明らかにおかしい。

神谷 絵馬

文字の大きさ
3 / 9

3

しおりを挟む
「あらあらまぁまぁ!
こんなにも可愛らしい子に、大人達が寄って集って集団・・で、なんて酷いことをしているのかしら?

さぁ、小さなレディ?貴女はこちらにいらっしゃいな?」

翌日、あの父親らしい男によって強制的に参加させられたのは、婚約者との顔合わせのお茶会とは聞いてはいたけども、顔も知らない大人ばかりが参加する...幼女にはなんとも居心地の悪いお茶会でした。
私が3歳の幼女だということを知っている筈なのに、大人用の椅子しか用意されておらず、父親はさっさと自分だけ座ってしまい娘を助けることなどありません。
3歳の幼女である私は、大人用の椅子に自分では座れません。
念の為、何度も言いますが、私は3歳の幼女ですよ?
どうしたものかと困っていたら、このお茶会の主催らしい側妃様から、自力で座れないのならそのまま立っていろと言われたのです。
そもそも、見苦しい程に成長していない己が悪いのだとも言われました。
この側妃様は、何を言っているのでしょう?
私は、普通に成長した3歳の幼女です。
見苦しい程に成長していない?
えっと......私のことを、何歳だと思っておられるのでしょうか?

まぁ、そんな感じで、突然婚約者となると言われた第2王子殿下の母である側妃様に、色々といちゃもんを付けられていたところを王妃様に助けていただくことが出来て、どうやら私は気に入られたらしいです。
王妃様は、かれこれ一時間程立たされていたのでそろそろ疲れてきていた私を優しく抱き上げてくださって、その場からとっとと連れ出してくださいました。
そろそろ3歳の幼女らしく、泣き喚いて地団駄踏んでと、はしたなくとも正統に癇癪でも起こそうかな?と、考えていたんだけど...必要ありませんでした。
しなくても良いならしませんよ?
省エネ万歳です。

「ウフフ、可愛いお嬢さん?
私は第1王妃をしているの。
こっちにはね?私の息子、第1王子の王太子がおりますのよ。
椅子は大人用のものしか無いのだけれど、貴女は心配しなくても大丈夫よ?
ウフフ、私のお膝に座れば良いのだもの。
貴女がここのお茶会に参加すると知っていたら、子供用の椅子を用意しておいたのに...ごめんなさいね。」

と、優しい王妃様のお膝に座らせていただいておりました、はい。
ただ、今は...無表情でつまらなさそうにしていた王太子殿下が、王妃様のお膝に座る私を見てから急に興味を持ち始めて、あれよあれよと王太子殿下のお膝に座らせていただいてますね、はい。
そして、可愛らしい小さめのケーキを餌付けされています。
口元に付いたクリームを拭ったり、適度に冷ましたお茶を飲ませてくださったりと、蕩けるような魅惑の笑顔で私の世話を焼く王太子殿下を、同じテーブルに座る皆様が温かい眼差しで見つめています。
うーん、なんだかむず痒い......。

温かい眼差しで見てくる皆様の会話で知ったのですが、第1王子殿下である王太子殿下は25歳。
私の婚約者になるとか言っていた第2王子殿下は、もうすぐ32歳になるのだそうです。
昨日姿絵を見たときにも思ったんだけど、3歳の幼女を婚約者にするとかかなり犯罪めいてませんかね?
貴族の婚約や婚姻が政略によるものばかりなのは知ってますが、それでもおかしいと思うんですよ。
だって、この国の婚姻可能な年齢は15歳。
私が結婚出来るようになるまであと12年もあるってことは、その頃には第2王子殿下は44歳でしょ?
もしも婚約が本当なら、第2王子殿下は犯罪者予備軍になっちゃうのでは?
もしかして、この国には、ロリコンっていう概念が無いのかな?

「母上、そろそろ(側妃も第2王子も)潰しましょう?
こんなにも可愛らしい幼い子にあのような酷い仕打ちを出来るなど、(これまでもそうでしたけど)きっと今後も害にしかなりませんよ?
自分から3歳の女の子を32歳の不出来な息子の婚約者にするとか言い出して、実際に差配する母上への相談もなく勝手に王家主催のお茶会に呼びつけておいて、子供用の椅子の用意が出来ていないなんて愚か過ぎます。
(たとえ暗殺したとしても、きっと父上も何も言いませんって。
もしも何かしら言うのなら、老害でしかない父上も一緒にプチッと潰しますから。)」

小さめのケーキを2種類食べさせてもらって満足した私を、愛しげに見つめながら頬をツンツンと突付きつつ物騒な相談をしないでください。
何かしら隠された本音を小さく呟かれているような気がするけど、私は気付かなかったことにしたいです。
えぇ、王太子殿下の物騒な呟きなんて、私には聞こえてません!

王太子殿下は、ぬいぐるみでも抱くように私のお腹に両手を回して、キュッと私が苦しくない程度に力を込めて抱き締めて、特に髪飾りなどは着けていない下ろしたままの私の頭に頬を寄せてます。
まさか、この王太子殿下は幼女趣味なのでしょうか?
え、まさかの王子殿下2人共ロリコン?!
この状況って、私は逃げるべきなのかな?





*
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

ある女性の願いごと

篠月珪霞
ファンタジー
祖父の家に遊びに来た琴音は、蔵にあった巻物によって異世界に飛ばされてしまう。 同じような境遇にあった女性に、ひとまず保護されるが…。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

使い捨て聖女の反乱

あんど もあ
ファンタジー
聖女のアネットは、王子の婚約者となり、瘴気の浄化に忙しい日々だ。 やっと浄化を終えると、案の定アネットは聖女の地位をはく奪されて王都から出ていくよう命じられるが…。 ※タイトルが大げさですがコメディです。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

処理中です...