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8章
ストーカーの影
「最近忙しくて動画撮れないなぁ」
最近毎日立花に残業を余儀なくされて、時間がない。
動画は数分間でも、練習や編集にも時間がかかるのだ。特に演奏は少しでも弾かない日が続くとカンが鈍る。
仕方ないので、SNSだけでも更新する。最近機材を買い替えて、より高いクオリティを追求しているのだ。その分準備に時間がかかる。
個人的にはSNSは苦手だが、現代においてネットで活動し収益を上げるにはなくてはならないツールである。
「ちょっと忙しくて動画撮れなかったから、また時間作って頑張ります」
すぐにファンからコメントが付く。
@七星:うはー残念。でも無理しないで
@マイセン:次もエロい衣裳期待してるよ
@わんこ大好きナナちゃん:ベートーベンの悲愴をポップにアレンジして弾いてください!
@amatsu:この前の演奏、凄くて感動しました。自分も弾いてみたいと思うようになりました
@万年寝太郎:欲求不満のタマちゃんの〇〇ぺろぺろしたいよぉ。ね、東京に住んでるんでしょ? オフパコしよぉ
また万年寝太郎から卑猥なコメントがついている。こういうのは反応したところで、逆効果なので無視しているが、さすがに最近ますます執拗になっているので気持ちが悪い。田吾作からも心配されていた。
なにかあったら教える約束をしていたから、すぐに田吾作と通話する。
「まーた変なの来た。無視でいいんだよね」
「気持ち悪いコメントしてるな。俺も見てチェックしてるけど、身バレするようなものを絶対画面に入れないようにね」
「うん。ありがとう」
「ひどいと瞳に移った景色で場所特定するストーカーもいるから」
「怖すぎる。顔は映さないから大丈夫だと思う。リアルだと体形もわかりにくい服着てるし」
「知り合いだと気づくこともあるから、気を付けるに越したことないよ」
「うん。会社の人とかに絶対知られたくないし気を付けてる」
立花あたりに知られたら、死ぬほど馬鹿にされるだろう。
「そうだよね……。最近そっちはどうなの?」
「社員にならないかって部長に言われた。けど動画やる時間なくなるし」
「そっか……」
「それに嫌な女がいるから借金返したら別の仕事するんだ。部長も偽善者ぽくて嫌だぁ」
「どこらへんが偽善者なの?」
「僕は味方だよ的な顔するけど、部長が私に構うから苛められるんだもん。八方美人てやつ」
「千紗ちゃんが好きなんじゃないの?」
「ううん。ああいうナルシストはさ、女に優しくしてる自分が好きなの。きっとそう」
「そこまで言う?」
「リア充苦手だし。ああいう人は肉食系の女子が合ってるんだよ。お人よしだから、悪い女に騙されそう。田吾作さんと話してると安心するんだけどね」
「あ、うん」
「あ、ごめん。田吾作さんが非リア充だって言ってるわけじゃないよ」
千紗は、勝手に田吾作はキモオタの類だと思いこんでいた。
昔のアニメや漫画、ネットにも詳しいからだ。
千紗を知り、熱心なファンでいてくれる人がリア充とは思えなかった。だからこそ、親近感もあり、心も開けるというもの。
小中高と派手な女子から苛められることが多く、イケてる人間たちがすっかり苦手になってしまった。
立花や井村のようなキラキラした人間を見ると、辛くなるのだ。スクールカーストもきっと最上位だろう。
きっと下々の者と見下しているに違いない。
千紗は劣等感から来る偏見丸出しにそう思っている。
「でも仲良くなったら、違う一面が見えるかもよ」
「会社でお友達作る気ないなぁ。疲れちゃう」
「そうだね。ま、無理しないほうがいいのかな。とりあえず、動画上げる時は気を付けてね。特定したくてうずうずしてるようだから」
田吾作にすっかり毒を吐いて、すっきりした気持ちで眠ることができた。
ネットストーカーは気持ち悪いが、続ける以上絶対にそういう人間は出てくるし、実害がなければ警察もきっと動かない。
自衛に自衛を重ねるしかない。
最近毎日立花に残業を余儀なくされて、時間がない。
動画は数分間でも、練習や編集にも時間がかかるのだ。特に演奏は少しでも弾かない日が続くとカンが鈍る。
仕方ないので、SNSだけでも更新する。最近機材を買い替えて、より高いクオリティを追求しているのだ。その分準備に時間がかかる。
個人的にはSNSは苦手だが、現代においてネットで活動し収益を上げるにはなくてはならないツールである。
「ちょっと忙しくて動画撮れなかったから、また時間作って頑張ります」
すぐにファンからコメントが付く。
@七星:うはー残念。でも無理しないで
@マイセン:次もエロい衣裳期待してるよ
@わんこ大好きナナちゃん:ベートーベンの悲愴をポップにアレンジして弾いてください!
@amatsu:この前の演奏、凄くて感動しました。自分も弾いてみたいと思うようになりました
@万年寝太郎:欲求不満のタマちゃんの〇〇ぺろぺろしたいよぉ。ね、東京に住んでるんでしょ? オフパコしよぉ
また万年寝太郎から卑猥なコメントがついている。こういうのは反応したところで、逆効果なので無視しているが、さすがに最近ますます執拗になっているので気持ちが悪い。田吾作からも心配されていた。
なにかあったら教える約束をしていたから、すぐに田吾作と通話する。
「まーた変なの来た。無視でいいんだよね」
「気持ち悪いコメントしてるな。俺も見てチェックしてるけど、身バレするようなものを絶対画面に入れないようにね」
「うん。ありがとう」
「ひどいと瞳に移った景色で場所特定するストーカーもいるから」
「怖すぎる。顔は映さないから大丈夫だと思う。リアルだと体形もわかりにくい服着てるし」
「知り合いだと気づくこともあるから、気を付けるに越したことないよ」
「うん。会社の人とかに絶対知られたくないし気を付けてる」
立花あたりに知られたら、死ぬほど馬鹿にされるだろう。
「そうだよね……。最近そっちはどうなの?」
「社員にならないかって部長に言われた。けど動画やる時間なくなるし」
「そっか……」
「それに嫌な女がいるから借金返したら別の仕事するんだ。部長も偽善者ぽくて嫌だぁ」
「どこらへんが偽善者なの?」
「僕は味方だよ的な顔するけど、部長が私に構うから苛められるんだもん。八方美人てやつ」
「千紗ちゃんが好きなんじゃないの?」
「ううん。ああいうナルシストはさ、女に優しくしてる自分が好きなの。きっとそう」
「そこまで言う?」
「リア充苦手だし。ああいう人は肉食系の女子が合ってるんだよ。お人よしだから、悪い女に騙されそう。田吾作さんと話してると安心するんだけどね」
「あ、うん」
「あ、ごめん。田吾作さんが非リア充だって言ってるわけじゃないよ」
千紗は、勝手に田吾作はキモオタの類だと思いこんでいた。
昔のアニメや漫画、ネットにも詳しいからだ。
千紗を知り、熱心なファンでいてくれる人がリア充とは思えなかった。だからこそ、親近感もあり、心も開けるというもの。
小中高と派手な女子から苛められることが多く、イケてる人間たちがすっかり苦手になってしまった。
立花や井村のようなキラキラした人間を見ると、辛くなるのだ。スクールカーストもきっと最上位だろう。
きっと下々の者と見下しているに違いない。
千紗は劣等感から来る偏見丸出しにそう思っている。
「でも仲良くなったら、違う一面が見えるかもよ」
「会社でお友達作る気ないなぁ。疲れちゃう」
「そうだね。ま、無理しないほうがいいのかな。とりあえず、動画上げる時は気を付けてね。特定したくてうずうずしてるようだから」
田吾作にすっかり毒を吐いて、すっきりした気持ちで眠ることができた。
ネットストーカーは気持ち悪いが、続ける以上絶対にそういう人間は出てくるし、実害がなければ警察もきっと動かない。
自衛に自衛を重ねるしかない。
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