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1 幸せな結婚生活など来ないのです

① 初夜の出来事

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(私は何を見せられているのでしょう?)。
パメラは頭の中で何度も繰り返す。
豪華な寝室である。
それもそのはず、ここは、大陸で一番の勢力を誇るジスカーン帝国の王子の寝室である。
第三皇位継承者である三男のラファエルに嫁いだパメラは今夜ここで初夜を迎えるはずだった。
風呂でしっかり身を清め、大人っぽいメイクを自分に与えられた二人のメイドにお願いし、出来る限り清楚なナイトウェアと下着を身に着けて緊張しながら部屋にやってきた。
そこで待っていたのは、ベットの上で絡み合っているラファエルと知らない女。
床に正座するように言われ、かれこれ一時間近く二人のセックスを見せられている。
香水と体液の混ざった独特な匂い。女の上げる喘ぎ声。荒い息のラファエル。
耐えきれず、下を向いたり目をそらしたりすれば、ラファエルから
「ちゃんと見ていろ!」
と叱られる。
パメラは
「はい」
とただ従う事しか出来ない。元々立場はこちらが下なのだ。
何かを拒否できるはずが無い。
ベットの上ではそろそろクライマックスらしく動きが激しくなる。
性知識などほとんど無いパメラでもなんとなく理解できた。
荒い息。ベットのきしむ音。一段と大きくなる喘ぎ声。
ベットの上の二人が何度か痙攣する。
終わったのだろうか?
少しして、何かの後処理をしている二人を目が離せず見ているとラファエルがこちらを向き口を開く。
まるで居るのに今思い出した様な口調で
「なんだ。まだ居たのか」
「え?」
どう答えていいか分からずバカみたいに聞き返す。
するとラファエルは下卑た笑みを浮かべながら
「どうせなら、後始末を手伝ってくれたらどうだ?田舎のガキでもそのくらい出来るだろう」
何を言われているんだろう?手伝うって何を?
混乱して言葉が出ずにいると、めんどくさそうなラファエルは顔になり
「もういいや、さっさと自分の部屋に帰ってくれ」
と言われる。
ベットの上では横の女が笑いを堪えているらしく、肩を揺らしている。
当然パメラに拒否権は無い。
「はい」
そう答えると。立ち上がり退出しようとドアの前までゆっくり歩く。
後ろからラファエルの声が響く。
「あ、明日から毎日来いよ。毎日俺のセックスを見せてやる。田舎のお姫様は牛や馬以外のセックスなんて見た事無いだろうし、嬉しいだろう」
笑いながら命令される。女は笑いが我慢できなくなったらしく、声が漏れだしている。
パメラはうつむき手を強く握りしめながら答える。
「はい。失礼します」
うつむきながら、部屋から出て、自室に戻ると我慢できなくなり泣き崩れる。
悔しくて一晩中涙が止まる事は無かった。
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