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第1章
第一話
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お知らせ
第1章は主人公ほぼ不在でお送り致します。
たぶん迷子ではありません。行方不明者届け的な物は出さないようお願い致します。
☆★☆★☆
狼は目の前にいる自分と体躯の変わらない恐竜のような見た目の爬虫類と壮絶な戦いを繰り広げていた。周りの枝や草は折れ両者の戦いの跡は広がるばかりである。
敵の体は鱗に覆われ、中々攻撃が通らない。だが、少しずつではあるが着実に狼による傷が増えていく。
狼は相手の足に爪を立て、振り払おうとする尻尾に牙を立て、逃げようとすれば前に回り込み威嚇をしていたが、やがて相手の体は傷だらけになり、喉に噛みつかれ抵抗虚しく狼に敗北を喫してしまった。
そして狼は横たわった強敵を興奮収まらぬ様子で前足で叩き自らの勝利を噛み締めた。
そんな激闘に気を取られていた狼は辺りに不穏な気配を感じ一帯に響き渡るよう警告の意味も込めた咆哮を発する
この世は弱肉強食である。隙を見せれば獲物になるのは自分だ。
しかし周りにいる者達はそんな咆哮を受けても恐怖に陥るどころか気にした様子もなく狼を逃がさぬよう囲みつつある。
敵は複数。姿を見せた瞬間キラリと光る武器が見えた。その強大な敵を、武器を見て敵わぬと本能が告げる。
完全に囲まれてはいないが、逃げる事は最早かなり難しいだろう。
狼に逃げ場はない。ならばこの命の続く限り戦うと覚悟を決めた。その雄々しい姿は誰の目にも焼き付き離れる事はないだろう。
狼は決死の表情を浮かべ敵の喉元に食らい付くべく跳躍する。
しかし、そんな命を掛けた一撃すら強大な敵には届かず、しかも後ろからの一閃の攻撃の元に狼は屠られてしまった。
名も無き雄々しき狼の一生はこうして幕を閉じた。
彼を語り継ぐ物は居ないが、確かにそこには勇敢な狼が居た事を爬虫類の死体に無数に刻まれた傷が物語っていた。
安価な皮の装備を身に纏い、剣や槍、弓や盾等の武器を腰、背中にと武装した4人の少年少女が今夜の晩御飯の相談をしながら森の中を歩いている。
その警戒心の無さは冒険者とは言い難い駆け出しのものであったが、まだまだ街の近くである森の入り口と言ってていい場所には駆け出しで十分なモンスターしか寄って来ず、たまにゴブリンが出てきても二人以上のパーティーならば負ける事もなく彼らもそこまでは警戒していないのである。
「お、中級ポーションの薬草発見」
「今度は綺麗に根っこから取れよ」
「そうよ、さっきは掘ってたら面倒だ~って途中で引っこ抜いて根っこが切れちゃって買い取って貰う金額減るんだから」
「ちゃんと取ればそれ一本で皆の夕飯代になるのデザート付きで」
「わかったわかった、さっきのは俺が悪かったよ」
そんな軽口を交わしながら薬草を採集していると森の奥からパキッと枝が折れる音が聞こえてきた。
彼らは駆け出しとは言え冒険者。音はまだ遠くとも武器を手に警戒する。
斥候見習いの少女が地面に耳を当て、その何者かの足音に集中する
「んー、何か小型のが二匹争ってるみたい?ゴブリン程は大きくはなさそう」
「この辺りで小型の奴なら強いのは居ない筈だ」
「ねぇ、倒せるモンスターなら倒すのよね?」
「…そうだ。ギルドからも見かけたらちゃんと倒すように釘を刺されてるしな」
そう判断を下した彼らは足音を出来る限り消し、早々に音の発生源を見つけた。やはり予想していたモンスターだった
(いつ見てもミニウルフ可愛い~)
(持って帰りたいの)
(ミニウルフがオオトカゲにじゃれてるだけか)
(最後の確認だ。囲んで狙われてないやつが倒すんだ、狙われて正面に来たら目を瞑ってもいいから目だけは見るんじゃないぞ。)
「「「了解」」」
少年少女が囲いきる前に二匹の死闘(?)が終わりトカゲをペシペシと足で踏みつけ勝ち誇っていたミニウルフが囲まれつつある事に気付いたのだろう。クゥーンクゥーンと吠えた(?)後辺りを見渡し、一人の少女の姿を見つけ、そして飛びかかる。
が、アッサリと後ろに回ったリーダー格の少年に首を斬られるミニウルフ
一撃でミニウルフを倒した少年と、ミニウルフに見つかった少女は無キズであった筈だがガクリと膝を付き、二人とも剣を落としてしまう。槍を片手に薬草をダメにしたがさつな少年も、弓を持った少女も膝を付いた二人に掛ける言葉が見つからない。
ミニウルフを倒し、報酬が増えるにも関わらず少年や少女の顔には喜びの色はない。
「倒すのは難しくない、だけど倒した後がつらい…」
「私正面に来たから思わずミニウルフの顔マトモに見ちゃった」
先ほど倒せるモンスターは倒すと宣言したリーダー格の少年ですらこの有様。そして、この場にいる他の者も倒れるミニウルフの顔を正面から見た事がある為、それを思いだし更に苦い顔をする。
さながらご主人の帰りを玄関で待つ生後一~二か月の仔犬(ふわっふわ毛皮のミニウルフ)が、元気一杯に胸元に(喉元に飛び付こうとしているが、喉元に届かない)可愛い顔をしながら(ミニウルフ的には決死の表情で)飛び込んで(襲って)くる。
それが後少しの距離すら叶わず力尽きる(少女に届く前に倒した為)そのうるんだ瞳には悲しさ(無念の眼差し)が浮かんでいる
そんな状況を思い浮かべれば彼らはよく斬ったとさえ言っても言い過ぎではないだろう
「今日はもう帰ろうぜ」
かろうじてそんな言葉を喉からひねり出した少年に反対意見はなく、四人は薬草の採集を失敗した時よりも表情を暗くし、他に採集した薬草と、ミニウルフを入れた袋を担ぎ街へと帰っていく。
途中で後ろから走り近づいてくる足音が聞こえて来る。
咄嗟に身構えたが足音と共に怪我人がいるため、急いでいると声を上げているのが聞こえる。どうやら先輩冒険者達が森の奥で強敵に出会い、負傷したようだ。
冒険者達のマナーとして、足音を消す余裕もなく走る時は、他の者が近辺に居た時などに、危険が迫っていたり、怪我人等の緊急の時など、無用な混乱や後のいさかいにならないよう周知させるように声を出す事がある。
その声を聞いた四人はその場に止まり、万が一にも邪魔にならないよう固まっておく。
怪我人は気絶しているのだろうか、二人でなんとか血まみれの怪我人を運んでいるパーティーが横を走り抜けていった、そんなパーティーの背中を見送った四人は
「早く強くなりたいな」
誰かがぽつりと言った言葉だが、それはミニウルフと戦い戦意を削がれ弱気になっているからか、まだ見ぬ森の奥への憧れか、森の奥に対する危険の備えか、ただただ仲間を守る為の力か。
答えはそれぞれ違えども、きっと皆の気持ちは同じで、だからこそ口から出た言葉に皆が頷いた。
四人が森を抜けると先ほどの急いでいたパーティーが全員呆然と剣を抜いたまま立ち尽くしている。
「先輩方、どうしたんですか?急がなくていいんですか?」
「いや、それがな・・・傷が治ったんだ」
「?」
先ほど横を通った時に大怪我を負った人は確かにいたし、かなり危なそうだった。今も気絶はしているようだが、傷はない。
回復魔法があるなら急いで森を抜けないだろうし、周りには他に人影はない
「ポーションですか?」
「いや、ポーションを使い果たしたから急いでいたんだが…ここで突然辺りが光ったらこの通りだ。何かの攻撃かと身構えたが何もなくてな、またコイツを担ごうとしたらコレだ」
鎧は痛々しく壊れ、血にまみれてはいるが、そこから見える肌には傷跡すらなさそうに見える。
「一応聞くがお前達回復魔法が使えたりは?」
「僕達四人は使えないですね。それに先輩達が通り過ぎた後は森で誰ともすれ違いませんでしたし」
その場にいる誰もが首をかしげ周りを見渡しても誰も居ない
『駆け出し君達には怪我は無さそうだな。』
確かに周囲に二つのパーティー以外誰もいないし、その呟きが誰かの耳に届いた様子はない。
森を出てきた皆の足元には優しい香りの花畑だけが彼らの帰りを出迎えていた。
~説明書~
冒険者
世界各地でモンスターの討伐や素材の採取、ダンジョンへ潜る等、その活動は多岐に渡る職業。
薬草
そのまま食べても回復効果があるし、錬金術師や薬師により、性能が高いポーションや薬等の素材にもなる。
魔素が溜まる森に生えている。
特に森の入り口付近には採取されない薬草が必ず生えていると言っても過言ではない。
採取されない理由はミニウルフである。
ミニウルフ
森の入り口付近で突如生まれ、ベテランの冒険者でさえ発生は感知できない。
決して森の奥には行かない。放っておいて数が増せば森の外、すなわち町や街道に出始め、家畜を襲い、自分の体の何倍もの大きさの馬などにも立ち向かう、狂暴で人にはなつかないし、長く生きている個体は障気を帯始め、存在するだけで自然環境を破壊していく。
そんなミニウルフの毛皮は柔らかく保温効果も高く、他のどんな生き物の毛皮より暖かい。見つけたら倒すのが冒険者の義務と言っても過言ではない。
だが可愛い過ぎる
屈強な冒険者程森の入り口から居なくなる
これはこの世界の常識と言ってもいい
強大な力を気ままに振るい街をいくつも破壊したドラゴンを倒した英雄も
墓地からアンデットを作り出し国を攻めた死者の王を倒した賢者も
ダンジョンで力を溜め時折軍隊で街に攻めいる凶悪なモンスターを退ける、国が抱える騎士団でさえも
森に近づかないか、森の奥に全力で逃げるように走り去る
ミニウルフを狩りたくないが為に冒険者は必死に修練し、スキルを身に付け激しい冒険へと旅立つ
ちなみに、このミニウルフはモンスターとしても、毛皮としても放っては置けないため、数が増えた報告が上がれば国が定期的にスラムや犯罪者等の囚人を使い討伐、倒した者から毛皮を高額で買取り回収をしている。
そんな高額な報酬があるにも関わらず討伐は忌避され、スラムの住民はミニウルフ討伐のお金を元手に必死に仕事をしスラムを脱する。犯罪者もこの討伐に参加した者は再犯などないに等しい
種族/ミニウルフ
HP/5
MP/0
スキル
可愛さlv10
無自覚に行動がいちいち可愛くなってしまう。
つぶらな瞳lv10
この瞳を見た者は庇護欲が増し、ずっと見つめていたい衝動に陥る
称号
魔性の仔犬
その命が脅かされる、または失われた時、手を下した者、対象が見える声が聞こえる範囲(壁なども透過)に罪悪感、悲しみ、後悔、自責等の精神異常を強制的引き起こす。
防ぐ手段は存在しない。
彼らは神や天使により定期的に森に放たれる為、全滅しない。
この世に悪がある限りミニウルフが放たれ
騎士団がミニウルフ討伐より全力で悪人を捕らえ
罪人にミニウルフを狩らせ、ミニウルフを狩るぐらいならと罪人は心を入れ替える
そんな自浄作用をもたらす
モンスターにして神の先兵ミニウルフ
集団でドラゴンに立ち向かい、ドラゴンが攻撃する事があれば、どんなに狂暴なドラゴンの心さえも余裕でへし折り、暫くは森の中で静かに暮らしたいと思わせる最凶生物兵器
第1章は主人公ほぼ不在でお送り致します。
たぶん迷子ではありません。行方不明者届け的な物は出さないようお願い致します。
☆★☆★☆
狼は目の前にいる自分と体躯の変わらない恐竜のような見た目の爬虫類と壮絶な戦いを繰り広げていた。周りの枝や草は折れ両者の戦いの跡は広がるばかりである。
敵の体は鱗に覆われ、中々攻撃が通らない。だが、少しずつではあるが着実に狼による傷が増えていく。
狼は相手の足に爪を立て、振り払おうとする尻尾に牙を立て、逃げようとすれば前に回り込み威嚇をしていたが、やがて相手の体は傷だらけになり、喉に噛みつかれ抵抗虚しく狼に敗北を喫してしまった。
そして狼は横たわった強敵を興奮収まらぬ様子で前足で叩き自らの勝利を噛み締めた。
そんな激闘に気を取られていた狼は辺りに不穏な気配を感じ一帯に響き渡るよう警告の意味も込めた咆哮を発する
この世は弱肉強食である。隙を見せれば獲物になるのは自分だ。
しかし周りにいる者達はそんな咆哮を受けても恐怖に陥るどころか気にした様子もなく狼を逃がさぬよう囲みつつある。
敵は複数。姿を見せた瞬間キラリと光る武器が見えた。その強大な敵を、武器を見て敵わぬと本能が告げる。
完全に囲まれてはいないが、逃げる事は最早かなり難しいだろう。
狼に逃げ場はない。ならばこの命の続く限り戦うと覚悟を決めた。その雄々しい姿は誰の目にも焼き付き離れる事はないだろう。
狼は決死の表情を浮かべ敵の喉元に食らい付くべく跳躍する。
しかし、そんな命を掛けた一撃すら強大な敵には届かず、しかも後ろからの一閃の攻撃の元に狼は屠られてしまった。
名も無き雄々しき狼の一生はこうして幕を閉じた。
彼を語り継ぐ物は居ないが、確かにそこには勇敢な狼が居た事を爬虫類の死体に無数に刻まれた傷が物語っていた。
安価な皮の装備を身に纏い、剣や槍、弓や盾等の武器を腰、背中にと武装した4人の少年少女が今夜の晩御飯の相談をしながら森の中を歩いている。
その警戒心の無さは冒険者とは言い難い駆け出しのものであったが、まだまだ街の近くである森の入り口と言ってていい場所には駆け出しで十分なモンスターしか寄って来ず、たまにゴブリンが出てきても二人以上のパーティーならば負ける事もなく彼らもそこまでは警戒していないのである。
「お、中級ポーションの薬草発見」
「今度は綺麗に根っこから取れよ」
「そうよ、さっきは掘ってたら面倒だ~って途中で引っこ抜いて根っこが切れちゃって買い取って貰う金額減るんだから」
「ちゃんと取ればそれ一本で皆の夕飯代になるのデザート付きで」
「わかったわかった、さっきのは俺が悪かったよ」
そんな軽口を交わしながら薬草を採集していると森の奥からパキッと枝が折れる音が聞こえてきた。
彼らは駆け出しとは言え冒険者。音はまだ遠くとも武器を手に警戒する。
斥候見習いの少女が地面に耳を当て、その何者かの足音に集中する
「んー、何か小型のが二匹争ってるみたい?ゴブリン程は大きくはなさそう」
「この辺りで小型の奴なら強いのは居ない筈だ」
「ねぇ、倒せるモンスターなら倒すのよね?」
「…そうだ。ギルドからも見かけたらちゃんと倒すように釘を刺されてるしな」
そう判断を下した彼らは足音を出来る限り消し、早々に音の発生源を見つけた。やはり予想していたモンスターだった
(いつ見てもミニウルフ可愛い~)
(持って帰りたいの)
(ミニウルフがオオトカゲにじゃれてるだけか)
(最後の確認だ。囲んで狙われてないやつが倒すんだ、狙われて正面に来たら目を瞑ってもいいから目だけは見るんじゃないぞ。)
「「「了解」」」
少年少女が囲いきる前に二匹の死闘(?)が終わりトカゲをペシペシと足で踏みつけ勝ち誇っていたミニウルフが囲まれつつある事に気付いたのだろう。クゥーンクゥーンと吠えた(?)後辺りを見渡し、一人の少女の姿を見つけ、そして飛びかかる。
が、アッサリと後ろに回ったリーダー格の少年に首を斬られるミニウルフ
一撃でミニウルフを倒した少年と、ミニウルフに見つかった少女は無キズであった筈だがガクリと膝を付き、二人とも剣を落としてしまう。槍を片手に薬草をダメにしたがさつな少年も、弓を持った少女も膝を付いた二人に掛ける言葉が見つからない。
ミニウルフを倒し、報酬が増えるにも関わらず少年や少女の顔には喜びの色はない。
「倒すのは難しくない、だけど倒した後がつらい…」
「私正面に来たから思わずミニウルフの顔マトモに見ちゃった」
先ほど倒せるモンスターは倒すと宣言したリーダー格の少年ですらこの有様。そして、この場にいる他の者も倒れるミニウルフの顔を正面から見た事がある為、それを思いだし更に苦い顔をする。
さながらご主人の帰りを玄関で待つ生後一~二か月の仔犬(ふわっふわ毛皮のミニウルフ)が、元気一杯に胸元に(喉元に飛び付こうとしているが、喉元に届かない)可愛い顔をしながら(ミニウルフ的には決死の表情で)飛び込んで(襲って)くる。
それが後少しの距離すら叶わず力尽きる(少女に届く前に倒した為)そのうるんだ瞳には悲しさ(無念の眼差し)が浮かんでいる
そんな状況を思い浮かべれば彼らはよく斬ったとさえ言っても言い過ぎではないだろう
「今日はもう帰ろうぜ」
かろうじてそんな言葉を喉からひねり出した少年に反対意見はなく、四人は薬草の採集を失敗した時よりも表情を暗くし、他に採集した薬草と、ミニウルフを入れた袋を担ぎ街へと帰っていく。
途中で後ろから走り近づいてくる足音が聞こえて来る。
咄嗟に身構えたが足音と共に怪我人がいるため、急いでいると声を上げているのが聞こえる。どうやら先輩冒険者達が森の奥で強敵に出会い、負傷したようだ。
冒険者達のマナーとして、足音を消す余裕もなく走る時は、他の者が近辺に居た時などに、危険が迫っていたり、怪我人等の緊急の時など、無用な混乱や後のいさかいにならないよう周知させるように声を出す事がある。
その声を聞いた四人はその場に止まり、万が一にも邪魔にならないよう固まっておく。
怪我人は気絶しているのだろうか、二人でなんとか血まみれの怪我人を運んでいるパーティーが横を走り抜けていった、そんなパーティーの背中を見送った四人は
「早く強くなりたいな」
誰かがぽつりと言った言葉だが、それはミニウルフと戦い戦意を削がれ弱気になっているからか、まだ見ぬ森の奥への憧れか、森の奥に対する危険の備えか、ただただ仲間を守る為の力か。
答えはそれぞれ違えども、きっと皆の気持ちは同じで、だからこそ口から出た言葉に皆が頷いた。
四人が森を抜けると先ほどの急いでいたパーティーが全員呆然と剣を抜いたまま立ち尽くしている。
「先輩方、どうしたんですか?急がなくていいんですか?」
「いや、それがな・・・傷が治ったんだ」
「?」
先ほど横を通った時に大怪我を負った人は確かにいたし、かなり危なそうだった。今も気絶はしているようだが、傷はない。
回復魔法があるなら急いで森を抜けないだろうし、周りには他に人影はない
「ポーションですか?」
「いや、ポーションを使い果たしたから急いでいたんだが…ここで突然辺りが光ったらこの通りだ。何かの攻撃かと身構えたが何もなくてな、またコイツを担ごうとしたらコレだ」
鎧は痛々しく壊れ、血にまみれてはいるが、そこから見える肌には傷跡すらなさそうに見える。
「一応聞くがお前達回復魔法が使えたりは?」
「僕達四人は使えないですね。それに先輩達が通り過ぎた後は森で誰ともすれ違いませんでしたし」
その場にいる誰もが首をかしげ周りを見渡しても誰も居ない
『駆け出し君達には怪我は無さそうだな。』
確かに周囲に二つのパーティー以外誰もいないし、その呟きが誰かの耳に届いた様子はない。
森を出てきた皆の足元には優しい香りの花畑だけが彼らの帰りを出迎えていた。
~説明書~
冒険者
世界各地でモンスターの討伐や素材の採取、ダンジョンへ潜る等、その活動は多岐に渡る職業。
薬草
そのまま食べても回復効果があるし、錬金術師や薬師により、性能が高いポーションや薬等の素材にもなる。
魔素が溜まる森に生えている。
特に森の入り口付近には採取されない薬草が必ず生えていると言っても過言ではない。
採取されない理由はミニウルフである。
ミニウルフ
森の入り口付近で突如生まれ、ベテランの冒険者でさえ発生は感知できない。
決して森の奥には行かない。放っておいて数が増せば森の外、すなわち町や街道に出始め、家畜を襲い、自分の体の何倍もの大きさの馬などにも立ち向かう、狂暴で人にはなつかないし、長く生きている個体は障気を帯始め、存在するだけで自然環境を破壊していく。
そんなミニウルフの毛皮は柔らかく保温効果も高く、他のどんな生き物の毛皮より暖かい。見つけたら倒すのが冒険者の義務と言っても過言ではない。
だが可愛い過ぎる
屈強な冒険者程森の入り口から居なくなる
これはこの世界の常識と言ってもいい
強大な力を気ままに振るい街をいくつも破壊したドラゴンを倒した英雄も
墓地からアンデットを作り出し国を攻めた死者の王を倒した賢者も
ダンジョンで力を溜め時折軍隊で街に攻めいる凶悪なモンスターを退ける、国が抱える騎士団でさえも
森に近づかないか、森の奥に全力で逃げるように走り去る
ミニウルフを狩りたくないが為に冒険者は必死に修練し、スキルを身に付け激しい冒険へと旅立つ
ちなみに、このミニウルフはモンスターとしても、毛皮としても放っては置けないため、数が増えた報告が上がれば国が定期的にスラムや犯罪者等の囚人を使い討伐、倒した者から毛皮を高額で買取り回収をしている。
そんな高額な報酬があるにも関わらず討伐は忌避され、スラムの住民はミニウルフ討伐のお金を元手に必死に仕事をしスラムを脱する。犯罪者もこの討伐に参加した者は再犯などないに等しい
種族/ミニウルフ
HP/5
MP/0
スキル
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無自覚に行動がいちいち可愛くなってしまう。
つぶらな瞳lv10
この瞳を見た者は庇護欲が増し、ずっと見つめていたい衝動に陥る
称号
魔性の仔犬
その命が脅かされる、または失われた時、手を下した者、対象が見える声が聞こえる範囲(壁なども透過)に罪悪感、悲しみ、後悔、自責等の精神異常を強制的引き起こす。
防ぐ手段は存在しない。
彼らは神や天使により定期的に森に放たれる為、全滅しない。
この世に悪がある限りミニウルフが放たれ
騎士団がミニウルフ討伐より全力で悪人を捕らえ
罪人にミニウルフを狩らせ、ミニウルフを狩るぐらいならと罪人は心を入れ替える
そんな自浄作用をもたらす
モンスターにして神の先兵ミニウルフ
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