皐月 禅の混乱

垣崎 奏

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5.(嫌いじゃない。嫌いじゃないけど……)※

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「今日、オレ飲んでもいい?」
「それなら私も飲む」
「無理しなくていいよ」
「飲めないわけじゃないから」

 最近、佐藤先輩からの絡みがウザすぎて、ストレスが溜まる。週末には楓羽と会うし、発散できているとはいえ、酒の力を借りたかった。楓羽なら、オレに合わせて話を聞いてくれる。少し、甘えてもいいだろう。


 ◇


 タクシーから降りて、予約通りの部屋に入る。バッグをソファに置いて、そのままベッドに腰掛けた。

「オレ、身体大きくなってよかった」
「なに、急に」
「ふーちゃんに、しがみついてもらえる。敏感だから、いっぱい感じれるもんね」
「ぜんくん」
「今日もいっぱいイってね、ふーちゃん」
「ぜんくん、酔ってるね」
「大丈夫だよ」
「うん」

 いつも通り隣に座ってくれるのかと思えば、足の間に膝をつかれ、肩を押された。シャワーもせずに、後ろに倒れる。

「ぜんくん……」
「んー? どーしたの、ふーちゃん」
「そのまま、寝てて。勝手に乗るから」
「ふえ?」

(あー、だめだ。これ、やらかしてる……)

 頭が全く回っていない。楓羽といて、愚痴を聞いてもらいながら楽しく飲み進めてしまったらしい。まだ、寝落ちていないだけマシだ。学生時代にはそれなりに飲むこともあったし、限界も知っているはずだった。

 ジャケットもネクタイもない。楓羽に、あっという間にシャツのボタンを外される。

「んっ」

 インナーの上から、突起に触れられた。楓羽の肩に当てた手は、添えるだけで抵抗はしない。そもそも、上手く力が入らない。

「ん……、くっ」
「ぜんくん、乳首弱い? 勃ってきたよ」
「知らない、っん! ふーちゃん!」
「気持ちいい?」

(感覚が……っ!)

 楓羽がインナーの中に手を入れ、直接触れたかと思えば脱がされた。首筋にキスを落とされぞくっとした間に、頂点に吸い付かれる。舌で弄ばれ、下半身に熱が集まっていく。酔ってふわふわしていることもあって、楓羽からの刺激はある種の毒だった。

 気持ちよくて、身体が無意識に跳ねる。上にいる楓羽に、押し付けてしまう。息が上がってきて、楓羽から目を逸らす。肌を好きに舐め回している楓羽を、足で押し除けないように、それだけは意識する。

「ふーちゃ……」

 密着する身体の隙間を縫って、スラックスに手を伸ばす。酔っているのに昂ってきて、前がキツい。その手は、楓羽に当然見つかった。

「ん、緩めるね。脱がしちゃっていい?」
「ん……」

 慣れた手つきで、スーツを丸裸にされる。その途中に手が当たるだけでも、声が漏れそうになる。楓羽の目の前に、大きく反った凶器が曝け出された。

「ほんと、立派」
「うっ!」

 手が触れたと思えば、先端に唇が触れて、ちゅっちゅっと順番に、根本に向かってキスを落とされる。フェラなんて、楓羽にしてもらうまでは、まともに受けたことがなかったのに。

 腰を引いてもマットレスが少し沈むだけで、楓羽は簡単に寄ってくる。裏筋に舌を這わせ先端に戻って来たと思えば、口壁に包まれた。

「んうっ……」
「ん、大丈夫?」
「大丈夫……、いや、ちょっと……」

 楓羽も、今日はオレに合わせて飲んでいる。いつもよりあたたかくて気持ちいいのは、気のせいではないだろう。

「痛い? 強い? それとも出そう?」
「はっ……、そこで、しゃべんないで……」
「出ても勃つでしょ?」
「まだイきたくない」
「ん」

 楓羽が咥えるのを止めて、手で支えながら裏筋をゆっくり舐めてくる。それはそれで、楓羽の長い舌が見えてエロくて辛い。目を合わせてくる楓羽は、「出せば楽なのに」と訴えてくる。

「んっ……」
「まだ嫌?」
「ん……、うあっ!」
「かはっ……」

 楓羽を見続けられなくて、顔を逸らした瞬間、咥えられた。奥まで入って口壁に包まれたと同時に、吐き出してしまった。構えていなかった楓羽の喉の奥に、濁液が勢いよく当たったはずだ。楓羽が、口を押さえて離れる。

「……ごめん」

 タイミングを合わせられなかったから、溢れたのだろう。ベッドから起き上がると、口元にティッシュを当てて拭き取っている楓羽が見えた。

「いいよ、調子に乗ったのは私だから」
「その自覚はあるんだ」
「楽しいからね」

 笑いながら言われると、「次はやらないで」と言いにくくなる。楓羽と再会するまで、女の子とベッドで上手くいった経験がなかった。楓羽と過ごす毎週末は、刺激が強い。

(嫌いじゃない。嫌いじゃないけど……)

 何か別のものに目覚めそうで、ある程度満足したなら止めてほしいと思ったのに、伝えるかは迷った。オレと楓羽はセフレで、交際関係にはない。楓羽に一方的に攻められるのも嫌ではないと感じてしまって、楓羽に希望を言っていいものか、余計に分からなくなった。

 ティッシュを捨てた楓羽が、また上に乗ってくる。酔った頭で考え事をしていたこともあり、特に抵抗することなく、再度後ろに倒れた。口にちゅっとキスを落とされた後、楓羽は頬、耳に移り、その唇と舌が立てる卑猥な音が頭に響く。

「うっ……」

 耳の中へ向けて息を吹きかけられれば、驚きとくすぐったさで身体が跳ねる。

「ふーちゃ……、んうっ」

 脇腹に楓羽の手が走る。触れるか触れないかのギリギリを攻められて、唇を噛んでも変な声が漏れる。耳は耳で、形を確かめるようにゆっくりと舐られ、耳たぶを吸われた。そのまま首筋から鎖骨、突起やへそにも下がってくる感覚に、息はまたすぐ上がり、口を閉じておくのが難しかった。

「元気だね、ぜんくんのここ」
「んっ!」

 顔回りを舐められていたのは、自身を休ませるためだと気付いても、今更だ。楓羽はオレの足の間に陣取って、また滾り始めた自身に触れた。

「これされるの、初めて?」
「まって、まって、なに……?」

 下を向けば、楓羽の顔がはっきり見える。口でされているのであれば、見えにくい部分もあるのに。楓羽の口から垂らされた唾液が、先端へと落ちる。

「どう、気持ちいい?」
「はあっ、ん、きもちいい……」

 今の体勢を理解するのに、時間がかかった。楓羽の胸に包まれ、そのまま動かされている。いわゆるパイズリという行為だ。こんなの、フィクション限定だと思っていた。先端には指を当てられ、刺激される。

「ぜんくん、震えてる。またイきそうだね?」
「んんっ……、ふ……」
「出していいよ」
「んっ……、あ、うあっ……」

 急に口に咥えられ、また聞かれたくない類の声が出た。楓羽のフェラは、上手い。先端を吸いながら出口を舌で苛めてくる刺激に、勝てるわけがない。手でも扱かれ、昇り詰めてしまう。

「っ……!」
「んん……」

 ビクビクと射精した後も、楓羽が股間から離れない。濁液を飲み込んだ後も、楓羽の舌が触れ続けている。

「っ、だめ、ふーちゃん」
「まだ、勃ったままだよ」
「いまはだめ……」

 楓羽の手のひらが、先端を擦ってくる。止まる様子がなく、このままだと壊れる。気分を高めて自然と滾るなら、まだ許せる。直接刺激されて勃たされるのは、感覚が、怖いくらいおかしくなる。

 あまりやりたくはなかったけど、膝で楓羽を押し除け、身体を横に倒した。ゾクゾクと止まらない快感と、息を整えるための時間が欲しかった。

 楓羽とは経験値が違いすぎて、調子に乗せるとオレが受け切れない。オレは、楓羽に受け入れてもらったのに。

 楓羽の姿を探すと、ベッドから降りて服を脱いでいた。休んでいる場合ではなかった。楓羽にはまだ何も、前戯をしていない。セフレである以上、オレが気持ちよくなったのなら楓羽にも返さないと。何もしない暇があるほど、楓羽はオレを攻めようとするかもしれない。

「あっ、ふーちゃん?」
「入れていい?」

 楓羽がまた、身体を起こそうとしたオレに跨った。先手を打たれて、それ以上動けず、楓羽主導だと諦めるしかなかった。膝より上に来られると、身体を起こして押し倒すしかないけど、させてもらえそうにない。

「入る?」
「たぶん」
「ん、ううっ……」

 当てられた秘部は、裏筋を滑った。割れ目はとっくに待ち望んで、ぐちゅぐちゅと音を立てる。

「はあ……! すごい、まだまだ硬いね」
「ふーちゃんっ」

 腰近くに置かれた楓羽の手首を握ってみるものの、何の抵抗にもならなかった。指を一本も入れていないのだから、熱りだった凶器を受け入れられるほど、広がっているはずはない。それでも、楓羽を止められない。先端が入口に当たり、つぷっと埋まるのが分かる。

「っ……、ふーちゃん、やっぱ狭いよ」

 オレがゆっくりと身体を起こすと、腰を下ろした楓羽は無抵抗で、むしろ縋るようにしがみついてくる。当たっている感じはするけど、入り切ってはいない。だから、額を肩に当てられて、顔を見せてもらえない。黒髪を撫でてキスをして、両手で膨らみとその先端に触れる。とっくに勃っていて、弄られるのを待っていたのだろう。

「あっ、ぜんくん」

 攻守交替、幸いとばかりに、こじ開けるように首筋を舐め、胸の頂点を咥え吸いつつ舌で転がした。気持ちいいのだろう、楓羽から嬌声が漏れ始め、身体が震えてくる。内部は狭いままだけど、刺激が欲しいのか、楓羽が揺れ始める。

「痛くない?」
「ん、ゆっくり……」
「うん」

(言われなくても、そうするよ)

 唇を舌で割って、楓羽に教わったキスをしながら、その背中をベッドへつけた。腰を引き寄せつつ、浅めを狙って抽送する。

「ここでも気持ちいい?」
「ん、んっ」
「奥、入れたいんだけど」
「あ、だめ、ぜんくんっ」

 楓羽がオレを求めて、手を伸ばしてくるのはいつもと変わらない。楓羽を覆って抱き締めながら、ゆっくり奥まで突いた。

(まだ入らないな……)

 指で馴染ませなかったからか、挿入が甘い。でも、少しずつ、開いていくだけだ。楓羽はもう何度も受け入れてくれてるし、丁寧に解せばいい。

 オレも三回目で、すぐに果てることはない。めちゃくちゃに抱かれるのが好きと言っていた割に、ゆっくり突いても気持ちよさそうなら、無理に強めることもない。

「ん、んっ、あ……」
「ふーちゃん」
「あっ、あ、もうちょっと、ぜんくんっ」
「ん……」

 返事はしたものの、特別変えなかった。強めて痛がる姿は、見たくない。たまには、ゆっくり高め合う行為があってもいいだろう。


 ◇


「ゆっくりもよかったんだ?」
「そうだね、意外だった」
「三回もフルでやるのはキツいよ」
「今日は違ったでしょ?」

 確かに、全てで腰を振ったわけではない。

「や、動くのがキツいんじゃなくて、出せる・出せないの話。ふーちゃん、生で入れるから、外に出すのに調整が要る」
「ナカに出したっていいのに」
「オレがしたくない。その一線は守りたい」
「ん」

 断り方がキツかったかもしれないと過ぎったけど、額にキスを落とせば、それが話を終える合図だ。電気を消して、抱き合って眠る。自分のペースで果てないのも、悪くはないと思ったことに危機感を覚えながら。


 ◇


 週末の仕事終わり、残業があってもなくても楓羽と食事をして、タクシーでホテルかオレの家へ、そして翌朝に別れる。

 オレがマイルールとして意識したのは、外では楓羽に触れないことと、楓羽を宿泊場所の最寄り駅まで送ることだった。

 重すぎないように、現地解散を選んだ。オレの家なら歩いて、ホテルならタクシーで、最寄り駅まで楓羽を送った。同じ方向の電車でも、あえて一緒には乗らなかった。乗ってしまえば、家まで送りたくなるから。 送ってしまえば、きっと唆されて、部屋に入ってしまうから。

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