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16章
親族とのどんちゃんさわぎ
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「部長。やっぱり例の動画の子、高倉さんだったんですね。すごい評判になってます」
「あぁ、うん」
浮かない顔の井村に、部下の佐藤が声をかけた。
千紗の最後の動画は、世間で評判になり、今度はいい意味で騒ぎになりすぎた。ジェットコースターのような展開で、勝手に評価を上下させる世間には呆れつつも、本当の千紗の努力と才能が評価されたことは嬉しく思う。
千紗はあのあと、一躍時の人となった。曲もよかったし、演奏もよかった。おまけに顔を隠してた子が、実はめちゃくちゃ可愛かったのだから人気になって当然だった。
千紗の才能や、魅力が世に広く知られたことでどこか寂しさを覚えた。
──もとから人気だったからな。自分だけが味方だなんてとんだ思い上がりだったな。
井村としては、あのまま一緒に暮らしていたかった。
が、井村に迷惑をかけることを恐れた千紗は再び北海道へ戻ってしまった。
母親が心配なのもあるとわかっていたから、強く引き留めることはできなかった。
物分かりのいい振りをして追い出したが、毎晩寂しくて死にそうだった。
短いが同棲のようなことをしてしまったのもあり、一度得た温もりを手放した喪失感は底なしだった。
ビデオ通話だけでは満たせない心と体。毎晩抱きしめて寝ていた日々を思うと辛い。
──俺ってこんな情けない男だったのか……。
今までこういった激しい感情に振り回されたことがないだけに、どうしていいかわからなかった。
──このまま遠距離恋愛でいいのか? いいや、いいわけない。すぐにでも迎えに行きたい。
そう、迎えに行かねばならない。だがいささかの迷いがあるのも確かだった。
☆
「千紗の彼氏だとぉ!?」
週末、溜まっていた仕事を片付け、北海道にある千紗の叔父の家を訪れると、えらいガタイのよい中年男性が井村を迎えた。かなり緊張していた井村だったが、熱烈な歓迎を受け胸を撫でおろした。
「あ、はい。これお土産です。お酒が好きだと聞きましたのでお口に合うかわかりませんが」
「なんだ? 赤ワイン? どこの? 気が利くねぇ」
「フランスのブルゴーニュ地方のものです」
「ブルゴー……ブル……なんだっけ、ブルドック?」
「そんな感じです」
彼女の親族に会うのは、結婚の挨拶のようでかなり緊張した。いずれそういう挨拶もしなくてはならないが、とりあえず気さくな人のようで安心する。
「あなたが千紗の? 井村さん。あらあら。遠いところをようこそ。お話はかねがね。娘がずいぶんお世話になったようで」
奥から千紗の母親が出てきた。一気に緊張が増す。
「お世話になっております!」
腰を90度に曲げ敬礼する。
「いや、そんなにかしこまらないで。こちらがお礼を言わなくてはいけないのに。娘を守ってくださりありがとうございました。あら、千紗ったらあんな格好で……色気のかけらもないわね」
母親の目線の向こうに一台のトラクターが見えた。
デニムのオーバーオールを着て、カウボーイハットを被ってウェスタンブーツを履き、トラクターを乗りこなす千紗がいた。
──す、すっかり馴染んでる。意外と適応能力あるんだな……。
「あの子変わってるから、大変でしょう。昔から熱中するとすごいんだけど、社交性がいまいちで心配していたの。でもあなたのほうがその辺カバーしてくれそうね」
「いや、本当僕なんかで支えになれればいいのですが……」
すっかり固くなっている井村が、挨拶し終えると、千紗が向こうから歩いてきた。
「井村さん? 来るって聞いてたけど、もう? 空港まで迎えに行くつもりだったのに」
「久しぶり。元気だった?」
「はい。すっかり羊たちに情が移りました。トラクターの免許も取ったし」
「羊飼いしてる女の子の知り合い初めてだ」
「東京にはいないでしょうね」
「アルプスの少女に昔憧れていたので、満喫しています」
「はは。俺も。藁のベッドとか、暖炉で焼くパンとか憧れたなぁ」
「ちょっとドライブしませんか? トラクターの免許取ったので」
「相変わらずいい感性してるね」
トラクターでドライブデートに誘ってくる女の子なんて、会ったことがない。結構面白い経験だった。
「井村さんはポルシェとかフェラーリとかのが似合いそうですね。あとはオープンカーでノースリーブワンピースの美女乗っけてそう」
「オープンカーより、ノースリーブより、俺はオーバーオール着てトラクター乗ってる千紗ちゃんといるほうが幸せだよ」
「ひあっ、事故っちゃうからびっくりさせないでくださいー」
「ごめんごめん」
「会社で色々聞かれて、面倒かけてませんか」
「いや、自慢してるよ。彼女が才能あってうらやましいでしょって」
「じ、自慢……!」
「ま、その分不安もあるけどね」
「不安?」
「いや、気にしないで」
しばらく二人で話した後、夕方千紗の叔父の家で井村を歓迎するための宴会に招待された。
広い客間で正座していると、料理が次々運ばれてくる。
「ようよう、兄ちゃん。よく来た。まぁ飲んでけ。好きなだけ食え」
「ちょっと叔父さん、井村さんにあんまり飲ませないで」
「ははは。千紗のBFが来たんだからもてなさんわけにはいかんだろ」
「BF?! 死語にもほどがあるよ!」
「東京の男は、みんなこんな足が長くてハンサムなのか? なんか歯磨き粉のCM出てなかったか? ニコっと笑ったら前歯が輝くやつ」
叔父はすでに酔っており、一緒に飲む相手を欲していた。千紗の叔父だけあって酒癖が悪そうだった。
「あんまり気にしないで。うちの親族みんな距離感がおかしいの」
「いや、千紗ちゃんの親族らしいし、おもしろいよ」
千紗が助け舟を出すも、叔父のウザ絡みは止まらない。
「どうだ。千紗の婿になってこっち来るってのは」
「勝手に跡取り候補にしないで!」
千紗の親族が井村を見に続々集まり始めた。
「うわぁ。えらいイケメンだ」
「ほんとに彼氏? 騙されてない? 千紗とのファッション格差が凄いぞ」
「股下何センチですか?」
腰の曲がった老婆が井村を見て、深刻な顔つきで千紗に告げた。
「千紗。この人を逃したら、あんたにはもう未来永劫彼氏はできないよ。そして地中のモグラのごとく一生日が当たることはない。運気は下がり続けるであろう。スッポンのようにくらいついてこの人を離さないようにしないと」
「み、未来永劫!?」
好き放題言う親戚たちの間を縫って千紗の母が井村の隣に来た。
「騒がしくてごめんなさいね。ご迷惑じゃないかしら」
「いえ、迷惑なんてとんでもないです。僕のほうが千紗さんに色々助けられています」
「ちょっとにぎやかだけど、ゆっくりしていってくださいね」
その後も千紗の親族に囲まれて、酒をぐいぐい飲まされた。
「男はスタミナだ。今夜はゆっくりしていけ」
最後、叔父さんにスッポンドリンクまで渡される。
「あぁ、うん」
浮かない顔の井村に、部下の佐藤が声をかけた。
千紗の最後の動画は、世間で評判になり、今度はいい意味で騒ぎになりすぎた。ジェットコースターのような展開で、勝手に評価を上下させる世間には呆れつつも、本当の千紗の努力と才能が評価されたことは嬉しく思う。
千紗はあのあと、一躍時の人となった。曲もよかったし、演奏もよかった。おまけに顔を隠してた子が、実はめちゃくちゃ可愛かったのだから人気になって当然だった。
千紗の才能や、魅力が世に広く知られたことでどこか寂しさを覚えた。
──もとから人気だったからな。自分だけが味方だなんてとんだ思い上がりだったな。
井村としては、あのまま一緒に暮らしていたかった。
が、井村に迷惑をかけることを恐れた千紗は再び北海道へ戻ってしまった。
母親が心配なのもあるとわかっていたから、強く引き留めることはできなかった。
物分かりのいい振りをして追い出したが、毎晩寂しくて死にそうだった。
短いが同棲のようなことをしてしまったのもあり、一度得た温もりを手放した喪失感は底なしだった。
ビデオ通話だけでは満たせない心と体。毎晩抱きしめて寝ていた日々を思うと辛い。
──俺ってこんな情けない男だったのか……。
今までこういった激しい感情に振り回されたことがないだけに、どうしていいかわからなかった。
──このまま遠距離恋愛でいいのか? いいや、いいわけない。すぐにでも迎えに行きたい。
そう、迎えに行かねばならない。だがいささかの迷いがあるのも確かだった。
☆
「千紗の彼氏だとぉ!?」
週末、溜まっていた仕事を片付け、北海道にある千紗の叔父の家を訪れると、えらいガタイのよい中年男性が井村を迎えた。かなり緊張していた井村だったが、熱烈な歓迎を受け胸を撫でおろした。
「あ、はい。これお土産です。お酒が好きだと聞きましたのでお口に合うかわかりませんが」
「なんだ? 赤ワイン? どこの? 気が利くねぇ」
「フランスのブルゴーニュ地方のものです」
「ブルゴー……ブル……なんだっけ、ブルドック?」
「そんな感じです」
彼女の親族に会うのは、結婚の挨拶のようでかなり緊張した。いずれそういう挨拶もしなくてはならないが、とりあえず気さくな人のようで安心する。
「あなたが千紗の? 井村さん。あらあら。遠いところをようこそ。お話はかねがね。娘がずいぶんお世話になったようで」
奥から千紗の母親が出てきた。一気に緊張が増す。
「お世話になっております!」
腰を90度に曲げ敬礼する。
「いや、そんなにかしこまらないで。こちらがお礼を言わなくてはいけないのに。娘を守ってくださりありがとうございました。あら、千紗ったらあんな格好で……色気のかけらもないわね」
母親の目線の向こうに一台のトラクターが見えた。
デニムのオーバーオールを着て、カウボーイハットを被ってウェスタンブーツを履き、トラクターを乗りこなす千紗がいた。
──す、すっかり馴染んでる。意外と適応能力あるんだな……。
「あの子変わってるから、大変でしょう。昔から熱中するとすごいんだけど、社交性がいまいちで心配していたの。でもあなたのほうがその辺カバーしてくれそうね」
「いや、本当僕なんかで支えになれればいいのですが……」
すっかり固くなっている井村が、挨拶し終えると、千紗が向こうから歩いてきた。
「井村さん? 来るって聞いてたけど、もう? 空港まで迎えに行くつもりだったのに」
「久しぶり。元気だった?」
「はい。すっかり羊たちに情が移りました。トラクターの免許も取ったし」
「羊飼いしてる女の子の知り合い初めてだ」
「東京にはいないでしょうね」
「アルプスの少女に昔憧れていたので、満喫しています」
「はは。俺も。藁のベッドとか、暖炉で焼くパンとか憧れたなぁ」
「ちょっとドライブしませんか? トラクターの免許取ったので」
「相変わらずいい感性してるね」
トラクターでドライブデートに誘ってくる女の子なんて、会ったことがない。結構面白い経験だった。
「井村さんはポルシェとかフェラーリとかのが似合いそうですね。あとはオープンカーでノースリーブワンピースの美女乗っけてそう」
「オープンカーより、ノースリーブより、俺はオーバーオール着てトラクター乗ってる千紗ちゃんといるほうが幸せだよ」
「ひあっ、事故っちゃうからびっくりさせないでくださいー」
「ごめんごめん」
「会社で色々聞かれて、面倒かけてませんか」
「いや、自慢してるよ。彼女が才能あってうらやましいでしょって」
「じ、自慢……!」
「ま、その分不安もあるけどね」
「不安?」
「いや、気にしないで」
しばらく二人で話した後、夕方千紗の叔父の家で井村を歓迎するための宴会に招待された。
広い客間で正座していると、料理が次々運ばれてくる。
「ようよう、兄ちゃん。よく来た。まぁ飲んでけ。好きなだけ食え」
「ちょっと叔父さん、井村さんにあんまり飲ませないで」
「ははは。千紗のBFが来たんだからもてなさんわけにはいかんだろ」
「BF?! 死語にもほどがあるよ!」
「東京の男は、みんなこんな足が長くてハンサムなのか? なんか歯磨き粉のCM出てなかったか? ニコっと笑ったら前歯が輝くやつ」
叔父はすでに酔っており、一緒に飲む相手を欲していた。千紗の叔父だけあって酒癖が悪そうだった。
「あんまり気にしないで。うちの親族みんな距離感がおかしいの」
「いや、千紗ちゃんの親族らしいし、おもしろいよ」
千紗が助け舟を出すも、叔父のウザ絡みは止まらない。
「どうだ。千紗の婿になってこっち来るってのは」
「勝手に跡取り候補にしないで!」
千紗の親族が井村を見に続々集まり始めた。
「うわぁ。えらいイケメンだ」
「ほんとに彼氏? 騙されてない? 千紗とのファッション格差が凄いぞ」
「股下何センチですか?」
腰の曲がった老婆が井村を見て、深刻な顔つきで千紗に告げた。
「千紗。この人を逃したら、あんたにはもう未来永劫彼氏はできないよ。そして地中のモグラのごとく一生日が当たることはない。運気は下がり続けるであろう。スッポンのようにくらいついてこの人を離さないようにしないと」
「み、未来永劫!?」
好き放題言う親戚たちの間を縫って千紗の母が井村の隣に来た。
「騒がしくてごめんなさいね。ご迷惑じゃないかしら」
「いえ、迷惑なんてとんでもないです。僕のほうが千紗さんに色々助けられています」
「ちょっとにぎやかだけど、ゆっくりしていってくださいね」
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