「やり直しなんていらねえ!」と追放されたけど、セーブ&ロードなしで大丈夫?~崩壊してももう遅い。俺を拾ってくれた美少女パーティと宿屋にいく~

風白春音

文字の大きさ
34 / 108

34話 国王陛下が殺されたのでやり直します

しおりを挟む
「事の発端は二日前の夜です」


 そうルーティアは話し始めた。

 ルーティアの話の要点を纏めるとこうだ。

 ・二日前の夜に何者かによって貴族が殺され金銭を奪われた。

 ・そして昨日王族城に、ある脅迫状が届いた。その内容は国王陛下暗殺の内容だった。

 ・それで慌てた国王陛下は宰相ルーティアに命令して自身を守護する冒険者を募った。


 「それで本来Sランクパーティーを望んでいたのか」
 「そうです。ですがこの国にSランクはいなく、そもそもAランクすらどれくらいいるか」
 「お互い大変だな」
 「ご理解頂き感謝します」


 このルーティアとか言う女性、鋭い目つきをしているが性格は王族とは違い心優しいように思える。

 心中お察しだな。

 あんな王に仕えているなんて人生の無駄でしかない。


 「どうやって魔法結界をすり抜けたんだ?」
 「それが誰にも分からないのです。魔法結界が張られているのは国全体と貴族街と王族城で、三重構造になっております」
 「王族城が一番強いのか?」
 「はい国王の命令によりリソースをかなり割いております」
 「破られた形跡は?」
 「それがないのです」


 破られた形跡が無いという事は、すり抜けたのか。

 特殊な魔法を持った奴か特殊な体質かのどちらかだろうな。

 或いは何か特殊なアイテムか?


 「まあ俺達が国王陛下の寝室を警備する」
 「お願いします」
 

 取り敢えず寝室の前で警備するか。

 セーブだけしておこう。


 「セーブ」

 
 =========================

 スロット1 王族城

 スロット2 ランシード王国武器屋

 =========================


 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 「どうするの? 出方を待つの?」
 「この国から犯人を特定するのは不可能に近い。なら相手が来るのを待つのが得策だと思う」
 「じゃあ私達は今日徹夜ね」
 「そうなるな」


 何故俺があんな傲慢な別に死んでもいい国王の為に徹夜をしなければならないのか。

 金貨二十枚という莫大な報酬が無ければ絶対にやってない。


 「じゃあルーティアさん。俺達は寝室に行きます」
 「お願いします。寝室まで御案内します」
 「宜しくお願いします」


 俺達は豪華な飾られた廊下を歩いて王の寝室前まで来る。

 そして王に改めて挨拶をする。


 「本当に私を守れるんだろうな。ゴミくずが」
 「何だその言い方は。あんたの命は俺達に掛かってるんだぞ」
 「国王に向かってその言葉遣いは何だ!!」
 「お前こそ状況を考えろよ」


 俺の鋭い殺気の籠った目に国王陛下はビビり寝室のベッドへ一人潜り込む。

 そして震えている。


 「じゃあルーティアさん。俺達は寝室の前で待っています」
 「宜しくお願いします」


 ルーティアが頭を俺達に深々と下げて執務室へと戻る。

 俺はここで一旦セーブする。


 「セーブ」


 =========================

 スロット1 王族城寝室前

 スロット2 ランシード王国武器屋

 =========================


 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 数時間が経過した頃、俺達は眠気と戦いながらぼーっとしていた。

 仲間と軽い雑談を繰り広げながら。

 そんな時、寝室から苦しみの悲鳴が聞こえた。


 「ぐわあああああああああああああああああ。た、助けてくれえええええええええええええ」
 「何!?」


 俺達は急いで悲鳴が聞こえた寝室の中に入ると剣で突き刺された悲惨な国王陛下の死体があった。

 そして誰かがフードを被っている。


 「誰だ?」
 「ちっ」


 フードを被った人物は謎の飲み物を飲んで壁をすり抜けた。

 あれは透明ドリンク。

 一時的に物体を透明化させる薬。

 透明魔法を飲み物にした代物だ。

 透明魔法と違う所は効果が一時的で三十秒程度という所だ。

 透明魔法は魔力に依存するからな。


 「どうしますか?」
 「まあ一旦ロード」


 俺はスロット1をロードする。

 しかしざまぁないな。

 あの国王陛下が惨めな叫び声を上げて殺されるなんて。

 クエストじゃなければロードなんてしないのに。


 「あれって何?」
 「透明ドリンクっていう飲み物で、簡単に言えば三十秒だけどんな物でもすり抜けられるんだ」
 「じゃあそれを使って魔法結界を」
 「ああ間違いない。寝室の中で国王陛下を守護するしかない」
 「傲慢な国王陛下が許すかしら」
 「俺に考えがある」


 俺達は寝室の中に勝手に入る。

 国王陛下は怒り俺達に声を荒げる。


 「何を勝手に入って来ておる。ここは神聖な私の寝室だぞ」
 「よく聞け。これからお前は数分後に殺される。それを回避したければ俺達から離れるな」
 「何を言いおって。ここは寝室だぞ。どうやって犯人が侵入するとでも」
 「じゃあ俺達が物陰に隠れているから確かめてみるんだな」
 「ふんっ」


 俺達は寝室の物陰に隠れる。

 何故狭い物陰に四人全員がくっついて隠れているのだろうか。

 胸が顔に当たる。


 「これだからCランクは約立たずなのだ」


 そんな文句を言っていると壁をすり抜けたフードを被った人物が太い剣を持って現れる。


 「な、何だ!? お、お前は。や、やめろおおおおおおおおおおお」
 「しねえええええええええええええええええええええええ」


 国王陛下は再び剣で殺された。


 「ロード」


 俺はスロット1へロードした。

 その際国王陛下も一緒にロードする為一時的に俺は国王陛下を仲間だと認識する。

 何故俺がこんなゴミを一時的とは言え仲間だと認識しなくては。


 「い、今のは何だ!? わ、私は殺されたではないか」
 「だから言っただろ。数分後に殺されるって」
 「な、何故私は今生きている?」
 「生き残りたかったら俺達から離れるな。死んでもいいなら自由に離れろ」
 「わ、分かった。は、離れない」


 国王陛下は自分の命最優先である。

 惨めな姿で俺に縋りつく。


 そして数分後――


 「い、いない!? ど、どこだ!?」
 「こっちだ」
 「誰だお前は!?」
 「冒険者だ」


 俺達は犯人と戦う。

 
 「セーブ」


 =========================

 スロット1 王族城寝室

 スロット2 ランシード王国武器屋

 =========================


 俺はスロット1へ上書きセーブした。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...