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第五章 もっこもこカフェパワー全開!
ほかほかランチと猫パンチ
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「お昼ご飯用意するから、お前たちはテーブルを整えておけ」
「すみません……」
「分かりましたわん」
「うっき~」
「ビスケとサブレも早く食べろ」
「はいでちゅ」
「食べるでちゅ」
バウムさんが後から来たもカカオとズコットのお昼を用意している間に、俺のせいで乱れたテーブルなどを急いで整える。
「本当にすみませんでした。開店前に、余計な仕事増やしてしまって」
「気にしないで大丈夫わんよ」
「こんなのしょっちゅうだっき~」
いい年して転んだ俺を責めることもせず、紳士のカカオとひょうきんなズコットは優しく笑ってくれた。
もこもこたちは本当に、なんて優しいんだ――――しみじみと心底そう思って感動に浸っている所に、カランカラ~ンとドアの呼び鈴が鳴り、可愛らしい二匹が入って来た。
「おはようございますっぴょ」
「おはようみゃ~」
マカロンちゃんとアンニンさんだ。今日も見事にふさふさもこもこである。
開け放たれたドアから、続けて『あいつ』がやって来た。
「腹減ったにゃ~」
俺様猫様タルト様である。タルトは大きな欠伸をしながら、両手をグゥンと上に伸ばして、のうのうとしたご登場だ。
「おはよう。今バウムさんがお昼用意してくれているから、三人も座って待ってて」
「はいはいにゃ~」
ステラさんは後から来たもこもこにそう告げると、バウムさんの手伝いにキッチンへ向かい、マカロン、アンニン、タルトは俺たちの横のテーブルに着いた。
まだ何か言われた訳じゃないけど、タルトの姿を見ると反射的に身構えてしまう。なるべく目を合わせないようにしておこうっと――――。
そう思って横に座ったカカオの物陰に隠れようとしたけど、動物バージョンの姿だと、どうしたって自分の方が大きくて隠れようがなかった。そんな俺の間抜けな動きに気付いたカカオが、不思議そうに首を傾げる。
「ははは……肉体労働したから筋肉痛で~」
「そうかわん。キッチンの仕事は大変だわんだから、無理しないようにわん」
我ながら苦し過ぎる言い訳である。だけどカカオは大きな黒い目を輝かて、労いの言葉まで掛けてくれた。
「ありがとうございます。初日だから慣れなくて」
「徐々に慣れるわん。自分もたまに手伝うから、よろしくわん」
「え、カカオさんも手伝ってくれるんですか?」
「わん! 手が空いたメンバーは、裏方もやるわん。大したことはできないわんけど」
カカオは謙遜して言っているけど、多分、絶対に俺なんかよりもめちゃ活躍するのが想像出来る。昨日と今日の数時間だけでも、もこもこメンバーの計り知れないパワーを目の当たりにしているし、さっきだってカカオとズコットの見事な身体能力のお陰で俺は怪我を免れたのだから――――。
「俺、まだまだ全然使い物になってないけど……色々教えてください」
続けられるか分からないのに、何となく今は素直な気持ちでそう思えて頭を下げたら、カカオは俺の頭に頬を摺り寄せて来てくれた。
「樹木がそう言ってくれて嬉しいわん」
カカオの頬擦りは凄く優しくて、温かかくて、胸の奥がキュッと抓られたみたいに小さく疼いた。
「そうだっき~。樹木も仲間だっき~」
俺とカカオのやり取りを向かいで聞いていたズコットも、両手を上げて明るく盛り上げてくれる。ズコットの優しさに、今度は鼻の奥がツーンとしてしまう。
あぁ本当になんて、心が優しいもこもこたちなんだろう~。もこもこの毛の感触だけでも癒されるのに、言葉までもこもこパワーに満ちているではないか!
ただ『もこもこの眼』の力を持っているだけの俺に、ここまで必要としてくれる人たちのためにも、もう少し頑張れる自信が湧いてきたよ――――!!
「それにしても、さっきは無様な転び方だったにゃ~。カカオとズコットの素早さで助かったけどにゃ。先が思いやられるにゃ~」
「へ……」
満ちて来たやる気モードを鎮火させるような、意地の悪い言葉が飛んできた。
ハッと驚いて声の主の方を見ると、俺様猫様がニンマリと口端を上げて笑っている。
もしかしてさっきの俺が転び掛けた所を見られていたのかぁぁぁっ! よりにもよって、この俺様猫に見られていたなんて、何だか無性に悔しい――――。
「ぴゃっと、タルト!」
「言い過ぎみゃ!」
「初日であんなよれよれにゃんて、ちゃんと仕事出来るにゃんかにゃ~?」
諫める仲間を無視して、タルトは執拗に俺を攻撃してくる。まるで俺に恨みでもあるみたいだ。
下唇を噛んで思いっきりタルトを睨み付けるが、タルトは全く気にした様子もなく、続けて悪態をついてくる。
「接客の時に、さっきみたいなへまはしないでくれにゃ。お客様に迷惑掛けたら許さないにゃ」
「あ……」
最後のタルトの一言に、途端俺は冷静になった。タルトを諫めていた、マカロンもアンニンも神妙な面持ちになって口を噤む。
真顔になった俺をタルトは一瞥すると、意味深に口端を上げてプイッと正面を向いてしまった。
丁度静まり返ったタイミングで、ステラさんとバウムさんが、皆のランチを運んできてくれた。
「お待たせ~! 皆、お昼ご飯よ~!」
バウムさんは大きなトレーに六人分のピラフを載せて軽々と運んでくる。カカオとアンニンが其々のテーブルのお皿をトレーから取って、皆に配っていく。
湯気が立ったホカホカのご飯が、俺の眼の前にも置かれた。美味しそうなピラフを見ているだけで、目頭がちょっと熱くなる。
「樹木、しっかり食べてわん」
「うん、ありがとう……」
そうだ――――ちゃんと食べて体力回復して、午後もしっかり動かないと。絶対に転んでたまるか――――!! 見てろよ俺様猫様、タルトォォォ!
「頂きます!」
俺は力いっぱいスプーンを握りしめて、思いっきりピラフを口の中に掻き込んだ。
そして――――そんな俺の心の中の闘志を知ることもなく、タルトはご満悦な表情でピラフを頬張っていた。
「今日も忙しくなるにゃ~」
「すみません……」
「分かりましたわん」
「うっき~」
「ビスケとサブレも早く食べろ」
「はいでちゅ」
「食べるでちゅ」
バウムさんが後から来たもカカオとズコットのお昼を用意している間に、俺のせいで乱れたテーブルなどを急いで整える。
「本当にすみませんでした。開店前に、余計な仕事増やしてしまって」
「気にしないで大丈夫わんよ」
「こんなのしょっちゅうだっき~」
いい年して転んだ俺を責めることもせず、紳士のカカオとひょうきんなズコットは優しく笑ってくれた。
もこもこたちは本当に、なんて優しいんだ――――しみじみと心底そう思って感動に浸っている所に、カランカラ~ンとドアの呼び鈴が鳴り、可愛らしい二匹が入って来た。
「おはようございますっぴょ」
「おはようみゃ~」
マカロンちゃんとアンニンさんだ。今日も見事にふさふさもこもこである。
開け放たれたドアから、続けて『あいつ』がやって来た。
「腹減ったにゃ~」
俺様猫様タルト様である。タルトは大きな欠伸をしながら、両手をグゥンと上に伸ばして、のうのうとしたご登場だ。
「おはよう。今バウムさんがお昼用意してくれているから、三人も座って待ってて」
「はいはいにゃ~」
ステラさんは後から来たもこもこにそう告げると、バウムさんの手伝いにキッチンへ向かい、マカロン、アンニン、タルトは俺たちの横のテーブルに着いた。
まだ何か言われた訳じゃないけど、タルトの姿を見ると反射的に身構えてしまう。なるべく目を合わせないようにしておこうっと――――。
そう思って横に座ったカカオの物陰に隠れようとしたけど、動物バージョンの姿だと、どうしたって自分の方が大きくて隠れようがなかった。そんな俺の間抜けな動きに気付いたカカオが、不思議そうに首を傾げる。
「ははは……肉体労働したから筋肉痛で~」
「そうかわん。キッチンの仕事は大変だわんだから、無理しないようにわん」
我ながら苦し過ぎる言い訳である。だけどカカオは大きな黒い目を輝かて、労いの言葉まで掛けてくれた。
「ありがとうございます。初日だから慣れなくて」
「徐々に慣れるわん。自分もたまに手伝うから、よろしくわん」
「え、カカオさんも手伝ってくれるんですか?」
「わん! 手が空いたメンバーは、裏方もやるわん。大したことはできないわんけど」
カカオは謙遜して言っているけど、多分、絶対に俺なんかよりもめちゃ活躍するのが想像出来る。昨日と今日の数時間だけでも、もこもこメンバーの計り知れないパワーを目の当たりにしているし、さっきだってカカオとズコットの見事な身体能力のお陰で俺は怪我を免れたのだから――――。
「俺、まだまだ全然使い物になってないけど……色々教えてください」
続けられるか分からないのに、何となく今は素直な気持ちでそう思えて頭を下げたら、カカオは俺の頭に頬を摺り寄せて来てくれた。
「樹木がそう言ってくれて嬉しいわん」
カカオの頬擦りは凄く優しくて、温かかくて、胸の奥がキュッと抓られたみたいに小さく疼いた。
「そうだっき~。樹木も仲間だっき~」
俺とカカオのやり取りを向かいで聞いていたズコットも、両手を上げて明るく盛り上げてくれる。ズコットの優しさに、今度は鼻の奥がツーンとしてしまう。
あぁ本当になんて、心が優しいもこもこたちなんだろう~。もこもこの毛の感触だけでも癒されるのに、言葉までもこもこパワーに満ちているではないか!
ただ『もこもこの眼』の力を持っているだけの俺に、ここまで必要としてくれる人たちのためにも、もう少し頑張れる自信が湧いてきたよ――――!!
「それにしても、さっきは無様な転び方だったにゃ~。カカオとズコットの素早さで助かったけどにゃ。先が思いやられるにゃ~」
「へ……」
満ちて来たやる気モードを鎮火させるような、意地の悪い言葉が飛んできた。
ハッと驚いて声の主の方を見ると、俺様猫様がニンマリと口端を上げて笑っている。
もしかしてさっきの俺が転び掛けた所を見られていたのかぁぁぁっ! よりにもよって、この俺様猫に見られていたなんて、何だか無性に悔しい――――。
「ぴゃっと、タルト!」
「言い過ぎみゃ!」
「初日であんなよれよれにゃんて、ちゃんと仕事出来るにゃんかにゃ~?」
諫める仲間を無視して、タルトは執拗に俺を攻撃してくる。まるで俺に恨みでもあるみたいだ。
下唇を噛んで思いっきりタルトを睨み付けるが、タルトは全く気にした様子もなく、続けて悪態をついてくる。
「接客の時に、さっきみたいなへまはしないでくれにゃ。お客様に迷惑掛けたら許さないにゃ」
「あ……」
最後のタルトの一言に、途端俺は冷静になった。タルトを諫めていた、マカロンもアンニンも神妙な面持ちになって口を噤む。
真顔になった俺をタルトは一瞥すると、意味深に口端を上げてプイッと正面を向いてしまった。
丁度静まり返ったタイミングで、ステラさんとバウムさんが、皆のランチを運んできてくれた。
「お待たせ~! 皆、お昼ご飯よ~!」
バウムさんは大きなトレーに六人分のピラフを載せて軽々と運んでくる。カカオとアンニンが其々のテーブルのお皿をトレーから取って、皆に配っていく。
湯気が立ったホカホカのご飯が、俺の眼の前にも置かれた。美味しそうなピラフを見ているだけで、目頭がちょっと熱くなる。
「樹木、しっかり食べてわん」
「うん、ありがとう……」
そうだ――――ちゃんと食べて体力回復して、午後もしっかり動かないと。絶対に転んでたまるか――――!! 見てろよ俺様猫様、タルトォォォ!
「頂きます!」
俺は力いっぱいスプーンを握りしめて、思いっきりピラフを口の中に掻き込んだ。
そして――――そんな俺の心の中の闘志を知ることもなく、タルトはご満悦な表情でピラフを頬張っていた。
「今日も忙しくなるにゃ~」
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