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プロローグ
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私は…、夢を見た。
「…びき、響」
「なぁに?」
ーいや、正確に言えば夢では無いのかもしれない。
2、3歳程だろうか、私は幼い容姿をしていて、無邪気に微笑んでいた。
これはー私の、記憶?
「今から大切なことを教えるからね。しっかり覚えておきなさい?」
「うん。大切なこと、なぁに?」
私は又同じことを言っている。
頭を撫でられて、幸せそうな表情だ。
この人はー、誰?
「いい?あなたは自分自身も周りも幸せにできるような、優しさを持った人間になりなさい。大切なのは考えること。そしてー」
優しげだった目が、すっと細くなる。相変わらず、頭を撫でる手は温かいままだ。
ーこの人を、私は知っている。私が知る中で誰よりも温かかった人。
私はその人を思い出そうと、必死に記憶の糸を手繰り寄せる。
「諦めないこと。どんな時も、最後まで諦めなければ大丈夫。やれることを全部やって、それでもどうにもならないことを非常事態っていうの。そんな時って、なかなか来ないものよ?」
微笑んで、又優しい目に戻る。
この子供っぽくて綺麗な微笑みを、私は知っている。
…そうだ、この人はー
「人を思いなさい。自分も思いなさい。全てを愛するの」
「あいする、のー?」
「そうよ、みんなを好きになるの」
「ふーん」
「今はまだわからないでしょう?大丈夫よ、きっと分かるようになるから。それまで絶対に忘れないって約束してくれる?」
「うん!ぜーったい忘れないよ、おばあちゃん!」
そこで、夢のような記憶は唐突に途切れた。
何故かー?
それはきっと、私の視界が毒々しい赤に染まったからだと思う。
それはきっと、その直後に私の意識が途切れたからだと思う。
ついでに、私の心臓の鼓動も途切れたからだと思う。
永遠に元に戻らなくなるなど、誰が想像できただろうー?
「…びき、響」
「なぁに?」
ーいや、正確に言えば夢では無いのかもしれない。
2、3歳程だろうか、私は幼い容姿をしていて、無邪気に微笑んでいた。
これはー私の、記憶?
「今から大切なことを教えるからね。しっかり覚えておきなさい?」
「うん。大切なこと、なぁに?」
私は又同じことを言っている。
頭を撫でられて、幸せそうな表情だ。
この人はー、誰?
「いい?あなたは自分自身も周りも幸せにできるような、優しさを持った人間になりなさい。大切なのは考えること。そしてー」
優しげだった目が、すっと細くなる。相変わらず、頭を撫でる手は温かいままだ。
ーこの人を、私は知っている。私が知る中で誰よりも温かかった人。
私はその人を思い出そうと、必死に記憶の糸を手繰り寄せる。
「諦めないこと。どんな時も、最後まで諦めなければ大丈夫。やれることを全部やって、それでもどうにもならないことを非常事態っていうの。そんな時って、なかなか来ないものよ?」
微笑んで、又優しい目に戻る。
この子供っぽくて綺麗な微笑みを、私は知っている。
…そうだ、この人はー
「人を思いなさい。自分も思いなさい。全てを愛するの」
「あいする、のー?」
「そうよ、みんなを好きになるの」
「ふーん」
「今はまだわからないでしょう?大丈夫よ、きっと分かるようになるから。それまで絶対に忘れないって約束してくれる?」
「うん!ぜーったい忘れないよ、おばあちゃん!」
そこで、夢のような記憶は唐突に途切れた。
何故かー?
それはきっと、私の視界が毒々しい赤に染まったからだと思う。
それはきっと、その直後に私の意識が途切れたからだと思う。
ついでに、私の心臓の鼓動も途切れたからだと思う。
永遠に元に戻らなくなるなど、誰が想像できただろうー?
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