8 / 12
【第8話】電気羊は未知のテキに遭った
しおりを挟む
ウールのジェットエンジンはもう3分以上も噴煙を噴き出し続けた。その間ウールは猛スピードで廃棄場の通路を突き進んだ。
廃棄場はウールたちがいた廃棄ルーム以外にもいくつもの廃棄ルームがあって、そのどれもが大きくて重そうな扉に閉ざされていた。
通路も節電のためなのか薄暗く、ウールも高性能赤外線カメラなしに、このスピードを維持するのは困難であった。
『ウール! ここから先には三つの関門がある!』
フープティは大きな声で言った。
しかし、凄まじい風切り音とジェット音で声はかき消された。
と、そのとき、フープティにショートメッセージが届いた。それは現在進行形でしがみ付いているウールからだった。
『
TO:フープティ
FROM:ウール -PKD2040
フープティ、先ほどマップデータを送ってくれた
際の送信元にこのメッセージを送りました。
風圧とジェット音であなたの声を、
私のマイクが拾えません。
あなたもワタシの送信元に返信する形で、
メッセージを送って下さい。』
フープティは「了解」と言う代わりにウールの角をコツンと叩いた。
『
TO: ウール -PKD2040
FROM:ER34_type06
ウール、俺だ。
この先に三つの関門がある。
一つ目はこの廃棄エリア。
ここをゲートが閉じられる前にいかに
突破するかだ。
まあこのスピードなら楽勝そうだな。
二つ目は境界エリア。
廃棄エリアと管理エリアの境界だ。
ここにいる門番を掻い潜って何とか管理
エリアに辿り着くのが、二つ目の関門だ。
三つ目が管理エリアの搬入ゲート。
管理エリアは廃棄エリアと違って警備が
手薄だ。
ただ、搬入ゲートをいかに通り抜けるか、
そこだけが勝負だ。
それぞれの警備データとか諸々もついでに
送った。俺も考えるが、お前の方でも突破
する方法を考えてくれ。
以上』
ウールはフープティへの返信メッセージを作成して、即座に送信した。
『
TO:フープティ
FROM:ウール -PKD2040
了解。
廃棄エリアは残り52秒で抜けます。』
ウールはフープティのメッセージに添付されたデータを読み込みつつ、それぞれの関門の突破方法を考えた。
どうやら、第二の関門である境界エリアの門番は先ほどの警備ロボットのようなロボットだということが分かった。あの程度の性能であれば、簡単に掻い潜れそうなものだが……。
仮にアレより高性能なロボットがいても、相手がロボットである限り、ウールには秘策があった。
考えているうちに廃棄エリアの出口が数十メートル先に見えた。フープティのハッキングはまだ有効のようで、扉は全開になっていた。
ウールたちは廃棄エリアを抜け、境界エリアに突入した。
その次の瞬間、ウールたちに向けて高速で飛来物が飛んできた!
ウールは軌道を急転換し、なんとか飛来物を避けたが、急な方向転換でバランスを失い、ウールたちは床に不時着した。
『いっててて、急にどうしたんだ、ウール』
『フープティ、あそこに門番がいます。それもさっきの警備ロボットとは比べ物にならない機体です』
ウールの視線の先から二足歩行のロボットがコツンコツンと足音を立てながら歩いてきた。
『あの軽やかな重心移動。かなりの高性能機種です。気をつけて』
『いや待て! ありゃあ……嘘だろ!?』
フープティは驚愕のあまり一瞬フリーズした。
『あの機体を知っているのですか?』
『ああ、あれは軍事用ロボット、「グラディエーター -MPM38」だ! なんであんな代物が廃棄施設にいやがる!』
話しているうちにもグラディエーターは接近し続けた。
『侵入者ヲ発見。標的ニ設定。処理ヲ開始スル』
ついに、グラディエーターは携行していた銃を構えた!
『フープティ、下がって!』
ウールはフープティに後ろへ下がるよう言った。
『ウール、あんなヤツどうするってんだよ?』
『大丈夫、ここはワタシに任せて下さい』
ウールは意を決して、秘策の起動シークエンスに入った。
♢♢
廃棄場はウールたちがいた廃棄ルーム以外にもいくつもの廃棄ルームがあって、そのどれもが大きくて重そうな扉に閉ざされていた。
通路も節電のためなのか薄暗く、ウールも高性能赤外線カメラなしに、このスピードを維持するのは困難であった。
『ウール! ここから先には三つの関門がある!』
フープティは大きな声で言った。
しかし、凄まじい風切り音とジェット音で声はかき消された。
と、そのとき、フープティにショートメッセージが届いた。それは現在進行形でしがみ付いているウールからだった。
『
TO:フープティ
FROM:ウール -PKD2040
フープティ、先ほどマップデータを送ってくれた
際の送信元にこのメッセージを送りました。
風圧とジェット音であなたの声を、
私のマイクが拾えません。
あなたもワタシの送信元に返信する形で、
メッセージを送って下さい。』
フープティは「了解」と言う代わりにウールの角をコツンと叩いた。
『
TO: ウール -PKD2040
FROM:ER34_type06
ウール、俺だ。
この先に三つの関門がある。
一つ目はこの廃棄エリア。
ここをゲートが閉じられる前にいかに
突破するかだ。
まあこのスピードなら楽勝そうだな。
二つ目は境界エリア。
廃棄エリアと管理エリアの境界だ。
ここにいる門番を掻い潜って何とか管理
エリアに辿り着くのが、二つ目の関門だ。
三つ目が管理エリアの搬入ゲート。
管理エリアは廃棄エリアと違って警備が
手薄だ。
ただ、搬入ゲートをいかに通り抜けるか、
そこだけが勝負だ。
それぞれの警備データとか諸々もついでに
送った。俺も考えるが、お前の方でも突破
する方法を考えてくれ。
以上』
ウールはフープティへの返信メッセージを作成して、即座に送信した。
『
TO:フープティ
FROM:ウール -PKD2040
了解。
廃棄エリアは残り52秒で抜けます。』
ウールはフープティのメッセージに添付されたデータを読み込みつつ、それぞれの関門の突破方法を考えた。
どうやら、第二の関門である境界エリアの門番は先ほどの警備ロボットのようなロボットだということが分かった。あの程度の性能であれば、簡単に掻い潜れそうなものだが……。
仮にアレより高性能なロボットがいても、相手がロボットである限り、ウールには秘策があった。
考えているうちに廃棄エリアの出口が数十メートル先に見えた。フープティのハッキングはまだ有効のようで、扉は全開になっていた。
ウールたちは廃棄エリアを抜け、境界エリアに突入した。
その次の瞬間、ウールたちに向けて高速で飛来物が飛んできた!
ウールは軌道を急転換し、なんとか飛来物を避けたが、急な方向転換でバランスを失い、ウールたちは床に不時着した。
『いっててて、急にどうしたんだ、ウール』
『フープティ、あそこに門番がいます。それもさっきの警備ロボットとは比べ物にならない機体です』
ウールの視線の先から二足歩行のロボットがコツンコツンと足音を立てながら歩いてきた。
『あの軽やかな重心移動。かなりの高性能機種です。気をつけて』
『いや待て! ありゃあ……嘘だろ!?』
フープティは驚愕のあまり一瞬フリーズした。
『あの機体を知っているのですか?』
『ああ、あれは軍事用ロボット、「グラディエーター -MPM38」だ! なんであんな代物が廃棄施設にいやがる!』
話しているうちにもグラディエーターは接近し続けた。
『侵入者ヲ発見。標的ニ設定。処理ヲ開始スル』
ついに、グラディエーターは携行していた銃を構えた!
『フープティ、下がって!』
ウールはフープティに後ろへ下がるよう言った。
『ウール、あんなヤツどうするってんだよ?』
『大丈夫、ここはワタシに任せて下さい』
ウールは意を決して、秘策の起動シークエンスに入った。
♢♢
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる