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第87話 夜明け
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「そんな馬鹿な!」
「……!」
階段から声がした。振り向くと、ビェルマが居た。背後にリディも見える。
リディはクリューと、倒れたオルヴァリオを見てビェルマを押し退けて駆け寄ってきた。
「クリュー! 大丈夫!? オルヴァリオは!」
「……リディ。無事だったか」
「あんたがよ! オルヴァリオは! その子は……まさか『グレイシア』? 解けたの!? サスリカ!」
「…………大変だな」
目に入るもの全てがリディにとって衝撃的だった。ひとまずは倒れているオルヴァリオの元へ。
『リディ様。オルヴァリオ様は、ずっと洗脳されていたのです。もう解けていると思いますが、しばらく目覚めないでしょう』
「…………戦ったのね」
「リディの教えが上手すぎてオルヴァが強くなりすぎだ。俺は銃を持っているのに死ぬところだったぞ」
「…………そう」
その冗談を聞いて、リディは落ち着いた。ふたりとも、命に関わる怪我ではないようだ。
「さて、武僧兵長か。やるか?」
「!」
クリューはビェルマを睨み付けた。グロリオを倒したとして、終わりではない。この都市には25000のネヴァン信者が居るのだ。もう朝になる。騒ぎを聞き付けて大勢が押し寄せるかもしれない。その前に『断崖線』を脱出しなければ。
「…………流石に、やんねェよ。猊下が落ちてくのが下の窓から見えた。全くありえねェ。予想外だ。……『精神憑依』はどうした」
「『彼女』に解いて貰った。あれはなんだ? サスリカ分かるか」
『ハイ。「カナタ・ギドー」の能力を打ち破る能力を、持っていたのです。いや、この方は全ての「古代能力」を無効化します』
「……だ、そうだ」
「……馬鹿な」
ビェルマは戦意喪失していた。そもそも今戦った所で勝てない。リディとクリューを殺すことまではできるかもしれないが、無傷のサスリカを相手に生き残ることはできない。生物の視覚の穴を突く彼の光学迷彩も、ロボットであるサスリカには効かない。
「よぉ。終わったか」
「!」
そこへ、彼らもやってきた。エフィリスが、リシスを。マルがミェシィを担いで。
「エフィリス!」
「へっ。お互いボロボロだな。クリュー」
「サーガ!? あんた腕……!」
「……お気になさらず。戦いに負傷は付きものですから」
この最上階に武僧兵長を運び込んだ所で、サーガも座り込んだ。リシスの横にミェシィを並べて寝かせたマルが治療の続きをと彼へ駆け寄る。
エフィリスが、クリューの所へやってきた。
正確には、『彼女』の所へ。
「……解かしたのか。生きてんのか?」
「ああ。グロリオを吹き飛ばしたのが彼女だ。あれが無ければ負けていた。銃で滅多打ちにされて萎えない宗教者というのは、精神が強すぎてやっていられない」
『氷漬けの美女』は、エフィリス達が発見したトレジャーだ。彼も取り戻そうとしていた。だからクリュー達と手を組んだのだ。
『エフィリス様。今この方は——』
「分かってる。氷が解けた以上、これはトレジャーじゃねえ。ひとりの女だ。俺にはもう所有権はねえよ。目覚めたばっかで大変だろ。古代を知るお前がサポートしてやってくれ。サスリカ」
『……ハイ』
終わった。目的は達成した。他の、ネヴァンが盗んだトレジャーも、どこかに保管してあるだろう。一件落着である。
「……俺にァ、止められねェ」
「!?」
窓から、それは見えた。この黄金の城へ、遠くから人の群れが大量に迫ってくるのを。
「あれは何よ。ビェルマ!」
観念したビェルマは、リディによって拘束されている途中だった。彼は気怠げに呟くように話す。
「信徒だよ。あと残りの武僧。城を、猊下を取り戻そうとな。2万の大軍だ。お前らたった7人でどうするんだァ」
「……!」
もう皆、ボロボロである。今から2万人を、それも怒りに燃える宗教者を相手になどできない。彼らは死にながら向かってくる意志の強い信者だ。下手な軍隊より統率の取れた決死隊だ。
場に緊張が走る。
「……いやぁ、間に合った」
「えっ」
だがエフィリスが。
その2万人の、『さらに向こう』。朝日の方向を見て。
安堵の声を出した。
「……!」
階段から声がした。振り向くと、ビェルマが居た。背後にリディも見える。
リディはクリューと、倒れたオルヴァリオを見てビェルマを押し退けて駆け寄ってきた。
「クリュー! 大丈夫!? オルヴァリオは!」
「……リディ。無事だったか」
「あんたがよ! オルヴァリオは! その子は……まさか『グレイシア』? 解けたの!? サスリカ!」
「…………大変だな」
目に入るもの全てがリディにとって衝撃的だった。ひとまずは倒れているオルヴァリオの元へ。
『リディ様。オルヴァリオ様は、ずっと洗脳されていたのです。もう解けていると思いますが、しばらく目覚めないでしょう』
「…………戦ったのね」
「リディの教えが上手すぎてオルヴァが強くなりすぎだ。俺は銃を持っているのに死ぬところだったぞ」
「…………そう」
その冗談を聞いて、リディは落ち着いた。ふたりとも、命に関わる怪我ではないようだ。
「さて、武僧兵長か。やるか?」
「!」
クリューはビェルマを睨み付けた。グロリオを倒したとして、終わりではない。この都市には25000のネヴァン信者が居るのだ。もう朝になる。騒ぎを聞き付けて大勢が押し寄せるかもしれない。その前に『断崖線』を脱出しなければ。
「…………流石に、やんねェよ。猊下が落ちてくのが下の窓から見えた。全くありえねェ。予想外だ。……『精神憑依』はどうした」
「『彼女』に解いて貰った。あれはなんだ? サスリカ分かるか」
『ハイ。「カナタ・ギドー」の能力を打ち破る能力を、持っていたのです。いや、この方は全ての「古代能力」を無効化します』
「……だ、そうだ」
「……馬鹿な」
ビェルマは戦意喪失していた。そもそも今戦った所で勝てない。リディとクリューを殺すことまではできるかもしれないが、無傷のサスリカを相手に生き残ることはできない。生物の視覚の穴を突く彼の光学迷彩も、ロボットであるサスリカには効かない。
「よぉ。終わったか」
「!」
そこへ、彼らもやってきた。エフィリスが、リシスを。マルがミェシィを担いで。
「エフィリス!」
「へっ。お互いボロボロだな。クリュー」
「サーガ!? あんた腕……!」
「……お気になさらず。戦いに負傷は付きものですから」
この最上階に武僧兵長を運び込んだ所で、サーガも座り込んだ。リシスの横にミェシィを並べて寝かせたマルが治療の続きをと彼へ駆け寄る。
エフィリスが、クリューの所へやってきた。
正確には、『彼女』の所へ。
「……解かしたのか。生きてんのか?」
「ああ。グロリオを吹き飛ばしたのが彼女だ。あれが無ければ負けていた。銃で滅多打ちにされて萎えない宗教者というのは、精神が強すぎてやっていられない」
『氷漬けの美女』は、エフィリス達が発見したトレジャーだ。彼も取り戻そうとしていた。だからクリュー達と手を組んだのだ。
『エフィリス様。今この方は——』
「分かってる。氷が解けた以上、これはトレジャーじゃねえ。ひとりの女だ。俺にはもう所有権はねえよ。目覚めたばっかで大変だろ。古代を知るお前がサポートしてやってくれ。サスリカ」
『……ハイ』
終わった。目的は達成した。他の、ネヴァンが盗んだトレジャーも、どこかに保管してあるだろう。一件落着である。
「……俺にァ、止められねェ」
「!?」
窓から、それは見えた。この黄金の城へ、遠くから人の群れが大量に迫ってくるのを。
「あれは何よ。ビェルマ!」
観念したビェルマは、リディによって拘束されている途中だった。彼は気怠げに呟くように話す。
「信徒だよ。あと残りの武僧。城を、猊下を取り戻そうとな。2万の大軍だ。お前らたった7人でどうするんだァ」
「……!」
もう皆、ボロボロである。今から2万人を、それも怒りに燃える宗教者を相手になどできない。彼らは死にながら向かってくる意志の強い信者だ。下手な軍隊より統率の取れた決死隊だ。
場に緊張が走る。
「……いやぁ、間に合った」
「えっ」
だがエフィリスが。
その2万人の、『さらに向こう』。朝日の方向を見て。
安堵の声を出した。
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