「やり直しなんていらねえ!」と追放されたけど、セーブ&ロードなしで大丈夫?~崩壊してももう遅い。俺を拾ってくれた美少女パーティと宿屋にいく~

風白春音

文字の大きさ
44 / 108

44話 奴隷狩りを殺しました

しおりを挟む
 ハンターウルフを倒した俺達は冒険者ギルドで報酬を受け取る。

 暫くはデイルに滞在しているのでネールには返事を急がなくていいと言った。

 冒険者ギルド内が騒がしいのを感じ取った。


 「おい知ってるか。この山に奴隷狩りが現れたそうだぜ」
 「ああさっき冒険者の死体が山で発見されたってよ」
 「狙いは何だろうな?」
 「決まってるだろ。猫人族だよ」
 「でもあれは伝説だろ?」
 「猫人族はフィーフィーマウンテンにいるらしいぜ。国王様が仰っているんだからな」


 冒険者たちが小言で会話する。

 奴隷狩りだと?

 狙いは猫人族か。

 ネールを守らないとな。


 「ネール俺達から離れるなよ」
 「え!? 大丈夫だよ私は」
 「駄目だ。奴隷狩りがいるこの山は危険だ」
 

 俺の真剣な表情で口にする言葉にネールは喉を鳴らして頷いた。

 奴隷狩りを放置するのは不味いかもな。

 一応セーブしておこう。


 「セーブ」


 =========================

 スロット1 デイル冒険者ギルド

 スロット2 デイルの宿

 スロット3 空き

 =========================


 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 「これからどうするの? 奴隷狩りに怯えてクエスト受注出来ないんじゃ困るし」
 「奴隷狩り殺害のクエストがそろそろ貼りだされる筈だ。俺達で受注して奴隷狩りを殺そう」
 「そうね。ラークがいるからやり直せるしね」
 「やり直さないに越したことはないけどな」
 

 俺達は暫く冒険者ギルドに滞在する。

 すると予想通りクエストボードに新しいクエストが貼りだされた。


 ==========================

 奴隷狩り殺害 金貨6枚


 危険度★★★★★★★★


 待遇 回復薬×2、魔力回復剤×3


 依頼主 デイル国王

 ==========================


 やっと貼りだされたか。

 よし受注しよう。


 「これを受注する」
 「畏まりました。危険なクエストですのでホワイトアリス様とネール様もお気をつけて」
 「ああ。ちゃんと達成するから安心しろ」
 「ご健闘を祈っています。貴方達にご多幸あれ」


 俺達は奴隷狩り殺害のクエストを受注した。

 そして奴隷狩りが潜むフィーフィーマウンテンに足を踏み入れる。


 「そう言えば銀の剣のフィット具合はどうだ?」
 「凄く手に馴染むわ。全然戦える」
 「妾もじゃ。鋼の剣より軽くて持ちやすいのじゃ!!」
 「そうか良かった。問題は山の中で戦うという事だな」
 「そうね。足場が悪いし、視野も木々で狭まるし、奴隷狩りの方が有利かもね」
 「まあ危なくなったら俺がロードする」
 「お願いなのじゃ」


 俺達は奴隷狩りを探すべくフィーフィーマウンテンの奥深くに入っていく。

 流石にデイルに突撃するほど馬鹿ではない筈だ。


 「ネールは付いてこなくても良かったんだぞ。危険だろ」
 「大丈夫。私はこう見えて強いから」
 「まあ強いのは先のハンターウルフとの戦いで確認済みだが」
 「ねっ。大丈夫。それに奴隷狩りなんて許せないし、殺されて当然」
 「ああ。許せないな」


 俺は奴隷狩りを許さない。

 別に俺や俺の仲間が直接被害を被った訳ではないけど、それでもやはり許せない存在だ。

 奴隷狩りの正体は恐らく傭兵団。

 奴隷商から雇われた存在だろ。

 奴隷商も許せない存在だが。


 「何か足音が聞こえる」
 「どの方角だ? 距離は?」
 「ここから数百メートル先ぐらい。東の方角」
 「一旦身を潜めよう」


 ネールは耳がいい。

 どうやら誰かの足音を感知したようだ。

 俺達は木の陰に隠れて身を潜める。


 「もし奴隷狩りなら戦おう。劣勢になったらすぐにロードする」
 「分かりました」


 俺達は木の陰からこちらに近づいてくる複数の足音の正体を静かに待つ。

 すると四人組の男たちが下種な会話を繰り広げながら姿を現した。


 「ぜってえ猫人族探し出すぞ。ついでに美女も捕まえて奴隷にするぞ」
 「犯してもいいんですかいお頭」
 「ああいいぜ。猫人族以外は傷物でもいいだろう。奴隷なんて傷がついていても大して価値なんて変わらねえよ」
 「そうっすよね」


 この下種が。

 俺は奴隷狩りの言葉に内心イラっと来ていた。

 だがもう少しこちらに近づいてくるのを待つべきだ。

 そう思った時、ネールが飛び出して行く。


 「おいネール待て」
 「許さない。奴隷狩りなんて」


 ネールの言葉に奴隷狩りのお頭が睨み付ける。


 「ああっ!! 何だこいつ?」
 「私は奴隷狩りを許さない」
 「おっ、若い女だな。お前も奴隷にしてやるよ」
 「はああああっ!!」


 ネールが腰に帯同していた剣を抜いて奴隷狩りへと攻撃する。

 しかし奴隷狩りの男は強く、ネールの剣を自身の剣で叩き落とした。

 そしてネールは捕まる。

 フードを取られると奴隷狩りの男が驚愕するのと同時に興奮したように口笛を吹く。


 「ヒューッ!! お前猫人族か。俺様の運は相変わらずいいな」
 「離せ、この」
 「暴れるなよ」


 奴隷狩りのお頭がネールに手を出そうとした瞬間、俺はこう呟いた。


 「スロット1へロード」


 俺達はスロット1のセーブポイントまで戻る。

 
 「大丈夫か、ネール!!」
 「今のは一体!?」
 「俺の能力だ。無茶するな」
 「ありがとう。私怖かった」
 「もう大丈夫だ」


 俺はネールの震えた体を抱きしめた。

 ネールは涙を流したのと同時に震えが治まった。

 奴隷狩りは絶対に許さない。


 「作戦を立てよう」
 「私も参加させて。今度は冷静になるから」
 「分かった」


 俺達は作戦を練った。

 先ずあの奴隷狩りの連中が来る場所の近くに待機する。

 わざと俺とアリスが奴隷狩りの前に姿を現してアリスに敵意を向けさせる。そしてアリスがカースケインの能力で三十秒間呪う。

 カースケインの能力を振り返っておこう。


 =====================

 呪術カースアビス

 能力 一度認識した敵意のある対象を一定時間呪う。

 呪われた対象は一定時間呼吸が苦しくなり動けなくなる。

 持続時間 三十秒

 魔力消費量は激しい。

 =====================


 かなり強力な能力である。

 その分魔力消費量は激しいが、俺がいれば万が一があってもロードできる。

 その後予めラフレアのバフを掛けておいたリアとヴィクトリカ、ネールで奴隷狩りを一瞬で殺す。

 これが俺達の考え付いた作戦だ。

 さあ奴隷狩りを殺そう。


 俺達はもう一度クエストを受注してフィーフィーマウンテンの奴隷狩りが来る場所の近くで待機する。

 ラフレアが予めバフを撒く。


 「超攻撃力アップ」


 よしこれでいいだろう。


 数分後に予想通りやって来た。


 「何だお前ら!? おお美少女じゃねえか」
 「男はいらねえから殺しましょうお頭」
 「そうだな。女は確保しろ」


 予想通りアリスに敵意を向けたな。

 
 「アリス頼む」
 「呪術カースアビス」


 アリスが呪術カースアビスを使用すると奴隷狩りの連中が苦しそうにして動けなくなっている。

 
 「今だリア、ヴィクトリカ、ネール」
 「はあああああっ!!」
 「とりゃあああっ!!」
 「うらああああっ!!」


 リアとヴィクトリカとネールが奴隷狩りに向けて剣を振るう。

 的確に殺すため首を狙う。


 「が、が、な、何だ、お、お前たちは!?」
 「冒険者だ」


 俺の言葉と同時に三人の奴隷狩りの首をリア達が刎ねる。

 よし、奴隷狩り殺害に成功だ。


 「やったなネール」
 「ええ。ありがとう」
 「うん」
 「そうだ。仲間の件なんだけどなってもいいかな?」
 「ああ」


 ネールの言葉に皆が嬉しそうにして抱き着く。

 何故か俺も一緒に抱き着かれる。

 何故?

 まあ嬉しいからいいのだが。


 「これから宜しくお願いします。ネール」
 「うん、宜しくアリス」


 この日ネールが仲間に加わった。

 【ホワイトアリス】はまた一段と強くなった。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...