思い付き短編集

神谷 絵馬

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読み切り短編{完結してるもの}

溺愛されている姉を見ていて思うこと。妹side

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私は、今日で5歳になります。
生まれたときから意識があり、否でも応でも気付きました。
私の家族は、一番上の姉だけを溺愛しているということに...。

5歳上の姉は、プラチナブロンドの柔らかい腰まで伸ばしたストレートに、キュルンと巻いた長いまつ毛に縁取られたアーモンドアイは、透き通った翠の...まるで宝石のような瞳。
そして、つんと尖った顎先にまろい頬、日に当たったことがないかのような色白で、天使のように可愛らしくて美しいの。
溺愛する気持ち、分かるわー。
私も、姉のことは・・・・・大好きだもの。

でもね?
私、姉や使用人の方々には、幼い頃の姉にそっくりって言われて可愛がっていただいているのだけど...家族には姉のように構われることなど皆無で、基本的に放置されてます。
最初は、姉のことを羨ましいなーって感じてたけど、最近気付いたの。
放置されているということは、自由なんだってことを!

姉はね?ずっと誰かしらが側にいるから、スゴく窮屈そうにしているの。
皆に用事があったりして家にいないときには、晴れやかな顔をして私の部屋に遊びに来てくれるのだけど...あぁ、家族からのストレスを感じているんだなってヒシヒシと感じるわ。

生まれてから5年、私の誕生日を家族に祝ってもらった記憶は無いけれど、姉と使用人の方々だけは祝ってくれます。
一応、私の誕生日には、料理人の方々が豪華な食事を用意してくれるの。
でも、私の誕生日の筈なのに、何故か姉へのプレゼントが所狭しと並んでいたときに、幼いながらも察したわ。
あぁー、この人達には私の存在が見えていないんだなって...。
きっと、豪華な食事を用意している日は姉の記念日とでも勘違いしてるのよ。
7歳上の兄も、10歳上の兄も、ちゃんと誕生日は祝われてたけどね?
その日にも、姉へのプレゼントが所狭しと並んでたもの...頭が花畑にでも浸食されてるんだと思うわ。
そもそも、構われ過ぎて姉が迷惑に感じていることにも気付いてないものね...姉、強く生きてね?

「ミレリー、聞いてる?」

「ちゃんと聞いてるわ。
で、どうするの?」

「ミレリーと一緒に、伯母様に助けを求めることにしたわ!
あなたをこんな家に置いていけないし、5歳になったのだから馬車にも乗れるわ!
さ、準備するわよ!」

「準備であれば、出来ております。」

「流石はファリーだわ!
さ、ミレリー、早く行きましょ?」

「はーい!」

父、母、兄、兄、殆ど関わったことが無いからどう呼べば良いのか分からないけど、姉の希望により、姉は私がいただきますわ!
伯母様、いつも私達にこんな家は早く離れるべきよって言ってたから、きっと喜ぶだろうなぁー。
お部屋も用意してるって言ってたしね。

それにしても、どうして伯母様は婚姻されないのかしら?
あんなにもお綺麗なのだから、是非ともウェディングドレス姿を見たいわぁー。
あ、部屋着でお揃いのワンピースとか仕立てたいって言ってたから、その時にでも、伯母様の華やかなドレス姿を見たいって言ってみようかな?
ウフフ、楽しみだわ!





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