電気羊は少女のユメを見るか?

チタン

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【第2話】電気羊は少女のメイを受けた

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--夢の高性能動物型ロボット、ついに登場!

その名も『電気羊-PDK2040』!

外見は本物と全く見分けはつきませんが、本物にはない様々な機能が搭載されています。

小さな頭には最新鋭の高度なAI
つぶらな瞳は超高性能カメラ
おまけに戦車にも負けない強度に加え、ジェット推進機能まで付いています!

お値段はなんと29,800$! 
お買い求めは全国の正規販売店まで!--



 こんな売り文句でメーカーが満を持して発売した高性能ヒツジ型ロボット「電気羊-PDK2040」。
 しかしこの子供向けロボット、明らかなオーバースペックと高額すぎる値段のせいで一般人には全く売れず(一部でマニア的人気を集めはしたものの)、近々生産停止されるという噂もあった。

 しかしここにそんな電気羊を購入した奇特な夫婦が一組。リック・シェパードとイーラン・シェパード夫妻は愛娘であるミラのために電気羊を買い与えた。それからというものミラは電気羊に夢中だ。

「お父さん、お母さん!」

 ミラは両親に呼びかけた。

「どうしたの、ミラ?」

「あのね、ウールがすごいのよ! いろんなワザが使えるの!」

「ワザ?」

 父と母は娘の言葉にポカンと疑問顔だ。そんな両親をよそに娘は電気羊を呼びつけた。

「ウール、さっきのワザをもう一度お母さんたちに見せてあげてちょうだい」

『かしこまりました、ミラ』

「見ててね、お父さんお母さん。まずは『透視』よ、ウール」

 そう聞くとウールはのそのそと方向転換して後ろを向いた。ウールが後ろを向いたのを確認すると、ミラは足音を立てないよう忍び足で移動してソファーの後ろに隠れた。ちょうどウールからは死角の位置だ。

「ウール、もういいわよ!」

『はい、ミラ』

 ウールは振り向いて、視界を遠赤外線カメラに切り替えた。ウールの遠赤外線カメラはミラの体温を捉え、位置を捕捉する。

『ソファの後ろですね、ミラ?』
「アタリよ!」

 ソファの後ろからバッと顔を出して、ミラは両親に尋ねる。

「どう!? お父さん、お母さん! さっきから百発百中よ!」

 ミラの表情はいつになく得意げだ。

「う、うん、スゴイね、ウールは」

「ええ、ホントね……」

 当然、両親は電気羊の機能を知っているので、ぎこちなない返事を返す。

「うーん、お父さんたちあんまり驚いてないわね? じゃあ次よウール! お父さんたちも次はきっと驚くわ」

 そう言うとミラは電気羊と一緒に庭に出た。その後に続く両親。

「見ててね、今度はもっとスゴイんだから」

 ミラは自信満々に言った。

「ウール、次は『ジャンプ』よ」

『承知しました』

 返事を返すとウールはミラ達から十数メートル距離をとった。

 ウールの体から微かにガシャッという音がしたが、ミラ達の距離からは聴こえていない。

『ジェット・シークエンス、起動』

 そう告げるとギューンというジェット音と共にウールは猛烈な勢いで上空へと浮上した。地面に粉塵を捲き上げながら、5メートルほど飛び上がると、推力は消え重力による自然落下が始まる。ウールは身を丸め『着地シークエンス、起動』という音声を発して羊毛の下にあるエアバッグを作動させた。ボフッという音を立てて安全に着地し終えると、即座にエアバッグは体の内部に収納される。そして、ウールは丸めた体を伸ばして立ち上がった。

 ミラは得意顔を通り越して、なぜかドヤ顔だ。

「ね! スゴイでしょ!?」

 それに対して、両親は驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。

「ジ、ジェット推進ってあんなにスゴイものなの、あなた?」

「……僕もまさかあんなにデタラメな機能だとは思ってなかったよ」

 ミラは両親の驚いた顔を見て満足した様子だ。

「ウール、お父さんもお母さんも驚いてくれたわ!」

 主人の命令をやり終え、戻ってきたウールはリックとイーランの表情を解析して、こう言い添えた。

『リック様、イーラン様。ワタシは常に周囲の状況を把握し、確実に安全であることを確かめてから「ジャンプ」をするのでご安心ください。決して危険はございません』

 娘の無邪気さと電気羊の「平静な声」に両親は目眩を覚えた。


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