婚約・婚姻関連の短編集

神谷 絵馬

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とある王命により、不自由な生活を強いられている令嬢の独白

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ハァー...このような無意味な催し物に参加するくらいなら、早く帰りたいわ。
本日も、王命であるからと強制的に、意味のないお茶会に参加させられておりますの。
私は、家でのんびり本が読みたいだけですのに!

王太子殿下や第2王子殿下や第3王子殿下の婚約者候補選びのお茶会に、生まれたときから既に婚約者が決まっている私は関係ありませんでしょう?
それも、隣国より同盟の強化の為にと、王家に対して持ちかけられた婚約だとお聞きしておりますわ。
そして、陛下によりまだ生まれてもいないお腹の中の子供を隣国に嫁がせることにしたと言われた父が、職務を辞する覚悟で断固拒否したにも関わらず、王命で無理矢理に決まったとも聞いておりますわ。

そして、私が物心のついた頃には、隣国へと嫁ぐ為の教育が始まっておりましたの。
何故か、一辺境伯爵家の次女である私は、母国となるこの国の教育と嫁ぐこととなる隣国の教育だけではいけないのだと言われてしまいましたわ。
帝国や公国や共和国や皇国などなど...この大陸に属する全ての国の教育を受けさせられることとなるのだそうで、殆ど休みなど無いくらいに予定が詰め込まれておりますの。
建国よりずーっと仲の悪い皇国の教育だなんて、この国の王族ですら受けない筈のものですのよ?
言葉の教育ならば受けておく方が損にならないことなのだろうと分かるのですけれど、歴史や地理学や兵法など...皇国へと嫁ぐ訳ではありませんのに、本当に必要なのかしら?と疑問に感じておりますわ。

まぁ、そんな感じで国が派遣してくる教師達からの教育を受けてばかりで、我が家の庭をも含みますけれども外に出るのなんて3ヶ月くらいぶりかしら?
慣れない外に長時間いさせられて、本当に気持ち悪くなってきましたわ。
ましてや、普段から大好きな本を読む時間なんてモズの涙程もありませんのに、無意味なお茶会に強制的に参加させられるなんて......本当に時間の無駄でしかありません。
皆様への挨拶はきちんとしたのだから、用のない私はさっさと帰らせてくださればよろしいのに...どうして最後まで留まらなければならないのかしら?
私が隣国に嫁ぐことは既に周知の事実なのですから、他国に行くことが決まっている私に話しかける人なんて1人たりとて存在しませんわ。
王妃様はこのお茶会で縁を結べだなんて仰いますけれど、誰と結べと?

職務を辞する覚悟でいた父は、私の婚約者が隣国の方と決まってしまったことで本当に辞職してしまいましたのよ。
近衛騎士団の副団長をしておりましたけれど、現在は王都のタウンハウスに滞在しておりまして...辺境伯爵領の領主をしておりますの。
私が王都に留まらなければならなくなってしまいまして、共に領地へと向かえないということで...領地には信頼できる代官を置いておりますの。
沢山の迷惑をかけてしまっておりますから、とても申し訳ないのですけれど、私へと婚約の打診があったときに、とても不本意なことを言われたらしいので...とてもとても心配してくださっているのは分かっておりますわ。

そもそも、隣国が求めている婚約者の条件とは王族の姫であることでしたのよ。
けれど、王族の姫は私の姉と同じ歳の王女様ただお1人。
同盟の強化の為とは言え、愛する唯一の娘を遠くへと嫁がせたくなかった陛下は、あろうことか...自分の母親の生家である我が辺境伯爵家に目を着けましたの。
まだ生まれてもいないのに、従兄弟の妻の腹の子をあたかも自分の娘として扱おうと勝手に決められましたのよ。
国王である自分が従兄弟の妻を見初めてしまい、妻を寝取って子供を作ってしまったことにしようと...時期的にもありえない物語を考え出して、父へと伝えましたの。

母が私を妊娠したと分かったのは、社交シーズンが始まるからと王都のタウンハウスに来てから直ぐのことだったそうですわ。
1年の凡そ半分は社交シーズンとして王都で過ごし、残りの半分は領地で過ごすことが一般的な貴族なのだそうで、子育ての為に子供達は領地に残して、夫婦だけが王都に来ることもあるそうですのよ。
その時は、王太子殿下の側近及び婚約者の候補を決める為のお茶会を開くというお達しがありましたので、招待される年齢であった兄と姉も連れて来ていたらしいのです。

そして、王都へと着いて1週間後、王家の主催する子供達のお茶会に参加するためにドレスを着ようとコルセットを絞めていたところで、貧血を起こしてフラフラと青白い顔で倒れてしまったのだそうですわ。
そして、母のことを心配した使用人によって呼ばれた医師の診察で、妊娠が発覚したのだと聞きましたの。
医師による見立てによると、母が私を妊娠した頃は兄や姉と共に領地にいたと推測されるため、常に王都にいる陛下との子供を身籠るなんてどう考えても無理な話しだということでしたわ。






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