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5章
田吾作との絆
「ん……」
スマホからメッセージが入る音がする。見ると田吾作さんだった。
『元気にしてる? 今日は動画上げないんだね』
『少しやなことがあって、やけ酒してます』
『どうしたの?』
『んー、いつも私を馬鹿にしてる人にミスの責任を押し付けられたの』
『上司にはちゃんと言った?』
『言わない、だってどうせバイトだし、私の味方なんていないんだから』
『話さないとわからないよ。千紗ちゃんが嘘つく人じゃないって、わかる人はわかると思う』
『わかんないよ。私の味方なんてこの世に誰もいないの……誰も……』
そこまで打つと涙が零れてきた。
思えば父親が急死して、母親は病気になり、守られていたはずの千紗は、急に一人になってしまった。
こんな都会の片隅で一人ぼっちで、意地悪な女に馬鹿にされ、安定した職もなく彼氏もいない。
──私ってかわいそう。
千紗は泣きながら、なみなみとテキーラを注いだ。
「ごめん、通話でもいい? そっちのが楽で」
「うん」
「ビデオ通話にするけど、田吾作さんはカメラオフでいいから」
「顔、見せたくないわけじゃないんだけど、会う時までいいかな」
以前ビデオ通話にした時、音声だけにしたいと言われたのだ。実際会う時に顔は見せたいと。
千紗のほうは、もう本名も教えて、顔も見せていた。それくらい信頼しているからだ。
顔出しできないくらい顔に自信がないのかもしれない。
おそらく冴えない男性なのだろう。
だが、そんなことはどうでもよかった。キモオタでも構わない。人間大切なのは中身だろう。
千紗にとって、田吾作さんは、大切な人。
だからこそ、借金返済に追われている今、会ったりする気はなかった。
「千紗ちゃんはなにも悪くないよ。上の人だってわかってるはず」
「そんなわけないよ。私人付き合い苦手だし、陰気だからみんな馬鹿にしてるんだと思う」
「陰気ってことはないでしょ。不器用なだけで」
「そんなこと言ってくれるの田吾作さんだけだよ……」
酒を煽りながら、ついそんなことを言ってしまう。
これも会わないオンラインだけの関係だからだろうか。
「でも、千紗ちゃんが悪いわけじゃないんだから、気にしないで。話くらいいつでも聞くから」
その言葉に、千紗は救われた気持ちになる。
「田吾作さん、ありがとう。ほんとに助けられる……」
千紗は、田吾作さんに励まされて、少しずつ気持ちが楽になっていった。
「田吾作さん、私、田吾作さんのことが好き」
しばらく無言だったが、やがて田吾作が口を開いた。
「千紗ちゃん、ありがとう。そんなこと言ってもらえるのは嬉しいけど。リアルで会ったこともないから……その言葉を貰って嬉しいとだけ言っておく。これからも千紗ちゃんの味方でいるよ」
田吾作さんの言葉に胸が熱くなり、涙があふれた。千紗を大切にしてくれた父親と田吾作さんをつい重ねてしまう。
「ありがとう、田吾作さん」
その夜、千紗は田吾作との会話を思い出しながら、少しだけ幸せな気持ちで眠りについた。
スマホからメッセージが入る音がする。見ると田吾作さんだった。
『元気にしてる? 今日は動画上げないんだね』
『少しやなことがあって、やけ酒してます』
『どうしたの?』
『んー、いつも私を馬鹿にしてる人にミスの責任を押し付けられたの』
『上司にはちゃんと言った?』
『言わない、だってどうせバイトだし、私の味方なんていないんだから』
『話さないとわからないよ。千紗ちゃんが嘘つく人じゃないって、わかる人はわかると思う』
『わかんないよ。私の味方なんてこの世に誰もいないの……誰も……』
そこまで打つと涙が零れてきた。
思えば父親が急死して、母親は病気になり、守られていたはずの千紗は、急に一人になってしまった。
こんな都会の片隅で一人ぼっちで、意地悪な女に馬鹿にされ、安定した職もなく彼氏もいない。
──私ってかわいそう。
千紗は泣きながら、なみなみとテキーラを注いだ。
「ごめん、通話でもいい? そっちのが楽で」
「うん」
「ビデオ通話にするけど、田吾作さんはカメラオフでいいから」
「顔、見せたくないわけじゃないんだけど、会う時までいいかな」
以前ビデオ通話にした時、音声だけにしたいと言われたのだ。実際会う時に顔は見せたいと。
千紗のほうは、もう本名も教えて、顔も見せていた。それくらい信頼しているからだ。
顔出しできないくらい顔に自信がないのかもしれない。
おそらく冴えない男性なのだろう。
だが、そんなことはどうでもよかった。キモオタでも構わない。人間大切なのは中身だろう。
千紗にとって、田吾作さんは、大切な人。
だからこそ、借金返済に追われている今、会ったりする気はなかった。
「千紗ちゃんはなにも悪くないよ。上の人だってわかってるはず」
「そんなわけないよ。私人付き合い苦手だし、陰気だからみんな馬鹿にしてるんだと思う」
「陰気ってことはないでしょ。不器用なだけで」
「そんなこと言ってくれるの田吾作さんだけだよ……」
酒を煽りながら、ついそんなことを言ってしまう。
これも会わないオンラインだけの関係だからだろうか。
「でも、千紗ちゃんが悪いわけじゃないんだから、気にしないで。話くらいいつでも聞くから」
その言葉に、千紗は救われた気持ちになる。
「田吾作さん、ありがとう。ほんとに助けられる……」
千紗は、田吾作さんに励まされて、少しずつ気持ちが楽になっていった。
「田吾作さん、私、田吾作さんのことが好き」
しばらく無言だったが、やがて田吾作が口を開いた。
「千紗ちゃん、ありがとう。そんなこと言ってもらえるのは嬉しいけど。リアルで会ったこともないから……その言葉を貰って嬉しいとだけ言っておく。これからも千紗ちゃんの味方でいるよ」
田吾作さんの言葉に胸が熱くなり、涙があふれた。千紗を大切にしてくれた父親と田吾作さんをつい重ねてしまう。
「ありがとう、田吾作さん」
その夜、千紗は田吾作との会話を思い出しながら、少しだけ幸せな気持ちで眠りについた。
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