あの人、勇者の物語にはいない。

ゼリオニック

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1-13 間章 彼のいないもう一つの側2

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 速馬がランタナの冒険者のギルドに到着する。飛び降りた男は、アッシュエンブルク最後の鉄級冒険者。

 全ての視線が新来者に集中するが、彼は気にしない。鉄の徽章を受付嬢に見せ、即座にギルドマスターヴァガスに会う。

「レオ様からの依頼です」

 部屋内でヴァガスが書類を受け取り、慎重に読む。

「本当にこんな事態か……?」

 老いた竜狩りの槍は額を掻き、ため息をつく。ランタナ自体も黒森モンスターで深刻。
 だがアッシュエンブルクに援軍を送らねば、危機脱出不能。

「動員をかける」

 ギルドマスターの返事だが、目は自信に満ちない。
 一時間も経たず動員命令。受付嬢たちが銅級以上冒険者を急ぎ募集、アッシュエンブルク鉄蜂討伐へ。

 だが応じる冒険者は一握り。



 発表を聞いた冒険者たち。
 ルーシーが肘でアンジェリカの腕を軽く突く。

「確かアッシュエンブルク君の故郷だよね。里帰りしたいでしょ」

「うん、帰りたい」

 彼女は頷き、恥ずかしげもなく故郷恋しさを認める。アッシュエンブルク二年以上帰らず。

「まあ私もあいつに会いたいよ。でももう冒険者辞めてるんじゃない?」

 ルーシーがからかうが、アンジェリカは怒らず笑う。

「リースが冒険者辞めてくれたら嬉しいよ」

 アンジェリカを見る目が不思議に細まる。
 君あいつ好きすぎだよ、ルーシーは心思う。
 口に出せば悪そう、アーニャへ振る。

「アーニャは? アッシュエンブルク興味ない?」

「私どっちでも。でも本音は嫌。馬車長時間苦痛」

 アーニャの答えにルーシーは口尖らせる。この子ほんと面倒くさい、と思う。これでいつまで持つか。

「この任務受けない」

 ヴィクター宣言。二枚任務書持って入る。

「なんで!?」

 アンジェリカ大声。ヴィクター睨む目炎のように熱いが、無視。

「俺たちのストーリーじゃない。時間無駄遊び面倒。冒険急ぎ仲間絆深めろ」

 ヴィクター軽く首振り。

 アンジェリカ顔しかめる。
 仲間無理に死地送り同意なしで絆? 怪我したらルセリア教会高額治療、任務続行……
 アンジェリカにとってヴィクター名声欲だけ。蔑む目で彼見る。

「ルーシーアンジェ明日朝私と巨蛙沼狩り。これアーニャ、魔術師図書館研究手伝い」

 ヴィクター再宣言。アーニャ手紙突っ込み、冷たい目返事無視。

 ルーシー見ながら小さく舌打ち。頭の押しつけ任務慣れても、アーニャ差別不満。リース在籍時から大任務以外アーニャ除け者。
 リースいつもアーニャ同行。

 ルーシー何度も思う。繊細話題口出せばパーティー崩壊かも。アンジェリカ黙り、アーニャ無関心。くそ私だけ悩んでる?

 もしかヴィクター、 エス探しアーニャ代わり?

 ルーシー思い巡らし、ヴィクター命令ほとんど聞かず。幸い任務ミスなし。
 -いつか皆で本音話そう-
 ルーシー一晩考え眠る。

 だが結局機会なく、パーティー粉々に崩壊するまで。

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