思い付き短編集

神谷 絵馬

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本編書いてる

明らかに、可笑しい。4

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『あらあら、今直ぐにでも構わなくってよ?
大変なのは貴方ですけれど...?
(やるのなら、きちんと時期をみなさいね?
王位を継ぐのは貴方なのだから。)』

あー、逃げたい...です。
切実に、可及的速やかに、安全に...誰にも気付かれることなく逃げたいですー。
けど、王太子殿下の、このがっしりと私のお腹を抱く腕からは逃れられそうもありません!
私、見た目通りの3歳の幼女ですから!
ん?そう言えば、王太子殿下にも幼女って言われてる気がします?

『第1王妃!!
勝手に私の嫁を連れていくのはおかしいですわ!
まだ顔合わせを終えておりませんのよ?
返してくださいませ!』

ん?...私、貴女の嫁ではないですよ?
そりゃあ、一応、貴女の息子の婚約者になるとかって聞かされたけど、婚姻してないから嫁じゃあないですよね?
そもそも、3歳の幼女を婚約者にするとか聞いたこともないですけど?
婚約者に内定って形で、もう少し大きくなってから婚約しましょう!とかなら分かるけど...もう嫁呼びするんですか?

あ、王太子殿下?どんどん腕の力が強くなってますです。
あの、もう少し緩めてくださいませんか?
中身が出そう...美味しかったケーキが!出るかもしれませーん!

『嫁?...兄上はもうご結婚なさっておられたのですか?
(婚約者に対して横柄な態度ばかりをとるものだから、何度となく婚約者に逃げられていた筈だが?
奇特な女性がいたものだな...。)
知りませんでした...おや?結婚式はいつされたのですか?
(勝手に結婚式をしたとか言ってくれたら、潰しやすいんだがな?)
まさか、家族である我々も知らぬ間に結婚をしていたとは...おめでとうございます。
で、お相手は?我々は家族なのですから、紹介していただけるんですよね?
(紹介される嫁がどんな相手なのか...楽しみですね。)』

王太子殿下ににこやかに微笑みかけられた側妃様は、キィー!と歯軋りする音が聞こえるような表情を一瞬だけしてからにんまりと笑いました。
よからぬことを企んでいるような、厭らしい...気持ちの悪い顔です。
あー、なんか、寒気がします。
ほら、素直にお肌にも表れてて、めちゃくちゃトリハダ立ってるんですよ!

腕の力を緩めてくださった王太子殿下が、私のお腹を優しく...まるで寝かし付けるようにポンポンと叩いていて、なんだか安心しました。
してたのかはよく分からないけど、硬直が解けた気がします。
あ、お腹をポンポンされたからと言っても、私は寝ませんよ?
今寝ちゃったら、この後の展開がすっごく気になるじゃないですか!
きっと、物凄く後悔することになります!
だから、今は寝れません!
でも、お腹をポンポンされるのはなんだか安心するので、出来ればそのままがいいです。





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