3 / 7
にじの先にあるもの
しおりを挟むどんどんどんどん、リィナとガルーダはにじにむかってすすみます。ですが、遠くてなかなか近づけません。
「どうしよう、このままじゃあ、夜ごはんの時間になっちゃう」
リィナは今にもなきそうです。すると、ガルーダが体をかがめ、羽でリィナを引きよせます。さらに羽を動かして、チョイチョイ、と、自分のせ中をさしました。
「うーん? のっても良いの?」
「キィィ」
「わかった! ありがとう!」
リィナはガルーダのせ中によじのぼり、しっかりとつかまりました。ガルーダは羽を大きく広げ、空へとたび立ちます。
「わぁ! すごい! 高い! はやい!」
キャアキャアとはしゃぐリィナをのせて、ガルーダはにじにむかかって空をすすみます。
高いと言っても、あぶないと思ったのか、ケガをしているからか、まわりに生える木の高さよりも少し高いくらいです。
「あっという間だね、ガルーダさんはすごいんだね!」
リィナにほめられて、ガルーダはとてもうれしそうです。
はな歌を歌いながら、にじまであと少し。
「あれれ? にじの足がないよ?」
リィナは気づきました。にじのすそが、すけていることに。近づいてよく見てみます。そして、そっとさわってみました。
「えーっ! さわれない!」
すけて色がうすくなったところは、さわることができませんでした。
上の方の色はこいから、きっとのほれる。でも、うすいところはのぼれない。リィナは考えました。
「ガルーダさん、上までとべる?」
ガルーダは、ざんねんそうに首をよこにフリフリとふり、答えました。
「そっか」
どうしよう、と、リィナはなきそうになりました。
するとそこへ……
「うわぁぁん! お母さんどこー!」
だれかのなき声が聞こえます。
「んんっ? だぁれ? だれがないているの?」
「グスン……お母さん……」
リィナのまわりがきゅうにくらくなりました。おかしいなと思って、空を見上げてビックリ。そこにいたのは、いつもお空にプカプカうかかんでいるくもだったのです。
「あれれ? くもさん、どうしたの?」
リィナは大きな声で言いました。リィナの声に気づいたくもは、フワフワとリィナのとなりまでおりてきました。となりにきたくもは、とっても大きくてまたまたビックリ。それに、ほかのくもは白色なのに、ないているくもはなみだでぬれたからなのか、水色になっていました。
「お母さんがね、どこかに行っちゃったの。まいごなの」
「まいご? 大へん! リィナがお母さんをいっしょにさがしてあげる!」
「良いの? グスン、うれしいな、ありがとう」
くもはなくのをやめて、ニッコリと笑いました。リィナもニッコリと笑いました。
「くもさん、お名前は?」
「ボクはくもだよ。フワフワの、くも」
「じゃあ、くもくん! リィナはリィナよ。くもくんは、いつもはあんなに高い所にいるの?」
リィナのゆびさす先、ずっとずっと高い空には、たくさんのくもがうかんでいました。今くもくんがいるのは、それよりもうんとひくい所です。
「そうだよ。今日はお母さんとあそびに来たんだ。でも、はぐれちゃって」
「一人だとさみしいよね。見つかるまでいっしょにいようね」
「うん」
「そうだ! くもくんは、にじの先に行ったことはある?」
「あるよ! 前にお母さんと行ったんだ。あそこはね、かみさまのすむ、大きなおしろがあるんだよ!」
くもくんは、とても楽しそうに話します。それを聞いて、リィナはとてもワクワクしました。そして、おじさんが教えたことが本当で、うれしくなりました。
「リィナね、夜をさがしているの。かみさまが夜を作ったって聞いたから、にじのむこうにいくんだ」
「じゃあ、ボクがあんないしてあげる! のせてあげたいけど、ボクはまだ小さいから、お母さんにおねがいしてみるよ!」
「ありがとう! さぁ、お母さんをさがそう!」
リィナとガルーダ、くもは、それぞれ空を見上げてお母さんをさがしました。どのくもも、白くてフワフワして、みんな同じに見えます。あっちを見たり、こっちを見たり。キョロキョロくものお母さんをさがしていると、同じように見えるくもの中に一つだけ、色のちがうくもを見つけました。
そのくもは、くもくんと同じ水色でした。
「「ねぇ、あのくも、くもくんと同じ水色だよ?」
「わぁ! もしかして!」
くもくんはうんと速く、そのくもにむかってとびました。ビュンビュンと風を切り、ついたその先にいたのは……
「お母さん!」
「くもくん!」
くもくんのお母さんでした。お母さんはないていました。くもくんを見つけて、またなきました。青い色がこくなって、くもくんはあたふた。
「お母さん、なかないで。勝手にいなくなってごめんね」
「ぶじで良かったわ。心ぱいしたのよ」
くもくんのお母さんと、くもくんはほほをスリスリ。そうしているうちに、くもくんのお母さんも、くもくんも、体が青から水色、白色へともどって行きました。
「おまたせリィナちゃん」
「リィナちゃんというの? うちの子と、いっしょにいてくれてありがとう」
くもくんと、くもくんのお母さんが、リィナとガルーダの元へおりてきました。
「色が白になったね! お母さんにも会えてリィナホッとしたよ」
今度はリィナが、くもくんにスリスリ。
「ねぇお母さん。リィナちゃん、かみさまの所に行きたいんだって」
「あら、かみさまの所に?」
「あそこは高いから、お母さん、いっしょに行ってあげて?」
「良いわよ。くもくんと、いっしょにいてくれたおれいに、かみさまの所まで、つれて行ってあげる」
「わぁい! くもくんのお母さん、ありがとう!」
「キィキィ!」
リィナとガルーダは、くもくんのお母さんの上にのって、くもくんを先頭にしてかみさまのすむ所へとむかいました。
0
あなたにおすすめの小説
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち
はるかず
児童書・童話
生まれることもできない卵の雛たち。
5匹の殻にこもる雛は、卵の中でそれぞれ悩みを抱えていた。
一歩生まれる勇気さえもてない悩み、美しくないかもしれない不安、現実の残酷さに打ちのめされた辛さ、頑張れば頑張るほど生まれることができない空回り、醜いことで傷つけ傷つけられる恐怖。
それぞれがそれぞれの悩みを卵の中で抱えながら、出会っていく。
彼らは世界の美しさを知ることができるのだろうか。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ノビの大活躍――いくら丼の奇跡【トランザニヤ物語SS】
楓 隆寿
絵本
*カクヨムさんでも掲載中です。
異世界冒険譚【トランザニヤ物語】のSS
絵本にしてみました。
いくら(丼)をフィーチャーした作品です。
この世に、神の涙と呼ばれる食材がある。その正体は、東の国「ヤマト」の古文書に記された「いくら丼」だった!
氷に覆われた王国を救うため、若き料理人ノビは、氷の姫リュミナと共に大冒険へ旅立つ。
魔導鍋を武器に海竜の守護を突破し、氷の大地で幻の穀物を収穫。そして、火山の麓で魂を込めた器を創り上げる。
はたしてノビは、すべての難題を乗り越え、絶望に閉ざされた王国に奇跡を起こせるのか?
料理の力と、小さな勇気が紡ぐ、心温まるファンタジー冒険譚。
#AIイラスト
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる