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第1章 安住の地を求めて
第12話 あるのは理性か凶暴性か
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「キュー キュー キューン♪」
今は解体した肉を大蜘蛛の元へと運んでいる。なにぶん大蜘蛛の近くには生物が寄り付いていなかったから距離が遠い。テンは狩りが成功したのが嬉しいのか歌って喜んでるのだろうか。それとも今から肉を食べれると思って喜んでいるのかもしれない…ありそうだな。
そうだとしたら申し訳ないな。後でいっぱい食べさせてあげよう。
それにしても大蜘蛛の元へと近づくにつれやはり重苦しい雰囲気が漂うな。あいつは普段からこんな存在感を纏わせているのか?あいつが巣にこもって獲物を捕まえるタイプだとしたら、そんな所へと近づく奴なんて気配を感じ取れない弱者かそんな気配をもろとも感じない強者だけだろう。
ただ1番高い可能性としては獲物が獲れておらずなりふり構っていられないという所だと思っている。野生で子を産む事、育てる事。それがどういうものなのか詳しくは分からない。しかし命懸けのものなのだろうとは分かる。
そうしてようやく大蜘蛛の元へと近づいてきた。今回は最初と違い敢えて気配を隠さず、足音を立てて堂々と近づく。気配を隠して近づくと敵意があると感じ取られるかもしれないからな。
今は大蜘蛛との距離は50メートル程だろうか。大蜘蛛はあいも変わらず牛もどきの死体を食べている。あんな巨体だが口はそこまで大きくないし食べるのには時間がかかるのだろう。
1体からしか見られていないのに複数体から見られているような奇妙な視線を感じるから大蜘蛛もこちらには気付いているのだろう。もし8つある目全てで捉えられ戦闘する事になったら、絶対に逃さないという意思を感じそうだ。
そうして最初に大蜘蛛と相対した30メートルの距離まで近づき声をかける。
「少し前に声をかけたウカノだ!そちらに危害を与えるつもりは無い!腹が減っているのならこの肉を食べるといい!お前が今食っている牛もどきの肉だ!」
伝え終わって肉をその場に下ろし後ろに下がる。ある程度まで下がったら背を向けその場を去る。背中に大蜘蛛の視線を感じていたがやがて大蜘蛛が移動する気配を感じた。僕が置いた肉に近付いているのだろう。
今回持ってきた牛もどきの肉は10分の1も無い。あんだけ巨体だからな。身体強化を使っても1度に持てる量には限界がある。
「キュイー キュイー キュ♪」
歌のバリエーションが変わったな。てっきりあの肉を食べれないと分かったら落ち込むかと思ったけどそんな事は無かったな?
「キュ?」
前を歩いていたテンが不意にこちらを見上げてきた。
まずい、失礼な事を考えていた事がバレたか?
「な、なんでもないよテン。後で果物とかも採集しようね。」
「キュー!」
良かった、バレていないようだ。
最後の肉を大蜘蛛の元へと運び終える。後半は警戒心が薄れていた。やはり害意を持ったものを区別できる理性を持っている。
この森に来てから新鮮な事ばかりだ。未知の動物に魔物。さらには未知の植物。今までの価値観などアテにはならない。だからこそ面白い。
今までは勉強をして、訓練の毎日だった。そして将来は兄のサポートをするんだろうと思っていた。
それに比べて今は、今日何が起こるかすら分からない。常に死と隣り合わせであるが頼りになる相棒もいる。
「キュイ!」
明日はどんな事が起こるのだろうか
今は解体した肉を大蜘蛛の元へと運んでいる。なにぶん大蜘蛛の近くには生物が寄り付いていなかったから距離が遠い。テンは狩りが成功したのが嬉しいのか歌って喜んでるのだろうか。それとも今から肉を食べれると思って喜んでいるのかもしれない…ありそうだな。
そうだとしたら申し訳ないな。後でいっぱい食べさせてあげよう。
それにしても大蜘蛛の元へと近づくにつれやはり重苦しい雰囲気が漂うな。あいつは普段からこんな存在感を纏わせているのか?あいつが巣にこもって獲物を捕まえるタイプだとしたら、そんな所へと近づく奴なんて気配を感じ取れない弱者かそんな気配をもろとも感じない強者だけだろう。
ただ1番高い可能性としては獲物が獲れておらずなりふり構っていられないという所だと思っている。野生で子を産む事、育てる事。それがどういうものなのか詳しくは分からない。しかし命懸けのものなのだろうとは分かる。
そうしてようやく大蜘蛛の元へと近づいてきた。今回は最初と違い敢えて気配を隠さず、足音を立てて堂々と近づく。気配を隠して近づくと敵意があると感じ取られるかもしれないからな。
今は大蜘蛛との距離は50メートル程だろうか。大蜘蛛はあいも変わらず牛もどきの死体を食べている。あんな巨体だが口はそこまで大きくないし食べるのには時間がかかるのだろう。
1体からしか見られていないのに複数体から見られているような奇妙な視線を感じるから大蜘蛛もこちらには気付いているのだろう。もし8つある目全てで捉えられ戦闘する事になったら、絶対に逃さないという意思を感じそうだ。
そうして最初に大蜘蛛と相対した30メートルの距離まで近づき声をかける。
「少し前に声をかけたウカノだ!そちらに危害を与えるつもりは無い!腹が減っているのならこの肉を食べるといい!お前が今食っている牛もどきの肉だ!」
伝え終わって肉をその場に下ろし後ろに下がる。ある程度まで下がったら背を向けその場を去る。背中に大蜘蛛の視線を感じていたがやがて大蜘蛛が移動する気配を感じた。僕が置いた肉に近付いているのだろう。
今回持ってきた牛もどきの肉は10分の1も無い。あんだけ巨体だからな。身体強化を使っても1度に持てる量には限界がある。
「キュイー キュイー キュ♪」
歌のバリエーションが変わったな。てっきりあの肉を食べれないと分かったら落ち込むかと思ったけどそんな事は無かったな?
「キュ?」
前を歩いていたテンが不意にこちらを見上げてきた。
まずい、失礼な事を考えていた事がバレたか?
「な、なんでもないよテン。後で果物とかも採集しようね。」
「キュー!」
良かった、バレていないようだ。
最後の肉を大蜘蛛の元へと運び終える。後半は警戒心が薄れていた。やはり害意を持ったものを区別できる理性を持っている。
この森に来てから新鮮な事ばかりだ。未知の動物に魔物。さらには未知の植物。今までの価値観などアテにはならない。だからこそ面白い。
今までは勉強をして、訓練の毎日だった。そして将来は兄のサポートをするんだろうと思っていた。
それに比べて今は、今日何が起こるかすら分からない。常に死と隣り合わせであるが頼りになる相棒もいる。
「キュイ!」
明日はどんな事が起こるのだろうか
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