取れた美しい筋肉」と誉めているのか?
「別にいいけど……」
ふと、そこで思い付く。
「俺も少し手伝って欲しい事があるんだけど」
「何?」
少し警戒するように有馬が尋ねる。
「同人誌がどんな風に出来上がっていくのか動画に撮りたい。それで、その動画を配信したい」
前から「こういう個人的に作る本って、どうやって出来るんだ?」と疑問だったんだ。
有馬の手伝いをしなければ知らなかった。
きっと、他にも知りたいと思う人は居るはずだ。
「え、そんな事で良いの?じゃあ、筋肉描く練習に付き合って貰う代わりに、作業風景を撮って良いわよ」
有馬は、あっさり快諾した。
鍛えてた筋肉のおかげで、配信ネタを見付ける事が出来るとは。
「今までの動画とか観れる?アカウント名は?」
と聞かれたが、今はまだ内緒にしておく。
無事に動画編集が済んだら、俺が有馬の推している配信者だとカミングアウトする予定だ。
その日が来るのを楽しみに、動画を作ろうと思う。
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