【完結】完璧上司の裏の顔~親の借金返済のため、内緒でエッチなコスプレで動画配信していたら、実は熱烈なファンだった上司に求婚された件

香月律葉

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16章 

愛と不安

「うっ、う……らめ、吸っちゃ、おかしくなる」

 絶妙な舌づかいは、自分でするのとはくらべものにならないほどよくて、無意識に井村の顔に恥ずかしいところを押し付けてしまう。

「は、はっ、や。終わりにしてぇ」
「そんなに押しつけてるのに?」
「や、ぁ、ああ」

 じゅるると音をさせながら、吸い付かれ、千紗は絶頂した。
 達している最中も激しくすったり舐めたりしごいたりされ、千紗は全身を痙攣させながら長く深い絶頂に耐えた。

「ふぁ?」

 もうぐちゃくちゃになったそこの上に剛直が擦り付けられた。
 中に入らなくても、粘膜と粘膜が擦りあう感触にひどく興奮してしまう。
 割れ目に沿ってすりすりされると、ちょうど敏感な場所に当たり、千紗は腰をずらして逃げようとしたが、押さえ込まれてしまう。

「当たるときもちい?」
「も、おかしくなるからぁあ」
「ゴム、つける」

 なんでいつも持ってるのか。やる気を感じる。
 先端が少しだけ入ってくる。ほんの少しだけ出し入れされると奥がじんじん疼く。

 首を振ると、いっそう焦らすように先端だけで千紗の入り口を刺激した。
 足を井村の腰に絡めて、千紗は喘ぎ声をもらした。
 何度も入り口をこすられ、絡み合ううちに、千紗がのけぞった。

「あ、はいっちゃ……あ、あぁっ」
「ち、千紗ちゃん?」

 抜いてほしいのに、千紗は井村の腰に足を絡めて奥まで迎えいれてしまった。
 快感から離れられずにいた。奥の弱いところに思い切り当たっている。

「そんなに押しつけて……はぁ……」
「ん、う、動かないでぇ」

 互いにぎゅうっと抱きついて、互いの粘膜の感触を味わっていると、理性が飛ぶ。
 どちらからともなく、腰を揺らしさらなる快楽を貪る。

「は、ヤバい」
「も、無理。あ……」
「イっちゃったの? きゅうきゅう絡み付いてくる。ごめ、我慢できない。ちょっと激しくする」

 千紗の足を開くと、遠慮なしに激しい出し入れを始めた。
 絶頂したばかりのそこを激しく刺激されると、連続して絶頂が訪れた。

「や、また……もうダメ」
「イってよ、何度でもしてあげるからさ」
「もう……無理」
「俺もちょっと限界……」
 
 ちょっと後悔するくらい激しく抱いてしまったあと、二人で泥のように眠った。

 明け方、懐かしい音がしてふと目を覚ますと、千紗が野外で羊たちに囲まれ、三味線を演奏していた。
 まだ、うっすらと逆光に浮かぶシルエットが揺れるのを見て思う。

 ──やっぱりこの子には音楽が必要なんだな。

 井村はある決意を固め、すぐに東京へ戻った。





 井村を空港で見送ったあと、千紗は一人でぼんやり羊の群れを見ていた。牧羊犬のタロが千紗のところへやってきた。

 ──なんか井村さん変だったな。

 あの夜、井村はログハウスで、文字通り千紗をめちゃくちゃにした。

──痛いこととかはしてなかったけどいつもより余裕がないというか、なんだか今生の別れみたいな交わり方だった。
 無言のまま何度も抱きつぶされ、もはやおかしくなりそうだった。

「なんだろう。なにか言いたげだと言うか。テンションがいつになく低いというか。お前にこんなこと言っても仕方がないか」

 タロの頭を撫でる。ここの暮らしは穏やかそのもので、疲れた千紗の心を癒してくれる。ストーカーとか、炎上とかもううんざりだと思う。
 このままずっとここにいて、プロの羊飼いになるのも悪くないかもしれない。
 流れていく雲が三味線のバチの形に見えた。
 いや、もう忘れよう。
 確かに心躍る瞬間もあったけれど、あれはもう過ぎたことなんだ。そうなんだ。
 
 ──井村さんとの関係もどうしたらいいんだろう。

ずっとこのまま通ってもらうのも忍びないが、東京に戻ってすることも浮かばない。仕事もやめたことだし、居候になるのはなんだか嫌だった。

「千紗」

 名前を呼ばれて、振り返ると母がいる。以前よりふっくらして顔色もいい。

「どうしたの。そんな呆けた顔して」
「いや、雲がきれいだなって」
「井村さんが帰って寂しいの?」
「え? いや、そんなことは……あるけど、でも私ここの暮らしが合ってる気がしてるの。これからのことも正直今は考えられなくて」
「恋愛は生ものだから、うかうか油断してるとあっという間に腐っちゃうのよ」
「はぁ……」

 身内に恋愛談義をされるほど恥ずかしいものはない。

「色々あったし、しばらく休むのはいいけれど、大事なものをなくさないようにね」
「えっ」
「なにか、ギクシャクしてるように見えたのよね」

 ──やっぱり?

 優しいことは変わらないが、どこか千紗を見る目が変わった気がする。
 もう冷めたとか飽きたとか、会いに来るのが面倒くさいとか。
 ワイルドな暮らしをしている女子より、都会の洗練された女子のがよくなったとか?
 仕事をしながら北海道まで来るのは容易なことではないことぐらいわかる。いつまでも井村に負担をかけたり、甘えているだけでは駄目だとは思っていた。

「そうだよねぇ」
「私の心配はいらないから、あなたのしたいようにしなさい。私もね、また東京に戻ってまたお茶のお教室を始めようと思うの。あなたのおかげで、家も売らずに済んだし」
「えっ。そうなの?」

 父を喪ってからずっと無気力だった母にそんな気力が芽生えたことが嬉しい。

「人生休むのも必要。だけど生きがいがないとそれこそ腐っちゃいそうで。千紗が演奏してるの見て、今のままじゃ駄目だってエネルギーが湧いてきたの。命を燃やしてるって感じの輝きがあったから」
「命を?」
「そう。楽ってことはイコール幸せじゃないのよね。大変だし辛くても幸せって思えることは大事にしないとね。さて、そろそろ夕飯の支度しなくちゃ」

 母が去ったあとも、千紗はいつまでもそのことを考えていた。
 その夜、井村に自分から電話をかけたが、なんだか新規のプロジェクトで忙しいとかであまり話せず、様子もおかしいから気になった。
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