思想で溢れたメモリー

やみくも

文字の大きさ
214 / 240
9章ー総力決戦編ー

214.戦士バーグスの底力

しおりを挟む
 エサラ達の反撃が始まった頃、隣室では初心を思い出して本気になったバーグスと、スチームの鎧を持つ大男パングスの死闘が繰り広げられていた。

ルゥリム「……私の身体じゃついていけそうにない…。もしも当たったらきっと……考えてる場合じゃない。私は私にできることを!」



パングス「おらおら!避けてばかりじゃ主導権は握れねぇぞ!もっとアグレッシブに来い!」

 パングスは超高熱の拳で連続で叩きつけてくるが、俺は動きを見極めてバックし、隙を伺った。

バーグス「俺はお前みたいに耐久が売りって訳じゃないからな。力比べは自信家だけがやる事だ。まぁそれよりもだ……当たらないパンチを攻撃とは言えないよな?」

パングス「言ってくれるにゃあガキが。急に威勢が良くなるじゃねぇか。」

バーグス「若きの憤りってところかな?負の感情押し殺して、無理にでも笑ってなきゃやっていけない。」

 その言葉を聞くと、パングスは思った通りと嘲笑うように言った。

パングス「ガハハハハ!ちゃんと根に持ってるじゃあないか。手前は所詮戦いは生き延びる為の手段、抵抗としか捉えていない。それまでの動きはそうだった。だが今はどうだ?戦闘狂っちゅう訳でもないだろう。手前はたった今、理解したはずだ。争いの動機というものを!」

バーグス「ああ?そんなの心の奥底に押し込めていただけ。捨て身の復讐にこだわるよりも、助かった命を大切にしたまでだ。…サニイ様に出会って、俺が十人十色の生き様を知るまではの話だが…な!」

 パングスのパンチを掻い潜って果敢に懐に入り込み、俺は怒りなどの感情を乗せて蹴り上げた。
 自信はあったのだが、奴は少しよろめいただけですぐに床を踏み締めて、体勢を崩さずに直立した。

パングス「お返しだ。魔拳:スチームパンチ」

バーグス「背中は見せられないな。脚術:大戒転」

 流石に逃げ場が無かったため、パングスの拳を蹴りで受け止めようとした。

バーグス「ぐっ……」

パングス「手前のパワーは見かけ以上に侮れない。褒めてやらぁ。だが俺には通用しない!」

バーグス「…ぐはっ!」

 そのまま力で押し負けて、俺は床へと叩きつけられた。
 するとパングスは俺を踏みつけにして、全身から蒸気を放出させた。



パングス「この量ならさっきから地味に鬱陶しいあの天使でも手こずるだろう。なぁ手前さん。一つ提案がある。」

バーグス「言われる前から……ノーに決まってるだろうが…!」

パングス「まぁ聞けや。…ここだけの話、マインダーさんには生命を蘇らせる力がある。もし手前が望むのなら、我々の仲間にしてやらないこともないが。」

バーグス「黙れ。情報はこっちにも回ってんだ。クローンだの傀儡だの、蘇らせてるのは兵器としてだろうが!平穏に暮らせたはずだった俺達が全てを壊された場所。そんなところに身勝手に投じられるなんて、尊厳破壊にも程がある!」

パングス「仮にも戦士である手前がそれを言うのか?」

バーグス「生き延びる為には手段は選べない。戦士としての誇りは確かにあるが、戦士になったこと自体は一度も誇りに思ったことがない。むしろ、できることなら終止符を打ちたかった。」

 正直、生き延びたいとは側だけで、早く何もかもを終わらせたかった。あの日々が帰ってくることは二度とないし、俺程度の実力じゃ未来は大して変えられないと分かっていたから。
 長い孤独の放浪期の最中、サニイ・アマテスという男に出会ってようやく人生に朝陽が昇った。彼は闇夜を切り裂き、人々に希望の日差しを照らしあてた。
 辛く苦しい2年間など忘れ、俺は彼のように誰かの希望になりたいと思えた。例えそれで自分が満たされなくとも、戦士である理由ができる気がしたから。

バーグス「…けれども、決して死に場所を探してる訳じゃない。生き延びて、多くの人々の晴れやかな人生を守って、その上でもしも戦死した時に、悔いはない、出来ることは全てやったと思えるような生き方にしたい。……だから、やりきるよ。ここで本当に終わってしまっても、悔いが残らない戦いにしたいから。俺はお前に喰らいつく…パングス!」

 魂に誓ってそう宣言して、俺はパングスの足を押し退けて立ち上がった。

パングス「ぬおっ!持ち上げやがるか…リミッターが外れたようだな。凄い気迫だ。」

バーグス「俺の底力…今なら発揮できそうな気がする。」
 
 地を蹴ってパングスの頭上へと勢いよく跳び上がり、重力すらも利用して足にエネルギーを集中させた。

パングス「ガハハ…!いいぞ。手前の底力とやら…見せてみろや!」

 そう言ってパングスは腕をクロスさせて、正面から受け止めようとした。

バーグス「余程自信があるのか知らないが、こっちも半端な信念背負ってる訳じゃない。……ここまで退かないなら味わえよ!」

 足に込めた大地グラウンドエネルギーを馴染ませて、空中で体勢を整えた。

バーグス「脚術・奥義:地峯崩れじごうだれ

 渾身のかかと落としは奴の防御を上回り、圧縮させた力諸共パングスを地面へと叩きつけた。

パングス「グファッ!!」



 その衝撃はフロア全体を大きく揺らし、ヒビが蓄積されてきた壁や天井が今にも崩れそうになっていた。

バーグス「…放っとけば瓦礫の下敷きになるか…。ルゥリム、崩れる前に退くぞ。」

ルゥリム「……バーグスさん後ろ!」

バーグス「……っ!」

 ルゥリムに言われて後ろを振り向くと、想像したくなかった状況が目に入った。

バーグス「嘘だろ……あれを受けても正気で立てるのかよ…」

パングス「ぜはぁ……流石に死ぬかと思ったぞ。上半身の鎧を跡形もなく砕きやがって!」

バーグス「くっ…」

 あの鎧の硬度が凄まじいことは分かっていた。それを破壊できただけでも良しとするか、未だに倒れない奴に絶望するかは考えようによる。
 だが、鎧に包まれていたのも異様に発達した筋肉だったことには、驚かざるを得なかった。

パングス「気掛かりそうな顔をしているな。手前が称した俺の耐久力、その半分は鋼鉄の鎧が担っていた。あの鎧は並大抵の攻撃じゃ凹みすりゃあしない。その点は褒めてやらぁ。」

バーグス「逆に言えば、渾身の一撃でも半分しかダメージを与えられなかったという事か。……あれだけ好条件が揃っても尚か…化け物め。」

 切り札を使っても、奴は二分の一元気だ。しかも奴はまだ奥の手を見せていない。あまり手数で戦うタイプでは無さそうだが、あの巨体を活かした攻撃はありそうだ。
 底力の俺と底を見せないパングス。劣勢なのは誰が見ても明白だ。
 そう絶望で身体が重くなっていると、パングスは腕を上げて、ヒビだらけの壁を殴った。

パングス「ギガントαが弱ったか。バシュノンを護衛しなぁいかんな。」

 壁が崩壊して、隣の部屋に繋がった。そしてパングスはその部屋にドスドスと音を立てて向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...