10 / 10
<番外2>※
しおりを挟む「ノア……、僕に、何を隠している?」
いつも通りふたりで入った湯浴み終わりで、裸のままベッドの縁に腰掛け、ノアは抱かれるのを待っていた。セオドアにそう問われ、どきっと肩を震わせてしまった。
「……何も」
「本当に?」
「うん」
ノアには、その抵抗が無駄なことも分かっていた。同じ私室で夜を共に過ごすこの王子の仕事は隠密で、情報を集めるのに長けている。ノアの仕草から違和感を読み取るのも簡単だろう。
でも、これは言えない。明日がセオドアの誕生日で、祝いたいがためにそわそわしているなんて。王宮にいた頃とは違い、私邸の使用人とは話すことも増えた。その中で、セオドアの誕生日を教えてもらい、ケーキ作りにノアも混ぜて欲しいと頼んだのだ。
明日も昼間、セオドアは屋敷にいない。ノアは専属使用人としての仕事をいつも通りこなせばいい日で、厨房に顔を出す時間を作るのも難しくない。他の仕事をさっさと片付けてしまえばいい。
「……仕方ない。教えてくれないのなら、教えてくれるまで苛めるだけだ」
「え?」
悲しそうな顔をしたセオドアに、軽く触れるだけのキスをされた。
「大丈夫、痛いことも怖がることもしないから」
セオドアに促されるまま、ノアはベッドに備え付けられた手枷を嵌められた。セオドアが頬に触れ、親指を口に入れてくる。開かれた口に、タオルが押し込まれる。
「苦しくない?」
「ん」
「話す気になったら、取ってあげるから」
タオルは、何か染み込ませてあったのだろう、少し甘く、徐々に力が抜けるのが分かった。身体が熱くなってはこないし、下半身も反応しない。媚薬の類ではなく、痺れや麻痺など、動けなくさせる薬なのだろう。
怖くはなかった。セオドアは普段から攻めるのが好きだし、証拠品を実験する時も加減してくれる。今日、セオドアに対して隠し事をしているのはノアで、セオドアがしたいことに従うのが当然だ。
脇腹に、セオドアの指が這う。触れるか触れないかの軽いタッチで、上半身を撫で回される。
「んっ……」
「くすぐったいね」
突起に触れられなくてもノアの息は上がり、熱が集まってしまう。薬の作用か、身体を捻ることはできない。
「これは、知ってるよね、ノア」
セオドアが取り出したのは、身体に当てて振動で筋肉を解すマッサージ機だ。もちろん、それを疲れたセオドアの肩に当てるのはノアだから、マッサージ機としての使い方は知っていた。
「……この振動を、ここに当てたら、どうなると思う?」
目の前に見せられた機械で、胸の突起をちょんちょんと触れられる。
「ちょっと怖い? 大丈夫だよ、僕がいるからね」
カチっと電源を入れた音がして、とっくに勃っていた左側から快感が走ってくる。
「んっ、んんっ」
「うん、気持ちいいね」
「んっ、んあ……」
「こっちが、寂しそうだ」
「んんっ!」
セオドアが、もう片方に吸い付いた。
「果てないでね、今夜はまだ長いよ」
いつもより強い快感が、ノアの身体を走る。背中を反って逃したくても、身体はノアの言うことを聞かない。身動きの取れないまま、ひたすら感じることしかできない。
「なあに、ノア。言ってごらん?」
「ん、んん!」
「ごめんね、上手く聞き取れないや」
首を振ってアピールしようとしても、ゆったりとした動きになって必死さが伝わらない。セオドアの舌と機械は左右を入れ替えながら、ノアをひたすら高めていく。
「ん、んっ、んんっ!」
「いっぱい出たね、まだ下には触ってないのに」
セオドアがノアの足の間に陣取り、機械を徐々に一番敏感な場所へと近づけていく。目で休憩が欲しいと訴えてみても、届かない。当然だろう、セオドアが嫌がることを先にしたのはノアだ。今までも、主導権はセオドアにあった。
「嫌じゃないよね、また勃ってきてるし」
「んっ、んんっ!」
セオドアの指がそっと触れて、ノアの身体に快感が走る。扱かれたわけでもないのに、勃ち上がっているのが分かる。痛いことや極端に辛いことはされない。その安心感があるからこそ、隠し事の理由は言いたくない。
「んんっ……」
根元に、機械の振動が届く。顔も満足に動かせないため、ノアが直視することはできない。段々と先端に向けて、その振動が上がってくる。
「ん、んあ……」
「出口に当てたら、どうなるかな?」
セオドアのその声に、目を瞑った。酷い快感が身体を駆け巡るに違いない。耐えられはしない。そのノアの姿を、セオドアは望んでいる。
果てたばかりで敏感な先端に、機械の振動が到達する。出口からその隙間を通って中へと振動が入り込んでくるような感覚さえする。感じたことのない、怖いくらいの快感でも、未だに薬が効いていて、セオドアに伝える手段がない。口に嵌められた布からはもう味はしない。どこかのタイミングでは、首を振れるようになるはずだが、今ではない。
「ん、ん、あ、んあああっ!」
普段の放出と違って、もっと粘度の薄い液体が大量に身体へ掛かる。血の気が引いたノアに、セオドアの優しい声が届く。
「大丈夫、気持ちいい証拠だよ、粗相じゃない」
「あっ……」
セオドアの指が、ノアの出した精ではない何かを確かめるように、腹部を撫でる。
「ノア、初めて吹いたね。でも冷静になって、ここは果ててても精神的に我慢したよね? 媚薬もないし、恥ずかしかった?」
上手く返事を返せないでいると、ノア自身にセオドアが優しく触れてくる。その刺激に、またどうしようもなく熱を持つ。機械が当てられ、裏筋から先端に向けて滑らされ、そして出口を攻められる。
「あ、ああっ!」
「今回はどう? 頭の中、気持ちいいの突き抜けてるよね」
ノアはセオドアの言葉に何の反応も返せず、ただ放心していた。チカチカと視界が飛び、セオドアを捉えるのにも時間が掛かった。セオドアがやっと、口の布を取ってくれた。
「ここまでしても、言いたくないんだ?」
「……ごめんなさい」
「そうか……」
セオドアが、解放されたノアの口にキスをする。
「……明日に関係するなら、このまま苛めようかな。もうすぐ日付も変わるし、誕生日プレゼントに」
ノアは、当然無抵抗だ。セオドアを、ノアが欺けることなどない。後で聞けるなら、いつから気付いていたかくらいだろう。
「後ろを解すのもいつもと同じだと飽きるだろうし、違うの試してもいいかな」
「ん……」
「足を上げて、僕によく見せて」
セオドアはいつもの小瓶と、いくつもの球体のついた棒のような物を取り出した。ノアの孔に潤滑油を馴染ませながら、棒にも塗っていく。
「これ、アナルビーズっていうんだ。ここ専用の玩具だよ」
「んんっ」
「うん、ゆっくり飲み込んで」
いつもなら挿入前の慣らしはセオドアの指が入ってくるが、今日は違った。球体と球体の間は細くなっていて、ひとつ身体に入ってくるたびに異物感がする。
「そのまま、しばらく咥えて。ノアが機械で果てるの、なんか嫌なんだ。僕がそうさせてるのにね」
「え?」
「僕の前戯と機械の前戯、どっちが好き?」
「セオに決まってる」
「そう」
セオドアがノアの口元まで戻ってきて、裸の上半身を重ねた。体温が感じられるだけでも、快感への怖さが和らぐ。今日はもう何度も果てている。この先も果てさせられるのは間違いないが、機械を使わずにセオドアが攻めてくれる番なのだろう。
ノアは、完全に壊されると思った。セオドアは丁寧に、本当に丁寧にノアの身体のパーツひとつひとつを舐めた。耳から首筋、鎖骨はもちろんのこと、脇や臍も散々しゃぶられ、ノア自身の近くまで下りたと思えば、上半身へ戻り、胸の突起をなぶり始める。初めはくるくると、中央には触れず、油断したところを急に吸われ、甘噛みされる。
「んんっ」
「出そうだった? でもちょっと時間も空いたし、擦らないと出ないよね」
「あ、あっ、セオ……」
「気持ちいい?」
「うん……」
「一応、僕に隠し事してるお仕置きだから、ただ気持ちいいだけなのはね……」
「あっ、んん」
セオドアの舌と指先が、勃ちに勃ったノアの突起をちろちろこりこりと弄ってくる。ノアの好きな攻め方であることは、当然セオドアも知っている。
「ん、んっ」
「ねえ、ノア。飲み込んでる玩具はどんな感じ? 胸で感じて、締め付けてるよね?」
「ああっ」
セオドアが手を回し、孔に入った棒を少し引き抜いた。球体がひとつだけ、体外に出ただろうか。
「ノア、これ、ゆっくり外に押し出してみて」
「え……」
「難しいかな、でも隠し事教えてくれないし」
教えてしまってもいいかもしれない。この玩具を外に出そうとするのは、排泄するように力を入れることで、とても王子の前ですることではない。セオドアとの行為の準備のために、毎日の湯浴みで腸内洗浄を行っているが、それとは違う恥ずかしさがある。
「ねえ、ノア。どうする?」
「…………」
「あ、でももう十二時を回ってるんだね。僕の誕生日だ。やっぱり、頑張って出してみて。全部見ててあげるから」
王子の要望を、ノアは断れない。そう考えることもセオドアは分かっている。ノアが足を広げた間にセオドアはいる。少し、腹部に力を入れた。
「うう……」
「お、一個出てきた。もう一個出せる?」
「んん」
「いい子だ、ノア。そろそろ僕が限界だよ」
「んあああ!」
角度をつけて一気に引き抜かれ、球体が快感を拾いやすい部分を通り、ノアは腰を反った。ベッドに戻り息を整えている間に、その広がった孔にはぴったりと、熱くて硬いものが当たる。
セオドアはいつも、ノアに快感を与えている間、我慢している。それが最高の快感を得られる方法だからと言っていたが、実際のところ、あんなにバキバキに勃たせていたら痛くて苦しいのではないかと思ってしまう。それが、一気に奥まで到達した。
「セオっ!」
「ふう……、痛くはないね?」
「んっ……」
「すごい締め付けだ……、さっきの玩具、そんなによかった?」
辛うじて首を横に振る。機械や玩具より何より、セオドア自身に貫かれるのが一番気持ちいい。
「どう? 僕の感じられる? この辺りまで入ってるよね」
「あっ……、あっ」
ノアの下腹部を、セオドアがぐっと押す。玩具が入っていたこともあり、いつもよりもセオドアの大きさと熱さが身体に響く。
「あ、あっ、セオっ」
「うん、気持ちいいね」
「ん、んっ、あっ」
「ノア……、もう少し、頑張れそう?」
「ん、なに……? あっ」
セオドアがノアの足を肩に担ぐ。セオドアの先端が、ノアの最奥に当たっているのが分かる。
「まだ、先があるんだ」
セオドアがノアの下腹部を撫でつつ固定しながら、セオドア自身をすっかり受け入れたノアの中を、さらに進んでくる。セオドアが、入ってはいけないところへ、入ろうとしている。
「え、えっ、あああっ、セオっ!」
「ここが、ノアの一番奥。ここが欲しかったんだ」
「あっ、まっ、ああっ」
「届いてよかった……、ノア、ここ突くたびに軽く果ててるね。癖になる?」
「セオ……、これらめ、おかしくなるっ」
「うん、それでいいんだよ。ノアは僕のだから。ここにその快感を植え付けるのは僕だ。今日は媚薬も入ってないし、しっかり覚えて」
「あっ、セオ、セオっ!」
ゆっくりとした最奥だけを突く動きを繰り返すセオドアの刺激に、ノアは焦れてきた。今日はずっと攻め続けられ、ほぼ毎夜抱かれている分それに耐えられる体力もつき、やっとセオドア自身から体内に与えられる快感を、もっと刻んで欲しかった。
「やっと薬が切れてきたかな。腰が揺れてる。ノア、どうされたい?」
「……セオと、果てたい」
「ん」
セオドアも限界は近かったのだろう、パンパンとリズムよく腰を打ち鳴らすと、すぐに高みがやってきた。
「あっ、んあ、セオっ!」
「っ…………」
セオドアの律動が止まり、身体がノアの方へ倒れてくる。キスを受け入れ安心したノアは、そのまま目を閉じた。
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。
キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。
しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。
迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。
手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。
これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。
──運命なんて、信じていなかった。
けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。
全8話。
【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった
ゆう
BL
俺ウェスは幼少期に魔王様に拾われた下級悪魔だ。
生まれてすぐ人との戦いに巻き込まれ、死を待つばかりだった自分を魔王様ーーディニス様が助けてくれた。
本当なら魔王様と話すことも叶わなかった卑しい俺を、ディニス様はとても可愛がってくれた。
だがそんなディニス様も俺が成長するにつれて距離を取り冷たくなっていく。自分の醜悪な見た目が原因か、あるいは知能の低さゆえか…
どうにかしてディニス様の愛情を取り戻そうとするが上手くいかず、周りの魔族たちからも蔑まれる日々。
大好きなディニス様に冷たくされることが耐えきれず、せめて最後にもう一度微笑みかけてほしい…そう思った俺は彼のために勇者一行に挑むが…
血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】
まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。
完結·囚われた騎士隊長と訳あり部下の執愛と復讐の物語
禅
BL
「月が綺麗ですね。あぁ、失礼。オレが目を潰したから見えませんね」
から始まる、国に利用され続ける隊長を自分のものだけにしようとした男の欲望と復讐の話
という不穏なあらすじですが最後はハッピーエンドの、隊長×部下の年下敬語攻めBL
※完結まで予約投稿済・☆は濡れ場描写あり
※Nolaノベル・ムーンライトノベルにも投稿中
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
大工のおっさん、王様の側室になる
くろねこや
BL
庶民のオレが王様の側室に?!
そんなのアリかよ?!
オレ男だけど?!
王妃様に殺されちまう!
※『横書き』方向に設定してお読みください。
※異母兄を『義兄』と表記してしまっておりました。『兄』に修正しました。(1/18・22:50)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる