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第3章 クルデ村
Ⅴ
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「ルエル、スープ持って来たよ。」
シンジが食堂のおばちゃん達に頼んで、病人用の固形物をなるべく煮込んで溶かしたスープを作ってもらい、診療所のルエルが寝ている病室へと戻って見ると、そこにはルエルは居なくて、代わりにレアイアが居た。
レアイアは病室の棚等に替えのタオルやらコップ等を置き、ルエルが当分の間入院するので、その準備を整えている様だった。
「あれ?ルエルは?」
「ルエル?あーあの鬼の女の子ね。彼女なら、エレノアール様が体とかを洗いに公衆浴場の方に連れて行かれたよ。」
「そうなんだ。せっかく、スープ持ってきたのに。」
ちょっと残念そうなシンジを見て、ピンときたレアイアだった。
「ほう、シンジって案外手が早いのね。もう、彼女と仲良くなったんだ。」
「そんなんじゃないよ。それにまだ仲良くなんかなってないよ。ルエルは、まだ僕等のこと信用している訳じゃないんだ。でも、恩義を仇で返すような子じゃないのは話して判ったからね。今はとりあえず、一緒に居ても良いよ、くらいの気持ちだともう。」
「そうか、それでも人族にあれだけの怨念を持っている事を考えたら進歩だね。」
「うん、だから少しずつで良いから僕たちの事をもっと知ってもらって、仲良くなれたら良いなとは思ってるけどね。」
シンジの言葉にレアイアも同意だった。
どんな酷い目に会って来たのか解らないが、少しでも彼女の心が落ち着けるよう自分達も協力するつもりではあった。
レアイアも子供の頃の境遇はさほど良くなくと言うより悪かったから、彼女の事も少しは理解できると思っているからだ。
「まあがんばんな。歳も近いし、シンジが支えになってやんな。」
「うん、そのつもりだよ。」
レアイアはなんだかシンジが少し大人になったような気がして少し寂しく思えた。
「もうすぐ帰ってくるから、スープはそこの台に置いときな。」
言われた通りにベット横の台に、布が掛けられたスープとパンを載せたトレイを置いておく。
「ギー、バタン。」
トレイを置くのと同時に、部屋の扉が開き人が入って来た。
「シンジ、スープ、もう持ってきてたのね。」
扉の前に立っているのはエレノアールだった。
「うん、病人用と思って食堂のおばちゃん達にお願いしたら、もう準備は済んでて直に持って来れたんだ。でも、少し冷めたから持って来なおそうか?」
「あ、良いよそのままで。熱くしたら胃に負担がかかり過ぎるから今の方がちょうどいいと思うわ。」
「そうか、じゃあこのままにしとくけど、ルエルは?」
シンジは、エレノアールとお風呂に行っていると聞いていたから、後ろの方について歩いているのかと想像していたらしく、その姿を見つけだす事は出来ないでいた。
「何言ってるんだよ。この私が抱えている、バスタオルの中だよ。」
そう言われて、初めて大きな布を抱えている事に気付いたみたい。
「この子、途中で寝てしまってね、よっぽど疲れていたんだね。」
そう言われて、タオルの中を少し覗くと、小さな寝息が微かに聞こえる。
そこには、最初は薄汚くグレーかと思っていた髪の毛が、今は美しい黒髪に変わっている少女がいた。
肌の汚れも綺麗におち、茶色ぽかった色も肌色に戻っていた。
その顔立ちも、黒色の大きな瞳を持つ端正の取れたいわゆる美少女のそれであった。
痩せ細った身体が元に戻れば、もっと美しい少女になるのは間違いなかった。
「綺麗だね。」
その寝顔を見て、ぽつりとつぶやくシンジ。
「いっちょ前に色気づきやがったね。」
レアイアが、からかってきた。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「別にいけないって言ってるんじゃないよ。むしろ男の子だと再度確認出来て師匠としては嬉しいかぎりだよ。」
わざとらしく言うレアイア。
シンジは少しふて腐れるが、どうしても、もう一度寝顔が見たくなって、ベットに寝かされたルエルの顔を覗き込んだ。
その瞬間、ルエルの瞳がパっと見開き、シンジと視線と間近で合ってしまった。
一瞬固まる二人。
すると見る見るうちに顔が真っ赤になるルエル。
「ドガッ!!」
誰もその動きが判らないほど素早い動作でルエルの拳がシンジの顔面に減り込んでいた。
「きゃあーーーーーーー!!」
悲鳴をあげるルエルが寝ているベットの下でシンジは今日二度目のノックアウトで床に寝そべってしまっていた。
「「今のは、シンジが悪い。」」
エレノアールと、レアイアが二人とも同じ意見で頷いていた。
シンジが食堂のおばちゃん達に頼んで、病人用の固形物をなるべく煮込んで溶かしたスープを作ってもらい、診療所のルエルが寝ている病室へと戻って見ると、そこにはルエルは居なくて、代わりにレアイアが居た。
レアイアは病室の棚等に替えのタオルやらコップ等を置き、ルエルが当分の間入院するので、その準備を整えている様だった。
「あれ?ルエルは?」
「ルエル?あーあの鬼の女の子ね。彼女なら、エレノアール様が体とかを洗いに公衆浴場の方に連れて行かれたよ。」
「そうなんだ。せっかく、スープ持ってきたのに。」
ちょっと残念そうなシンジを見て、ピンときたレアイアだった。
「ほう、シンジって案外手が早いのね。もう、彼女と仲良くなったんだ。」
「そんなんじゃないよ。それにまだ仲良くなんかなってないよ。ルエルは、まだ僕等のこと信用している訳じゃないんだ。でも、恩義を仇で返すような子じゃないのは話して判ったからね。今はとりあえず、一緒に居ても良いよ、くらいの気持ちだともう。」
「そうか、それでも人族にあれだけの怨念を持っている事を考えたら進歩だね。」
「うん、だから少しずつで良いから僕たちの事をもっと知ってもらって、仲良くなれたら良いなとは思ってるけどね。」
シンジの言葉にレアイアも同意だった。
どんな酷い目に会って来たのか解らないが、少しでも彼女の心が落ち着けるよう自分達も協力するつもりではあった。
レアイアも子供の頃の境遇はさほど良くなくと言うより悪かったから、彼女の事も少しは理解できると思っているからだ。
「まあがんばんな。歳も近いし、シンジが支えになってやんな。」
「うん、そのつもりだよ。」
レアイアはなんだかシンジが少し大人になったような気がして少し寂しく思えた。
「もうすぐ帰ってくるから、スープはそこの台に置いときな。」
言われた通りにベット横の台に、布が掛けられたスープとパンを載せたトレイを置いておく。
「ギー、バタン。」
トレイを置くのと同時に、部屋の扉が開き人が入って来た。
「シンジ、スープ、もう持ってきてたのね。」
扉の前に立っているのはエレノアールだった。
「うん、病人用と思って食堂のおばちゃん達にお願いしたら、もう準備は済んでて直に持って来れたんだ。でも、少し冷めたから持って来なおそうか?」
「あ、良いよそのままで。熱くしたら胃に負担がかかり過ぎるから今の方がちょうどいいと思うわ。」
「そうか、じゃあこのままにしとくけど、ルエルは?」
シンジは、エレノアールとお風呂に行っていると聞いていたから、後ろの方について歩いているのかと想像していたらしく、その姿を見つけだす事は出来ないでいた。
「何言ってるんだよ。この私が抱えている、バスタオルの中だよ。」
そう言われて、初めて大きな布を抱えている事に気付いたみたい。
「この子、途中で寝てしまってね、よっぽど疲れていたんだね。」
そう言われて、タオルの中を少し覗くと、小さな寝息が微かに聞こえる。
そこには、最初は薄汚くグレーかと思っていた髪の毛が、今は美しい黒髪に変わっている少女がいた。
肌の汚れも綺麗におち、茶色ぽかった色も肌色に戻っていた。
その顔立ちも、黒色の大きな瞳を持つ端正の取れたいわゆる美少女のそれであった。
痩せ細った身体が元に戻れば、もっと美しい少女になるのは間違いなかった。
「綺麗だね。」
その寝顔を見て、ぽつりとつぶやくシンジ。
「いっちょ前に色気づきやがったね。」
レアイアが、からかってきた。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「別にいけないって言ってるんじゃないよ。むしろ男の子だと再度確認出来て師匠としては嬉しいかぎりだよ。」
わざとらしく言うレアイア。
シンジは少しふて腐れるが、どうしても、もう一度寝顔が見たくなって、ベットに寝かされたルエルの顔を覗き込んだ。
その瞬間、ルエルの瞳がパっと見開き、シンジと視線と間近で合ってしまった。
一瞬固まる二人。
すると見る見るうちに顔が真っ赤になるルエル。
「ドガッ!!」
誰もその動きが判らないほど素早い動作でルエルの拳がシンジの顔面に減り込んでいた。
「きゃあーーーーーーー!!」
悲鳴をあげるルエルが寝ているベットの下でシンジは今日二度目のノックアウトで床に寝そべってしまっていた。
「「今のは、シンジが悪い。」」
エレノアールと、レアイアが二人とも同じ意見で頷いていた。
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