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───────ああ、死んだ。
生物は本物の死を目の前にすると抵抗もせず固まってしまうという。
真っ黒い影が不気味な音を立てて広がっていく。
死神の表情は骸骨なので伺い見る事はできないが、ニヤリと笑っている気がした。
気付くと、大鎌が私の直ぐ目の前に振り下ろされていた。着ていたシンプルな白のブラウスが二つに分かたれれ、中に着ていたキャミソールまでが真っ二つに割かれている。
ただ、肌だけは傷一つ付かなかった。
まだ殺されていない、と安心したのもつかの間。
また大鎌が振り下ろされようとしていた。
目をギュッと瞑ってどうか痛みはないように、そう願って来るであろう衝撃に備えた。
嫌だ、死にたくない。死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!
(死にたくないっっっっ!!!!)
───────────そうだ、私はまだ!死にたくなんか、ない!!!!
目を見開き、迫る大鎌を間一髪で避ける。足を踏ん張り、バッグから飛び出たペンケースを無造作に取り出してボールペンを引っ張り出した。
殺す。コイツを殺す。それでしか、私が死なない道はない!!!!
私の取った態度が幸か不幸か、死神は上機嫌に声をあげた。
「あはっ!ふふふ、あはははははは!!そう!!それでこそ#死神__ぼく_に選ばれた人間だよ!!」
ボールペンを両手で握り、死神へ切っ先を向ける。そして睨み上げた。
絶対に屈するものか!一人で生きて行く。ずっとそう思って生きてきた。だから、どんな絶望にだって負けないんだから!!!
一心不乱にボールペンを振り回す。
死神は避けるだけで反撃はしてこない。
「おっとっと」
若干、いやかなりわざとらしく死神よろめいた。
そんな事、必死な私が気付くはずもない。
───今だ!!!
ボールペンを死神の心臓に向けて思いっきり突き刺した・・・・・・・・・はずだった。
刺した感触がない・・・。
いや、質量みたいのがないのか?そこにあるのに、存在しているのに、どこにもない。
まるで空気を相手にしているみたいだ。
「どーお?殺せる?僕のこと」
肩をビクつかせ、死神の目を見た。
死神はボールペンごと私の手を掴む。革手袋の冷たい感触が手に伝わる。
こいつは分かってたんだ。ただの人間が死神みたいな化け物に殺せるわけないって、しかも私の武器、ボールペンだし・・・。
「な、なんで私を殺さないんだ?」
震える声を喉から捻り出すように問うた。
死神は考える素振りを見せて、真っ黒のローブから懐中時計を取り出した。
そして、時計を見ながら淡々と答えた。
「だって、無抵抗に死を受け入れる奴なんて殺しても面白くないんだもん」
「は?」
「だ・か・ら、とぉーっても面白かったよ、コウチャン?」
パチンと懐中時計を閉じて、愉快そうに死神は笑った。
「それに死神は死にたくないと思っている人間を安易に殺すことは御法度だしねぇ」
「じゃ、じゃあ!私の事殺さない?」
「うーーん、しばらくは殺さない!!」
「しばらくって!!?しばらくって何!!」
死神の黒ローブを引っ掴んで、食い下がる。
───────あれ?触れる・・・・・・??
だんだんと辺りが明るくなってきた。どうやらもうすぐ日が昇るらしい。
「もう時間切れなんですけどー」
死神が面倒くさそうに呟いた。
黒ローブがサラサラと灰のように散り始めた。
それと同時に日が昇る。
「え?死ぬの!?消えてるんですけど!!?」
「僕は夜行性なのー!!もうホント最悪・・・」
日差しが射して、あまりの眩さに目を思わず瞑った。
掴んでいたローブの感触が完全に消えた。
急いで目を開けるが・・・・・・。
「え?嘘でしょ?」
死神───────ではなく私の彼氏が目の前に居た。
生物は本物の死を目の前にすると抵抗もせず固まってしまうという。
真っ黒い影が不気味な音を立てて広がっていく。
死神の表情は骸骨なので伺い見る事はできないが、ニヤリと笑っている気がした。
気付くと、大鎌が私の直ぐ目の前に振り下ろされていた。着ていたシンプルな白のブラウスが二つに分かたれれ、中に着ていたキャミソールまでが真っ二つに割かれている。
ただ、肌だけは傷一つ付かなかった。
まだ殺されていない、と安心したのもつかの間。
また大鎌が振り下ろされようとしていた。
目をギュッと瞑ってどうか痛みはないように、そう願って来るであろう衝撃に備えた。
嫌だ、死にたくない。死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!
(死にたくないっっっっ!!!!)
───────────そうだ、私はまだ!死にたくなんか、ない!!!!
目を見開き、迫る大鎌を間一髪で避ける。足を踏ん張り、バッグから飛び出たペンケースを無造作に取り出してボールペンを引っ張り出した。
殺す。コイツを殺す。それでしか、私が死なない道はない!!!!
私の取った態度が幸か不幸か、死神は上機嫌に声をあげた。
「あはっ!ふふふ、あはははははは!!そう!!それでこそ#死神__ぼく_に選ばれた人間だよ!!」
ボールペンを両手で握り、死神へ切っ先を向ける。そして睨み上げた。
絶対に屈するものか!一人で生きて行く。ずっとそう思って生きてきた。だから、どんな絶望にだって負けないんだから!!!
一心不乱にボールペンを振り回す。
死神は避けるだけで反撃はしてこない。
「おっとっと」
若干、いやかなりわざとらしく死神よろめいた。
そんな事、必死な私が気付くはずもない。
───今だ!!!
ボールペンを死神の心臓に向けて思いっきり突き刺した・・・・・・・・・はずだった。
刺した感触がない・・・。
いや、質量みたいのがないのか?そこにあるのに、存在しているのに、どこにもない。
まるで空気を相手にしているみたいだ。
「どーお?殺せる?僕のこと」
肩をビクつかせ、死神の目を見た。
死神はボールペンごと私の手を掴む。革手袋の冷たい感触が手に伝わる。
こいつは分かってたんだ。ただの人間が死神みたいな化け物に殺せるわけないって、しかも私の武器、ボールペンだし・・・。
「な、なんで私を殺さないんだ?」
震える声を喉から捻り出すように問うた。
死神は考える素振りを見せて、真っ黒のローブから懐中時計を取り出した。
そして、時計を見ながら淡々と答えた。
「だって、無抵抗に死を受け入れる奴なんて殺しても面白くないんだもん」
「は?」
「だ・か・ら、とぉーっても面白かったよ、コウチャン?」
パチンと懐中時計を閉じて、愉快そうに死神は笑った。
「それに死神は死にたくないと思っている人間を安易に殺すことは御法度だしねぇ」
「じゃ、じゃあ!私の事殺さない?」
「うーーん、しばらくは殺さない!!」
「しばらくって!!?しばらくって何!!」
死神の黒ローブを引っ掴んで、食い下がる。
───────あれ?触れる・・・・・・??
だんだんと辺りが明るくなってきた。どうやらもうすぐ日が昇るらしい。
「もう時間切れなんですけどー」
死神が面倒くさそうに呟いた。
黒ローブがサラサラと灰のように散り始めた。
それと同時に日が昇る。
「え?死ぬの!?消えてるんですけど!!?」
「僕は夜行性なのー!!もうホント最悪・・・」
日差しが射して、あまりの眩さに目を思わず瞑った。
掴んでいたローブの感触が完全に消えた。
急いで目を開けるが・・・・・・。
「え?嘘でしょ?」
死神───────ではなく私の彼氏が目の前に居た。
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